血高の人々 作:スロット767
「ジャック、このアイスクリーム美味いぞ!」
「ジャック、このチョコケーキ、一口あげるわ」
「あ、ありがとう……」
その少年に向かって、スプーンとフォークが一本ずつ差し出される。彼は迷いながらも、溶けることを警戒してアイスクリームを先に口にして、乳脂肪分が口内にじっとりと広がっている最中に、もう片方を食べる。
「どうだ?」「どう?」
「お、美味しいよ、どっちも……」
「そうかそうか、やはりワレの選んだパフェは最高だろう?もう一口食べても良いぞ!」
「私のケーキセット、まだあるから欲しければ言ってね、ジャック」
「あ、ありがとう。でも今はいいよ、二人も食べたいでしょ?」
そう言って、ジャックは自分の注文したアイスティーを啜る。ガムシロップもミルクも入っていないスッキリとした口当たりで、先程の二種類の甘さがさらさらと流れて行く。
彼が二人と付き合い始めてから、二週間が経った。初めはこっそり三人で昼食を取ったり、放課後空き教室(主にハーメルンの城)で話したりする程度だったが、一週間を待たずしてグレーテルは外でジャックの腕を抱いて歩くようになり、さすればハーメルンも空いた腕に同じ事をする。そんな事をしていれば、その情報はあっという間に広まって行く。ジャックは見事二股男として、友人達からの“手荒な”祝福を受けた。
「もぐもぐ……そうね、私としたことがお菓子を他人に与えるなんて、恋人の存在は人を変えてしまうのね、もぐもぐ……」
「む?ワレは何も変わらないぞ!ぱくぱく……」
二人が小競り合いをしながらスイーツを食べるのを、少し傾いた視線で眺めるジャック。少し前までは自分に彼女が出来るとも思っていなかったのに、今はなんと二人もいる。彼自身見かけによらず責任感はある方だから、二人の幸せを何より願って、心に誓い直す。
「そういえばジャック、今日は兄さんも父さんも母さんも“偶然”居ないのだけれど、私の家に来ない?」
不意にグレーテルが、ニタリと笑いながら言う。
「む?グレーテルもなのか?ワレの家も、誰も居ないじょ……ぞ!」
怪訝な顔をしながら、ハーメルンが口を挟む。
「貴女、家があったのね」
「……それはどういう意味だ?グレーテルよ」
「別に、いつもあの教室にいるから、ホームレス番長なのかと思っただけよ」
「なー!?失礼な奴め!ワレにも家くらいあるわ!」
「あの……」
いつものように小競り合いを始めた二人に、ジャックが割って入る。この一週間で、彼の割り込みも大分慣れたものだ。
「僕の家も、今日誰も居ないんだよね……」
普段なら夕食の残り香に乗せて、家族の団欒する音が響く、掃除の行き届いたリビング。しかし今宵は電気も消され、カーテン越しの月明かりが妖しげな雰囲気を盛り上げている。
「ちゅ……んちゅ、ぱちゅ……じゅる……」
「れぅ……れぉ……んんっ……じゅ……」
肌を覆うものが一つもないジャックの、唇と肉棒をそれぞれ必死に貪るグレーテルとハーメルン。彼女らもまた生まれたままの姿であり、三人が陣取るソファの下には、様式も色も異なる三着の制服が無造作に脱ぎ捨てられており、この退廃的な光景を彩っている。
「ちゅ、ぷは……ねえハーメルン、そろそろ代わって欲しいのだけれど?」
「ちゅむ……ま、まだよいではないか、ジャックもまだ……一度も出してはおらぬ」
ハーメルンはジャックのそれを、とろんとした目つきで、夢中になって舐め回す。亀頭の先端からカリ首をちゅるんと一周してから、上唇と下唇で輪っかを作り、自身の喉奥へ肉棒を沈めて行く。
「ぐぁ……んっ……ふぅぅ……」
