【4】
部屋の隅には引っ越し用の段ボール箱が山積みになっている。
箱の中身は衣服や靴、バッグなどだ。本宮正弘と結婚して住む予定だったマンションに運んだものが送り返されてきた。開けるのが面倒なのでそのままにしている。段ボール箱に占領された室内で家具といえるものは簡易ベッドぐらいだ。引っ越しのために冷蔵庫とか洗濯機、電子レンジを処分してしまった。テーブルもなくて、食事は床に新聞紙を敷いて食べている有り様だ。結婚していれば元町のレストランや中華街で食事していたはずだった。
あのとき、シャンデリアが煌めく披露宴の会場、隣には夫となる本宮正弘がいた。
新居は新築マンションの4LDK、価格は9000万円だった。10階建ての最上階、バルコニーからは、みなとみらい地区のランドマークタワーや観覧車が見えた。
結婚式のあとはヨーロッパへ新婚旅行をする予定だった。
幸せとはこういうことだと実感した。
それが・・・披露宴でウェディングドレスに着替えたときだった。いきなり襲いかかられた。ウェディングドレスが破れ、みっともない格好でワゴンに乗せられて披露宴会場に送り出された。
両親は泣き叫ぶし、親戚は怒り狂って卒倒する人もいた。友人は笑って写真を撮った。逃げたくても、ワゴンに縛られていて身動きがとれなかった。そこへ、ウェディングケーキが倒れ掛かってきた。奈々未はウェディングケーキの下敷きになった。一段目は本物のケーキだったので、身体中がクリームまみれになった。面白がってクリームを指で突いて舐める者もいた。年下の悠斗とウェディングドレスでセックスしたとき、ケーキを股間に塗りたくったのが現実となってしまった。
おまけに、奈々未が男狂いだとか、年下のセックスフレンドがいると書かれた紙が撒かれて、披露宴は大騒ぎになった。本宮正弘と付き合っていた女たちは何人もいた。その中の一人が企んだに違いない。それにしても酷い仕打ちだった。
披露宴は中止、新婚旅行も中止、そして、結婚そのものが破談になった。
幸せの絶頂から一気に突き落とされた。人生の勝ち組になるはずだったのに負け組に転落したのだった。その後、本宮正弘とは連絡が取れなくなった。電話の着信もSNSも拒否された。落ちるスピードはアクセル全開、地獄までは一直線だった。
数日後、奈々未は本宮正弘から依頼された弁護士に呼び出された。弁護士事務所はホテルのスイートルームのような豪華な内装だったので、それだけで圧倒されて気後れした。もしかして、『復縁』を持ちかけられるのではないかと密かに期待したが、弁護士の話は真逆の内容だった。
弁護士は、結婚が破談になった原因は、奈々未が披露宴で恥ずかしい姿を晒したり、年下のカレがいたからだと言った。そして、披露宴や新婚旅行のキャンセル料として300万円を支払うように求められた。
奈々未は、悪いのは犯人であり、自分はむしろ被害者だと訴えた。弁護士が言うには、披露宴で騒ぎを起こした者を捕まえるために手を打ってあるということだった。奈々未は渋々支払いを承諾せざるを得なかった。
それから、近くの銀行で200万円を引き出して弁護士に渡した。預金は250万円ほどあったが、キャンセル料を払うと口座の残高は50万円くらいになってしまった。
「キャンセル料の残金、100万円についてなのですが・・・」
銀行の駐車場で弁護士が言った。
「残りは分割にしてください。キャバクラでバイトしてお返します」
「それなら、いいお店を紹介しましょうか」
弁護士が駐車場に停まっていた黒いワゴン車の方を振り向いた。その車から、人相の悪い男が降りてきて、
「おい、早くしろや」
と、怒鳴った。
「あの人は風俗店のリクルーターをしているそうです。奈々未さんにピッタリのお店を見つけてくれるでしょう」
奈々未は黒いワゴン車に乗せられた。車の中には他にも、一見してヤバい男たちが二人いた。男たちに挟まれ逃げ場を失った。
しばらく走ってラブホテルに入った。リクルーターの男が「風俗嬢の適正を調べる」と言い出し、代わる代わるセックスさせられた。
