※この作品はR-18です。

範馬道 神室町の蜚蠊幼女(ヤマトゴスロリ)   作:贋海王

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終焉

 

 深夜の神室町。

 ──真冬は悩んでいた。

 

 仔犬を保護し、今はモグサや賽の河原の女性ホームレスであるミチに預けている。

 餌は西公園に戻る前にコンビニエンスストアで購入した。

 買い物の間は、共闘した暴走族の男性が見ていてくれたので安心だった。

 

 真冬を悩ませている理由。

 それは、仔犬ポチタロの治療費に関してであった。

 柄本医院に、仔犬の診察と治療も受けてくれるか尋ねると、了承しては貰えたのだが、当然治療費は必要になってくる。

 

 幾らくらいの金額が必要なのかは想像出来ない。

 真冬は動物を飼育した経験が無く、当然動物を病院に連れて行った事も無い。

 モグサや何人かのホームレスに、動物を治療する際の相場を質問してみると、一般的な動物病院だと一回の診察で5000円から10000円くらいではないかと言う話だった。

 勿論、症状や診察時間、動物の種類などで変わるだろう。

 具体的な例として、点滴と注射で処置して貰った時は、合計で3000円くらいだったと、ホームレスになる前は動物を飼っていたと言う猫好きのホームレスが教えてくれた。

 薬を処方して貰った場合も治療費は追加されるとも、そのホームレスは言っていた。

 

 ポチタロの場合、一回の通院では終わらない筈だ。

 柄本医院に動物用の入院設備は無いので、入院費用は必要にならないだろうが。

 

 今日の夕刻までに、真冬にとってかなりの大金となる治療費を、捻出しなければならないのである。

 

 恐らく、翠ならそんな大金でも支払ってくれるだろう。

 翠は真冬に、衣服やらアクセサリー、武器までプレゼントしてくれる奇妙な少女だ。

 そんな翠なら治療費も出してくれると考えても不思議ではないが、真冬はそこに考えが至らなかった。

 

 慎重に、金策の手段を探し歩みを進める。

 様々な求人のチラシが目に入るが、神室町の求人広告だ。

 真冬を雇う店などある筈も無い。

 いや、神室町だからと言う問題ではない。

 真っ当な仕事で、九歳の幼女を雇う店など、どの街にもある訳が無いのだ。 

 

 真っ当でなければ、神室町故に真冬を雇う場所はある。

 児童売春組織などだ。

 しかし、それは結局、真冬自身が稼げるのではなく、真冬を使う組織が稼ぐことになるだろう。

 そもそも、そうした組織に接触する為の斡旋者などに知り合いもいないし、手段も無い。

 何より、真冬はそうした存在を知らないのだ。

 どれだけ強くても子供は子供である。

 金を稼ぐ事に関して、どうしても儘ならないものだった。

 

 七福通り東にホストクラブの看板が目立つ駐車場がある。

 それが見えてくると、深夜にも拘わらず大勢が歓声を上げている事に気付いた。

 金網越しに、駐車場内へ視線を送る。

 

 喧嘩だろうか。

 一方が殴る、蹴る、掴む。

 しかし、もう一方は反撃せず、ただ躱していた。

 

「よっしゃ、そこまで、お客さんお疲れ様~残念だったな、また挑戦してくれや」

 躱し続けていた男とは別の男が言った。

「次、挑戦する奴は居るか~!」

 

「おい、俺がやるぜ」

 名乗りを上げる男がいた。

 そこで、真冬は理解した。

 その男が五千円札を支払うと、先程と同じ様な光景が始まったのだ。

 

 そして彼も、結局掠りもしなかった。

「さー、賞金三万円、欲しい奴はドンドン殴ってみろや!」

 

 威勢良く、二人が叫ぶ。

 五千円渡し、一分間避け続けるその男に一発でも当てられたら、三万円貰える。

 そう言うゲームのようだ。

 

「あの、五千円無いんですけど、絶対当てるので挑戦させて下さい」

「は?」

 真冬の言葉に、殴ってみろ屋の田名後は不快そうに言った。

 

「何言ってんの?クソガキ」

 

「駄目でしょうか」

「前払いで五千円、びた一文まけられねぇよ?」

 流石に、只でゲームに参加させろと言うのは虫が良すぎる。

 絶対当てると宣言しようが何だろうが、参加費は必要なのだ。

 

「クソガキは帰った帰った、シッシッ」

 

