【3】
正体不明の怪物が身体の上に覆いかぶさっている。懸命にもがいたが逃れられない。腕も足も怪物の触手に絡めとられた。触手が口の中に入り込み、ベトベトした分泌物で顔が濡れる。股間にも侵入して、肉襞を押し分けた・・・
湊祐衣はそこで目が覚めた。
「ひどい、ひどい、ああ、ひどい、いやだあ、あうう、あうう」
夢だった。
布団を抱いて何度も唸った。十月だというのに首筋に汗をかいていた。
あれから二週間過ぎたが同じような夢を何回も見ている。
相良奈々未の結婚を阻もうとして失敗してしまった。今になってみると、待ち伏せするなど大それたことをよく思い付いたものだ。
あのときは、奈々未の結婚が目前に迫り、仕事もうまくいかず追い詰められていた。だから、一言、言ってやらなければ気が済まなかった。ところが、その場に居合わせた奈々未の知り合いの男性に捕まってしまった。二人掛かりでは叶わない。バイブ責めに遭い、奈々未の太ももで締められ、足で顔を踏まれて意識を失った。気が付くと股間に強力なバイブレーターが挿入されたままだった。あわよくば、奈々未の髪を切ってやろうとしたのに、髪をバッサリ切り落とされたのは祐衣だった。
祐衣は奈々未に叩きのめされ、ボロボロに負けたのだった。女としては完敗、人間としても破滅したようなものだ。
翌日、祐衣は気を取り直して外出した。
十月にはなったものの、さっぱり秋めいてこない。むしろ、弱った祐衣の身体にはこたえる高い気温だ。
ショーウィンドウを見て歩いた。ブランドショップが多くて華やかな通りだった。ハンドバッグが200万円、ショルダーバッグが180万円。高価すぎて今の自分には到底手が出せない。
祐衣は値段を見ているだけで頭がクラクラしてきた。おまけにお腹も鳴っている。昨日は夕食を抜いたし、今朝はカップスープを飲んだきりだ。食欲は落ちているのに、何故か贅肉は全然落ちてくれない。引きこもって運動不足だからお腹は二段腹になり、脇腹の肉を摘まめる始末だ。このままでは30過ぎのブヨブヨ女になってしまう。
ショーウィンドウに映った顔もふっくらしている。顎は二重顎だ。祐衣はショーウィンドウの自分の顔と睨めっこした。頬を膨らませてプク顔したり、口を開けて、アハッと笑ったりする。
「あなたにお似合いですよ」
背後から声を掛けられた。
振り向くと、そこにいたのは30歳くらいの男性だった。ブルゾンにチノパン、サラリーマンには見えない。男性は細面で真面目そうな感じがする。ただのナンパ野郎ではなさそうだ。恋の予感にビビッときたが、変顔をしていたところをバッチリ見られてしまったのは失敗だ。
彼はショーウィンドウのハンドバッグを指差している。どうやら変顔はスルーしてくれたようだ。
「そのバッグ気に入りましたか」
「ええ・・・でも、高いわ。私にはとても手が出ません」
「店の中に入って手に取ってみてはいかがですか」
これは用心しなければならないと思った。こうやって女性を誘い込んで高い商品を押し売りするのに違いない。新手の押し付け商法だ。その場でローンを組まれて月々の支払いが十万円とかになるのだろう。
「いえ、結構です、ウインドウショッピングなんです、すみません、失礼します」
祐衣はさっさとその場を離れた。後ろを振り向くことなく足早に歩いた。
あやうくインチキ商法に引っかかるところだった。真面目そうな人のように見えたが油断は禁物だ。
でも・・・タイプだったなあ。
慌てて逃げたのは失敗だった。結婚詐欺とかナンパとか、騙されても構わないから、男の人と付き合ってみたい。奈々未に負けてからというもの意気消沈し、体調も悪くて、ついつい悪い方へと考えてしまった。
部屋に帰って惜しいことをしたと悔やんだ。
その夜、祐衣は高校の同級生に電話した。といっても、女子はほとんど結婚してしまったので男友達を選んだ。男子ならまだ独身だろうと勝手に推測した。中島という、その同級生は地元、関西のH市にUターンして家業の中華料理屋を継いでいる。
「おお、久しぶり」
祐衣と分かると声の調子が高くなった。
「中島君、忙しかったかな、この時間、営業中だよね」
「9時過ぎるとお客は来ないよ、そろそろ暖簾しまおうかと思ってた」
「やっぱ、景気悪いんだ」
「コロナのときよりはマシってとこかな。新町商店街はそれなりに盛り上げってるけど、バブルシティは相変わらずダメだよ。来月には銀行のATMが撤退するし、100均が店仕舞いするって噂もある」
バブルシティというのは祐衣の地元、関西のH市にある商業施設だ。再開発で建てられたビルに、スーパーや飲食のチェーン店が入っている。この商業施設と向かい合うようにして住居区域も造られ、そこに、再開発で立ち退いた新町商店街が移ってきた。中島君の中華料理屋は新町商店街にある。当初は商業施設に期待もあったが、その割にはお客さんが来ないので、バブルシティと新町商店街の関係もこじれている。
「ATMがなくなるってヤバいじゃん」
「バブルシティの中は空きテナントが目立ってきた。その代わり、休憩スペースには事欠かないんだけど」
「眼科とか整形外科とかあったよね」
「医者は流行ってるよ。けど、老人ばかりで、小児科はさっぱりだ。あと、ガチャね。ガチャの販売機だらけだよ」