再び黒いワゴン車に押し込まれ、あちこちを転々として、マンションの自分の部屋に戻ってきた。
男たちは床に座って買ってきたコンビニ弁当を食べ、ビールを飲んでいる。奈々未は菓子パンを一つ与えられただけだ。
部屋のドアが開いた。
入ってきた女性には見覚えがあった。本宮正弘の秘書遠野綾子だった。結婚式でいろいろと身の回りの世話をしてくれたのを覚えている。助けにきてくれたと思ったのだが、綾子は土足のまま部屋に上がってきた。
「奈々未、あなた、結婚式でみっともなかったわね。あら、ごめん。サイコーのショーだったて言ってあげなくちゃ」
「あなたが仕組んだの?」
「私じゃないわ、犯人は関島麻里子よ」
「麻里子・・・」
披露宴で奈々未を襲った真犯人は関島麻里子だった。
「だけど、あれはやり過ぎだと思うな。ウェディングドレスで全開だもんね。あなたの男遍歴を暴露したビラも効き目が強すぎた。正弘さんは裏切られて大ショック、お父様、会長は血圧が爆上がりだったわ。会社の株が下落して、株主や取引先に迷惑をかけたんだから、後始末が大変なの」
綾子がスマホを奈々未に向けた。全裸の女性が土下座している写真だった。
「ここに写っているのは関島麻里子よ。あれだけのことをしたんだから、それなりに責任を取ってもらったわけ」
次の写真も見せられた。麻里子が暴走族風の男に腕を取られている場面だった。
「麻里子は暴走族に引き渡してやった」
「うっ・・・それで、麻里子はどうなったの?」
「当分は男の慰みモノになるしかないでしょうね。腕が腫れるまで注射を打たれたりするかも。使い物にならなくなったら、どこかに捨てられる。そんなところね」
麻里子は警察に逮捕されたのではなかった。彼女が捕まったのはもっと怖い連中だ。どんな目に遭わされたか、想像するだけで恐ろしくなる。
「奈々未、あんたはキャンセル料を払うことに同意したから、まだこの程度ですんでいるのよ。感謝しなさい」
話の様子では、麻里子はキャンセル料を要求されて断ったらしい。それで、強引に罪を償わされたのだ。
綾子がビラを見せた。そこには披露宴で奈々未が痴態を晒した写真が載っていた。ワゴンに括り付けられている写真、ウェディングケーキの下敷きになった写真もある。
「結婚式がキャンセルになったので記念写真もボツになったでしょう。だから、この写真入りのビラをわざわざ作ってきてあげたんだ。そうだ、マンションの郵便受けにポスティングしてあげようか。間違いなく大騒ぎになるわよ」
写真入りのビラをバラ撒かれたら、住人に何もかも知られてしまう。もうマンションには住めなくなるかもしれない。それでも、暴力的な連中に捕まるよりは余程マシだ。
しかし、安心するのは早かった。
風俗店のリクルーターの男がハンガーラックを引っ張ってきた。ラックは二台あって、一台は段ボール箱から取り出した服を掛け、もう一台は洗濯物を干すのに使っていた。
男たちは奈々未を裸にし、手足を掴んで身体を持ち上げた。何が始まるのか、奈々未は身体を突っ張って抵抗した。
「嫌だぁ、助けて、綾子さん、助けてっ、何でも言うこと聞きますから」
「奈々未、あんた、キャンセル料が100万円残っているんでしょう。だから、風俗で働いて返しなさい。フツーに売春すればいいのよ。でも、客の中には変態オヤジが多いから、SMプレイにも耐えないといけないわ」
綾子は面白そうに手を叩いて笑った。
奈々未は両手首をハンガーラックのパイプに縛られ、両脚は膝を折り曲げて低いラックの横棒に括り付けられた。
奈々未は全裸宙吊りになった。
遠野綾子がバイブレーターを手にして脚の間に入った。バイブはイボイボリングが嵌め込まれ、真ん中あたりが太くなっている。
「宙吊りになった気持ちはいかが?」
「い、痛い、手が千切れそう」
「バイブレーターを突っ込めば気持ち良くて、手の痛みなんか忘れるわよ」
男が奈々未の脚を大きく広げた。ゴワゴワとびっしり生えたアンダーヘアー、そして、赤紫色の肉襞はギトギトに濡れている。
「奈々未、これまで何人の男と寝たの」
