婦人警官『女香多 澪(めかた・みお)』巡査部長の言うことには、この世界は緩やかだが人類滅亡の危機に瀕していた……らしい。
まぁ、パラレル世界が題材の物語ではよくある話なのだがその理由と言うのがどうも『サキュバス』が原因だと言う。
いや、そのサキュバスなんだが俺の目の前に、ってか腹の上に乗っとるわけなんだが。
婦人警官はそれでなくてもおっぱい放り出しな有り得ない制服を、あろう事か脱いですっぽぽぽぽーん。
全裸になって頭に角生やして蝙蝠のような羽を広げて、さらにお尻から尻尾伸ばして正体を見せてきた。
……あー、なんかこの姿見たことあるわ、俺。
つかウィザ○ドリィに出て来たサキュバスのビジュアルそっくりだった。いや、ウィザードリィのは角は……。有ったような無かったような。いや、ウィザードリィでも作品が違うとキャラクターの絵も変わるからなぁ。
つうか海外版のアップルII版のケバいオバハンのそれではなくSFC版とかPS版、いやゲームボーイ版の外伝の女王の受難とか、そういう感じだ。
まぁ、怖いとかはあんまし。いや、普通モンスターがこうやって腹の上にいたら怖いと思うんだろうが、なんか頭がボーッとしてそんな事は考えられない。
あー、本当にサキュバスっているんだぁ。えっろぉーい。
あかん。マトモに頭が働いてねーわ。頭の中がポワポワとしてお花畑んなっとる。これが魅了(チャーム)とかそういう……。
「え?耐性めちゃ弱い?!ちょっとちょっと!」
サキュバスは俺の頬を軽くぺちぺち叩くが、叩く為に前に屈んでいるので良い匂いがやたらフンワリとして来て余計にたまらんわけで。あとおっぱいが俺の胸にぴっとり。しっとりとした肌で柔らかくてふんわり。
あー、なにこの気持ちいい感触。
「うひぇ、なんぞこれ……チャームとか」
「なんにもしてないわよ!つうか普通のオーラで酔う人間がいるとか思わなかったわ、つか原初の人間じゃあるまいし」
ぺちぺちぺちぺち、ぱしーん!パンパン!
「ちょっとしっかりしなさいよ、つかそれは後で!」
頬を何度か強めに叩かれて、なんとか自分を取り戻せた。つか、後で何をするつもりなんだコイツ。
「うぉっ?!……ハァ、ハァ、やばかった。ううっ、サキュバスのチャームやべぇ」
無理繰り頭を振って意識を覚醒させ、改めてサキュバス婦人警官の顔を見る。
ソフトフォーカスがかかっててなんかピンク色。思わずみとれてしまう。
「……うわー、美人」
角生えてんのに婦人警官は美人に見えた。いや正体を顕す前も美人だったのだが。
「……あら?うれしい。でもまだ覚めてないようね」
いやいや、また頬を打たれてはたまらんので、
「いやいやいや、俺は正気だ。大丈夫だ。今のは気の迷いだ!」
そう言ったが、
「シバくわよ?」
パーン!パーン!
とシバかれた。目が怖かった。
「ううっ、正気だって言ったのに……」
「最後のは余計よ」
よくわからんが余計だったらしい。だがヒデえ。
話を戻すと、サキュバス婦人警官が言うには、このパラレル世界は紀元前頃に異世界から転移してきた異種族達によって一度滅びかけた、という事だ。
滅びかけた原因は、サキュバスをはじめとする女性しかいない異種族達とこのパラレル世界の人類が交配したせいである。つまり、女性しか生まれない種族と人間との間には女児しか産まれて来ない……ってそらそうか。いや、つまり男がどんどん減ってしまい女だけになったらそら人口は減る。
「実際には女しか産まれないんじゃなくて、男が生まれるのが稀って感じだけどね……」
……異世界に居た頃はだいたい男女比で1対1000の確率だった、と異種族達の歴史書で書かれていたらしい。そのくらい男児の出生率はかなり低かったそうな。
の確率だった、と異種族達の歴史書で書かれていたらしい。そのくらい男児の出生率はかなり低かったそうな。
「枯渇するちんこ資源、やがて処女サキュバスまで出る始末だったそうよ」
枯渇するちんこ資源とか言われるとなんか萎びた老人のちんこを想像してしまう。おそらくタマタマは皺々だろうなぁ。つか処女サキュバスってなんか処女ビッチ感あるよな。
「そこで、私達の先祖達はとにかくこちらの人類の血を絶やさないように、とにかく人類の血が濃い女と男を一つの楽園に集めてとにかく交尾させて男を増やす事にしたのよ。それでなんとか女100に対して男が50程度にまで出生率を回復する事に成功したわ」
「……つまり、それが【国民増産法】とか言う法令ってわけか?」
「その通り。とはいえ昔の人権無視なやり方じゃないけどね」
「いや、今まさに俺の人権は無視されてる気がするんだけどな?」
なんせサキュバス婦人警官に拘束されて腹の上に乗られとるし、それどころか貞操の危機感すらある。
「えぇ?どこが?取り調べとしてはスタンダードなスタイルだと思うのだけど……変だったかしら?」
「……いや、どんな取り調べだよ」
「人は獣と違って抱擁できる生き物よ?それに肌を重ねればわかることもある!」
キッパリ!