 三万あれば、少なくとも今日と次回の分くらいの治療費になると思ったのだが、社会とは厳しい物だ。

「お嬢ちゃん、身体で返してくれるなら、おじさん、五千円貸して上げるよー」

 

 心底落ち込んでいる様に見える真冬に、救いの手が差し伸べられる。

 野次馬達から、その救世主へ罵声が浴びせられる。

 勿論、皆が皆、本気で批難している訳では無い。

 

「貸して下さるんですか?」

 真冬は、言葉の意味を理解せずにそう答えた。

「え」

 

 寧ろ、真冬のその返しに驚きを隠せない中年男性の声に、周囲が沸き上がる。

 

「よし、じゃあ、こっち来いや、俺が貸したるわ」

 中年男性とは別の男が突然会話に入り、真冬に言った。

「すみません、ありがとうございます」

 真冬は頭を垂れる。

 そして、駐車場の丁度裏に位置している、公園前通りに面したL字に似た空き地へと向かった。

 そこは雑居ビルなどが周辺に集まっているが、何故かポッカリと長らく空き地になっている。

 

 男から聞こえる息づかいが、少し不気味だった。

「あの、すみません、お返しするのはあとでもよろしいでしょうか」

 

「貸してやるから、こっち来い」

 声色を低くし、命令を下す様に告げると空き地の奥へと向かう。

 

 純粋なのか、騙されやすいだけなのか。

 実のところ、真冬は人格形成が破綻している節がある。

 ある種の精神疾患だ。

 脳内麻薬の分泌機能に、異常をきたしているのも影響しているかも知れない。

 脳内麻薬の分泌の常態化。

 幼くして達したそれが、人格や思考に悪影響を及ぼしている。

 

 真冬を壁際に立たせる。

 薄暗く、奥まった場所まで来れば、人目につかない。

 真冬は男を見上げた。

 

 四十過ぎくらいの男は、今まで真冬が相対してきた様な巨漢ではない。

 一般的な、中肉中背の壮年の男性だ。

 問題なのは、男に戦意が無い事であった。

 故に、真冬の戦闘に特化した意識や集中力が一向に働かないのだ。

 

 真冬は本気で、彼は金を貸してくれる親切な人物だと錯覚していた。

 

 男はゆっくりと右手を伸ばし、真冬の白い頬に掌が置かれた。

 そして、死人の様に白い口唇を親指で撫でる。

 

「え?あの、っ」

 指が口内に侵入し舌に触れる。 

「ッう、ぁ」

 

 違う。

 敵意は無くても、不味い。

 でも、五千円を貸してくれる。

 殴ってみろ屋を殴る為の資金だ。

 そして、それは治療費になる。

 

 男の左手の人差し指と中指が胸元を撫でた。

「小さいなぁ、お嬢ちゃん」

 

 男は嬉しそうに笑うと、彼の指は僅かに膨らむ先端を探り当て、服越しに二本の指で擦る様に挟み込む。

 

 ぞわりとした感覚に襲われ、真冬は声をあげた。

 更に、挟んだ指で何度も執拗に擦り続ける。

 

「あ、ゃ」

 

 真冬は逃れようと、男の左手を掴む。

「ごめんなさい、やっぱり……」

 真冬の言葉は、遮られた。

 

 男の右手がスカートの中に侵入したからだ。

「お嬢ちゃん、ほら、膝付きな。口で許してやるよ」

 真冬の陰部を一撫でし、横柄な物言いで告げた。

 

 男のその言葉は何を意味しているのか。

 とは言え、殴ってみろ屋を殴る為には、そうするしかないのか、真冬は迷った。

 

 男は、真冬が完全に知的障害者だと考えている。

「咥えな、お嬢ちゃん」

 

 男は笑い、真冬が膝を付く姿を眺めた。

 真冬は、まだ判断が出来ないでいた。

 

 男は真冬の後頭部に手を回す。

 そして、何をすべきかさえ理解出来ていない彼女に苛立ちつつも、徐に陰茎を真冬に見せた。

 

「あ……いや、ッ」

 

 理解には及んでいない。

 しかし、あの『撮影会』との類似性は感じられた。

 

 故に一気に恐怖が心を支配した。

 この男からは敵意が感じられない、それは今もだ。

 ならば、敵意以外の悪意と言う物も有るのではないか。

 それは師匠である蜚蠊や鼠は教えてはくれなかった。

 教えられる物ではない。

 

「やめ、ごめんなさッ」

 顔に近付けられた陰茎で、口唇をなぞられ擦り付けられる。

 

