悪堕ち魔法少女をわからせたら非日常が始まった 作:サキュ野郎
何事もなく1日の学校生活を終えたあなたは、友人のトモと一緒にゲームセンターへ歩を進めていた。
あなたの学校の校則はそれなりに緩く、問題さえ起こさなければ帰りのゲーセン通いに何も言われないのだ。
なおここまで校則が改定されたのは今の生徒会長になってかららしいのだが、いったいどのような取引がされたのかあなた達は知る由もない。
他愛もない雑談を交わしながら歩いていると、あなたはふと見覚えのある制服に足を止める。
「どした? ……ってあれは」
それは近隣で有名な不良校の制服を着た一団だった。しかも運が悪いことに、目的地のゲームセンターの前でたむろしている。
「さいっあくだな。よりによって今日かよ」
同感だと首肯して、絡まれないうちに離れようとするが、聞き覚えのある声が耳に入ったのでUターンしようとする動作を止めた。
「ちょっと! 子どもが入れなくて困ってるじゃない!」
それは、あなた達と同じクラスの風紀委員の女子生徒の声だった。
正義感が強く着飾らない性格で、いつもおデコを出したおさげスタイルなので、漫画から飛び出たお堅い風紀委員として一部の間では人気が出ている。
「んだよ。俺らにかんけーねーだろ」
「そーそー。ここってこーきょーの場なんしょ? なら俺らがどこで集まろうが勝手じゃん」
「勝手に通ればいーじゃん。ま、通れるならだけどさ!」
ギャハハと下品な笑い声が耳に残り、思わずあなたは不快そうな表情を浮かべる。
「あ、おい!」
気が付けば、あなたは一歩踏み出していた。
一歩一歩ズンズンと不良グループとクラスメイトに近付き、やがて間に割って入る。
「あ? なんだぁてめぇ」
「お。おんなじ制服じゃーん。なに? ヒーロー気取りなん?」
「そーいうのマジでうざいわー」
嫌らしい笑みと共に近付き、いきなり拳を振るってくる不良。だが、あなたの視界でその拳は、まるで泥の中を進んでいるかのようにゆっくりだった。
余裕をもって回避して、偶然を装って足を引っ掛けて転倒させる。……思ったより勢いがあり、予想より遥かに強い勢いで顔から地面にダイブしてしまった。
「おいおいなにしてんの。ダッセーな!」
転けた仲間を笑いながら、同じく不意打ちしてくる不良をまたも同じ手段で転けさせる。
あくまで自分は手を出してませんとアピールするように転けた2人を心配するフリをして声をかけると、羞恥と怒りで顔を真っ赤にした2人が同時にあなたへ殴りかかってきた。
これを避ければちょうどお互いの顔を殴るなと考えたあなたは、ギリギリで避けて2人の拳をお互いの顔を殴るように調整する。
「ぶっ!?」
「ってぇ!?」
見事、あなたの思惑通りにお互いを殴る結果になった。
無様なその姿に思わず笑いそうになるあなただが、堪えて目を丸くするフリをする。
まるでアクション映画の主役みたいなことができたなと少し満足していると、今度はリーダーっぽい金髪の男がメリケンサックを嵌めながら前に出てきた。
「やってくれたなテメェ……」
いや、そっちが自滅しただけじゃ……と形ばかりの反論をするが、すぐにうるせぇ! と大きな声で一喝されて拳を構えてきた。
慣れた様子の軽快なフットワークと共に殴りかかってくる男に、さすがに避けて偶然転けましたは無理があるなと思考を切り替え、顎が来るであろう位置に拳を振るえるように大きく横へ避けて、そこへ拳を突き出す。そうすれば
「かっ?」
このように、ちょうど頭が揺れるような位置に当たった。
上手くいったことにあなたはホッとして、大きく避けた勢いのまま尻餅をわざとつく。こうすることでラッキーパンチであることを演出するのだ。
白目を剥いて崩れ落ちる不良をポカンと見るフリをして、視線を彷徨わせる。
「な、なんだこいつ!?」
「おいずらかんべ!」
