※この作品はR-18です。

TSして男子校の姫になりました~女になった僕がアイツらのオナペットになるまでの七日間~   作:悪友

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一日目:放課後の部室で胸を揉まれる

 

 ざらついたブレザーの生地越しに、僕の胸が揉まれている。

 ごわごわした感触のすぐ下で、柔らかい肉の塊がぐにゃりと歪む。

 指の形にへこみ、押し返しては、また新しい形に変形させられる。

 

「……っ」

 

 思わず漏れそうになる声を、必死に唇を噛んで殺す。

 放課後の部室。

 映像研究部の、埃と機材の油が混じったような匂いがする空間。

 僕はパイプ椅子に座らされ、三人の同級生に囲まれていた。

 

 僕の右の乳房を揉んでいるのが、部長のケンタ。

 左の乳房に手を伸ばしているのが、タクヤ。 

 僕の背後からはショウの手が伸びてきて、両側から揉まれる僕の胸の谷間に指を滑らせていた。

 

「すげぇ……マジで女じゃん」

 

 ケンタが、うわごとのように呟く。

 その目は爛々と輝き、まるで未知の生物でも観察しているかのようだ。

 いや、彼らにとって、本物の女性の胸なんてものは、まさしく未知との遭遇なのだろう。

 

「柔らかい……のか? 制服の上からだと、いまいち……」

 

 タクヤがぶっきらぼうに言いながら、指先に力を込める。

 むにゅ、と形を変える胸の感触に、僕の背筋がぞくりと震えた。

 なんだか変な感じだ。

 くすぐったいような、それでいて身体の奥の方が疼くような、奇妙な感覚。

 

 男子校の、むさ苦しい部室。

 数日前まで同性として馬鹿話をしていた友人たちの、興奮しきった雄の顔。

 その全てが非現実的で、頭がくらくらする。

 

 彼らの荒い息遣い。

 汗と制汗剤が混じった、男子高校生特有の匂い。

 それがやけに生々しくて、僕は気まずさと一緒に、場違いな興奮を覚えてしまっていた。

 

「おい、ユウ。なんか顔赤くね?」

「……っ、気のせいだよ、バカ」

 

 ショウの指摘に、僕は精一杯の虚勢を張ってそっぽを向く。

 ああ、ダメだ。こいつらの前で、こんなふうに感じているなんて絶対に知られたくない。

 昨日までの僕なら、こんな状況はあり得なかったのだから

 

(……どうして、こんなことになってるんだっけ)

 

 むにむにと感触を確かめる三人の手つきは、次第に大胆さを増していく。

 その熱に浮かされたような頭で、僕は数日前の出来事をぼんやりと思い返していた。

 

     ♢

 

 僕の名前は青谷ユウ。

 県立の大鷲工業高校に通う、ごく普通の男子高校生……だった。

 そう、『だった』のだ。

 数日前、僕は『性転換症候群』、通称TS病と呼ばれる奇病にかかった。

 

 朝、目が覚めたら、僕の身体は完全な女の子になっていた。

 滑らかな肌、くびれた腰、そして胸には豊満とは言えないまでも、確かな膨らみ。

 股間にあったはずのモノは、綺麗さっぱり消え失せていた。

 

 世界的に見ても症例の少ないこの病気は、原因不明で、治療法もない。

 ただ、悪いことばかりでもなかった。

 通常は数週間もすれば、自然と元の性別に戻るらしい。

 後遺症も、基本的にはない。

 ただし、たった一つだけ、絶対に守らなければならない禁忌があった。

 

 それは『オーガズムを10回以上してはならない』というもの。

 もし10回イってしまうと、女性ホルモンの分泌が脳に定着してしまい、二度と男の身体には戻れなくなるというのだ。

 

 そんなとんでもない病気にかかってしまった僕。

 けれど学校を休むわけにもいかず、結局そのまま通学することになった。

 

 うちの高校は男子校である。

 しかし学ランは着られなくなったので、国から支給された女子用の制服──紺色のブレザーに、チェック柄のスカートという、なんとも可愛らしいデザインのそれに身を包むことになった。

 かくして、全校生徒約500名、むさ苦しい男しかいなかったこの工業高校に、唯一の女子生徒が誕生したのである。

 

 当然、学校中が大騒ぎになった。

 教室に入った瞬間、クラスメイトたちの視線が槍のように突き刺さる。

 驚き、好奇心、そして……むき出しの欲望。

 獣の群れに放り込まれた一匹のウサギとは、まさにこのことだろう。

 特に、普段から仲の良かった映像研究部の仲間──ケンタ、タクヤ、ショウの三人は、その反応が顕著だった。

 