決して小さくはない彼のそれを根元まで咥え、ハーメルンはそのまま舌を使って竿全体を愛撫する。顔というバリケードに覆われて、見ているだけのグレーテルには何が起こっているのかは分からない。しかし、夜の静寂に響く艶めかしい水音と、苦しそうな喘ぎ声を滲ませるジャックの様子で、見えない部分がどうなっているのか、彼女ははっきりと想像出来た。
「ねえ、ジャック」
「うぅ……グ、グレーテル、何……あひぃっ!?」
彼女は少しだけ笑いながら、ジャックに話しかける。そして彼が反応するや否や、ハーメルンが咥え切れていなかった、玉の部分を口に含む。
生殖器の上下から、少し温度も違う二つの口に食べられて、責められる。当然二人の彼女はお互いの顔を邪魔そうに小競り合いしているが、そんな中でも咥えたものだけは離さない。
べっとりと唾液のこびり付いた竿をハーメルンが荒っぽく舐め回すと、垂れた唾液がグレーテルの顔にかかる。それを拭き取ることもしないまま陰嚢を吸うように舐め、時折二人の顔や唇がぶつかり、共に汚れ、照りを持って行く。
「くぁ……二人とも……すご……んっ……」
「じゅお……ぴちゅ……ジャック、射精したい時に……れぅ……いつでも出して構わないわ……ぁむ……」
「むちゅ……そうりゃりょ……いゃっく……われにゅぉくひに……りゃしてくりぇ……じゅる……」
グレーテルは唾液を口の端から溢しつつ、上気した声で囁き、ハーメルンは咥えたまま、呂律の回っていない声を響かせる。
ジャックは胸の奥から込み上げるものを感じ、二人の頭に後ろからそっと手を添える。
「二人で……舐めて欲しいな」
「ふふっ、いいわよ。ね、ハーメルン?」
ハーメルンは無言のまま頷き、彼から見て右側に顔を寄せる。グレーテルもその反対から湿った一物を見据え、二人の舌でそれを挟み込む。
「んぐっ……くぁ……凄いよ、二人とも……」
同じ舌でも、その感触は僅かながら異なっていた。
グレーテルはたっぷりと唾液を含んで、まるで潤滑油でも使っているかのようにぬるぬると、自在に陰茎の上を動き回る。おまけに彼女の舌は少し長く、自分でもそれを分かっているのか、舌の先から喉奥近くの根元まで、ペニスにピタリと沿わせてジャックを震えさせた後、ちゅるんと舐め上げる。ジャックは竿の部分全てが一斉に刺激されるその感触に、彼自身まだ気づいていないが、虜になりつつあった。
ハーメルンの舌は少し暖かく、動きも荒い。しかし、そのぎこちなさが、予測不能な快感を生み出し、ジャックを喘がせる。しかも彼女はグレーテルに対抗意識を燃やして、グレーテルよりもジャックを気持ちよくできる部分を必死で探しながら口淫をする。そのためジャックは、自分でも知らなかった弱点を、彼女に見つけられてしまっていた。具体的には
「あうっ……ハ、ハーメルン……そこっ、はぁ……っ!?」
「れぅ……なんだジャック。ここ、すきでゃろぅ……?ちゅむ……」
血管を浮き上がらせ、グレーテルの唾液で妖しく輝くそれの根元と、へその丁度真ん中辺り。守るものは目を凝らさないと見えない程の産毛だけの下腹部を、ハーメルンは舌先でつぼを押すように舐める。
「あっ、あっ……あぁっ!」
「ちゅる……ジャック、本当にそこが弱いのね」
「れる……そうだじょ、可愛いのだ」
「ええ、そうね……」
声にならない悲鳴を断続的に漏らすジャックを面白がるように、二人の責めは苛烈さを増して行く。
グレーテルはともかく、ハーメルンにもサディストな面がある事を、彼は付き合いだしてから初めて知った。二人になすがままの自分に複雑な心境を抱きつつも、その心地よさに流されてしまう。彼の男友達が聞けば袋叩きにされそうな贅沢な悩みを、ジャックは自身の欲望と共に吐き出す。
「グレーテル……ハーメルンっ……僕もうっ……!」