「それが私達サキュバスのやり方よっ!」
……どうやらこれはサキュバス流の取り調べ方らしい。つうか。
「一見、平和的に聞こえるかも知れんがこの状況で言われてもなぁ……」
逆レの現場ではないか、と思うも俺はあえてそれは言わないようにしていた。いや、それを言ったらマジでヤられる気がしているからだ。
「まぁ、ぶっちゃけ。アナタこの世界の人間じゃないわね?」
……なんでバレた?
「いや、私達の先祖は異世界からこの世界に転移してきた異種族よ?」
「そういやアンタらそうだったか。しかしどうしてわかったんだ?」
「え?ちんこからだけど?」
あっけらかん。
「いや、ちんこでわかるわけ無かろうが」
だが、サキュバス婦人警官は言った。
「いいえ、アナタの個人情報……いえ、この場合この世界のアナタと同一の個体の情報と照らし合わせて推理した結果よ。この世界のアナタは精通してから126人の女を孕ませ、内32人の男児をこの世に誕生させた優秀な男性なのだけど、そんな男性のちんこがこんな童貞ピンクなわけ無いし、こんなに恥垢溜めてるわけ無いのよ」
ズビシッ!と俺のちんこを指差し、
「というか。男児を作ったランキング地域年齢別ベスト10に入っている男に女の匂いがしないはずないのよ!名家や政治家がその子種を求めて縁組みを持ちかけるような優良ちんこ資源の持ち主なのに!」
マジでちんこでバレてた!なんてこったい!つうか悲報・こちらの世界の俺ヤリチン126児の父親だった!
いや、最悪だ。本当に最悪だ。
「126人の子持ち……。子供達はどうなってんだ?」
「この世界では普通に子供達は施設で育てられるわ。でも名家や資産家、政治家なんかの場合、家の跡取りとして一番優秀な子供を指名して当主にしたりする。アナタもそういう一人よね?」
……嫌な言い方だ。いや、この女……いや、サキュバスからは何の邪気も感じない。不快感も無い。
俺は周囲からの悪意や蔑みには敏感だ。ガキの頃から。だからわかる。だからといってこのサキュバスの言葉が好きか嫌いかは別だが。
俺はその言葉を無視して言った。
「子供達は、幸せなのか?」
その問いにサキュバスは少し考えるような素振りを見せたが、普通に、
「普通には幸せなはずよ。アナタの思う幸せがどんな風なのか知らないけど」
と答え、少し不思議そうな表情のままに俺の顔をじっと見た。数秒ほど何も言わず。しかし、
「……何か、アナタの幸福観は何か私達とは違うものがありそうね。アナタは元の世界で幸せだったの?」
と俺に嫌な質問をしやがった。
多分、俺の顔には嫌そうな表情が現れていたのだろう。
だが隠すつもりも無い。サキュバスの目を見返してやる。
その目はやはり何の色も浮かんではいない。
興味本位でも悪意も無く、ただ透明で普通に疑問を知ろうとしているだけ、それだけに思えた。
今まで見たことの無い目だ。俺の事情を知った奴は大抵、憐れみや蔑みの目を向ける。
家や祖父の手前、それを隠して接して来た奴や金目当てに近づいて来た奴、いろいろいたが祖父の死後はやはりそんなクソな目で見て来る奴ばかりだった。
……変な女だ。いや、異種族だからコイツはこうなのか。
だが、答えてやる義理も義務も無い。これは法とか云々には関係無いだろう。プライバシーだ。
「知らん。今は……いや、この世界に来る少し前は普通だったが、今は……煩わしい」
「そ。異世界にもいろいろあるものね」
「いや、煩わしいのはお前だけどな。つうか解放してくれねーかな」
だが、サキュバスは、
「ダメね。アナタは世界的なVIPになってしまったもの。この世界では絶えた純血の人間種。純粋な人間の稀人(マレビト)、訪人(オトナイビト)だもの。この世界を救える……まぁ、現状世界の先進国の平均で男女比1:20、後進国で1:100。最高は日本で1:4だもの。うわ、私も運が向いてきたぁ!やっぱ日本来てよかったー!」
と笑った。俺はゲンナリした。
「……つか逃がしてくれねぇ?俺は静かに暮らしたいんだが」
「あー、無理無理。大丈夫よ。ちゃんと今から【男性保護法】を守ってくれればなんの不自由も無いし、それと【国民増産法】違反は今からチャラになるから」
サキュバス婦人警官はダイジョーブダイジョーブ、と言いつつ、俺の腹に乗りながら後退りするように身体を下に下がると、プラスチック製の風呂の黄色い盥を手に取った。
黄色い盥に風呂のお湯を汲み、そしてそれにシャンプーの容器のような奴からなんかのドロッとした液体を入れると俺の腹の上に盥を置き。
たぱぱぱぱぱぱ……っと盥の中身を両手で手際よくかき混ぜはじめた。
「ん~、今宵のローションは一味違う……。まぁいつもの官給品だけどっ!」
「ちょまっ!それどんなお風呂プレイ?!」
そして。
「ほーらお兄さん、こういう警察署(とこ)、初めてぇ?」
俺はローションを自分の身体に塗りたくったサキュバス婦人警官に全身で乗りかかられ。
ぬめぬめと初めてのソープランド経験をする事となったとさ。
「い~やぁぁぁぁっ?!」
ボ、ボスケテ……。