 彼らは他の奴らのようにあからさまに騒いだりはしない。

 平静を装って、これまで通りに僕に話しかけてくる。

 けれど、その視線は明らかに今までとは違っていた。

 

 僕の顔を見て、それから無意識に胸元へ、そしてスカートの下の足へと、ぬるりと這うように動く。

 話しかける声が、ほんの少しだけ上ずっている。

 女体に飢えたオスの下心が隠しきれていない。

 そのぎこちない振る舞いが、彼らが今まで女性とまともな関わりを持ってこなかったことの証明のようだった。

 そんな彼らの視線を浴びるたび、僕の心臓はドキドキと早鐘を打つ。

 

 恥ずかしいはずなのに。

 普段と違う彼らの様子を、心地いいと感じている自分もいたのだ。

 

 ──そしてTS病を発症してから数日が経過した。

 僕と三人との関係は、奇妙なバランスの上で成り立っていた。

 

 彼らは表向き、これまでと変わらない態度で僕に接する。

 バカな話で笑い、次の自主制作映画のプロットについて熱く語り合う。

 けれど、その会話の端々、視線の先に、じっとりとした熱が滲むのを僕は感じていた。

 僕がスカートの裾を気にして座り直すたびに。

 ブレザーのボタンの隙間から、白いブラウスが覗くたびに。

 彼らの言葉がふと途切れ、生唾を飲み込む音が、やけに大きく部室に響くのだ。

 それはまるで、薄氷の上を歩くような、危うい緊張感をはらんでいた。

 

 そして、その氷が砕けるきっかけは、案外あっさりと訪れた。

 その日も僕たちは、放課後の部室で他愛もない話をしていた。

 

「でさ、次に撮影する映画のヒロイン、どうすんだよ」

 

 ショウが編集用のパソコンに向かったまま、ぼそりと言った。

 その一言で、室内の空気がぴたりと止まる。

 ヒロイン。

 いつもなら、知り合いの女子に頼むか、あるいは男が女装して誤魔化すか、という話になる。

 けれど、今は。

 

「……いるじゃんか。ここに」

 

 タクヤが、ニヤニヤしながら僕に視線を向けた。

 その目が、品定めをするように僕の全身を舐める。

 

「バカ言わないでよ。僕がやるわけないだろ」

 

「なんでだよー。適役じゃんか」

 

「そういう問題じゃないんだよ」

 

 僕はむきになって言い返す。

 そのやり取りを、部長のケンタが腕を組んで黙って見ていた。

 やがてケンタは、まるでずっと考えていたことを口にするように、ぽつりと言った。

 

「なあ、ユウ。ぶっちゃけ、どうなんだ? その体」

 

「え……?」

 

「だから、女の体になった感想だよ。軽いとか、だるいとか、なんかあんだろ」

 

 ケンタの質問は、あまりにストレートだった。

 タクヤとショウも、興味津々といった顔で僕を見つめている。

 逃げ場はない。

 僕は少し迷ってから、正直に答えることにした。

 

「うーん……なんか、体全体が動かしにくいかな。特に胸が重い。走ると揺れて邪魔だし」

 

「……揺れる」

 

 タクヤが、ゴクリと喉を鳴らした。

 三人の鼻息が、心なしか荒くなっている。

 まずい。

 変なスイッチを入れてしまったかもしれない。

 僕は慌てて話題を変えようとしたが、ケンタがそれを許さなかった。

 

「なあ、ユウ」

 

 さっきよりも、少しだけ低い声。

 

「一個だけ、お願い聞いてくんねぇか」

 

「……なんだよ」

 

 イヤな予感がした。

 心臓がどきどきと早鐘を打ち始める。

 ケンタは少しだけ言い淀んで、それから決心したように、まっすぐ僕の目を見て言った。

 

「おっぱい。触らせてくれ」

 

 しん、と部室が静まり返る。

 窓の外で鳴くひぐらしの声だけが、やけに大きく聞こえた。

 ケンタの目は冗談を言っているようには見えなかった。

 タクヤもショウも、息を殺して僕の返事を待っている。

 僕は、その熱に浮かされたような三つの視線から、逃れることができなかった。

 

「……は? 何、言って……」

 

「頼む! 一生のお願いだ!」

 

 ケンタが机に手をついて、頭を下げた。

 その必死な様に、僕は言葉を失う。

 タクヤとショウも、すかさず「お願い」「頼む」と便乗するように呟いた。

 彼らの視線は、僕のブレザーの胸元に釘付けになっている。

 