それでも中島君はガチャを回すのが楽しいと言った。中華の店はヒマらしい。祐衣はマンションの入居状況も知りたくなった。
「マンションはどうなん? 空いている部屋ありそうかな」
「そこそこ入居してるけど、どんどん高齢化しちゃってる。なんだ、祐衣、こっち帰ってくるの」
「ちょっと訊いただけ、いまのところ考慮中」
「大歓迎だよ。祐衣が帰ってきてくれたら叔父さんも喜ぶだろうね。祐衣の叔父さんは、バブルシティと協調派だから、みんなの期待も大きい。実は、僕も叔父さんのパソコン作業を手伝っているんだよ。廃墟にならないようしたいんだ」
『廃墟』の一言がズシリときた。
叔父さんというのは、祐衣の母親の弟のことで、新町商店街の中で日本料理店を営んでいる。祐衣は高校生のとき、その店でバイトしていたことがある。その叔父が去年、新町商店街の理事長になった。
中島君が言うには、施設内のイベント広場を充実させたいとか、フィットネスクラブを誘致したいということだった。それから、若い人を増やすため、近隣地区に大学や専門学校があるといいんだがなどと熱く語った。
地元に根付いて頑張ってるなと思ったが、中島君が「来月結婚する」と言ったので、ガックリして電話を切った。同級生だから同じ31歳、祐衣は先を越されて、自分だけ取り残されたという思いが募った。
早い時間だが、何もすることがないので抱き枕を脚に挟んでベッドに寝ころんだ。
「ええと、こうやって男の人が上になるから、私は腰を使ってと・・・それから、どうするんだっけ」
脚の力を緩め、抱き枕を放してため息をついた。あの記憶が、奈々未にのしかかられた記憶が蘇ってきた。
奈々未が怖い、セックスするのが怖い、男が怖い。こんなことではステキな男性と巡り合ったとしても、セックスはおろかキスも無理だ。この恐怖を乗り越えるには、優しくて、甘えてくれる男性を見つけなければならない。いきなりベッドに押し倒されるのではなく、優しくしてくれて、祐衣のことを女王様扱いして床に跪いてくれる人がいい。
祐衣はため息をついた。そんな王子様がいるはずない、いるとしたら変態男だ。仕方がないから、ここはハードルを下げるしかないだろう。
スマホが鳴った。元同僚のイ・ソヨンからだった。
「いま大丈夫、話できる?」
「ヒマ・・・というか、毎日ヒマよ」
「あのさ、大変なことになってんのよ。本宮正弘さんの結婚なんだけど、それが、ヤバいことになった」
そうだった。すっかり忘れていたが、この間の日曜日に本宮正弘と相良奈々未の結婚式があったのだ。それが、ソヨンによると二人の結婚に何か問題が発生したようだ。
「ヤバいって?」
「披露宴で、とんでもないことがあったのよ。あれは事件だね。お色直しで・・・」
ソヨンは、花嫁の奈々未が破れたウェディングドレスで股間を晒して見世物になったと言った。
「えー、なにそれ~」
祐衣は自分でもびっくりするくらいの大きな声を出した。早く続きが聞きたい。
「花嫁がワゴンに縛られていたのよ。初めはサプライズ演出かと思ったんだけど、奈々未は倒れてきたウェディングケーキに押しつぶされたの。宴会場は大騒ぎなっちゃった。親戚の人なんか泣き喚くし、太ったオバサンはぶっ倒れたわよ。そのあと、中止っていうか、お開きになって、親族の人が勝手に救急車呼んだものだから会場のホテルと揉めた。あんなの初めて見たわ」
「初めて聞いたぁ。びっくり。ホントにヤバいというか、スゴイというか。でも、披露宴は中止になったとしても、あの人たち結婚しちゃったんじゃないの」
「そこがイマイチわかんないのよ。結婚式はすんだから入籍したという話もあるし、結婚そのものがパーになったって噂もある」
なんという素晴らしいニュースだ。奈々未と本宮正弘の新婚生活は出だしから躓いたようなものだ。
結婚がパーになった可能性もあるというではないか。
ざまあみろだ。
「私も見たかったなあ、奈々未の惨めなウェディングドレス姿」
「写真撮ったから、あとでメール送るね」
祐衣は、奈々未がケーキに押しつぶされている状況を思い浮かべて笑いが堪えられなくなった。ところが、ソヨンは不安を掻き立てるようなことを言った。
「社内で犯人捜しが始まったの。誰があんな酷いことをしたか調べているのよ。祐衣、退職したばかりだよね。ここだけの話だけど、ブラックリストに載ってる」
「私が犯人だって言うの。やだ、そんなの。やってないわよ、絶対」
「犯人リストに載っているのが何人もいるみたい。祐衣、もし、心当たりがあれば早めに自首しなさい」
「やだあ、自首だなんて脅かさないでよ、ソヨン。だって、披露宴招待されてなかったから現場にはいなかったでしょう」
イ・ソヨンは「祐衣のところにも刑事が来るかもよ」とまたまた脅かした。もっとも、半分はおどけたような言い方だった。
電話のあとで、すぐにメールが送られてきた。添付された写真を見て祐衣はパチパチ拍手をした。