「そんなこと・・・言えない」
「どうせ、結婚はダメになったんだから、白状しなさいよ」
「はい、あの、三十人・・・いえ、五十人くらい、嘘じゃありません」
「何をヤッたの」
「セックス」
「あら、セックスだなんて、そんな上品な言い方しないでしょ、ヤリマンのくせに」
「××××、××××、××××したの」
「よし、ご褒美にバイブを入れてあげる。電動式だから長時間楽しめるわよ」
ズニュ、ズブ、ズブブ。奈々未の肉襞をバイブが押し分けた。
「うっ・・・うわぁぁぁ」
綾子がバイブをグリグリねじ込む。
「あっ、きゃあああ、あぁぁぁ」
奈々未はビクンとのけ反り、四肢を震わせた。
綾子は奈々未の動きに合わせてバイブを膣の奥へ突っ込んだ。根元が収まりきらないのを見て、膝で押し込む。
ズッ、ズボン
「ずはぁぁぁ、あっ、あっ、うずぅぅぅ」
バイブが奈々未の膣にめり込み子宮に届いた。
「いい眺めね、めったに見られないから記念写真撮ろう」
綾子がスマホで全裸宙吊りの奈々未の写真を撮った。
リクルーターの男が奈々未のポシェットの中を探った。紙幣をポケットに入れ、銀行のキャッシュカードを抜き取った、
「カードの暗証番号を言え」
奈々未が答えないのでおっぱいを鷲掴みにした。
「言います、言いますったら、****です」
脅迫に負けて四桁の番号を教えてしまった。
「じゃあ、これで帰るわ。バイブを突っ込んだこの写真も傑作じゃないの。せっかくだから最新のビラに使ってあげる」
遠野綾子は帰ろうとしたが、部屋の中に積まれた段ボール箱が目に留まった。男に命じて箱の一つを開けさせると中に入っていたのは衣服の類だった。
「全裸で宙吊りの人には服なんか必要ないわね」
綾子は箱からスカートを取り出してハサミで切った。フリルの付いたブラウスも花柄のワンピースもザクザクと切り裂く。男たちも加わって手当たり次第に服を破っていった。面倒なのでハサミではなく手で引き裂いた。結婚生活に備えて買った新品のブラジャーやパンティも千切った。
30分ほどでほとんどの服を切り終えた。綾子は切り裂いた服を抱え、宙吊りにした奈々未の上からまき散らした。全裸宙吊りの奈々未、その周囲に散らばる破れた衣服。綾子はブラジャーを拾い上げ、奈々未の口に突っ込んだ。
「んぐ、んぐ・・・ぐごっ」
「悶絶して死んじゃうかもね。そう、餓死っていう方法もあったかな。いいわね、選択肢が広がって」
遠野綾子は玄関のドアノブに手を掛けた。そして、スリッパをドアの下部に挟むと、ゆっくりドアを閉めた。
・・・手も足もロープでグルグル巻きに縛られている。金属製のハンガーラックに四肢を括り付けられた。まるでハンモックのように宙吊りだった。床に布団とクッションが置いてあるので、それが支えになって、かろうじて宙吊り状態は免れていた。
そして、股間にはバイブレーターが挿入されている。バイブはグリグリと動き、おぞましい快感が全身を突き抜ける。
「むう、むぐぅ」
口の中に布切れが押し込まれているので呻き声をあげるしかない。奈々未は、全身を震わせて喘ぎ声を漏らした。
相良奈々未がいるのは薄暗い部屋の中だった。
ここはどこだろう。そうだ、自分の部屋だった。頭が混乱して、どこにいるのかさえも分からなくなった。部屋のあちこちに服や靴、化粧品が散乱している。衣服はみんなビリビリに切り裂かれてしまった。
本宮正弘の秘書遠野綾子の見ている前で裸にされ、全裸で宙吊りにされた。両手はハンガーラックの金属パイプを掴み、広げた脚はパイプに引っ掛けて固定された。
股間に食い込んだバイブが容赦なく動き回る。全身の痛みと、突き上げる快感に気が狂いそうになった。
「むぐっ・・・ふぐぅ、ごえ、ごえぇぇ」
股間から快感がせり上がって、また悲鳴を上げた。しかし、口を塞がれているので言葉にならない。
風俗店の男たちも、遠野綾子も、奈々未を置き去りにして帰ってしまった。誰も助けに来てくれない。
誰でもいい、助けに来て。ここから下ろしてくれるなら、何でも言うことを聞く。吊るされたまま暴行されても構わない。だから、助けて。
