ふたなりライアちゃん 作:飯妃旅立
ぺち、ぺち、ぺちと……そそり立つ肉棒に触れるは三対六枚の手。
あまりにも短い指。あまりにも狭い手のひら。あまりにも短いその腕は、男性器の隣にあるだけで背徳感と罪悪感を生み出す。
「きもちいい? ライアちゃん」
「は……はい、師匠。気持ちいいです」
「それは良かった。これからも気軽に相談ちてね。あたちたちはライアちゃんを受け入れるから」
にっこり笑顔で、物怖じのしない顔で、少女の師匠……師匠たちは剛直を〝こすこす〟していく。
ともすれば水圧ほどもない弱い刺激。
けれど、刀身を撫でる皮膚のざらつきが、亀頭を掠める指の凹凸が、どうしようもなく甘く、強い。六枚の手が思い思いに動くから、思わぬ方向から刺激がきて……慣れる、ということができない。
砕けていく腰に少女は思わず喘ぎ声を出す。
ピキピキとさらに固さを増していく男性器。伴い、それに喜んでさらにさらにと刺激を増やす師匠たち。
でも、イけない。
罪悪感だけでは精を吐き出せない。
少女が思い起こすは当然セイレンスだ。少女の機微に合わせた前後への刺激、セイレーンであるからか野生的に「放精」を測ることのできるそのためだけの動き。
あの大きくぬらぬらした口で。長い海藻のような舌で。しなやかな指、あでやかな胸元……。
そのセイレンスに言われて師匠……トリスビアスに事情を打ち明けたアグライアだったけれど、やはりこれに関してはセイレンスを頼ることにしよう、と。
そこまで思い至ったあたりで──今いる師匠たちの内の一人、トリアンがその言葉を吐いた。
「よし! やり方はあってるみたいだし、ボクたちの中で誰が一番早くライアちゃんをイかせられるか勝負だ!」
「わかった……」
「そんな、ライアちゃんをおもちゃにするみたいなことは……」
「い、いえ師匠、ありがたい限りですが……その、これについての知識を持っておられるのですか?」
「それについてはさっき情報提供を受けたの」
「だ、誰から……なんて聞くまでもありませんね」
「そういうこと!」
一見して無垢で無邪気。無論アグライアはトリスビアスが〝こう〟なった経緯をだいたい把握しているけれど、当然彼女の性知識まで網羅しているわけではない。
だから、「イく」とか男性器のこととか、そういうのを知っている、というのが理解できなかった。
できなかったけど、情報提供者……恐らく伝言の石板によって行われたその「提供」で知識が補完されたのだと
じゃあ、いくぞ~! なんて元気な声を出したトリアン。
──そこから、想像を絶するほどの容赦ない責めが開始された。
「お、おおお、ぉぉおぉっ!?」
ゴシゴシゴシゴシ、だ。オノマトペとして正しいのは。
先程までの弱い刺激などどこへやら、トリアンはまずアグライアの亀頭を両の掌で挟み込み、激しい激しい摩擦を始めた。ただでさえ敏感な亀頭。それを、普通の肌にされても「熱い」と感じるほど擦って、擦って、擦りまくる。
少女の足がピンと伸びていることなど関係ない。トリアンにとってこれは「先ほどの行為の延長線上」だし、アグライアが〝気持ちいいです〟と認めていることだから、この反応は〝たくさん気持ちよがっているんだ〟と判定した。
事実少女の顔は喜色満面だ。そこから戻ることができないほどに。
未だ少女の身なれど「常に冷静」と称される金織卿はどこにもいない。むしろその顔を破顔させられたことを喜ぶトリアン。
「あたしたちは、よくわからないのですが、ここも関連性があると聞きました」
「は、ぅぁ!?」
ぎゅむ、と抓まれるは乳房の先端。
それは少女のやり返し……セイレンスにも気持ちよくなってほしいという少女の願いがそうさせた〝女体の快楽の求め方〟であり、男性器が生えたからといってアグライアから乳房が消えるわけでもなし。
セイレンスも常日頃から「ワタシがここまで気持ちいいのなら、キミも気持ちいいはずだ」と言っていたし、普段自身ができていないことを〝師匠たち〟に伝えたのだろう、なんて真っ白になりかける頭で考えるアグライア。