 ……断るべきだ。

 頭の中では、警鐘が鳴り響いている。

 友達同士で、そんなこと、ありえない。

 でも……なんだか必死なコイツらを見てると、胸くらい触らせてもいいという気持ちになってくる。

 それに僕自身、心のどこかで興味があったのだ。

 他人の手で胸を触られたら、一体どんな感じなのだろう、と。

 気づけば、僕は頷いていた。

 

「……しょーがないなぁ」

 

 ちょっとだけ声が上擦る。

 僕はそれを隠すように、わざとふてぶてしい態度をとった。

 

「別に減るもんじゃないし。でも、変なことしたらマジで殴るから」

 

「「「おおっ!」」」

 

 三人が、ぱあっと顔を輝かせた。

 僕はため息をつき、観念してパイプ椅子に深く座り直す。

 そんな僕を、まるで獲物を見つけた獣のように、三人がゆっくりと取り囲んだ。

 

 そして彼らの手が、恐る恐る僕のブレザーへと伸びてくる。

 ごくり、と誰かが唾を飲み込む音を合図に、僕の胸の膨らみに、温かい感触が触れた。

 

 こうして、僕は同級生の男達に胸を揉まれることになって、現在に至るというわけだ。

 

     ♢

 

 制服の厚い生地越しに胸を揉まれ続けて、数分。

 僕の身体はすっかり熱を持ってしまい、変な汗がじっとりと背中を濡らしていた。

 三人の手つきは、相変わらずぎこちない。

 けれど、その動きは次第に大胆さを増していった。

 

「……なあ」

 

 不意に、ケンタが動きを止めた。

 

「やっぱり、制服の上からだとよく分かんねえわ」

 

「だよな。ブレザー邪魔すぎ」

 

 タクヤも同意して、名残惜しそうに手を離す。

 解放されたことでほっとしたのも束の間、男たちの熱っぽい視線が、再び僕に突き刺さった。

 その目が何を言いたいのか、僕には痛いほど分かってしまう。

 

「これ以上は、さすがに……」

 

「なんでだよ。ここまで来たら一緒だろ」

 

「頼む、ユウ! 生で触らせてくれ!」

 

 ケンタが、ほとんど懇願するように言った。

 その目は真剣そのもので、冗談を言っている雰囲気ではない。

 さすがに、それは無理だ。

 

「ここで服を脱げってこと? ありえない」

 

 僕はキッパリと断った。

 しかしケンタは引き下がらない。

 

「いいじゃんか、ちょっと脱ぐくらい」

 

「はぁ?」

 

「脱ぐって言ったって上だけだぞ。男同士なんだから平気だろ、なぁ」

 

 ケンタが、ニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。

 その挑発するような物言いに、僕の頭にカッと血が上った。

 なんだよ、その言い方。馬鹿にして。

 僕が眉をひそめると、横からタクヤの追撃が飛んできた。

 

「ユウ。まさか胸を見られるのが恥ずかしいのか? 男のクセに?」

 

「……っ、別に、恥ずかしくなんかない!」

 

 売り言葉に買い言葉だった。

 しまった、と思った時にはもう遅い。

 ケンタの笑みが深くなる。

 

「へぇ? じゃあ脱いでも大丈夫なんだな?」

 

「……あーもう。わかったよ。脱げばいいんでしょ、脱げば」

 

 僕は完全に意地になっていた。

 こいつらに動揺していることを悟られたくない。

 僕は勢いのまま、自分のブレザーのボタンに手をかけた。

 一つ、また一つとボタンを外していく僕の指先を、三人は食い入るように見つめている。

 

 ごくり、と誰かが唾を飲む音がした。

 ブレザーを脱ぎ捨て、白いブラウスのボタンにも手をかける。

 自分の心臓の音が、やけに大きく聞こえた。

 

 ブラウスを左右にはだけさせると、淡いピンク色のブラジャーが露わになる。

 中央には、小さなリボンまでついている、可愛らしいデザインのものだ。

 

「うわ……」

 

 ショウが、素っ頓狂な声を上げた。

 

「ユウのくせに、なんか……すげぇ可愛いブラジャーつけてんのな……」

 

「う、うるさい! これは母さんが勝手に買ってきたやつだ!」

 

 僕は顔を真っ赤にして怒鳴る。

 でも『母親が買ってきた』というのは嘘だ。

 本当は、先日こっそり通販サイトで買った、お気に入りの一着だったりするなんて、口が裂けても言えない。

 そんな僕の内心を知らない三人は、ただただ目を丸くして、僕の胸元に釘付けになっていた。

 

