「わあ!今日の爪すっごく綺麗だね!」
「ほんと……?ふふ…嬉しい」
久しぶりにネイルをしたら彼に褒められてとても幸せな気持ちになった。このまま普通に戻ってくれないかな…
「うん、本当に可愛いよ。だから……その爪で花占い…したいな…?」
「えっ……??爪で…花占い……?なに……するの……?」
「簡単だよ。一枚ずつー爪剥がしていって、僕のこと好きかな〜それとも嫌いかな〜って占うだけ!」
「えっ…い、いやだ!そんなの…絶対痛いし…このネイ
バン!!
「はぁ〜いいや僕のこと好きじゃないんだね。いいよ、出てけよ」
「えっ……いやだ!ごめんなさい!!捨てないで!」
「じゃあ…どうしたらいいか分かるよね?」
「ごめんなさい…私の爪で花占いしてもいいです…」
「してもいいです?」
「あっ……ごめんなさい間違えましたごめんなさい!!花占い…して欲しいです…」
「うん!よく言えたね。えらいね。大好きだよ」
「好き」
私の右手の小指から始まった。
「ああああ゙ぁぁ!いたいいたいいたいよ!」
「ごめんなさい!ごめんなさい!!あぁああ゙ぁ!」
ペリペリと私の爪が少しずつ剥がされる音が聞こえる。
涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃで、椅子に拘束されてなければ痛みを誤魔化すために暴れ回っていたと思う。
「うんうん。痛いね。でもその顔、可愛いよ」
そう聞こえて顔を上げるといつの間に剥がし終わったのか、ペンチに挟まれた私の爪を持っていた。せっかく…いいネイルしてもらったのに……
「この爪も可愛いね!ちゃんと残しておかないと!」彼はそう言うと私の爪を瓶の中に入れた
「嫌い」「好き」「嫌い」「好き」「嫌い」「好き」「嫌い」
8枚目の爪、私の左手の中指まで剥がしたところで彼が言った。
「あれ…おかしいね?このまま続けると嫌いで終わっちゃうじゃん!」「そんなのおかしいよね。君が僕のこと嫌いなはずないし」「ねえねえ、君はどうすればいいと思う?」
分からない。痛みで何も考えられないし、涙で全然前が見れない。
「あれおかしいね、気絶しちゃったのかな」
彼はそう言いながら、私の涙を拭ってきてようやく前を見ることができた。
「なんだ起きてるじゃん!ねえ、このままだと嫌いで終わっちゃうけどどうしたらいいと思う??」「ヒントは…これ!!」
そう言って彼は包丁を取り出した。
それでも分からない。右手も左手も剥がされた爪の部分がジンジンしてとても考えるなんてできない。
「はぁ〜分かんないのか……」「まあいいや……ほら、切れよ指」
「………えっ…??」
「爪が9枚なら僕のこと好きで終わるじゃん?」「だから…指1本切って僕のこと好きだって証明してよ」「僕のこと好きならそれくらいできるよね??」
「分かり…ました…」
何も理解は出来なかったけど、そう言わないと嫌われる気がした。痛いのも嫌だけど、嫌われるのも嫌……
「ほら、頑張って!」
そう言って拘束を解いてもらった私は全部の爪が剥がされた右手で包丁を握ろうとした。でも痛すぎて力が全然入らなくてまともに握れなかった。
見上げると彼が冷たい目をして、私を審査するみたいに見下している。
「うああ゙ぁぁうぅぅっっ!」
なんとか痛みに耐えながら包丁を左手の薬指に振り下ろす。でも薄皮一枚切れたくらいで全然血も出ていない。
「あっ、ちゃんと薬指選んでくれたんだ〜僕のこと好きなんだなって伝わってきて嬉しいよ!」「ほら、もう少し頑張って!」
「ああ゙ああぁぁあぁぁ!」
もう右手も左手も薬指も何もかもが痛くて、一心不乱に包丁を叩きつけていた。時々骨に当たってるのかゴッとかバキャって音が聞こえてくる。
気を失う前、最後に見たのは切り落とされた私の左手の薬指だった。
「好き」
不意な痛みで目が覚める。
「あぁぁああ゙あ゙あ゙!」
気づくと私の最後の爪が剥がされて瓶の中に入れられているところだった。
「ありがとう。僕のこと好きって証明してくれてとっても嬉しかったし安心した!」「ごめんね。こんな酷いことして…でも大好きだから…!」そう言って彼は私を抱きしめる。
「君も僕のこと好きだよね」
私が力無く頷くと、彼は言った。
「これ、一生大切にするからね」
その手には私の9枚の爪と左手の薬指が入った瓶が握られていた。