【5】
湊祐衣は週末の三連休、安藤徹の別荘に行くことになった。
二度目のデートで彼の部屋に招かれ、全裸ペッティングしたまではよかったが、次の約束はしてもらえなかった。性器を舐められただけでポイ捨てされてしまった。今回もダメだったかと諦めかけていたとき、彼から連絡がきて、三連休を利用して別荘に来ないかと誘われた。二泊三日の支度をしてきてくれということだった。
お泊りデート、しかも、彼の別荘だ。別荘に籠って朝から晩まで、やることといえばセックスだけ。これは期待できると喜んだのだが、仕事を兼ねているそうだ。そうなると、二人きりではないかもしれない。仕事関係者や家族と行動を共にするなら服装もシックなもの必要だ。もっと詳しく聞いておくのだった。今度が三回目のデートだから、まだまだ意思の疎通ができていない。
お互いの心を通わせるには身体の結合こそが大事なのだ。
祐衣はベッドに仰向けに寝た。この間、奈々未に押し売りされたバイブレーターを取りだした。
バイブレーターは緩やかなカーブを描いた三又構造になっている。先端にはイボイボが付いていて、これがクリトリスを刺激する。真ん中はペニスそのもの。その下は小さなダンゴが幾つも繋がっていて、この突起がお尻に穴に入る。こんな凄いモノがあるとは知らなかった。ラブホテルではこのバイブを挿入されたまま失神してしまった。
別荘で安藤徹とセックスするのを想定して予行演習をしておくことにした。
祐衣は脚を持ち上げ、バイブのペニス部分を肉襞に押し当てた。ゼリーを塗ったので先端部が半分くらい入った。ペニスが完全に収まるためには、もう一方の突起をお尻の穴に入れる必要がある。
「無理、無理、これは無理だよ」
肛門がキュッと締まって突起は全然入っていかない。肛門にもゼリーを塗り、身体の力を抜いて息を止め、ゆっくり入れる。それでもうまく入らないので、手のひらでバイブ全体をグッと押し込んだ。
「うっ、ううん・・・もうちょっと・・・あう」
ズニュ、ズニュリ。
ペニス部分が膣に、そして、もう一つの突起がお尻の穴に収まった。同時に、クリトリスにはイボイボが擦り付けられる。
「うひょぉぉ、おひょ、おひょぉぉぉ」
これは刺激が強い。
三か所を一遍に刺激され、祐衣の下半身がブルルッと揺れた。脚を持ち上げ、バイブに合わせて腰を振った。ベッドはギシギシ音を立て、お腹の肉がペタンペタンと波打つ。膣がヒクヒク蠕動運動を始め、お尻の穴はヌルヌルと喜んでいる。
「ああっ、ああっ、いい、いい、いいったらぁ・・・もっと、もっと」
抱き枕に跨って抱きしめ、股間を押し付けた。
「おっひょぉぉぉ、いい、いいわ、××××して、徹さん、徹さ~ん、好きよぉ、ああ、イクゥゥゥゥ」
徹と叫んであっけなく絶頂に達した。
「はあ、はあああ・・・ああ、あれ」
バイブレーターを抜こうとしたが、膣がペニスをガッチリ銜え込み、お尻の穴はギュッと窄まって突起を締め付けて放さない。
「いやだ、バイブが抜けない、抜けなくなっちゃった、いやだぁ」
抜けないのなら、もっとバイブを楽しもう。祐衣は四つん這いになってお尻を上に突き上げた。
「徹さん、祐衣のお尻よ、祐衣のお尻あげる、徹さん、大きいお尻好きでしょ。祐衣のお尻使ってぇ」
突き上げたお尻が揺れる。横にブルブル、前後にググン、ググンと動く。初めて経験するがこれが後背位だ。四つん這いの後輩位は男に屈伏して、征服されている気分になる。
気持ちいい、これなら徹も満足してくれることだろう。
「ああっ、ああっ、いい、いいの、徹さ~ん、祐衣のお尻、お尻、虐めてぇ」
結局、バイブが抜けたのは一時間後だった。溢れ続けた祐衣の愛液でシーツがびっしょり濡れた。
連休初日の朝、安藤徹の運転する車で別荘に向かった。別荘は千葉県のW市にある。そこは彼の会社が所有する別荘地で、安藤家の別荘もその一角に建っている。マンションや別荘は、徹にとってのホームグラウンドだ。まだ、付き合い始めたばかりだから、彼の得意なテリトリーでデートしようとするのは理解できる。
徹は、その別荘地は東地区と西地区に分かれていて、彼の会社は東地区の別荘を管理運営していると言った。
「徹さんの、別荘地、丸ごと持っていらっしゃるんですね、凄いわ」