全身が浮き上がったかのような感覚と共に、確かに感じる尿道の疼き。決定的瞬間は目を閉じていた為分からなかったが、程なくしてそっと瞼を上にやると、半固形の白に汚れた、二人の彼女が見える。
「ぅぁ……すごい、な……こんなに多いのは、はじめてだぞ……」
「ええ、きっと今日は私たちを誘う気で、余程貯めていたのね」
「ご、ごめん……」
健康的な褐色の肌を、白く染められたハーメルンと、トレードマークでもある眼鏡ごと、べっとりと精液が付着したグレーテル。二人は然程嫌がる様子も見せず、グレーテルに至っては眼鏡を外し、かけられた精液をぺろりと舐め取る。
「ん……やっぱり美味しくはないわね。でも、好きだわ」
「っ……!」
彼女の細い指に絡め取られた精液が、熟れた果実のように赤い舌で舐め回され、彼女の中へ取り込まれて行く。その事を深く分解して考える程、どうしようもなく興奮してしまう。ジャックは咄嗟に顔を背けた。
「どうしたの、ジャック?」
「いやっ、なんでも……」
「もしかして、私が精液を舐めて嚥下した事に興奮したのかしら?」
「…………」
彼女はテレポートの様な能力が使えるが、テレパシーは使えなかった筈。ジャックは動揺を隠し切れず、グレーテルがほくそ笑む。
「興奮したのなら、遠慮せずに言って欲しいわ。このくらいの事なら、今後もやってあげるから」
「あ、ありがと……う?」
「ぬぁーっ!グレーテルきしゃまだけずるいぞ!ジャック!ジャックはワレの何に興奮するのだ!?言ってくれ!」
そう言ってハーメルンが、ジャックを押し倒す。
何に興奮するのかと突然訊かれても、咄嗟に出て来るようなものでは無い。しかも恋人とはいえ、同世代の女子二人に対してなのだから、相応の羞恥心も今更ながら邪魔をする。
「え、ええっと……ハーメルンと抱き合いながら出来たら、興奮する……か、も?」
「…………」
ハーメルンが固まり、その横でグレーテルが可笑しそうにする。
(うわぁぁぁ!僕は何を言ってるんだ!?ハーメルンも困ってる!第一自分のしたい事を言わされるの、恥ずかし過ぎるよ!?)
「そ、そうにゃのか……ならば!」
「うひゃい!?」
ハーメルンがジャックへ飛び乗るように抱きつき、彼は素っ頓狂な声を出す。唐突な行動への驚きは程なくして、人肌の心地よさと恋人への愛情で上書きされた。
「ジャック……ぅ……」
「ハーメルン……」
「いつでもよいぞ……?」
「……分かった」
密着したまま身体を動かし、互いの生殖器が触れ合う。生々しいその感触は、未だに初々しい反応を彼らから引き出す。
「ふにぃ……!ジャックのが、きてっ……!」
「んんっ……ハーメルンの身体……あったかい……」
奥深くまで、ジャックのそれを咥え込んだハーメルンの身体。彼女には少しの心の余裕もないが、同時に満たされて行く。
「ふゅ!?も、もっとゆっくり動くにょだ……!」
「ご、ごめん!でもこっちもあんまり我慢出来ないかも……!」
合図する事も無く、自動的に動き始めたジャックの腰。ずんずんとゆっくり擦り潰すような動きが、ハーメルンに快楽を与える。
まんまと二人だけの世界に入り込み、蚊帳の外のグレーテルとしては少しも面白くない。
「…………はむっ」
「ひゃいっ?!」
「んあ……グっ、グレーテル!?きしゃまにゃにを!?」
「見ての通り、ジャックに後ろから抱きついて、耳を口に含んだのよ。それがどうかした?」
恋人を通り越して、飼い犬か飼い猫まがいの事をしても、グレーテルの飄々とした態度は変わらない。
ハーメルンはわなわなと顔面を硬直させたが、それが彼女の対抗心に火をつけた。ジャックをさらに強い力でぎゅうっと抱き締め、自身の胸も口も、一分の隙間も許さないように密着させる。