料理を運ぶワゴンのような台にウェディングドレスの女性が乗っている。破れたドレスからは太ももや股間が剥きだしだ。その女性の顔は相良奈々未だった。この格好で披露宴に現れたのであれば大騒ぎになるのは当然だ。別の写真ではウェディングケーキの下敷きになっていた。普通、ウェディングケーキはプラスチック製のイミテーションなのだが、下の方は本物のケーキだったらしい。それが災いした、いや、幸いだったというべきだ。
奈々未は一生一度の晴れの舞台で、こんなみっともない格好を晒してしまった。少しだけ気の毒には思うが、最高の展開だ。これが笑わずにいられようか。祐衣は涙が出るほど笑い転げた。
だが・・・そこで、イ・ソヨンの言葉を思い出した。
『犯人捜し。刑事が来る』
これは困った。なにしろ、奈々未を待ち伏せしたのだ。反撃されてめちゃくちゃに負けたけれど、動機があることに変わりない。真っ先に疑われるのは自分かもしれない。
披露宴に招待されていなかったから会場にはいなかった。しかし、それではアリバイには不十分だ。
「ああ、どうしよう・・・警察が来たら何と言い訳すればいんだろう」
奈々未の結婚が失敗したらいいと願い、一方では、犯人扱いはされたくないと祈った。期待と不安の混じったまま、その夜は良く寝られぬ一晩を過ごした。
翌日、ソヨンから再びメールがきた。
【容疑者逮捕。犯人はコールセンターの関島麻里子だった。披露宴会場をカメラで動画撮影してて、怪しい動きをしてたのが分かった。それから、あの二人は結婚不成立だった。式は挙げたけど入籍は見送りよ。】
「おっ、やったじゃん」
送られてきたメールを読んで眠気が吹っ飛んだ。
結婚式をめちゃくちゃにした犯人が判明した。ソヨンは、容疑者逮捕と言ったが、おそらく、会社の内部で調べただけなのだろう。警察が捜査に乗り出しとしたら大事件だ。
そのうえ、相良奈々未と本宮正弘とは結婚が成立していなかったことが判明した。奈々未は妻になり損ねたのだ。一番悪いのは犯人の関島麻里子だ。奈々未はある意味、被害者かもしれない。けれど、同情するつもりはない。人の不幸は蜜の味とはこのことだ。
奈々未はどうしているだろう。結婚が未遂に終わったのでは新居には引っ越すことができず、自宅マンションに留まっているはずだ。当然、新婚旅行も行っていない。毎日泣いているに違いない。
ますますいい気分になった。曇り空が晴れてお日様が出てきた。これからは前向きに生きることにしよう。
それより男だ、男。誰でもいいから男とデートしたい。食事して、映画を観て、誘ってくれたら、断らずにホテルに行く。
股間が熱くなってくるのを押さえられなくなった。
祐衣は下腹部に手を伸ばした。パンティの上からクリトリスを撫でる。肉襞はすでにじんわり潤んでいた。割れ目に指を宛がい、恐る恐るこじ入れてみた。
「ああ、ああ、あっ」
ゾクゾクしてきた。
気持ちいい・・・ああ、男にしてもらいたい。
その日、湊祐衣は都心のホテルに行った。
今日は大安吉日である。平日だが、日が良いので結婚式があるのではないかと思った。相良奈々未が披露宴で辱めを受け、その写真も見せてもらった。けれど、今一つ実感がなかったので、わざわざ都心のホテルまで実地検分に来たのだ。
ロビーの片隅のカフェで、コーヒーを飲みながら行き交う人を眺めた。カフェに座っていると、結婚式帰りと思われる一団がやってきた。男性は黒いスーツに白のネクタイ、女性は黒留袖だ。貫禄のあるオバサンたちが大声でガヤガヤ喋っていて、祐衣のいる席まで聞こえてくる。
奥のエレベーターから、新郎新婦の友人らしきグループが降りてきた。若い女性が多くて華やかだ。数人がカフェに向かって歩いてきて、祐衣の隣のテーブルに座った。揃って美人でスタイルがいい。タレントのような派手な顔立ちをしていたり、良家のお嬢様タイプもいる。しかも、祐衣よりも年下に見えた。
顔もスタイルも完全に負けている。祐衣は少し惨めな気持ちになった。
お嬢様のような美人はどことなく相良奈々未に似ていた
そうだ、奈々未はどうだったのだろう。
・・・ビリビリに破れたウェディングドレスでワゴンに括り付けられ、そこへケーキが倒れ掛かる。全身クリームまみれになり、ケーキ上部のプラスチック部分が落ちてきて奈々未の頭を直撃する。奈々未は失神。披露宴会場は大騒ぎになる。そこへ、サイレンを鳴らして救急車が到着した。奈々未がストレッチャーに乗せられて運ばれてくる。ロビーにいたお客は、何事かと遠巻きにして覗き込んでいる。ストレッチャーの周りでは親族らしいオバサンがオロオロしている。そして、奈々未は恥ずかしさ屈辱でボロボロに泣いて・・・
「うふふ」
思わず笑みがこぼれた。コーヒー一杯で800円もするけれど元は取れた。ホテルまで出張してきた甲斐があるというものだ。あれこれ想像していたら楽しくなって、大声を出して笑いそうになったが、人目に付く場所なのでグッと堪えた。笑いは我慢したが、その反動で虚しさが込み上げる。
ああ、結婚か・・・羨ましいなあ。
そこへ、サラリーマン風の男性が数人やってきた。五人いる。こちらは披露宴のお客さんではなく、商談をしていたといった風情だ。何度もお辞儀を交わしていたが、二人だけドアから出て行った。残った三人がカフェの方に歩いてくる。上司らしい年配者が二人、もう一人はずっと若い。祐衣と同い年くらいだろう。
あれ、あの人?