***
佐久間賢介が自宅マンションに帰ってきたのは午後6時を回ったころだった。彼はフリーのライターで、今日は仕事の打ち合わせのため出版社行った。
階段で三階に上がろうとしたとき、微かに人声が聞こえた。声のする方へ行ってみた。声は311号室から漏れている。この部屋の住人は相良奈々未という女性だ。奈々未は飛び切りの美人だ。同じ階に住んでいるので、必然的に顔を合わせる機会が多い。しかし、挨拶ぐらいしか交わしたことがなかった。美人の前では気後れしてしまうのだ。
ドアの前に立った。ドアの下にスリッパが挟んであるので閉まり切っておらず、それで声が漏れていたのだ。女性の一人暮らしにしては不用心だと思った。
「どうしましたか、具合悪いんですか・・・入りますよ」
佐久間賢介はドアを開けて部屋の中を覗き込んだ。
玄関に靴が何足も転がっていた。廊下にも脱ぎ捨てられたセーターやブラウスが点々と散らかっている。奈々未は顔はきれいだが、見かけによらず性格はズボラだった。
呻き声はまだ続いている。体調が悪いのか、それとも、二日酔いでグダグダになって倒れてしまったのだろうか。あるいは、セックスの真っ最中ではないかと疑った。だが、いくらなんでも、ドアを開けっ放しで抱き合うとは思えない。
よく見ると、廊下に落ちている服はどれもこれもビリビリに破れていた。賢介は散乱した服、ブーツ、化粧道具らしきものを踏まないように歩いた。このマンションはどの部屋も1LDKで、手前にリビングとキッチン、奥に寝室がある。キッチンの流しには弁当のケースや紙コップが突っ込んであり、電子レンジの扉は開きっぱなしになっている。だらしない暮らしぶりだ。
その先の寝室を覗いた。
それは、あまりにも異常な光景だった。
服を掛けるハンガーラックに女性が吊るされていた。
両腕の手首はハンガーラックの横棒に縛られている。ラックは前後に二つ置かれていて、低い方の横棒に大きく広げた両脚が膝を曲げて括り付けられていた。腕と脚を固定された宙吊り状態だった。背中の下に布団が置いてあった。それが支えになっているから完全な宙吊りではなかった。
そして、彼女は全裸だった。ブラジャーもパンティも何一つ身に着けていなかった。露わになったおっぱい、太ももや股間も丸出しだ。口にはタオルを銜えている。全裸で宙吊りになっている女性は、この部屋の住人、相良奈々未だった。美人の相良奈々未を間近で、それも、全裸姿を見られるというのは願ってもないほどの幸運だ。
だが、目の前の状況は異様すぎた。
彼女の性器にはバイブレーターが挿入されていたのだ。バイブは電池内蔵らしく、グイングインと低い音をさせて小刻みに動いている。
「うぐ、うう、ぐあっ、ああん」
見知らぬ男性が部屋に入ってきたので驚いたのだろう、奈々未は賢介の方を見て目を見開き、身体をブルブル震わせた。
部屋の中には人の気配がしないところをみると彼女一人だけのようだ。
賢介はデジカメを取り出して写真を撮った。スマホのカメラでも写した。全身の写真と顔が見えるアングルで何枚も撮った。憧れの奈々未の全裸だ。ライターとして、決定的なチャンスは逃さない。
さて、この状況はどう理解したらいいのだろうか。
恋人同士でセックスしていただけなのかもしれない。それなら、お楽しみの最中に勝手に入り込んだことになる。全裸宙吊りは、いささか変態だが、セックスの趣味は人の好みだから他人が口を挟む問題ではない。
このままの状態で帰ろうかと思った。
足元にビラが数枚落ちていた。拾い上げてみると、写真の入ったものと文字だけのものと二種類あった。文字だけのビラを先に読んだ。
【花嫁の正体暴露。相良奈々未は生まれついての淫乱オンナ・・・婚約者に隠れて年下の男と毎日セックスしている・・・結婚は中止だ】
もう一枚のビラは写真入りだった。
【悲劇のウェディング。311号室の相良奈々未は淫乱、ヤリマンで、そんな女のくせに玉の輿を狙って結婚しようとした。しかし、披露宴で全てがバレバレ、おまけにウェディングドレスを着てケーキの下敷きになった。これで結婚はキャンセルだ】
