※この作品はR-18です。

マンコ相撲〜土俵際の乙女たち〜   作:ろくさん

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【幕間】 禁断の男子会!行司たちのホンネ飲み

 

その夜。

 

両国国技館の喧騒から少し離れた裏路地にひっそりと佇む一軒の居酒屋。その奥座敷では、ネオジャパンの未来をその腰一つで背負う男たちの、お疲れ様会が開かれていた。メンバーは先の『天下一番相撲会』で激務をこなした月詠愁と音無響。そして彼らと同じく、かつて行司を務めた数名のOBたち。皆、それぞれに何らかの事情を抱えた“訳あり”の男たちだ。

 

普段は決して見せることのない神聖なヴェールを脱ぎ捨て。酒が進むにつれて、彼らの口から飛び出すのは、力士たちには絶対に聞かせられない、裏話と下世話なホンネだった。

 

「いやー、しかし、今場所もヤバかったな!特に準決勝の横綱!」

 

かつて行司を務めていた恰幅のいい中年男が、熱燗をあおりながら叫ぶ。「俺も昔、一度だけ龍炎寺関を担当したことあるけどよぉ…。あの人の“締め”はマジで次元が違うんだよ。なんて言うか、こう、物理的に締められてるんじゃなくて、魂ごと根こそぎ“吸引”される感じ?マジで三途の川が見えたもんね」

 

「分かります、それ」

 

クールなはずの月詠愁が、意外にもその下世話な話題に深く頷いている。「俺も彼女との“作戦会議”は毎晩命懸けだった…。あの圧倒的な母性の前では、俺の理性など塵芥(ちりあくた)に等しい…」愁のその遠い目に、周りの男たちが「ヒューヒュー!」と囃し立てる。

 

「でもよぉ、俺はやっぱ若い子のほうがいいな!」

 

別の痩せた神経質そうな男が口を挟む。「十六夜咲ちゃんとか最高じゃね?あの子の“潮”、飲んだことあるやついる?都市伝説だけど、マジで愛媛のポンジュースみたいな味がするらしいぜ!」

 

「ええ。その噂は事実ですよ」

 

愁がまたしても、ぼそりと呟いた。その一言に、座敷のボルテージが最高潮に達する。「「「マジかよ、愁!!!」」」「…まあ、任務の一環で少しだけテイスティングする機会があっただけだが」愁はそう言って、ふい、と顔をそむける。だが、その耳は真っ赤に染まっていた。どうやら彼は、意外と下ネタ好きらしい。

 

「でも、若すぎるのも考えもんよな」

 

中年男が今度は溜息をつく。「天童ひなだっけ?あの子はまだ子供すぎてダメだ。こっちがなんかこう、罪悪感で萎える。やっぱ俺は酸いも甘いも知り尽くした熟女派だな。肥後もっこす関の、あのワイルドな『熊の毛皮』とかたまんねえよな!」

 

「「「分かるー!!!」」」

 

やがて宴のテーマは、「忘れられない一番(ひとよ)」へと移っていった。「あたしはやっぱり愛内きららだな。あの儀式の最中に、『きららのGIFT、受け取ってね!』ってウィンクされた時は、マジで理性が吹き飛んだ」「俺はアナスタシアだな。あの完璧な肉体を前にしたら、自分がまるで貧弱な実験動物になった気分だったぜ…」

 

様々な武勇伝や失敗談が語られる中。それまで静かに酒を飲んでいた音無響に話が振られた。「おいおい、響!お前さんも何か喋れよ!酔うと饒舌になるって噂は本当なんだろ?」

 

響は、その閉じられた瞳のまま、ふっと静かに微笑んだ。そしてそのいつもは寡黙な唇からぽつりぽつりと、言葉が溢れ出す。

 

「…僕の忘れられない“歌”は…。もうこの世にはいない女性(ひと)の歌なんだ」

 

響は、亡き恋人、美冬との思い出を語り始めた。その声は、いつもの行司としてのそれではなく、ただの一人の女を愛した男の声だった。「…彼女の最後の歌はね。とても哀しかった。でも、それ以上に、とても美しかったんだ。…ハ長調のアルペジオで駆け上がって…」響は、そのあまりにもプライベートで、あまりにも純粋な愛の記憶を訥々と語る。それまで下品な話で盛り上がっていた男たちは、皆その哀しい旋律に静かに耳を傾けていた。

 

やがて響の話が終わる。しんと静まり返った座敷。その沈黙を破ったのは愁だった。

 

「…いい話だな」

 

愁はそう言うと、響の杯にそっと酒を注いだ。「…彼女のためにも献杯しよう」

 

その夜。男たちは夜が明けるまで飲み、語り合った。土俵の上では決して見せることのない、その素顔で。神として崇められ、国の宝として管理される彼らもまた、一人のちっぽけな人間。女に翻弄され、仕事に疲れ、そして酒に癒されるただの男たちなのだった。そのあまりにも人間臭い秘密の夜会を知る者は、もちろん誰もいない。

 

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