若い社員に見覚えがあった。先日、ブランドショップのウインドウを見ていたときに声を掛けてきた男性だ。彼も気が付いたようで、ハッとして祐衣を見た。二人の上司はカフェの奥の席に着いたが、彼は祐衣の傍らに立った。
「こんにちは」
「はい、こんにちは」
つい先ほど、奈々未の一件を思い浮かべて笑ったので声が弾んでいる。
「以前、ショーウィンドウでバッグを見ていた方ですね、そうでしょう。また、お目にかかれて嬉しいです」
言葉使いはいたって丁寧だ。だが、上司を待たせておいて、平社員がナンパするとは呆れてしまう。
彼が名刺を差し出した。
【株式会社E 総合企画室 安藤徹】とある。
「仕事中なのでゆっくりできませんが、今度お食事でもいかがですか」
「ええ、まあ、いいですけど」
「よかった、では、ご都合よろしければ、明日の夜はどうでしょう」
「明日・・・はい」
かなり強引だが、デートを受けてしまった。安藤徹は「6時にここで」と言った。
祐衣は名刺を取り出し、その裏に携帯の番号を書いた。前の会社の名刺だと断って彼に渡した。
「湊祐衣さん、可愛いお名前ですね」
彼は名刺を受け取ると待たせてあった上司の方へ行った。
真昼間から、しかも仕事中に女性の声を掛けるとは何とも大胆なことだ。祐衣は席を立って安藤徹に軽く会釈した。しかし、彼は書類を広げて上司と話し込んでいた。祐衣のことなど眼中にないといった様子だ。彼が何か言って上司が頭を下げた。そこで、ふと思った。年配の二人が上司だと思ったのだが、どうも、安藤徹の方が上役で、他の二人が部下なのではないか。そういえば、貰った名刺には肩書が書かれていなかった。
ふと、鋭い視線を感じた。隣に座っている披露宴帰りの美人グループが祐衣のことを睨んでいる。自分たちを差し置いて祐衣をナンパしたのが気に食わないのだろう。勝ち誇ったような気分になったが、恨まれないうちにカフェを出た。
ホテルの外でスマホを取りだし、「株式会社E」を検索した。
「あらら、ちゃんとしてるみたい」
その会社は、株式会社Fの子会社の一つで、業務内容は、別荘開発、マンション管理、テナント管理などだ。もしかして、ブラックではないかと心配したが、案に相違して優良な会社だった。
これなら安心してデートできる。たまには男の人と食事するのもいいだろう。デートなんて数年ぶりなのでワクワクしてきた。
食事するだけ・・・でも、抱きつかれたらどうしよう、キスを迫られたらどうしよう。万が一、セックスという状況になったらその時は・・・
せっかくのチャンスを逃すのはもったいない。といって、ベッドで脚を広げるのでは男を欲しがっているのが丸見えだ。イヤイヤと拒みながら、彼にパンティを脱がしてもらおうかな。いいえ、待ってなんかいられないわ。こっちから全裸になってあげる。パンティの脱ぎ方の練習でもしておこう。またとないチャンスなんだもん。
だんだんヤル気満々になってきた。
デートの当日、何を着て行こうかと悩んだ。パンツルックにしようとしたが、久し振りに穿いたらウエストがキツキツだった。お尻の肉はパンティからはみ出し、脇腹には贅肉が付き、お腹がポッコリ出ている。パンツ姿だと、パンティラインだけでなく、贅肉ラインがクッキリ見えそうだ。彼が腰に手を回したら、たぶん幻滅するだろう。男と無縁の生活が続いていたのでツケが回ってきた。
なので、膝下丈のワンピースを着ていくことにした。これでも、下半身のボリュームは隠しようがない。歩けばお尻がユサユサどころか、ブルンブルン揺れる。でも、デートは明日だから、ダイエットは間に合わない。
安藤徹とのデートは初っ端からラッキーな展開になった。待ち合わせたホテルの中にあるブランドショップでバッグを買ってくれるというのだ。どれも、50万円とか、高い物は100万円の値札が付いている。初対面では高価すぎるプレゼントだ。これを貰ったら、たちまちホテル直行、というより、そもそもホテルにいるのだった。でも、ベッドインには心の準備が必要だ。祐衣が高価なバッグは固辞したら、彼は5万円の財布を買ってくれた。
それからホテルの最上階にあるレストランで食事をした。窓際の席で暮れゆく街を見ながらのディナーをいただいた。お互いに自己紹介したが、彼は「株式会社E」の社長だと言った。それも親会社の経営者一族なのである。
これはイイ男と巡り合ったものだ。
道理で5万円もする財布をプレゼントしてくれるわけだ。社長だと分かっていれば、100万円のバッグをねだれば良かったと後悔した。
「祐衣さんと最初に逢ったとき、あの日は、現在手掛けているプロジェクトの件で不動産関係者と会っていたんです。でも、進捗状況が思わしくないので近くの神社で祈願して、その帰りに、ショーウィンドウの前にいる祐衣さんを見かけたんです。おかげさまでプロジェクトはうまくまとまりました」
「それは良かったですね」