「今度、西地区の別荘地も我社が所有することになりました。ホテルのカフェで祐衣さんを見かけたことがあったでしょう、あのときに契約を結んだんです。まだ仮契約の段階ですけど、今月中には本契約まで漕ぎつけられる見込みです」
「そうだったんですか。お仕事がうまくいきますようお祈りします」
「僕にとって祐衣さんは幸運の女神なんです。こうして別荘に招待できて嬉しい。けれど、仕事絡みになってしまうのはお許しください」
「徹さんはお忙しい方ですから、お仕事を優先してください。むしろ、お邪魔にならないかと心配です」
「泊まるのは二人だけです。僕たちの邪魔をする者はいません」
どことなく話が噛み合わなかった。付き合って三度目のデートだから、まだまだ意思の疎通ができていないと思った。
それにしても、とんでもないお金持ちと付き合うことになったものだ。マンションは6LDKだし、一軒の別荘どころか広大な別荘地を持っているのだ。こうなったら、徹に気に入られるためには何でもする。命令には従うし、ド変態趣味でも全部受け入れる。
サービスエリアで軽い昼食をとり、近くのスーパーに寄ってパンやジャム、レタス、トマトなどを買い込んだ。徹が銀行の封筒を渡して、この金で別荘にいる間の買い物代金を支払うようにと言った。中を見ると10万円入っていた。レジでお金を払うとき、彼の奥さんになったような気分だった。他にも茶封筒を二通渡されて、それは、管理人へのチップだということだった。
別荘に着いた。門扉は重厚そうで、玄関までは芝生の庭に石畳が続いている。門扉の両脇だけは石の壁だが、周囲は生垣に取り囲まれていた。建物は二階建てで、玄関は美術館の入り口みたいな造りになっていた。二階部分には半円形のガラスの窓が見えている。
玄関を上がって室内に入った。窓を開け空気を入れ替える。庭も広い、テニスコート二面くらいはありそうだ。
「すてきな建物ですね」
「一階はキッチンとリビング。二階に三部屋あるので、祐衣さんは階段の右手の部屋を使うといい」
一緒に寝ると思い込んでたのに寝室は別々だった。少し残念だ。
そこへ別荘のスタッフがやってきた。女性三人と男性が一人で、彼らは室内の掃除を始めた。キッチン、リビングに掃除機をかけ、テーブルやソファを拭いている。男の人は寝具を干した。祐衣は何もしないのも申し訳ないので食器を拭いたりして手伝った。
徹はパソコンを開いて、いかにも、忙しい経営者といった風情である。別荘地の所有者だからそれも当然だ。徹が祐衣を手招きした。
「祐衣さん、さっきの封筒を管理人さんと清掃スタッフに渡してください」
男性スタッフと思ったのは別荘の管理人だった。祐衣は預かった二通の茶封筒を管理人と清掃スタッフに渡した。
「二泊三日でお世話になります、管理人さん、よろしくお願いします」
「管理人の大河内です。奥さん、ご丁寧にありがとうございます」
管理人は心付けを受け取ると、「何でもお申し付けください」と深々とお辞儀をした。奥さんと言われて悪い気はしない。しかし、徹の奥さんではないのだから、きちんと「湊祐衣です」と名乗った。
室内の掃除はテキパキと進み一時間ほどで終わった。
清掃スタッフが引き揚げたあと、二人でソファに座って庭を眺めた。きれいに刈り込んだ芝生、周囲の木は剪定されていて手入れが行き届いている。
「今夜はバーベキューに行きます。それまで、しばらくは二人きりだよ」
抱き寄せられてキスをした。吸い合って舌を絡め、キスを楽しむ。徹の手が祐衣の胸をまさぐり、太ももへ伸びる。徹が脚の間に顔を近づけたので、祐衣は立ち上がって彼の頭を招きいれた。
「祐衣さん、祐衣さんが好き」
「ああ、ああ、うん、いいよ、いいよ、お姉さんのパンティ・・・舐めて」
「クン、クン、ンフ、ンフ」
徹がパンティの前を舌で舐め、鼻を擦り付けてきた。完全な甘えん坊だ。こんな姿を管理人や別荘のスタッフに見られたら、社長としての権威が失墜し兼ねない。今は二人だけなので、徹がやりたいようにパンティを舐めさせた。徹がパンティからはみ出した祐衣のお尻の肉を掴んだ。彼は祐衣のお尻の肉が好きなのだ。
「あっ、ああ、いい、ああん」
徹の肩に脚を乗せて完全に密着させる。頭を抱え、腰を軽く振っていると、ビンビン感じてきた。
「いやん、いやだってばぁ」
腰が沈んで、徹を床に押し倒した。顔の上に跨り、腰を前後に動かす。
「ああ、ああ、いい、いい、徹さん、好き、好きぃぃぃぃ」