「ふ、二人とも……うっ……!?」
挟まれたジャックの心臓は、早く強く跳ねる。胸元で、二人の心臓も感じ取れる。息づかいはもちろんの事、血管の脈動の音すら感じられる。
何も言わずに暫く、ただ自身の温もりだけを与えてくれた二人の恋人に対し、彼は覚悟を決めた。
「んぁっ……!」
ゆっくりと、腰を再び動かし始めたジャック。ハーメルンは思わず声が漏れ、少し緩んでいた両手のホールドを、改めて締め直す。
「ハーメルン……」
「ジャックぅ……ん、ちゅ……」
長い挿入によりでろでろになっていたハーメルンの中は、よく滑る。ジャックはその快感を受け入れながら、しかし流されはしない。
明るさそのもののような彼女が今、自分の腕の中でしおらしく、愛情の全てを込めたような瞳で見ている。ならばそれに応えなければと、ジャックは少しずつストロークの速度を増して行く。
「ジャック」
耳元でグレーテルが囁く。全身の毛がぞわっと逆立つ。
「グレーテル……あうっ……」
「いいのよ?貴方はハーメルンに集中してあげて。今は彼女の番なのだから」
グレーテルがジャックの乳首を、優しく両の指で弄り始める。それに反応して動きが止まった彼を、グレーテルは可笑しそうに笑って、どの口でというような事を言う。
しかし彼女の言う通り、今自分が挿入して、愛しているのはハーメルン。ジャックはなおも終わらない乳首への責めに耐えながら、彼女への抽送を再開する。
「んんぅぅ……じ、じゃっくぅ……ひぅっ!」
快感に悶え、蕩けて行くハーメルン。ジャックはその事を嬉しく思いながらも、彼女との性交による快感と、グレーテルの責めによる快感、そして普通とは言えないこの倒錯的な状況による脳への破壊的な刺激で、今にも正気を失いそうだった。
「もう、我慢出来なさそう?」
「グレーテル……うぅっ……!」
彼のその状態を見抜いたのか、グレーテルはジャックに挑発的な声を掛ける。
「良いのよ?ハーメルンの膣内に、しっかりと射精してあげて」
「あ"、ぐぅぅ……ち、ちくびやめて……グレーテ……ルぅ……」
「でも、気持ちいいんでしょう?」
グレーテルの指は、時に突き刺すように乳頭を刺激し、次の瞬間にはその周りを優しく撫でる。まるで飴と鞭のように、ジャックの理性を奪って行く。
「ふ、二人だけで話してばかりでずるいにょだ!ジャック、ワレに集中しろぉ!」
「ご、ごめんハーメルン!」
「……罰だ。き、キスしながら、ワレの中に出してくれ」
「う、うん……」
再び熱い口付けを交わす、ジャックとハーメルン。急に蚊帳の外へと追い出されたグレーテルは不満そうだが、どこか満足気でもあった。
「ちゅる、んちゅ……はむぅ……」
口付けにより制御される事なく響く水音を間近で聴きながら、ジャックの昂りは加速して行く。より深く、より強く。このひと時だけは理性を捨てたかのように、彼はハーメルンの身体へと己を刻み付ける。
彼女もそれに応えるかのように、ソファがゆっくりと軋むくらいにねっとりと、自ら腰を動かして、彼が自分の奥に入っている時間が少しでも長くなるようにする。
「ハーメルンっ、出すよっ!」
「ぅぅっ、うにゅっ!」
最早声にならない返答に構いもせず、ジャックはハーメルンの中で果てる。彼女の華奢な身体がビクビクと動き、自身の熱い精液を受け止め、反応している。一度や二度では終わらず、数回にわたって前日まで性を知らなかった身体へ、精を注ぎ込む。ジャックは射精後の疲労感と共に、気づけば眼下で乱れた呼吸をしながらぐったりとしたハーメルンに対し、途轍もない征服欲が満たされて行くのを感じた。
「ぅ……んんっ……じゃっく……ふふ……気持ちよかった……ぞ……」
「っ……!」
