外国人であっても武勲を上げれば、騎士になれるという自由の国、ドルファン王国。出世を夢見て、傭兵の一人として入国した男の名は…小次郎(コジロウ)姓は書かれていない。
「ここがドルファンか…異国の地とはいえ、全ては俺の行動にかかっている。騎士になれれば何処ででも身分を証明出来るしな。さて、宿舎に向かうか」
「いや!離して下さい!」
声のした方向を見ると、女の子が三人の男に囲まれている様だ。半ば無意識にスキンヘッドの服を掴み放り投げる
「うわあああ!?」
「さ、サム?てめぇぇぇぇぇ!!」
「酒くせぇ。酒抜いて出直せ」
モヒカンの痩せた男の腹に拳を打ち込んだ
「がはぁ!!」
モヒカンが倒れると巨漢がのそりとこちらを向いた
「ビリーとサムを瞬殺かァ…やるな東洋人。俺様は大鎖のジャックってモンだ。今ここでやり合うには場所が悪い。この喧嘩は預かるぜ。オラ!起きろてめぇら。引き上げるぞ!!」
大鎖のジャック…ただのチンピラではないな
「あ、あの…」
「ん?あぁ、怪我は無いか?」
気が付くと女の子が申し訳なさそうに立っていた
「あの…危ない所をありがとうございました。私、ソフィア・ロベリンゲと申します。」
「これは失礼した、俺は小次郎。男として当然の事をしたまでだ。またあの様な輩に絡まれてもいけない。送って行きたいのだが、今この国に来たばかりでな。ついでに色々教えてくれると助かる。」
「あ、外国の方だったんですね?コジロウさん…ふふっ、分かりました。私でよければ案内しますね」
ソフィアの案内でなんとか宿舎への道を理解し、彼女を家の近くまで無事に送り届ける事が出来た
「送って頂いてありがとうございました。」
「礼には及ばない。こちらこそ助かったからな」
こうしてソフィアと別れた俺は、路地に入り開けた場所に出ると背後に向かって声を掛ける。
「律儀に待ってくれるとはアンタ、意外に紳士だな」
「そんなんじゃねぇさ。だが一応、この辺りのゴロツキの頭やってると…まともな喧嘩出来なくてよ。久々に楽しめそうだからなァ!!」
「まぁ、だからわざわざ人気のない場所に来てやったんだよ。ここからは…自己責任で頼む」
ジャックが懐から鎖を取り出し、振り回し始める
「その剣、抜かないのかァ?」
「……」
「まァ大怪我して後悔する前に抜けやァァ!!」
鎖が周囲を破壊しながら小次郎に迫るが、不思議と当たらない
「俺は戦争以外では極力殺しはしたくない…だから一撃で終わらせる」
「っ!?ふざけるなぁぁぁぁぁぁ!!」
鎖を束ねて短くし、振り下ろす。単純な破壊力は増すだろうソレを小次郎は鞘に収めたままの剣で弾き落とした
【納刀・居抜き】
その勢いのまま、がら空きの腹を撃ち抜いた
「ぐがあああ!?」
ジャックが吐瀉物を吐きながら膝を着く
「暫く、物が食えないかもしれんが死にはせん。念の為、医者に連れていこう…案内出来るか?」
「ハァ…ハァ…アンタ…変わりモンだな…襲った相手を倒した上で医者に連れてくなんてよ」
ジャックを治療院に運んで宿舎へ戻った。こうして俺のドルファン1日目が終わったのだった