パンティ押し付けの顔面騎乗で果てた。
夕方、別荘地内のバーベキュー施設に行った。この日は別荘の利用者に無料でバーベキューを振舞うということだ。焼き肉も飲み物もすべて無料で提供するとは気前が良い。さすがは社長だ。
歩いていると、和風の建物、ログハウス、エーゲ海にありそうな白い建物など、それぞれの別荘は趣向を凝らした造りになっていた。垣根や庭木はもちろん、街路樹もきちんと手入れされていた。
「広いでしょう。サッカー場五個分くらいはあるんです。そこに別荘が四十軒と合宿などが建ってます」
「サッカー場五個だなんて想像もできないわ。掃除が大変そうね」
「定期的に植木屋さんを頼んでいるし、普段は管理人さんが庭木の剪定をしている」
「さっきの管理人さん、大河内さんに、『奥さん』と言われちゃった」
さりげなく、奥さんと見られていることを強調した。徹はそれでいいというように何度も頷いた。
「あの人は高校の先生だったそうだよ」
学校の先生とは、なかなか異色の経歴を持つ管理人さんだった。
バーベキュー会場に着いた。テーブルと椅子が用意され、その一角にバーベキューのためのコンロがあった。十人ほどが忙しそうに働いている。ここでも祐衣は徹から心付けを預かってスタッフに渡した。
祐衣はいきなり受付を任された。徹に指示されたのは、お客さんの名前と人数を一覧表と照らし合わせて確認することだった。だが、初めてなので誰が誰だか分からない。すると、管理人の大河内が到着した家族ごとに、山田さん一家、今度は石原さんと教えてくれた。管理人は元教師だけあってよく気が付く。おかげで無事に受付をこなした。
お客さんの中には交番勤務のお巡りさんもいた。吉川というお巡りさんで、管理人によると、別荘地のパトロールをお願いしているということだった。
徹はお客さんの間を回って挨拶していた。三十人ほどのお客さんが集まり、子供も十人くらいいる。
時間になると、徹の挨拶でバーベキューが始まった。祐衣の置かれた立場はなかなか微妙だった。徹の奥様を気取ろうものなら、別荘の住人からも、スタッフからも、出過ぎたオンナだと後ろ指を指されかねない。そこで、祐衣は会場スタッフに混じり、肉を焼いたり、生ビールを注いだりした。それでいて、徹の側に座って一緒に焼き肉を食べ、特別の存在だという印象をアピールした。
子供たちにアイスクリームを配り、花火もやった。祐衣は子供たちから「お姉さん」と呼ばれた。そろそろ「オバサン」の年齢だが、やはり、気分はいい。もっとも、徹も祐衣のことを「お姉さん」と言うので、そう呼ばれるのにはすっかり慣れている。
お開きの時間になると、お客さんは口々にお礼を言って帰った。なにしろ、肉もビールも全部無料なのだから、それも当然だろう。山田さんから「奥さん、今日は楽しかったよ」と言われて、またまた舞い上がってしまった。着かず離れずの作戦が功を奏したらしく、祐衣は、スタッフにもお客さんにも好感を持って受け入れられたようだった。
帰り道、徹と手を繋いで歩いた。
「何だか働かせちゃったけど、おかげでバーベキュー大会はうまくいった。大成功だ」
「親戚の飲食店でバイトしてたことがあったの。だから、サービスするのは得意よ」
祐衣は、徹が自分をバーベキュー大会に連れて行ったのは、どのように行動するのか試したのだろうと思った。恋人として、結婚相手として適性をテストされているのだ。とりあえず、合格点をもらえたと思う。やはり、徹と結婚するにはまだまだクリアしないといけないハードルがありそうだ。
別荘が見えてきた。門扉を開けるとき、徹が、「今晩、お願いできますか」と小声で言った。祐衣は、「はい」と答えて手を握り返した。
セックス、これもハードルの一つなのかもしれない。
別荘の風呂は大きくて、子供なら泳げるくらいだ。普段はユニットバスで窮屈な思いをしているのに、ここでは手足を伸ばして入浴できた。さながら温泉気分だった。
風呂上りにはバスローブを着た。部屋でお肌の手入れをしながら、徹がノックするのを待った。バスローブの下はパンティだけを穿いている。全裸ではいかにもヤル気満々だし、30歳過ぎて焦っているのが見え見えだ。
いよいよ抱かれる、セックスだと思うとドキドキしてきた。コンドーム用意してあるのかとか、どんな体位でヤルんだろうとか、フェラを強要されたらどうしようかなどと、あれこれ考えてしまう。そもそも、この部屋でヤルのかも分からない。