「ですから、祐衣さんのことが女神様のように思えました」
「女神だなんて・・・」
「あらためて見ると本当に女神様でした。それも、可愛い女神様」
歯の浮くような褒め言葉だが、まんざらでもない。
「昨日はホテルのカフェでとても楽しそうにしてましたね」
「ええ、結婚式のお客さんがたくさんいて、すごく華やかだったので、見ているこちらも楽しくなりました」
まさか、奈々未が結婚式で恥ずかしい格好をさせられたのを思い浮かべて笑っていたとは言えない。
祐衣は「昨日はお仕事だったんですか」と訊いた。
「ええ、先ほど話したプロジェクトの仮契約を交わしたんです。仕事がうまくいってロビーに降りてきたら、そこに祐衣さんが、いえ、女神様が座っていたので、これは見守ってくれたのかと思いました」
単なる偶然に過ぎないとしても、そこまで持ち上げられると、自分は女神ではないかと錯覚してきた。
ところが、話の流れの中で、彼が一つ年下だと判明した。祐衣の方が年上だったのだ。歳を誤魔化せばよかった。しまったと思ったが手遅れだった。彼は30歳、祐衣は31歳。これはマイナスポイントだ。それでも、安藤徹は気にしていない様子で、『お姉さんなんだね』と喜んでいる。
ここまでの流れからいけば、プレゼントを買ってもらい、食事して、セックスしてというお決まりのコースだ。
男性に抱かれるのは久し振りなので不安もあるけれど、年下の彼とセックスするかと思うとワクワクしてきた。ブランド物の財布をプレゼントされたのでは断りにくい。むしろ、断ったら失礼だ。しばらく男に抱かれていないから、ヤリ方を忘れたけど、こうなったら、パンツ脱ぐぞと決めた。
ところが、安藤徹は食事が終わると家まで送って行くと言った。こっちは覚悟を決めていただけに肩透かしを喰らった感じだ。
お姉さんはヤリ逃げされてもいいんだけど・・・
またしても、男とセックスのチャンスが消え去った。やはり、祐衣の方が年上だったのが災いしたのかもしれない。
祐衣の住まいはG区にある。3階建てのマンションで、外観は年季が入ったくすんだ灰色だ。周囲の高層マンションと比べてみすぼらしく見える。部屋は1DK、女性の一人暮らしにはちょうどいい広さだ。十年近く住んでいるので、今では一番の古顔だ。
階段で二階に上がるときに安藤徹が手を握ってきた。祐衣もほんのり握り返す。男性と手を繋ぐのも数年ぶりだ。
「今日は楽しかった。また、会ってくれますか」
「ええ、こちらこそ」
次のデートの約束も取り付けることができた。
部屋の前で「玄関までいい」と訊いてきた。男性を部屋に引き入れるのかと思うとドキドキしてくる。
玄関に入ったところで抱きしめられた。
「祐衣さん」
「徹さん・・・」
「好きだ、一目で祐衣さんが好きになった」
「あ、ありがとう」
チュッ、キスされた。唇を重ね合わせるだけの軽いキスを受け入れた。
徹の手が胸に触れた。服に上からおっぱいを揉まれる。彼は無言で愛撫を続け、その手が腰に、そしてお尻に伸びてきた。
「いえ、あ、それは・・・」
イヤイヤと身を捩ったが、拒むことなく彼のするままに任せた。贅肉たっぷりの腰やお尻を触られて恥ずかしいけれど、それより、嬉しさが込み上げた。
スカートを捲り上げようとしてきた。焦っているのか、うまくできなくて手間取っているので姿勢を変えて、少し脚を開いてあげた。徹は太ももの外側を撫で、内側にも滑り込んでくる。
「ダ、ダメ・・・困るわ、ああ」
ついにパンティの前に手が触れた。手の甲で優しく撫でている。祐衣は抵抗せずに身を委ねた。
「ああ、そこは、恥ずかしい、ああん」
そこが一番感じるの・・・恥ずかしいけど、もっと、触って、弄って。
徹が屈みこみ、祐衣の前に膝を付いてスカートの中に顔を入れた。
あわ・・・
まさかの行為にどう応えたらいいか分からない。そうしたら、パンティの前にキスをされた。彼の鼻が敏感な部分に当たって擦れる。祐衣は壁に背中を付けてのけ反った。
気持ちいい、ああ、徹さん、もっと、もっとぉ。
「ああ、あはん、だめ、いや、いや、い、いい、いい」
「ごめん・・・夢中になってしまった。祐衣さん、ごめん」
いいところだったのに徹が身体を引いた。彼は「ごめん、ごめん」と何度も謝りながら部屋を出て行った。
男に肉体を求められた。足元に跪いてパンティの前にキスをするという、優しい愛撫だった。でも、徹は途中でやめてしまった。いや、と口走ったのがいけなかったのだろうか。彼の頭を抱えて離さなければよかった。
祐衣はヨロヨロとベッドに倒れ込んだ。
「もうちょっと続けて欲しかった、徹さん」
スカートを捲り上げ、脚を広げる。
「ほら、やっていいんだってば。やって欲しいんだよぉ。ねえ、祐衣の××××見て、ここよ、××××して、××××したいっ・・・」
卑猥な言葉を何度も叫んだ。