紙面の下半分には写真が二枚載っていた。ウェディングドレス姿の女性がワゴンらしき台車に乗っている。ドレスはビリビリに破れ、股間が見えている。花嫁の顔は、目の前で宙吊りになっている奈々未だ。もう一枚の写真はウェディングケーキの下敷きになっている場面だった。
二種類のうち、【花嫁の正体暴露】と題された物は結婚式でバラ撒かれたのだろう。写真入りの【悲劇のウェディング】にはウェディングドレスが写っているから、こちらは結婚式後に作られたものだと思われる。
相良奈々未は結婚式を挙げたらしい。ところが、そこで嫌がらせ為があった。過去の男性遍歴を暴露され、ウェディングドレス姿で恥ずかしい格好をさせられたのだ。これでは結婚そのものが中止になったに違いない。
裏面にも何か書いてあるのに気が付いた。赤いインクが透けて見える。
【披露宴と新婚旅行キャンセル料は風俗で働いて返すこと】
結婚は破談になり、先方から披露宴や新婚旅行のキャンセル料金を要求された。奈々美はそれを払うために風俗店で働かされるようだ。文面からは新郎が怒り狂っているのが伝わってくる。披露宴をめちゃくちゃにされたのだから当然だろう。
相良奈々未は結婚を巡るトラブルに巻き込まれたのだ。
その挙句が全裸宙吊りだ。
賢介は奈々未の口に入っていた布を取った。それは千切れたブラジャーだった。
「はあ、はああああ・・・助けて」
「ええ、助けてあげましょう」
ハンガーラックから下ろそうかとしたが、賢介は先にバイブを抜くことにした。
「あうっ、ああ、ああ、あっ、んん、んはああああぁぁぁ」
奈々未がビクンとのけ反った。バイブレーターに感じまくっている。賢介はバイブレーターに手を添えて抜こうとした。ゆっくりバイブレーターを手前に引いた。しかし、簡単には抜けなかった。膣が痙攣してバイブを挟んで放さない。
「抜いてぇ・・・抜いてよぉ。」
抜いてと言いながら、奈々未の腰が前後に動いた。太ももがピクピク震え、お腹の肉が波打つ。男は引き抜くタイミングを探っているのか、バイブを入れたり出したりした。それに反応して快感の声も上がった。
「はあ、抜いてっ、ぬ、抜いてったらぁ、ああん、ああん」
「ええ、抜いてますよ、だけど、おかしいなあ」
「あうっ、あうっ、もう、ダメッ、早く抜いてっ」
「何かが引っ掛っているんですよ。それとも、膣が喜んでいるのかな」
「あん、いい、いい、もっと、もっと、ああっ。ふあぁぁぁ・・・おほう」
バイブを半分くらい抜くと、中ほどに細工してあるのが見えた。
「なるほどね、真ん中あたりが太くなっているんだ」
さらに手前に引くとバイブが抜けそうになってきた。しかし、すぐに抜いてしまったのでは面白みがない。賢介はバイブをこね回した。奈々未の太ももがワナワナな震え、お腹が揺れる。奈々未が腰を引いた瞬間、賢介はわざとバイブを膣の中に押し込んだ。
ズブ、ズブリ
「うずはぁぁぁ、あっ、あっ、うわぁぁぁ」
バイブが根元まで食い込み、奈々未は絶叫した。賢介はまるで奈々未を犯しているような気分になった。
「ひっ、ひやぁぁぁ。い、いっ、いい、いい、いいのぉぉぉ」
「何がいいんですか」
「バイブがぁ、いいのよぉ。いい、いい、もっとぉ、セックスがぁ」
「感じちゃってますね、じゃあ、この辺はどうかな」
バイブの先端をグルンと回す。
グリ、グリ、グリリ、ビュズ、ズズズッ
「うっ、ひいいいい。ああ、もっと、もっと・・・××××、××××、あはあ、××××してぇぇぇ」
ガクン、ガクン
奈々未が全身を震わせたのでハンガーラックがガタガタ揺れた。
「うぐはぁぁ、いく、いくぅ・・・あぎゃあ、ぐあ、ぐあぁぁぁ」
一際大きく叫んで奈々未が達した。
ジュズ・・・ズズズ、ズボッ
賢介は奈々未の性器に食い込んでいたバイブレーターを引き抜いた。バイブには陰毛が絡みつき、愛液で濡れてギトギトに光っている。真ん中の辺りにイボイボリングが幾つも装着されていた。それでガッチリ食い込んで抜けなかったわけだ。これでは感じまくるのも無理はない。