まあ、その場のなりゆきよね。でも、一回抱かれて終わりなのかな。ヤッたあとで、別荘から追い出されたらどうしよう。外は暗いからせめて朝までいさせて・・・
ドアがノックされた。祐衣は「はーい」と元気に答えた。
「祐衣さん」
「徹さん」
見つめ合ってキスをした。今夜も優しいキス。二度目は舌を入れて吸い合った。舌と舌を絡め、舐め、唾を交換した。徹の手がバスローブの中に滑り込んでくる。祐衣は自ら紐を緩めた。
ブルン、おっぱいを露わにした。
「きれいなおっぱい」
おっぱいを揉まれ、乳首を弄られる。陥没していた乳首が立ってきて、乳輪も膨らんで張ってきた。
「あは、あああ、ああん」
徹に促されて祐衣は立ち上がった。予想通り、徹が正座して下半身にしがみついた。腰のクビレを抱き、お尻を撫でる。撫でるというより肉を揉む。揉みながらパンティの前にキスをした。
「祐衣さん、ああ、祐衣さん、好きだ」
これが好きなのだから、祐衣は徹の頭を抱え込み、太ももでガッチリ挟んであげた。
「お姉さん、祐衣様」
とうとう祐衣様だ。
祐衣がベッドに横たわると徹がパンティを脱がしにかかった。祐衣は腰を浮かせ脱がしやすくした。パンティがスルっと脱げた。徹は両脚の間に身体を入れて屈みこんだ。アンダーヘアーに息がかかる。ヘアーを舐められ、太ももの付け根にも舌が這う。太ももがプルルっと揺れた。
「う、んん、んはあ、ああああ」
徹は時間を掛けて前戯を続けた。クリトリスの皮を捲り、肉襞を指で撫で回す。祐衣は力を抜いて身を委ねた。緊張もほぐれ、肉襞も緩んできた。
彼がコンドームを装着した。
それから、祐衣の膝の下に手を入れて脚を持ち上げた。パコ~ンと股を広げる。アンダーヘアー、ピンクの肉襞、恥ずかしい部分が全開だ。
「祐衣さん、お願いします」
「はい・・・徹さんにお任せします」
祐衣の肉襞に徹のペニスが触れる。しかし、徹はすぐには入ってこなかった。性器の入り口が分からなくて戸惑っているようだ。
童貞なのだろうかと思った。
これではセックスができない。
ペニスを握って導こうとしたが、それでは徹の自尊心を傷つけてしまう。『初夜』に恥をかかせてはいけない。祐衣は微妙に腰の位置をずらし、徹のペニスを誘い込んだ。
ここよ・・・
ズ、ズニュ、やっと挿入された。ペニスはゆっくり進みスッポリ収まった。
「あっ・・・ああ、ああ」
久しぶりの完全な合体だ。最初は痛みもあったが、交わっていると、だんだん気持ちが良くなってきた。肉襞も膣も徹のペニスを受け入れて喜んでいる。性器から立ち上る快感が、背骨を伝って頭の中にも広がった。
「ああ・・・ああ、いい、いいの、ああ、徹さん」
「はあ、はあ、祐衣さん、好きだ、好きだ」
「好き、はあ、ああん、ああん、あっ、あっ、あっ、あああぁぁぁ」
この男を放したくない。
祐衣は徹の背中に腕を回してしがみついた。右脚を胴体に掛け、軽く絡めてみる。
初めは性器の入り口さえ分からず焦っていたが、一度交われば男と女だ。徹の動きが激しくなった。
「ああ、ああ、祐衣、祐衣、あああ、あうっ」
「きて、きて、徹さん、徹さん、ああ、ああっ、ああああ、いぃぃぃぃ」
「ううっ、うっ」
徹が先に果てた。
射精のあと、抱きしめてくれたり、肉襞を舐めてくれたのは嬉しかった。
最初の行為としてはまずます満足した。彼はセックスの間、ずっと遠慮がちだった。童貞ではないとしても、女性の扱いに慣れている方ではなかった。そんな彼に恥をかかせることがなくてよかった。遊び慣れているタイプではない点は好感が持てる。
その夜は一回だけで終わった。
抱いてくれたのは嬉しかった。けれど、セックスのあと、彼は自分の部屋に戻っていってしまった。一人にされたのは寂しかった。
一人になってあれこれ考えた。
女神様のようだと崇めていたけど、抱いてしまえばタダの女だったと思われたのではないだろうか。それも、年上の女、お姉さん、もっと言えば「オバサン」だ。別れる理由はいくらでもある。でも、祐衣の方が年上なのは最初のデートで承知のはずだ。分かっていて、マンションに呼ばれたり、こうして別荘にも招かれた。それに、セックスしているときに何度も「好きだ」だと言ってくれた。
徹を信じたい・・・