ああ、こんなこと言ったら嫌われちゃうだろうな。彼は年下だし、女神のようだと崇めてくれる。それが、お股開いて、××××したいじゃあ、幻滅させちゃうよね。スカートの中に顔を突っ込ませたんだから、こっちはオッケーなんだけど。男なら強引にヤルのが当然でしょう。あれ、もしかして、徹さん、マザコンなのかな。そうだよ、マザコン、そのうえ、ロリコンだったりして。
パンティを脱いだ。鏡で性器を見る。サワサワしたアンダーヘアー。割れ目に収まったままの肉襞。きれいなピンク色の肉襞は男性経験が少ない証拠だ。これなら、きっと徹は気に入ってくれるだろう。
「ああん、舐めて、××××舐めて・・・挿れて、挿れて」
抱き枕を股間に挟んだ。枕に太ももを絡め、股間を動かす。
「はあ、はあ、ああっ、徹さん、好きっ、好きだから、ああ、ひいい、ひい、××××して、徹さん、祐衣と××××してっ」
気持ちいい。枕が性器に擦れて、快感が全身を這いあがってくる。今度はクルリと姿勢を変えて枕に覆いかぶさった。騎乗位はほとんどやったことがないけれど、見よう見まねで腰を振り動かす。
「ああ、はあ、ク、クリトリスが、いい。ああ、いい、いい、あっ、イク、イクゥ。ああああっ」
抱き枕を抱きしめ、お尻をブルブル振り、のけ反って股間を押し付ける。その動きを何度か繰り返し、最後はベッドに顔をくっつけて果てた。
「あーあ、よだれが垂れちゃったぁ」
次のデートでは絶対セックスだ。
二度目のデートは金曜日の夕方だった。今回も何を着て行こうか迷った。清楚なワンピース、知的に見えそうなスーツ、行動的なパンツルック、エロいお姉さん風。いろいろ考えた結果、安藤徹が好みそうな白いブラウスと紺のスカートにした。スカートはやや広がっているフレアーなので顔を入れやすい。これなら喜んでくれるだろう。
待ち合わせの場所に現れた彼は紺のジャケットにグレーのズボンだった。二人のコーデがバッチリ揃ったので気が合ってるなと思った。
駅前の大型商業施設を見て歩いた。入り口にドーンと吹き抜けがあって、ガラス張りのエレベーターがあり、見ているだけで楽しい雰囲気になった。
しかし、デートはたびたび中断されてしまった。安藤徹のスマホに仕事の電話が掛かってきたのだ。社長だから休日でも取引先と交渉したり、部下が指示を仰いでくるらしい。
「すみません、今週中に片付けなければいけない案件があって、その電話なんです」
「お忙しいんですね」
「このあと、食事する予定だったのですが自宅に戻らざるを得なくなりました。それで、これから一緒に自宅に来ていただけないでしょうか」
「ええ、でも、お宅に伺ってお邪魔じゃないかしら、ご家族の方は・・・」
「僕は一人暮らしなんで、誰にも気を遣う必要はありません」
急遽、徹の家に行くことになった。というか、食事をするのは嘘で、初めからこういう作戦だったのかもしれない。一人暮らしだそうで、それなら、家族に気を遣うことはない。考えてみれば、まだ二回目のデートなので、彼の両親に紹介されるには早すぎる。
すると、徹は、アクセサリーショップでゴールドのネックレスを買ってくれた。10万円もするので遠慮したが、彼が「デートが中途半端になったお詫び」だと言った。お詫びにしては高価なプレゼントだ。
このお礼に何でもさせますよ。この前みたいに、スカートの中に顔を突っ込みたいんですか。今日のパンティはピンクです。それとも、ベッドで裸になってお返ししましょうか。一人暮らしなら、絶頂に達するときにいくらでも喘ぎ声が出せるわ。
エロい妄想はどんどん膨らむ。
安藤徹の家は10階建ての豪華なマンションだった。彼は一階に住んでいる。手を繋ぎ、肩を寄せ合って部屋に入った。
「失礼します・・・」
明るくて広い部屋だった。3LDKくらいはありそうだ。徹が一人で住んでいるというのだが、二人暮らしでも十分な広さはある。掃除は行き届いていて、とくにキッチンはピカピカだった。祐衣はこのキッチンで料理を作る姿を想像した。
「申し訳ないのですが、先に仕事のメールをチェックさせてください」
「はい、私は廊下に出ていましょう」
「いえ、どうぞこちらへ」
徹がそう言って、キッチンの脇にある引き戸に手を掛けた。仕事上のマル秘事項を見られないようクローゼットに押し込まれるのかと思った。ところが、引き戸を開けると、その向こうにも部屋があった。
「以前、隣の部屋は妹が使っていたんだけど、カナダ人の旦那さんと結婚してバンクーバーに移住しましてね。それで、壁を開けて3LDKの部屋を二つ繋げました」
「二部屋・・・」
3LDKが二部屋だから6LDKになる。
唖然としてしまった。6LDK、正しくは6部屋と、リビング、キッチン、バス、トイレが二か所ある。凄いというか、もう、何と言ったらいいのか言葉が浮かばない。祐衣が理解できたのは、掃除が大変だということだけだ。
「この物件、僕の父親の所有なんです」
家族がマンションを丸々一棟、所有しているというのだから驚くことばかりだ。