「バイブレーターは抜きましたよ」
「はあ、ああ、ありがとう・・・あの、ここから下ろして」
奈々未が手足を動かして下ろしてくれるよう訴えた。ロープを外して自由にしてあげてもいいが、美人の全裸宙吊りなどめったに見られるものではない。それも相良奈々未であれば尚更だ。
賢介が「救急車を呼ぼうか」と訊くと、奈々未は首を振った。
「それより、ドアは閉まってる?」
「内鍵をロックして、チェーンも掛けました。僕が入ってきたときには、半ドアになってました」
「ああ、そうだったの」
「僕はこのマンションの住人で佐久間賢介といいます」
佐久間賢介は奈々未の股間に手を伸ばした。裸で宙吊りにされているが、その状況でも奈々未はきれいだ。それに引き換え、黒々としたアンダーヘアーと割れ目の肉襞はエロさで溢れかえっている。欲情を掻き立てられた。
クリトリスを剥き出しにした。
「あっ、あっ、ダ、ダメッ、いやあ、あああ」
「触るだけです、奈々未さん、それくらいはいいでしょう。こっちの身にもなってくださいよ、これで終わりではつまらない」
「はいぃぃ、でも、ああ、あっ、うっ、ひいいいい、あっ、あっ、あああ」
クリトリスを指でグリグリ潰すと、奈々未が全身を激しく痙攣させた。肉襞に差し込んだ指がグチョグチョに湿ってきている。
「いやああああ、あっ、あっ、あっ、うわ、うわああああ」
全裸宙吊りのまま、奈々未が四肢を振るわせて果てた。
奈々未は部屋の中を見回して大きなため息をついた。ワンピース、ダウンジャケット、プルオーバー、パンティやブラジャー、タンクトップなど、ありとあらゆる服が部屋に散乱している。それも、ビリビリに破れていた。買ったばかりのシルクのロングドレスも切り裂かれて無残な姿になっている。
服の山からブラジャーを拾い上げたが、紐が千切れていて使い物にならなかった。ずり落ちるブラジャーを手で押さえて笑うしかなかった。
全裸宙吊りの窮地から救ってくれたのは、このマンションに住む佐久間賢介という男性だった。彼は手足を縛っていたロープを外し、ラックから下ろしてくれた。
披露宴を台無しにした犯人関島麻里子は、裏社会の連中に捕まったらしい。麻里子は最悪の場合、生命の保証さえ危ういだろう。それに比べれば、全裸宙吊りで放置されたのは、それほど酷い仕打ちではないかもしれない。
佐久間賢介は悪い人間には見えなかった。バイブで弄ばれたりしたが、全裸宙吊りだったから逃げようがなかった。男なら誰でも同じようにしただろう。むしろ、いい人に助けられたと思う。賢介は奈々未のために食べ物を買うためスーパーへ行ってくれた。けれど、見返りにセックスを要求するに違いない。
彼が帰ってくるまでにシャワーを浴びておこう。奈々未は痛む身体を摩って、やっとのことで立ち上がった。
シャワーを浴びると、さっぱりした気分になった。普段、風呂上りは素っ裸だが、賢介が帰ってくるからそうはいかない。奈々未はゴミの山を掻き分けて、とりあえず着られそうな服を探した。無傷の服や下着が数点見つかった。裸を隠すには十分だ。
室内にビラが数枚置かれていた。結婚式で撒かれたモノ、ウェディングドレスで裸を晒した写真まで使われている。佐久間賢介もこれを見たはずだ。無関係の彼にも、結婚を巡るトラブルを知られてしまった。
スマホにメールが何通も届いていた。添付されたのは全裸宙吊りの写真だった。綾子が、つい、数時間前に撮った写真だ。さすがは秘書だけあって仕事が早いと、妙なところで感心した。
しばらくして佐久間賢介が帰ってきた。彼が買ってくれたコンビニのサンドイッチとカップスープで食事を摂った。空腹だったので生き返ったような思いがした。その間、賢介は散らかった服を片付け始めた。
「結婚したんですか」
賢介が手を止めて言った。
「ええ・・・だけど、そのビラにある通りよ。ウェディングドレスは破かれるし、ワゴンに括り付けられて、さんざんだった」
「酷い目に遭いましたね」
「結婚も新婚旅行も取り止めになって、そのキャンセル料を払う羽目になったの」