「うわ、ちんちんが跳ねた! トリノン、妨害すんなよー!」
「でも見て、トリアン。ライアちゃんは……気持ち良さそうです」
「あれ、ホントだ。じゃあもっとやってあげた方が良いな!」
アグライアにとってトリスビアスは尊敬する師匠である。最初の半神であり、少女では想像もつかないほどの苦しみの中を生き続けてきた黄金裔。
ただ尊びがどれほど大きかろうと、今の師匠たちは子供の姿で、思考も半分ほどは子供。
それが今、少女の剛直と乳首を一心不乱に弄っている。遊ぶ玩具のように、ごしごしカリカリと。
──事実は彼女の男性器をより一層固くさせた。
「あ、ぁ、が……が、ぶっ……!」
「この崖みたいになってるところ、すごいな! お皿みたいに持ち上げるとびく、びくっって!」
「はぁぁぁぁんっ!? そ、そこ、ぅあ……!」
「乳房全体に、張りが出てきたように、見えます……これ自体も、揉むと、快感を生むと聞きました」
「あっ、あっ、あっあっ……上も下も……ああっ」
「擦れるのがきもちいいってことは、これはどうだ?」
「爪……! 爪は、あぁっ……刺激が強すぎ……!」
こうなる事態を少しだけ想定していた──期待していた、が正しいが──というのはあるのだろう。だから彼女は自身を縛り付けていた。快楽で暴れて、トリスビアスを傷つけてしまわないように。
そこへ来る想定以上の快楽。身体を捩らせるくらいしか逃げ場を作ることができず、そのほとんどの刺激が亀頭へ集中する。
「けど、中々でないなー」
「足りない、のかな……」
「はっ……はっ……い……いえ、気持ちいい、ですよ……師匠……」
「それならいいけど……って、あれ、トリビー。参加しないのか?」
「トリビー、どうしたんですか?」
けれど、最後の一人の不参加で責めがぴたりとやむ。
イきたい。射精したい。その気持ちが宙に浮いたまま、ぼろんと離される剛直。
「ほ……本当に大丈夫? ライアちゃん、気持ちいい? あたちたちに気を遣ってない?」
心配、だった。
呼吸を忘れるほどよがっていたからか、はたまた快楽の雄叫びが普段のアグライアと違い過ぎたからか。
そして、ここが
ここで……本当はつらいです、と言えば。
師匠たちはもう少し優しい責めにしてくれる。あくまでアグライアが快感を覚えていると判断したが故の行動であり、トリアンもトリノンも自身の楽しみのために行っていることではないからだ。
ただ、ここで。
とても気持ちいいです、と言ったら──果たしてどれほどの。
「師匠……私、は……」
「う、うん。ライアちゃん、あたちたちに気を遣わないでいいからね」
不安そうな表情の三人。
イききれず、射精できず、欲求だけが中空に浮かんだままの剛直。
経験を積んできたセイレンスのものとは違う、無知であるが故の容赦のなさは。
「……とっても、気持ちいいです。思わず言葉を忘れてしまうほどに」
「ほんとう?」
「ホントか、ライアちゃん。無理してないか?」
「あたしたちは、ライアちゃんの好きなことを、してあげます」
「本当です。むしろ、その……途中でやめられてしまうと、私はまたプライベートルトロへ閉じこもり、一人でこれを発散させる日々を選ばないといけなくなります」
「──そっか」
なら、わかったよ、と。
トリビーはにっこりと笑って──。
「お゛、お゛ほ、ぉぉ゛ぉぉぉお゛っ、ぉ゛ぉ゛お゛おお゛おおお!?」
さらに容赦ない責めを開始した。
「うわ、すごいぞ。ライアちゃんのちんちんとんでもなく跳ねてる!」
「乳首の、屹立も……先ほどまでの、比ではないですね……」
「あたちたちの指は、細いからね。セイレンスちゃんの指じゃできないことをちてあげる」
ずぼずぼずぼずぼと入っては出て入っては出てを繰り返すトリビーの指。
本人の言う通り細く短いその指は──アグライアの男性器、そこについた小さな穴をほじくり返す。
