※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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当たり屋

1.

 当たり屋五人組──

 

 その中の一人、松井は公園内を見回した。

 入って直ぐに目に入るのは、左奥の公衆便所や自販機だ。

 そして──

 右側に長ベンチ

 左側にブランコ、水飲み場やベンチ──

 奥にはごみ捨て場、中央付近には先程までホームレスがあたっていたドラム缶の焚き火がある。

 

 この白い少女を連れ込むのなら公衆便所が適切だろうか。

 ブランコの椅子を吊り下げている鎖で自由を奪うのも面白いかも知れない。

 やり終えたらあのポリ袋が幾つか置いてあるごみ捨て場に打ち捨てるのも趣あるな、など鬼畜な思考に浸る。

 

 白い少女を取り囲む様にそれぞれの仲間が立っている。

 この仲間達だが、恐らく幼女趣味は無かったかと思う。

 

 しかし、妙に仲間の一人である千葉はその気になっているのが、ひしひし伝わって来ている。

 

 白い少女からは怯えの色が見えないのが、何故か気にはなっているのだが──

 実のところ公園に向かうように提案したのはこの白い少女である。

 児童公園には公衆便所が有ることを松井は知っていたので、そこで強姦(レイプ)しようかと考え、白い少女から言われるままに連れて来たのだ。

 

 他の仲間も神心会門下生との喧嘩が流れたのだが、特に文句を言うものも居らず、公園にやって来た。

 

 松井と千葉──

 残りのメンバーの名前だが、それぞれ、清水、畑、萩野だ。

 

 入り口で陣取り、白い少女の逃走防止、及び第三者の介入や警察などの登場に警戒し見張りに立っているのは清水である。

 

 彼の見掛けとしては、非常に人相が悪いものがある。

 一見、極道もかくやと言うほどに強面の人相であり、彼が入り口にいたら、一般人や、公園内に有るドラム缶の焚き火目当てに暖をとろうとやって来たホームレスも直ぐに立ち去るだろう。

 その事を清水自身自覚してるからか、誰が言わずとも自ら見張りをかって出たのだ。

 

「ここは、西公園では──ないの、でしょうか」

「はぁ?」

 

 西公園かどうかとなると勿論違う。

 はぁ?とすっとんきょうな疑問の声を上げたのは畑だ。

 

「嬢ちゃん、西公園行きたいのか?」

 

 別に聞く必要もないが、千葉が問うた。

「はい、今夜そこに泊まろうかな、と」

 

「おいおい──なんだ、このガキ。なぁ、こいつ、何かおかしくね?」

 西公園と言えばホームレスの溜まり場だ。

 少なくとも、こんな幼い少女が寝泊まりする場所では無いことは、この当たり屋達の様な常識の外に居るような輩にも分かる。

 

「真っ白白痴の知恵遅れなおチビちゃんって、ところだな?」

 口が非常に悪い事で定評のある萩野が下品に笑いながら、洒落を交えた暴言を吐く。

 

「ひでぇッッ!」

 拍手しつつ、畑は笑い声を張り上げる。

 

 萩野は白い少女を取り囲むメンバーの中では、彼女の右後ろにいた。

 彼からは少女の背中側が見えている。

 

 白い髪は背中を隠している。

 本当に長髪だ。

 これで黒髪なら完全に幽霊のそれだろうなと、萩野はぼんやりと考えていた。

 

 白い髪は解けた雪の水分で濡れている。

 半袖のブラウスも体に引っ付き、白い肌が白い布に透けて見えるような気がした。

 真正面からなら胸元も透けて見えるか?などとふと、思う。

 

 サクッ

 ザックッッ

 

 ヒュッッ──

 

 見えるか?

 脳裏に過った、口には出していない言葉。

 ほぼ、ほぼ、それと同時だった。

 白い少女を見ていたが、突然に視界が真っ赤になる。

 その後、暗転した。

 萩野は、一瞬何が起きたのか理解に追い付かない。

 

 夜の暗さではない──

 

 何かが刺さるような音が二回と、何かが空気を裂くような音も聞こえていた気がする。

 

「萩野!」

 

 次に聞こえたのは、当たり屋仲間である誰かの自分を呼ぶ声だった。

 

 そう叫んだのは畑だ。

 

 畑や、他の当たり屋が見たもの、それは木製の棒が萩野の両眼よりいつの間にか生えていると言う異様な光景である。

 

 生えている──

 そんな筈はない。

 

 大抵の者は小学生時代に図画工作の時間にて馴染みがあるだろう。

 

 彼らが木製の棒だと思ったのは彫刻刀の柄である。

 彫刻刀の金属部分は深々と、萩野の眼球に突き刺さっている。

 これは、失明を免れないかも知れない程だった。

 

 彫刻刀──

 それを、まるで手裏剣や鏢などの投擲武器を打つように、白い少女は投げ、そして見事に両眼に命中させたのだ。

 使ったのは、剣先と言う種類の刃の部分が、文字通り剣の尖端の様な形状の彫刻刀と、錐だ。

 

 白い少女はプリーツスカートのポケット内に何本か彫刻刀を携帯していた。

 手荷物は無い、身に付けているものと自分自身だけの身軽な引っ越しの最中。

 

 この彫刻刀はポケット内に忍ばせ身に付けていたちょっとした荷物である。

 他、裁縫針やまち針、糸もポケットに隠匿されているが、今回“武器”として彫刻刀が使われたのだ。

 

 白い少女にとって彫刻刀は、特殊な意味合いを持つ道具であった。

 

 この場にいる者達の誰一人として、いつそれを取りだし、投げたのか気付いた者はいなかった。

 更にだ──

 

 白い少女は身を翻し、翔んだ。

 それにも咄嗟に気付けた者は無かった。

 

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