「キャンセル料を請求されたんですか。それは行き過ぎだなあ。むしろ、僕には奈々未さんが被害者のように思えますね」
同情してくれる相手が現れたので気持ちが和んだ。
「キャンセル料って幾らぐらいですか」
「200万円払って、あと100万円残ってる。貯金は50万くらいあるけど、キャッシュカード奪われちゃった。脅されて番号を言わされた」
「銀行でカードを止める手続きしてください。引き下ろされているかもしれない」
「明日行くわ。ねえ、一緒に銀行行ってくれませんか。一人じゃ心配」
一人では銀行の手続きができるかどうか不安だ。
「いろいろ買ってくれたみたいですけど、そのお金もすぐには払えないわ」
賢介は食べ物の他に、パジャマ、シーツや毛布なども買ってきた。代金1万2千円は、彼が立て替えている。現金はないし、キャッシュカードも取られたので、すぐには返せそうにない。
奈々未は彼の手をとって胸を触らせた。
「買い物代金、身体で返してもいいわ」
今のところ頼りになるのは佐久間賢介だけだ。なんとかして繋ぎ止めるしかない。
「奈々未さん、ずっと前から、あなたのことが気になっていたんです。美人だし、スタイルいいし」
しかし、賢介は途中で手を止めた。
「宙吊り状態では身体が疲れているでしょう。今夜はゆっくり休みなさい。それに、バイブレーターを入れられていたんだから、無理は禁物だ」
翌日、二人で銀行に行った。結果は最悪だった。
ATMで通帳を記帳すると、奈々未の口座には8千円しか残っていなかった。奪われたカードを使われてしまったのだ。すぐにキャッシュカードを止める手続きをした。
状況はとんでもなく悲惨だった。100万円返済しなければならないのに現金はゼロ、口座の残高は8千円だけになった。食べ物も服も化粧品も買えないし、電気代や携帯代金、家賃も払えない。
佐久間賢介とは銀行の前で別れた。彼はこれからバイトがあるということだ。ライターの仕事だけではやっていけないので、時折バイトを入れていると言った。奈々未は彼にお金を借りてオニギリやお菓子を買った。
夜、バイトを終えた佐久間賢介が帰ってきた。唐揚げ弁当を買ってきてくれたので彼の部屋で一緒に食べた。食事中は裸エプロンで身体を密着させた。明日も、明後日も賢介の世話になるのだから手段を択んではいられない。
「シャワー浴びようか・・・いろいろ立て替えてくれたお礼をするわ」
裸エプロンの次はシャワータイムになった。二人でシャワーを浴びて、その勢いのままベッドインだ。
狭いバスルームで全裸になる。奈々未はボディソープを泡立てて身体に塗りたくる。スイスイと手慣れたものだ。奈々未が泡だらけの身体を押し付けた。おっぱいの肉がペタペタと音を立てる。ぷっくりしたお腹もくっつけた。おっぱいもお腹も泡で滑りがよくて、エロいムードになった。
あの手この手の濃厚なサービス、どうみてもソープ嬢のサービスだ。
今度は下半身を絡ませる。太ももを広げ賢介の膝のあたりに擦りつけた。アンダーヘアーがジョリジョリと擦れた。びっしり生えた濃密なアンダーヘアーには、こんな凄い使い方があった。
奈々未は舌を出して顔を寄せた。
「はあぁぁぁ、うへぇぇ、はあぁぁ」
目を細め、口を開け、恍惚とした淫らなオンナの表情になっている。
膝に擦り付けられるアンダーヘアー、胸に当たるおっぱい、彼の目の前に迫るきれいで卑猥な顔。肉体を駆使した奈々未のサービスが続く。
賢介が手を伸ばして奈々未の下半身を探った。奈々未はそれに応じて片足を持ち上げ触りやすくした。ぷよぷよした柔らかいお腹の下のゴワゴワとしたヘアー。
「んん・・・んふ、ああ、あっ、あっ」
「ああ、奈々未さん」
スルリと体勢が入れ替わって奈々未が背中に回った。賢介の背中に奈々未のおっぱいが当たる。手を回して賢介のペニスを掴んだ。手のひらで包み込んでシュルシュルとしごく。ソープ嬢仕込みのテクニックにペニスがビンビン勃起した。奈々未のソープ嬢テクニックで賢介のペニスは爆発しそうだ。