そう言って、残った不良は気絶した3人を背負って撤退していった。見捨てられない辺り、仲間意識というものは強いらしい。
「だ、大丈夫だった!?」
尻餅をついているあなたへ、クラスメイトの風紀委員が慌てて声をかけてきた。
怪我はしてないから大丈夫。と答えてズボンについた砂を払い落としていると、警察を連れたトモはやって来た。どうやらあなたが近付いた瞬間から交番まで走って連れて来てくれたようだ。
「大丈夫か!?」
問題なし。とどこも怪我していないアピールをして、ようやくトモは安堵の息を吐いた。
「いきなり間に入るんだから肝が冷えたぜ。もうあんなこと禁止な?」
まぁこんな状況じゃないと絶対に間に入らないよ。と返事をして、事情聴取をしたいという警察に着いて行き、軽い注意だけで終わったものの、ゲームする気分じゃなくなったなとそのまま解散することになった。
※
事情聴取を終えた帰り道。少し暗くなってきた帰路についていると、道を塞ぐ集団をあなたは見つけた。
それは見覚えのある、撃退したはずの不良達だった。
「おーいおいおい。見つけたぜおい」
「今度はあーいうマグレで倒されねぇぞ」
数は3人。先ほど偶然倒したフリをした不良だ。
相手は変わらず3人だが。また偶然を装う必要があるかと面倒そうな表情を浮かべるあなたの前で、お互いを殴っていた2人の不良が懐からナイフを取り出した。
そこまでするのかと少し驚いたあなただが、よくよく考えればあの程度の刃物で強化された肉体に傷は付かないなと冷静になる。
「怖くて声が出ねぇか?」
ニヤニヤと優位に立ったように笑う不良にため息を吐き、さすがにこれは看過できないかと即座に制圧するようあなたは思考を切り替えた。
魔力を巡らせる。光の波を操り手に纏わせ、即席のグローブを作る。相手に見えない凶器が、あなたの手に纏われた。
「死ねやぁ!」
順手のまま突き出されるナイフの側面を逸らし顎を掠らせる。それだけで男は倒れ、残ったもう1人の不良のナイフを手から弾いてそいつも同じ手段で気絶させる。
もしかしたら後遺症が遺るかもしれない。一生病院から出られないかもしれない。そんなあなたの甘さは、その後に自分の周囲へ及ぶかもしれない危険を危惧して消えていた。
力は使わなければ持っている意味がない。強者はそれを振るう我儘という権利を与えられているのだ。とはスカーレット談である。
それ故に、あなたはその権利を行使して目の前の不良を沈めることに決めた。
「やっぱりマグレなんかじゃなかったな。オメェ」
再びメリケンサックを嵌める金髪の不良に、バレてたかとチロリと舌を出すあなた。
その態度に額に青筋を浮かべながらファイテイングポーズを取る不良へ……あなたの不意打ちが炸裂した。
足へ力を集中させて爆発的な速度で近付いたあなたは、焼き増しのように拳を顎に掠らせて意識を奪う。面白味もない決着だった。
呆気なく終わった事に拍子抜けしながら鞄を拾うと、カシャリとシャッター音が聞こえた。
「みーちゃった♪」
慌ててシャッター音が聞こえた方を見たあなたが見つけたのは、伸した不良と同じ制服を着崩した銀髪の女子生徒だった。
目撃者がいたとは思わずどうすべきか考えていると、目の前まで近付き
「んむ♡」
唇を奪われた。
急な事にフリーズするあなたへ、少女は更に唇をこじ開けて舌を入れる。
「ん……♡はぁ♡」
やがて満足したのか離れると、2人の間に透明な橋がかかっていた。
「あーしさぁ。強い人が好みなんだよねぇ。ただ強いだけじゃなくって、どう抵抗しても組み伏せてくる雄って感じの人がさ♡」
困惑するあなたを無視して少女は言葉を続ける。
「見た目は草食系っぽそうなのに、雄っぽい生き方してんじゃーん♡」
これからよろしくねー♪ と一方的に告げて、手を振りながら少女は暗闇へと姿を消したのだった。
そろそろスカーレットとのえちえちシーン書きたい欲が抑えられない。