「祐衣さん、パソコンを見ている間、リビングで待っていてください」
徹が隣の部屋のリビングの戸を開け、玄関も開けて風を入れた。
祐衣は椅子に座った。リビングは広々としていて、20畳くらいはあるだろう。バルコニーも開放的で広々としているし、専用の庭もある。
何だか夢を見ているような気分だ。
どうやら、とんでもないお金持ちと付き合うことになったようだ。嬉しさよりも、身分違いではないかと不安になってきた。しかも、こっちが年上だ。
10万円のネックレスを持って逃げてしまおうかとさえ思った。でも、その前に、セックスさせないと申し訳ない。セックスしてポイ捨てされても感謝したいくらいだ。
30分ほどして徹が顔を出した。
「お待たせ。スマホもパソコンもシャットアウトしたから邪魔者はいなくなった」
彼の居室に入るとすぐに抱きすくめられた。
「祐衣さん」
「徹さん」
キスをした。この前のキスより激しいキスで舌を入れ合った。キスの途中から彼の手が胸をまさぐり、お尻を撫で回した。
来るぞ・・・と思った。
予想に違わず、徹が床に膝を付いた。スカートを徐々に捲り上げ太ももにキスをした。脚の間に頭を潜り込ませようとしているので、力を抜いて彼を受け入れた。
「ああ、祐衣さん」
徹がパンティの前に顔をくっつけてきた。よほど、女性の股間に顔を埋めるのが好きなのだろう。変態、ロリコンと言えなくもないが、お金持ちの男が跪いてくれるのであれば全然許せる。
「あっ・・・んん、そこは、んん」
パンティの前を舐められ、割れ目を刺激されてビリッと全身が小さく震えた。
「ああん、いやあん」
徹の頭を抱え、腰を前後に振った。彼が舐めているのではなく、祐衣が股間を押し付けている格好になった。パンティからはみ出したお尻の肉を揉まれ、脇腹の贅肉を掴まれる。ぽってりとした下腹部が波打った。恥ずかしくてたまらない。
「むふぐ、ゆ、祐衣さん」
彼はなおも下半身にしがみつく。祐衣はお尻を突き出し前後に揺すり、グルグルと動かした。お金持ちの男、それも年下の男を太ももで挟んで奉仕させている。夢心地だ。
「はあ、はあ、ああっ」
「んぐ、んぐ、ああ、はああ」
「徹さん、あっ」
祐衣は徹の肩に右脚を掛け、腰を前後に振り続ける。だんだん、気持ち良くて立っていられなくなってきた。
「ああ、ダメよぉ、ダメぇ」
膝の力が抜け、腰が下がった。祐衣は徹の頭を抱えながら腰を落としてしゃがんだ。彼の顔の上に跨って顔面騎乗してしまった。
「ぐふふ」
「あはあ、あはあ、好き、好きぃ」
顔面騎乗して腰を動かす。徹の鼻にパンティを擦り付け、徹の唇にパンティに包まれた股間を押し付けた。お尻がブルブル揺れる。徹を放すまいと、前屈みになってガッチリ押さえ込み、次には身体を反らしてグイッと股間をくっつける。股間が熱い。膣から分泌物が染み出た。
これがやりたかった、ずっと願っていた。
「いやあ、いやあああああ、あは、ああああっ」
祐衣のお尻が弾み、腰がズドンと落ちた。徹の顔の上で軽く果てていた。漏れ出た愛液でパンティがぐっしょり濡れていた。
「はああ、はふう、はふう、はあ・・・ああ」
大きな息を吐いて我に返った。夢中になり過ぎて、徹を太ももで締め付け、お尻で押し潰してしまった。徹は気絶したようにぐったりしている。
「ごめんなさい、徹さん、ごめんなさい」
これでは嫌われたかもしれないと思った。だが、徹は祐衣の股を見上げ、満足したような表情をみせた。
「ああ、よかった、よかったよ、祐衣さん」
マザコン、ロリコンの正体見たりだ。
ベッドの縁に座って身体を寄せ合った。徹が祐衣のブラウスのボタンを外しにかかる。三つ目からは祐衣がボタンを外した。前をはだけ、ブラジャーに包まれた胸を晒した。徹は、初めて女性の下着姿をみるかのような興味津々の眼差しだ。
童貞ではないとしても、おそらく、セックスの経験は少ないのだろう。
それなら、お姉さんが、さりげなくリードしてあげる。といって、こっちも男に抱かれるのは久し振りなのよね。まあ、男と女はなるようになるものよ。
彼がブラの上からおっぱいを揉んだ。祐衣は触りやすい姿勢で、しだいに身体を密着させていった。
「ああ、ああ、いい、はああ」
「祐衣さん、好きだ」
徹がホックを外そうとしているので、祐衣は肩紐をずらせた。
ユサン、ブルン、祐衣のおっぱいが飛び出した。白くてゆったりしたおっぱい。乳首はピンクで少し立っている。
「きれいなおっぱい」
徹が乳首を吸った。
チュ、チュパ・・・とたんにビクンと震えがきた。
「あっ、ああ・・・徹さん」
何度も揉まれ、乳首を吸われて、おっぱいが張ってきた。いっそう大きくなって、固く張り詰め、白い膨らみに血管が浮き出る。おっぱいが張るのもいつ以来だろう。