 まったく、ブラジャーくらいで興奮しすぎだろ。

 僕は三人の視線を浴びながら、フンっと鼻を鳴らした。

 そして両手を背中に回し、慣れない手つきでホックを探り当てて、指先に力を込める。

 

 ぱちん、という小さな音と共に、肩紐がずり落ちる。

 僕の胸を覆っていた最後の布が、はらりと床に落ちた。

 初めて誰かの前に晒された僕の乳房。

 桜色をした乳輪がきゅっと縮こまり、その中央にある突起が、恥ずかしそうに硬くなっている。

 

「「「おお……」」」

 

 三人の口から、揃って感嘆のため息が漏れた。

 それは欲望というよりも、むしろ未知の美しいものを見たときのような、純粋な感動に近い響きを持っていた。

 そのあまりに真剣な眼差しに見つめられて、僕の羞恥心はどこかへ吹き飛んでしまう。

 

 ちょっと、おもしろいかも。

 奇妙な高揚感と優越感が湧き上がってきた。

 いつも偉そうなコイツらが、僕の裸一つに、こんなにも夢中になっている。

 その事実が、たまらなく僕を昂らせていた。

 

「……じろじろ見すぎ。童貞丸出しじゃん」

 

 僕の素肌に見惚れて固まっている三人に、僕はわざとバカにするような声をかけた。

 なんだか自分が、彼らよりもずっと優位な立場にいるような気がして、気分が良かったのだ。

 

「おっぱいだけでそんなに興奮できるなんて、うらやましいよ」

 

 僕がニヤリと笑って見せると、三人は魔法が解けたかのように、はっと我に返った。

 ケンタの顔が、耳まで真っ赤に染まる。

 

「う、うるせぇ!」

 

 ムキになったケンタが、ヤケクソのように僕の右胸に手を伸ばした。

 ひやりとした指先が、僕の温かい素肌に直接触れる。

 

「ひゃっ……!?」

 

 思わず、甲高い声が出た。

 制服の上から触られるのとは、何もかもが段違いだった。

 肌と肌が直接触れ合う感触。

 ケンタの手のひらの熱が、じかに僕の体温を奪っていく。

 

 むにゅ、と柔らかい肉が指の間からはみ出す感触に、ぞわぞわと鳥肌が立った。

 ケンタは興奮のあまり加減が分からないのか、まるでパン生地でも捏ねるかのように、遠慮なく僕の胸を鷲掴みにする。

 

「いっ……! ちょ、痛い、痛いって!」

 

 僕が悲鳴を上げると、ケンタはびくりと動きを止めた。

 それに続いて僕の左胸を掴もうとしていたタクヤの手も、寸前で止まる。

 

「あ、わ、悪い……」

 

 ケンタが、気まずそうに呟いて、指の力を緩めた。

 そして次の瞬間、まるで壊れやすいガラス細工でも扱うかのように、その手つきが驚くほど優しくなる。

 

 手のひら全体で、そっと胸を包み込む。

 指の腹を使い、慈しむように円を描く。

 さっきまでの乱暴な感触が嘘のようだ。

 タクヤも、恐る恐る僕の左胸に、そっと指先を這わせた。

 背後からはショウが撫でるように手を伸ばしてくる。

 

「ん……っ」

 

 痛みが消えると、今度はまったく別の感覚が身体を支配し始めた。

 なんだこれ。

 気持ち、いい……?

 胸を優しく揉まれるたびに、背筋に甘い痺れが駆け抜ける。

 身体の奥の方が、きゅうん、と疼いて、お腹のあたりが熱くなっていくのが分かった。

 

 ヤバい。

 ピリピリするような感覚が込み上げてくる。

 このまま続けられたら、さっき堪えたはずの変な声が、今度こそ出てしまう。

 

「ふ……ぅ……んん……っ」

 

 僕は必死に唇を噛みしめる。

 パイプ椅子の上で腰をくねらせ、この未知の快感から逃れようともがいた。

 しかし、二人の手はそれを許してくれない。

 

 僕が感じていることに、彼らはとっくに気づいているはずだった。

 僕の潤んだ瞳も、真っ赤になった頬も、小刻みに震える身体も、全部見られている。

 けれど、誰もそのことには触れなかった。

 ケンタも、タクヤも、ショウも。

 ただ黙って、僕の身体が快感に蕩けていく様を、じっと観察している。

 

 部室には、衣擦れの音と、僕の必死な息遣いだけが響いていた。

 まずい。

 このままじゃ、本当に、おかしくなっちゃう。

 頭の中で警鐘が鳴っているのに、身体は正直に快感を求め、くねりと腰を揺らしていた。

 ケンタの親指が、硬くなった僕の乳首の先を、ね、と押し潰すように捏ねた。

 

「──ッあぁん!」

 

 自分でも信じられないくらい、甘ったるい声が出た。

 脳天を電気の鞭で打たれたような衝撃。

 視界がちかちかと白く点滅し、腰が勝手に、くくん、と椅子の上で跳ねる。

 体中の血液が沸騰して、下腹部のあたりに集まっていくのが分かった。

 

 やばい……何かがクる。

 熱くて、苦しくて、気持ち良すぎる何かが。

 まさかコレが絶頂ってやつなのか?