もう彼女には恋をして、彼女として、恋人として向き合えていると思っていたのに。弱り目のハーメルンのその仕草と言葉は、彼をまだチェリーだった頃に引き戻し、また改めて惚れさせているような、そんな効果を彼にもたらした。
そうして奥から湧き出す感情にじっと耐えていると、もう一人の恋人が、彼の唇を背後から強引に奪う。
「ふむぅっ!?ん……じゅぅ……」
「むちゅ……ちゅば、れりゅ…………ぷは……さあ、次は私の番ね。ハーメルンと同じくらい、愛してくれるかしら?」
ジャックはそれに、ゆっくりと頷いた。
「んっ……もう、そのまま……お願い」
ジャックは言われるがまま、グレーテルのぐじゅぐしゅに濡れた秘部目掛けて、下手をすれば先程よりも大きさと硬さを増した肉棒を、あまり躊躇せずに挿し込んだ。
「んぁっ……そう、そして奥まで来て……」
間が空いていないので、ハーメルンのそれとの違いがよく分かる。普通の男ならまず経験出来ない“食べ比べ”に多少の罪悪感を覚えつつも、その興奮を抑える事は出来ない。彼には欲望があるのだから。
「ゆっくりでも、速くでも……あなたの好きなようにしていいわ」
ハーメルンが『愛情』ならば、グレーテルは『淫靡』。膣内に挿入し、中を前後に刺激するという行為自体は同じでも、それに載せられる感情はそれぞれ違う。
味わい続けていれば必ずダメになるという警鐘を、身体が伝えている。それほどまでにグレーテルの膣内は、とろけるように甘いクリームのように、訪れた者を夢中にさせている。
「後ろから……したい」
「んっ……珍しい、わね。いいわよ」
ジャックが要求すると、グレーテルは結合部を中心に身体をくるんと回す。グレーテルの白く綺麗な背中とうなじが、ジャックの視界にまばゆく映る。
「んぁっ、おぅ……激しいわね……いいわ、そういうのも、んっ、好きよ」
顔が見えなくなった分、彼から遠慮が少し消えた。ゴンゴンと押し付けるように、陰茎を深く強く押し込んで、自身の快楽を得ようとする。
「ん……うぅ……あ、ずるいにょだ……われも……」
ふらふらと起き上がったハーメルンが、吸い寄せられるようにグレーテルの口元へ顔を寄せる。
グレーテルとハーメルンは数秒目をしっかりと合わせ、どちらからともなく、その若い唇を重ねた。
「ふむっ、んん……んちゅ……」
「んんっ、うー……しゅる……」
ジャックはグレーテルの白く小さな尻をそっと支えながら、ピストン運動を繰り返す。深く浅くを繰り返す度に結合部からは淫猥な水の調が響き、足下へ滴り落ちて行く。
だがそれを気に留めておける心のスペースが無い。彼の眼下で繰り広げられる、友愛と性愛の倒錯した舌のダンス。彼は自分の快楽などそっちのけで、ただそれに目を奪われていた。
「うぅっ、むちゅ、ちゅぼ……じゅるっ……んんんんっ……!」
「んっ、ぉ……ん、ふんぅぅぅ……ちゅるっ、ぱ……」
互いに苦しそうな吐息が増えてきても、キスを止めようとはしない、完全に二人だけの世界。
ジャックは自覚なく猛烈な嫉妬の炎を燃やし、グレーテルの尻たぶを掴む力と、一突きに込める力の両方を増した。
「んぎっぃ……!?」
グレーテルは苦しげな喘ぎと共に、ハーメルンの唇を離し後ろを振り向く。
「んっ、んぁっ、ジャックっ……急に……激しく……なったわね……んんっ!」
「だって……ハーメルンだけじゃなくて、僕も気にかけて欲しいから……」
「あら、そうだったの……」
グレーテルは驚く程温和な笑顔を見せ、繋がったまま唇をジャックへ寄せて、優しくひととき、キスをした。
「続けて……くれるかしら?」
ジャックは二度頷いた。
「ワ、ワレもジャックとキスしたいぞ……」
ハーメルンが恐る恐るといった感じで、口を挟む。