 涙が滲み、身体の震えが止まらない。

 顔を背け様とするも、後頭部を持たれ抵抗はあっさりと殺されてしまった。

 

 どうしたら良いのか分からない。

 恐怖が思考の邪魔をする。

「早くしな」

 

「ぁ、の、ごめッン、っ」

 

 意味と彼の考えを尋ね様としたが、僅かにそれを口内に捩じ込まれる。

 そして、髪を掴まれ強引に咥えさせられたのだ。

 

 膨張し熱の籠ったそれが、舌の粘膜に擦り付けられ、口腔の奥にまで侵入する。

 

「ンっ、んぁっ」

 

 嫌悪感と恐怖が押し寄せた。

 口内で暴れる悪意の塊に、真冬は、尋常では無い絶望を覚えた。

 

 口腔に、一先ずの終わりを告げる物が吐き出される。

 男は真冬の口の支配を解くと、真冬の唾液で濡れたそれを彼女の涙で汚れた顔に擦り付けた。

 

 真冬は、むせながらも解放された事に安堵していた。

「で、お嬢ちゃん、殴ってみろ屋挑戦すんの?」

 

 肩で息をし、泣き続ける真冬を嘲笑うような声で男は尋ねた。

 イラマチオを強要された幼女が、これから殴ってみろ屋挑戦を達成できるのか。

「出来ねぇよな、なら、五千円要らねえな」

 

 男はへらへら笑う。

 そして

「さて、どうする?真冬ちゃんよ」

 

 男は真冬の名を知っていた。

 しかし、それに真冬は気付けない。

 男の問いに答える事さえ出来なかった。

 

 真冬の咽び泣く声は、男の絶対的な勝利を表している。

 咳き込んだ真冬の口からは、彼女の唾液とそれに交ざる白濁した物が零れ出す。

 

「はい、こいつ、やっぱ知恵遅れですわ、あっさり騙されよってからに。イラマチオやってやりましたわ」

 男は携帯電話で話しながら、カメラで未だ喪心した真冬を写真に収める。

 

「ほなら、また。へ?まだ手緩い?はぁ、ほな」

 

 そして、真冬の元へ近寄った。

「真冬ちゃん、やり過ぎたなぁ」

 

 男は笑いながら、真冬の前で中腰になり、顔を覗き込む。

「挿入(はい)るかなぁ、このちいちゃいお嬢ちゃんに」

 

 真冬は、また近くに来た男に怯え悲鳴をあげた。

 怖い。

 その真冬の細い太股をスカート越しに撫で、そしてスカートを捲る。

「いや!」

 

 逃げようとするが、太股を抱えられ肩を押さえつられ立ち上がる事が出来ない。

 背後は壁であり、後退も不可能なのだ。

 

「真冬ちゃん、九歳でレイプ経験か、可哀想になぁ」

 

「や……いや……翠……みど」

 

 恐怖のなかで口についたのは翠の名前だった。

「あぁ、真冬ちゃんがレイプされるの、そいつのせいでも有るからな、仕方ねえよな」

 

 男は真冬のショーツを一気に引き千切り、未だ繁みに隠されてもいない、幼い秘所が露となった。

 

 男は、今しがた真冬の口内を支配した物を宛がい、擦りつけた。

「あ、え……ぃゃあ」

 

 桃源郷での一件と、今回の今しがたの行為が繋がった。

 先程のものも同じ様な行為なのか。

 

 そして、凄まじい激痛に貫かれた。

 貫かれ、裂かれ、その痛みに真冬は仰け反り声にならない声で絶叫した。

 痛みは、これを戦闘かと認識したが、もはや戦闘に移行可能な状態では無かった。

 痛みに襲われる前、その時点から敗北していたのだ。

 

 ──最強の遺伝子

 ──戦闘に特化した人体

 それらを有していても、立ち入ってはいけない領域があった。

 これは、幼い少女がそこに踏み込んだ末路である。

 

 真冬の胎内に真冬の敗北を告げる、男の勝利の証が何度も吐き出された。

 その夜、真冬の絶叫が途絶える事はなく、凌辱は終わりを見せなかった。

 

 

0. 

 當之真冬

 彼女の物語は絶望から始まる。

 真冬の物語はいつもそうだった。

 

 絶望のなか、生を受け

 絶望のなか、新たな生活を始めた。

 

 そして、闘争以前に敗北する絶望のまま幼い少女の時代は終わりを迎えたのだ。

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