タオルで裸を隠すこともせずベッドに行った。ベッドに並んで横になる。
「明日から二泊三日で関西方面へ行くんだ。お祭りとか温泉の取材もしてくる」
「いいなあ、温泉か。でも、一人になるのはちょっと心配」
「僕が留守の間に弁護士から連絡があっても、体調が悪いとか言っておきなさい」
体調が悪いというのはいい口実になりそうだ。
「弁護士との面会には僕も同席しよう、奈々未さん一人で行ってはダメだ」
「一緒に行ってくれるの、それ、安心だわ」
「知り合いに司法書士をやっている男がいる。弁護士ほどではないとしても、うまく交渉してくれるだろう」
この間は奈々未が一人で呼び出されたので弁護士に押しまくられたのだ。彼が言うように交渉事は代理人に任せるべきだった。
「当面の生活費で三万円あれば間に合うよね。月末に引き落とされる光熱費やスマホ代とか家賃なんかは僕が用意するから心配しないように」
「ありがとう。家賃が一番高いかな、家賃が・・・」
「引っ越しするつもりだったんだしょう、奈々未さん」
「そう。だから冷蔵庫とか洗濯機を処分しちゃった」
「それなら、僕の部屋の洗濯機を使ってもいいよ」
「ホント、助かる・・・でも、いつまでも面倒掛けるのは申し訳ない気持ち」
奈々未は身体を密着させ、おっぱいをくっつけた。
「奈々未さん、ここに引っ越してこないか」
「一緒に暮らすってこと?」
佐久間賢介が同居しようと言うのだ。つまり、同棲だ。
「1LDKでも二人で住むのは問題ない」
本宮正弘と結婚していれば4LDKのマンションで暮らすはずだった。それが、1LDKで同棲する羽目になってしまった。しかし、家賃を払える見込みがないから、彼の提案はもっけの幸いだ。
「それから、例のビラに書いてあった、年下のカレとは、今後、絶対に会わないようにしてもらいたいんだ」
年下のカレ、悠斗と二度と会わないようくぎを刺された。賢介に金銭的援助を受けるにはそれも約束するしかない。もっとも、お金がないから悠斗と会う余裕などなかった。
「分ったわ・・・もう会わないって約束する」
「それなら、キャンセル料の残りが100万円、僕が工面してあげよう」
助かったと思った。これで100万円を用意できる目途がついたし、当面の生活には困らない。
「賢介さん、お願い、奈々未にお金を貸してください。返せなかったら、この××××で返すから」
「奈々未さん」
お金を借りられるのであれば、セックスはもちろん、変態行為であろうとも、SMプレイであろうとも、どんな要求でも受け入れなければならない。
「奈々未さん、ずっと、奈々未さんのことが好きだった」
賢介が身体を重ねてきた。彼が脇の下を舐め、おっぱいを吸う。ツブツブの目立つ乳輪をいじり、黒ずんだ乳首を吸った。愛撫はお腹、下半身へと移った。
ゴワゴワとたっぷりしたアンダーヘアー。奈々未のきれいな顔からは想像もつかない剛毛ヘアーだ。ヘアーの生え際を舐め、割れ目に続く柔らかい肉を舌で辿る。
「あっ、あはぁ・・・ひっ、あん、あん」
奈々未の下半身がピクピクと痙攣した。賢介は脚を開かせると、その間に入り、太ももを抱えて蹲った。とたんに隠微な匂いが漂ってきた。
赤紫色の肉襞はすでにヌメヌメと濡れている。美人の奈々未の性器、美人の奈々未の肉襞。肉襞の周囲には黒い陰毛がまとわりついている。淫乱、ヤリマンの性器。しかも、バイブレーターを突っ込まれた性器だ。
賢介が肉襞に口を付けた。
ジュッ・・・ズズ、ズッ
「あああああ、あううう、あっ、あっ、つつつつう」
ペロ、ペロ、ジュル、ジュルルル
「つはあぁぁぁ、うっ、うっひ、うう、うきぃぃぃ」
奈々未は嬌声を上げてのけ反り、股間を突き出して賢介の頭を押さえ付けた。性器が賢介の顔に押し付けられた。肉襞の中へ舌が吸い込まれ、鼻が肉襞にくっついた。ヌルッとした粘液で鼻が濡れ、オンナの匂いが漂った。
けれども、セックスはそこまでだった。
賢介は奈々未の体調を心配して、交わるのは遠慮しておくと言った。バイブを挿入されていたのでそれを気遣ってくれたのだ。セックスは取材から帰って来てからだ。