尿道。そう呼ばれている場所だ。
その口にトリビーの小指が入って出て、入って出て……亀頭という〝外側〟からの摩擦はトリアンが、尿道という〝内側〟からの刺激はトリビーが担当することで、もはや摩擦快楽に歯止めはかからなくなった。
パチパチと脳で弾ける火花。ピンと伸びた足とその足裏へ溜まっていく灼熱感。
とはいえトリビーもトリアンも機械ではない。黄金裔とはいえ、呼吸を必要とする生物だ。だから時折休憩が挟まって──その間を縫うようにしてトリノンの乳首責めが走っていく。
休みはない。一息つく暇などない。
未だ刀身は掴まれていない。本来であればここに一定以上の力が加わらないと射精はできない。
そのはずだった。
「う……ぅ、ぉあっ!?」
どりゅ、ぷぷぷ……と。
白金色の体液が吐き出される。それは真正面にいたトリビーとトリアンに降り注ぎ……。
「うわっ!?」
「え、あ……ライアちゃん、おちっこしちゃったの?」
その無知さ加減に、さらなる罪悪感が生まれた。
ぬと、ぬと……なんてまたも淫猥な音が響く。
「そんなこともありましたね」
「は、はい……あの時は自我が吹き飛ぶかと思いました」
「ボクたちにちんちんは無いからなー。ホントはどんな感じなのかとかわからないんだ」
「でも、本当に気持ちよかったみたいでよかった。ライアちゃんは気遣いさんだから、あたちたちが落ち込まないよう無理をしているのかも、って……」
「そんなことはありません。……それに、その……あの日から、今日が……楽しみで楽しみで」
これまた少しばかりの時が経った。
件のノンストップ三人同時責めは刺激が強すぎるとして若干の封印を受けていたけれど、此度それが解放される。理由はただ、セイレンスが出征中で、少女のソレが抑えつけられないほど溜まってしまったから。
「忘れられなかったのか!」
「はい……時折夢に見るほど」
「なら、もっと早く……やってあげれば、よかったですね」
「安心ちて、ライアちゃん! あれからあたちたちもパワーアップちてるから!」
ごくりと生唾を飲み込む少女。
もちろん知っている。だって少女は以前カイザーから「……金織卿。折り入って頼みがある。黄金裔に関する良からぬ噂など立たせるだけ立たせておけばいいとしていたが……どうにも半ば以上に事実のようなんだ。……
どういうことかと調べれば、これら一連の行為を「隠すべきこと、秘すべきこと」と認識していないトリスビアスが伝言の石板上で〝聞き込み〟を行っていて、あまりにも自分たちの身分を隠さないものだから黄金裔全体へあらぬ噂が立っている、と。
真実を知った時は少女も羞恥を覚えたものだ。だってそれは少女のための情報収集。罪悪感も背徳感もあったし、なにより尊敬する師の名誉を汚してしまったことへ憤りも覚えた。
すぐに少女がトリスビアスらに対して適切な指導を行い、伝言の石板における噂も「黄金裔の名誉を貶めるために〝なりすまし〟で行われた卑劣な行為」として処理をしたため、余計な勘繰りが流れることは止まった──のだが。
その時に覚えた性知識。それをモノにしたらしいトリスビアスは──とりわけトリアンは──自信満々に鼻を鳴らして「次やってあげる時は最高に気持ちよくさせてあげるからな!」と宣言。
しばらくご無沙汰だったこともあってか、アグライアはその宣言を受けた瞬間に勃起してしまい──。
ようやく、その〝次〟の機会に恵まれた、と。
ぬとぬと、ぬとぬと。
先程から音を立てていたのははちみつだった。
黄金のハニーケーキ。あれに使われているはちみつであると少女の審美眼はすぐに見抜く。
無論のこと高級品である。貴族たちが好んで食べる代物にかかっているものである。
それを、あろうことか……少女の剛直へ、三人の師匠がこれでもかこれでもかというほどに塗りたくっていた。
「ふ、ぅ……ふ……」
「ごめんなライアちゃん。前の責めは痛みもあったんだろ?」
「それは……はい。ですが、痛みを上回る快楽が……」