 

 その瞬間、脳裏にTS病の禁忌が稲妻のように閃いた。

 『TS病患者はオーガズムを10回以上経験してはならない』。

 絶頂しすぎると男に戻れなくなってしまう。

 

「……っ、ストップ!」

 

 僕は最後の理性を振り絞り、胸を揉んでいた三人の手を、渾身の力で振り払った。

 ばしん、と乾いた音が響く。

 突然の抵抗に、三人がびくりと身体を震わせ、動きを止めた。

 僕はぜぇぜぇと肩で息をしながら、熱っぽく潤んだ目で三人を見据える。

 

 まだ身体の芯がじんじんと痺れていた。

 でも、ここで弱気なところを見せたら負けだ。

 僕はニヤリと、できるだけ意地悪く笑ってみせた。

 

「はい、ここまで! お触りタイムは、しゅーりょー!」

 

 わざと明るく、ふざけた口調で宣言する。

 呆然とする三人を尻目に、僕は急いで床に落ちたブラジャーを拾い上げる。

 震える指先で、なんとか背中のホックを留め、乱れたブラウスのボタンをかけていく。

 その間も、三人の視線が突き刺さるように僕の身体に注がれているのが分かった。

 僕がブレザーまで羽織って、ようやく普段通りの格好に戻ると、ケンタが不満そうに口を尖らせた。

 

「えー、なんだよ。もう終わりかよ」

 

「ケチくせぇな」

 

「もう十分触ったじゃん! これ以上はムリだから!」

 

 僕はまだ少し震える身体に鞭打って、仁王立ちになって言い返す。

 まだ興奮の余韻でぼーっとしている三人の顔は、熟れたトマトみたいに真っ赤だった。

 そのあまりに初心な反応がなんだかおかしくて、僕はふっと笑ってしまった。

 

「三人とも、すごい顔。どんだけオッパイ好きなん」

 

「うっせぇ!」

 

「当たり前だろ、馬鹿!」

 

「おっぱいが嫌いな男なんていないだろ!」

 

 僕のからかいに、三人は子供のようにムキになって言い返す。

 そのやり取りで、さっきまでの濃密でいやらしい空気は、いつもの悪ふざけのそれに少しだけ戻った気がした。

 

「じゃ、僕、今日用事あるから。お先」

 

 僕は潮時だと思い、自分のスクールバッグをひっつかむ。

 そして、三人が何か言うよりも早く、くるりと背を向けて部室のドアに手をかけた。

 

 ガチャリ、とドアを開け、廊下に一歩踏み出す。

 そして、背後でパタンとドアを閉めた、その瞬間。

 僕の膝から、がくん、と力が抜けた。

 壁に背中を預けなければ、その場にへたり込んでしまいそうだった。

 どく、どく、どく、と心臓がうるさくてたまらない。

 まるで、全力疾走でもした後のようだ。

 足が、自分のものじゃないみたいにがくがくと震えている。

 

「……あぶなかった……」

 

 誰に言うでもなく、呟く。

 本当に、あと数秒、あのままだったら、僕は間違いなくイってしまっていた。

 その事実を思い出しただけで、ぞくりと背筋が震える。

 安堵の息を吐き出した、その時。

 僕の心の中に、もう一つの感情が、ぽつりと芽生えていることに気が付いてしまった。

 

(もっと、触ってほしかった、かも……)

 

 その考えに至った瞬間、顔にぶわっと血が集まるのが分かった。

 なんてことを考えているんだ、僕は。

 あんなに恥ずかしくて、変な気持ちになったのに。

 それなのに、僕の身体は、心の奥底は、あの指の感触を、熱を、まだ欲しがっている。

 

 まだジンジンと疼きを訴える胸を両手でぎゅっと押さえつけ、僕は誰もいない放課後の廊下を、逃げるように走り出した。

 窓から差し込むオレンジ色の西日が、僕の長い影を床に映し出している。

 

 これから、どうなっちゃうんだろう。

 あいつらと、そして僕自身と。

 答えの出ない問いだけが、僕の頭の中をぐるぐると回り続けていた。

 

 

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