範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ) 作:贋海王
真冬は、利用しなかった分の口内に残っている石坂の指を吐き出した。
二本の指は、第一関節がない。
白い幽鬼の様な幼女が行うその仕草は、明らかに異様で、不気味だった。
「お……お前、何だよ、何モンなんだ」
零号は、地獄の様な光景に声を震わせた。
驚愕と恐怖と、怒り、幾つもの感情が混ざりあっている──そんな声だった。
──その名義で、極道を後ろ楯にして活動するレイプ物アダルトビデオ制作集団である零号達だが、彼等は彼ら内で仲間意識を持ち合わせている。
それ故に、零号──仲間を半殺しにされたジェロニモン・富士岡の怒りは大きく凄まじい物だった。
そうした感情は、真冬の想像を越える熱量で零号の中で燃え上がっている。
「あの……すみません。撮影の途中ですが、もう、帰りますね」
真冬は真冬で疲れを感じていた。
自身の身に起きた異様な反応と感覚が、真冬の身体に大きな負担になったのは言うまでもない。
媚薬は既に体外へと吐き出した。
しかし、望まぬ快楽は未だに脳裏と体に傷痕として残っている。
ある種の恐怖でもあっただろう。
闘争ではない、苦痛を伴う虐待でもない。
しかし、今しがたまで苛んでいた物は、それらの痛みにはない、圧倒的な恐怖があった。
巨漢の指を噛み千切る少女が、実のところ、この場から速く“逃げたい”と考えているのだ。
真冬は人成らざる戦闘能力を有しているかも知れない。
遊びとして、岩を球体にする事もあれば金属に穴を空けようとすることもあった。
遊びが巨凶の血をより濃くしていき、知らずの内に闘争の技術わざを磨いていた。
──だが、真冬は闘士ではない。
恐怖心に押し潰されそうになれば、逃げたくもなる。
神室町にやってきて、幾度か闘争を経験している。
カツアゲ坊主の剛志との喧嘩は未だ癒えぬ傷も残っている程に苛烈な物だったが、彼とはまた喧嘩したいと思っている。
──そんな真冬が、この桃源郷での一件は恐怖その物だったのだ。
しかし、その真冬の言葉に、零号の怒りが激しく、マグマの噴出の如く爆発した。
脱がされた下着を正そうとする真冬だったが、叶わなかった。
零号が僅かに真冬に向かって走り、寸前で両足を強靭なバネと化し飛び上がった。
そして、勢いと体重が乗った両足を真冬へと見舞ったのだ。
往年の名プロレスラー“マウント斗羽”仕込みのドロップキック……32文人間ロケット砲である。
集中力が僅かに途切れていた真冬は、そのドロップキックをまともに喰らってしまう。
小柄な幼女に命中させると言う、正確無比なドロップキック。
105キロの人間ロケットが真冬の胸元に叩き込まれる。
零号はドロップキックを放った際の仰向けのままに、背中から床に落ちて受け身を取る──事はしなかった。
何と、器用にも両の脚で着地し、そのまま床を蹴り再び跳躍する。
吹き飛ぶ前の真冬に追い付き、またもや、人間ロケット砲を喰らわせた。
流石に二発目のドロップキックで、零号は背中で受身をとり、転倒する。
ドロップキックをほぼ間を置かずに二度もまともに受けてしまい、真冬の身体は弾き飛ばされ、桃源郷の壁に叩き付けられる。
硬い壁がひび割れ、恐ろしい事にその衝撃で、大きく陥没していた真冬は仰向けに倒れ臥し、ピクリとも動かなかった。
集中力が途切れていた状態では、
零号は直ぐ様立ち上がっており、真冬の元へ歩みよる。
──集中力だけでなく、真冬の意識は完全に断たれていた。
プロレスであろうと、総合格闘技であろうと、或いは裏の格闘試合であったとしても、意識が喪われたこの時点で、真冬の敗北となる事は必至だろう。
だが、これは、プロレスでも格闘技でもない。
──誰も止める事はない。
──即ち、まだ、終わっていないのだ。
この人間ロケットをまともに喰らってしまい、圧倒的な重い威力に容易く意識を刈り取られたのは、零号と真冬の心の有り様が鍵だったのだろ。
──燃えたぎる憎悪と怒りの感情を持った零号。
──苦痛と異なる肉体的反応に戸惑い恐怖していた真冬。
そんな真冬の弱さが表面に現れた故に、常にある真冬ならば、闘争の最中に下着を正すことになど気を回さないだろう。
それなのに今回は、晒され続ける下腹部に異様なまでの羞恥と恐怖を覚えてしまったのだ。
しかし、意識を手離してしまうほどの衝撃と激痛。
それが意識の無いままに、真冬に流れる巨凶の血は何を思っているのか。
──試合では無い路上の死闘。
そうでなければ、真冬の精神と血は、疲労困憊した自らの身体に殺されていたかも知れない。
足下に倒れる真冬を眺める零号は、徐に白いレースで装飾された黒いニーソックスを履いている真冬の細い右足首を掴んだ。
そして、右手はドロワーズとショーツを掴み、一気に引き裂いた。
嘗ての高級ソープランドの廃墟にて、布が裂ける音が無情にも鳴り響く。
零号は、撮影の時に受けた剃刀の傷の恨みも忘れていない。
二階での失敗、同じ徹は踏まぬ。
半死半生の仲間を横に、憎悪と憤怒に充ちて異常な性的欲求も零号に沸き上がっていた。
真冬のミニスカートを捲り上げる様に破り、幼い肢体の陰裂を完全にあらわとする。
未だに意識を刈り取られている真冬を眺める零号は、特撮番組の戦闘員のようなタイツから、徐に自身の陰茎を剥き出しにするのだった。
そして、真冬の両の太股を掴み、大きく脚を開かせた。
零号の耳に、仲間達の苦痛の呻き声が聞こえる。
それが、より強い怒りを植え付け、更に欲望までもが膨張した。
悪意の塊は、真冬のそれに宛がう様に擦り付けられる。
零号は真冬に覆い被さり、全身の体重を真冬に乗せた。
仮に目覚めたとしても、この圧倒的な肉の重しに抗うすべなど有るわけがなく、加えてこの体勢ではどうしようもないだろうとの算段だ。
幼い肢体へと、零号の悪意が戦闘ではない暴力として襲いかかった。
──しかし
零号の両眼、鼻孔、耳孔から夥しい流血があった。
刹那、常軌を逸した吐血。
意識の無い真冬の内に巡る巨凶の目覚めだ。
零号はそもそも、何故にベッドが粉砕され、二階部分が崩落したか理解していないのだ。
──全身で放つ無寸雷神
無意識下にて、巨凶の血が、細胞が、魂が、肉体が、その真冬の
零号の内部に拡がる振動と其れを打ち消す振動が、零号の脳とあらゆる臓器を破壊したのである。
──そして
真冬の意識が真冬の内に帰ったとき、彼女の体の上で生きているのか死んでいるのか、動かぬ零号の体躯があり、余りの重量に困惑したが、真冬はもぞもぞと動き何とか抜け出したのだった。
困った事は──スカートは襤褸の布切れ同然であり、しかも下着までが無い事で──帰るにせよ、仔犬の探索を続けるにせよ、非常に厄介な事態に陥っている事であった。
『仕切り直し、没ネタエピソード』は削除し、残骸置場に入れた方が良いですか?
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そのままで良い
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残骸置場行きが良い