「でも、欠片でも痛かったらダメだ。今回はこれで痛みがないようにするけど、他の場所が痛んだらちゃんと言うんだぞ!」
「は、はい」
「こちらも、です。……少し前、あたしたちも女性であるのだからと、お互いのぼっちを抓んでみましたが、痛いばかりでした。……ライアちゃん、本当に痛くなかったのですか? 正直に言ってください」
「気持ちよかった……です。あの、その……恥ずかしいのですが」
一個一個丁寧に。
どこが気持ちよかったのか、痛かったのか。そして、痛くても気持ちよかった場所を……しっかり調べられる。
トリスビアスは真剣なのだから余計にキツいものがある。この問診で羞恥を覚え、そうされながら男性器へ触れられていることに背徳感と快楽を見出している少女がまるで変態のようではないか、と。
「よーし、これだけ塗れば大丈夫だろ!」
「まだ、この中にも塗り込まないと……」
「そうでちた。ライアちゃんが一番喜んでいたのはこの中でちたから、一番たくさん塗ってあげる必要がありまちたね」
「結局あの遊びはトリビーの勝ちだったもんな!」
何度も何度も射精した。何度も何度も絶頂した。
それはやはり、激しい亀頭責めでも乳首責めでもない、尿道責めによる刺激ばかりで。
──黄金色に、薄い白金色が混ざる。
「そろそろ、ライアちゃんが待ちきれない、みたいです」
「これカウパー液っていうんだっけ? ボクたちからは出ない液! 代わりにバルトリン腺液っていうのが出るらしいけど、ボクたちはまだ出したことないんだよな」
「あたちたちじゃ、気持ちいい? を上手く感じることはできなかったみたいで……だからライアちゃんが本当に気持ちいいのか不安なの。……だけど、その顔が物語ってるね」
欲しい。
はやく、ほしい。
その小さな手で、ぺたぺた、ぺちぺちと。
その細い指先で、ずぼずぼ、かりかりと。
その小さな口で、じゅるじゅると。その小さな顔に、どろどろと。
妄想が──膨らみ始める。
「じゃあ、もう一回勝負だ! 誰が一番
「セイレンスお姉ちゃんに、やり方を、レクチャーしてもらいました……今回は、おくちも、使います」
「ライアちゃん、さっき言ったように、痛かったら左手を上げてね? ──それが上がるまでは、あたちたち、やめないからね?」
「はい──楽しみです」
ここに。
狂乱の宴が幕を開ける──。
なお。
「……」
「どうした、金のマス。また溜まっているのか?」
「いえ……そういうわけでは」
「ならばなぜ、公共の場でそうも赤らめた顔をしている。すぐにプライベートルトロへ引き籠ってしまいそうな顔だ」
「……。……その」
排尿時に……快楽を得るようになってしまいまして。
小さく呟かれた言葉は水泡のように空へ溶けていく。
当然のように顔から股座へと向くセイレンスの視線。
「随分と……ワタシとする時とは違うことをやっているようだ」
「あ、あなたが情報提供をしたと聞きましたが」
「ワタシが彼女らへ教えたのは、人間の女体における快楽を覚える箇所と、キミについたモノの扱い方だけだ。それをどう導くかまでは教えていない」
「……なら、情報の出どころは……伝言の石板、ですか」
正しい扱い方は指導した。みだりにそういうことを訊かないようにと伝えた。
ただ──転がっている情報を収集することに関しては、別段禁止していない。
「情報規制……いえ、特定のワードにおける文字列の差し替え……それだと隠語が多く発生するだけ……なら、年齢制限を設けるべきでしょうか。師匠が……それを守るかどうかは怪しいとはいえ……」
「それで、どうするんだ、金のマス」
「え?」
「鎮めなくていいのか?」
「……お願いいたします」
無知故の、加減がわからないが故の激しい責めもいいけれど。
やっぱり「全てわかっている」剣旗の女性に落ち着いてしまう。
──これを元鞘に収まる、っていうのかしら? 剣と鞘が逆だけれど。
〝彼女〟はそんな冗談を思い浮かべて、ペンを置くのだった。