右の乳首、左の乳首を吸い、そのあと、徹がおっぱいに顔を埋めてきた。まるで赤ん坊のようだ。祐衣は彼の頭を抱え込み、おっぱいを与えた。母性本能をくすぐられ、女としての幸せを感じた。
「うふ、うふっ、ああん、いい、いいわ」
徹はおっぱいに頬ずりして、「祐衣さん、お姉さん」と繰り返した。マザコンとロリコンとが加速して、完全な甘えん坊になっている。ヤバい性格だけど徹はお金持ちだ。祐衣を気に入っているのだから、彼のやりたいようにさせておくのがいいだろう。そうすれば、当分の間は捨てられる心配はない。
今度は下半身に手を伸ばしてきた。弛んだお腹とか、脇腹の余分な贅肉もしっかり見られた。これは恥ずかしくなった。
「いやん、だって、お腹がプルプルしちゃって、お肉が取れないの、いやだあ」
「祐衣さんのことは何でも好きだ。いいんだよ、このプニプニが好き。健康的だ」
そう言って脇腹の肉を撫でて摘まんだ。
まあ、これが好きなら存分に触らせてあげる。
「ねえ、横になっていい。その方がお腹がちょっとは引っ込むから」
適当な理由を付けてベッドに寝た。徹が横に添い寝して、祐衣の太ももを撫で摩る。予想通りの展開だ。彼に手が太ももの内側に入った。脚の力を抜いて触りやすくする。
「はあ、はあ、ああ、んはあ、徹さんったらぁ、ダメェ」
徹がパンティに手を宛がい、股間をまさぐりだした。遠慮がちで、やさしい触り方だ。これなら安心して身を任せることができる。祐衣はゆっくり脚を広げた。
「あん、ああ、そこ・・・あん、そこ」
パンティの上から割れ目を探っている。どんどん気持ちよくなってきた。
徹が祐衣の脚の間に屈んで太ももを抱えた。膝に唇を這わせ、少しずつ付け根に進んでくる。太ももの内側の柔らかい肉にキスされた。
「そこ、いい、いいの、ああ、つはあ、あん、あん、いい」
祐衣が脚を開くと徹がパンティの前にキスをした。
チュッ、チュッ、ペロ・・・
割れ目を舌で舐め上げられ、ビクンとのけ反った。膣の奥から愛液が沁み出してくる。徹の唾液と祐衣の愛液でパンティがベトベトに濡れてきた。
「ああ、徹さんったら・・・もっと、もっと」
パンティに指が掛かった。でも、なかなか脱がせないので、どうしたらいいか戸惑っているようだ。祐衣は背中を向けて脱がしやすいようにしてあげた。お尻が剥き出しになったところで、仰向けの姿勢になり腰を浮かせる。パンティがスルリと脱げた。
とうとう、男の人の前でパンティを脱いで全裸になった。もう隠すものはなにもない。上から下へと徹の視線を全身に浴びた。むっちりした二の腕、こってり脂肪の付いた脇腹、プルプルのお腹周り、パンティのゴムが食い込んだ跡も、全部彼の前にさらけ出した。
これが祐衣の裸よ。
シャワー浴びたかったけど、ごめんね、徹さん、匂うかも・・・
徹が膝の下に手を添えて脚を持ち上げた。太ももの付け根もアンダーヘアーも、性器の割れ目、肉襞も見られている。
初めは恥ずかしかったが、だんだん嬉しさに満たされてくる。
見て・・・徹さん、見て、見て・・・そこ、××××。見て、舐めて、祐衣の一番恥ずかしいところ、××××舐めて。
「ああっ」
アンダーヘアーに息がかかり、舌が触れる。
「おほっ、うっ、うひっ」
一気に快感が全身に広がった。徹が毛の生え際を舐めている。こんもりした肉の土手がプルルと痙攣した。彼の舌が外側から中心へと向かい、クリトリスを舐め上げた。
「ひゃん、う、うっ、きいぃぃぃ」
とたんに肉襞から愛液がジュルっと溢れる。その染み出た愛液を徹が吸った。
チュウ、チュウ、ジュル、ジュルルル。
××××の匂いも気にならないのか、徹は祐衣の愛液を吸い続けている。祐衣は彼の頭を押さえて股間から放さないようにした。
舐め続けられ、あまりの気持ち良さに、「××××」と叫びそうになった。
「はあ、ああ、ああああっ・・・オ、オ、ダメ、いやあん、イ、イク」
軽く果てていた。次は挿入だ、思わず唾を飲みこんだ。ベッドで抱き枕を相手に体位の練習はしてきたけど、三年ぶりのセックスだ。いざとなると、不安になってきた。
コンドーム使うのかな、それとも、ナマで出されるのかな・・・
ところが、安藤徹は祐衣の傍らに添い寝して、交わろうとはしなかった。
どうして抱こうとしないのか。何かがいけなかったのだ。
シャワーを浴びていないから、××××の匂いが臭かったのかもしれない。でも、それを祐衣の責任にされたのでは困る。
「祐衣さん・・・とてもステキな身体だ。ここまで許してくれて、ありがとう」
「いえ、こちらこそ」
その日はペッティングだけだった。
次のデートの約束を取り付けたかったが、それは叶わなかった。性器を舐められただけで交際が終わってしまうのか。これでは、ヤリ逃げどころか、ヤラず逃げだ。贅肉の付いた身体が嫌われたのか。それとも、匂いがキツかったのか。シャワーを浴びる暇もなかったのが失敗だった。
高価なネックレスや財布を買ってもらったので、ヤラず逃げでも文句は言えない。