「うん……いいよ」
ジャックはグレーテルに挿入したまま、ハーメルンと唇を交わす。感覚と感情、両方への快感が、彼を絶頂へと近づける。
他者から見れば爛れでも、彼らにとっては正しく愛。ハーメルンは目の前の二人を愛し、グレーテルは二人との関係を愛し、ジャックは葛藤しつつも二人を女性として愛そうとしている。
彼は左手でハーメルンの肩、右手でグレーテルの腹へと手を伸ばし、抱き抱えるようにして最後のスパートをかける。
「ふっ、うっ、んっ、んんっ……!」
「ジャック……んっ……ちゅ……」
「いいわっ、出してっ、私の中に、あなたを刻み込んで……ああっ!」
「うっ、あぁぁぁっ!!?」
グレーテルの嬌声に合わせ、一段と陰茎への締め付けが強くなる。隙間なく密着した膣壁の抱擁に、彼の忍耐も遂に限界を迎え、どくんどくんと脈動しながら、膣内に白いものを積もらせる。
「んぉっ、あ"っ、んぎゅ……」
「ううっ、くぁっ、とまらな……」
長い、長い射精がようやく終わる頃、グレーテルは先程のハーメルンの再演のように、乱れた呼吸のみをする屍のように突っ伏していた。
「うぅ〜、ジャックぅ……」
ハーメルンがジャックの右半身にぴとっと抱きつく。彼女は幸せそうに彼の肩へ頬擦りして、めいっぱい愛情を伝えてくる。
「く、くすぐったいよ……ハーメルン……」
「ふふっ……」
「にゃ、にゃにが可笑しいグレーテル!」
「あらごめんなさい。ハーメルンは本当にジャックの事が好きなのね」
俯瞰したような口ぶりのグレーテル。しかし彼女はジャックの左半身を占領しており、メガネを外しているのをいい事に、彼の胸板へ顔を埋めたりしていた。
「あ、当たり前であろう!そういうきしゃまも好きなくせに!」
「ええ、そうよ。私はジャックの事が好き。でも……」
グレーテルが、ハーメルンの頬をそっと撫でる。
「ひぅっ!?」
「あなたの事も好きよ、ハーメルン」
「ほ、ほえっ!?」
「あら、あなたは私の事、嫌いなのかしら?」
ニンマリと笑う。ジャックも、答えは知っているという風に微笑む。
「き、嫌いでは……ないぞ……」
「嫌いじゃなかったら、何かしら?」
「す、す、す……すきだぞ……」
「正直に言ってくれて、嬉しいわ」
「だー!やっぱりきしゃまは嫌いにゃのだ!」
「うわっ、ハーメルン!?僕の腕で攻撃しようとしないで!」
「あらあら、そんなに粗暴だとジャックに嫌われるわよ?」
「え…………ジ、ジャックよ、そぼうは嫌いか?」
見る人の心をツンと痛める悲壮な表情を、ハーメルンが浮かべる。
「い、いや大丈夫だよ、取り敢えず、落ち着こう?」
「そ、そうだな……ふぅ……」
「グレーテルも、あんまり煽るような事言っちゃダメだよ?」
「ええ、程々にしておくわ」
(本当かなぁ……)
会話が途切れ、聞こえるのはそれぞれの呼吸の音だけとなった。
ジャックは二人をそっと抱き寄せ、口を開く。
「……ねえ二人とも」
「何かしら」「何だ?」
「僕なんかじゃ力不足かもしれないけれど……絶対に、二人とも幸せでいて欲しいし、幸せにするから……これからも、よろしくね」
「力不足?急にどうしたのだ?まあジャックがよろしくして欲しいと言うのなら、よろしくしてやろう!」
「私もよろしくするわ。それと、仮に貴方が力不足だったとしても、私もハーメルンも、貴方でなければ駄目なのよ。“幸せ”にして頂戴ね」
「う、うん……」
そう言って、彼女達は左右の腕を枕にして寝息を立て始めた。
気づけば彼にも睡魔は襲い、あくびを一つする。急速に夢の世界へ向かう意識の中で、一筋縄では行かない二人の彼女との幸せな日々を誓って、彼は瞼を閉じる。
月明かりが、三人をそっと包んでいた。