※この作品はR-18です。

侯爵家の影の支配者は熟女が大好き   作:埴輪庭

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評価10貰ったからちょっとやる気出たので更新でう!


閑話:サザーランド侯爵家

 ◆

 

 サザーランド侯爵家の執務室は当主であるグレイルの精神世界をそのまま具現化したかのような空間だった。

 

 そこは領地経営を司る場というよりは一個人の肥大した知的好奇心が生み出した魔窟と呼ぶ方が相応しい。壁という壁は天井まで届く書架で埋め尽くされ、床には読みかけの魔導書や用途不明の実験器具がまるで何かの儀式の跡のように散乱している。空気中に漂うのは古紙とインク、そして幾種類もの触媒が混じり合った、埃っぽくも知的な匂いだ。

 

 その混沌の中心で、グレイルは重厚な執務机に向かい、届けられたばかりの二通の書状に目を通していた。一通は帝国魔術学院からの定期報告書。そしてもう一通は他ならぬオルレアン公爵家からの親書である。

 

 内容はどちらも同じ、最愛の息子イサクが起こした決闘騒ぎに関するものだった。

 

 グレイルはまず学院からの報告書を読み解く。決闘に至った経緯と、その顛末。特に彼の目を引いたのは決闘の立会人が記した魔術行使に関する分析だった。

 

 相手の術式の完全な模倣と相殺。そして、無詠唱での重力操作。

 

 ──見事だ。

 

 グレイルの口元に笑みが浮かぶ。それは政治的な思惑など微塵も含まない、純粋な魔術師としての賞賛だった。あの若さで、これほどの精度と深淵に到達しているとは。

 

 彼は次に、オルレアン公爵リシャールからの書状を開封した。慇懃な詫びの言葉と、今後の両家の友好を願う旨が遠回しな表現で綴られている。その行間からは煮え湯を飲まされた側の苦々しさと、この件を穏便に済ませたいという切実な願いが透けて見えた。

 

 そこまで読んで、グレイルはようやく事の全容を理解し、そして即座にそれを取るに足らないことと断じた。

 

 イサクは圧倒的な実力差を見せつけた上で、あえて勝ちを譲ったのだ。公衆の面前で公爵家の面子を潰すことがどれほどの政治的代償を伴うか。彼はそれを瞬時に計算し、最も合理的な落とし所を選んだのである。

 

「……大したものだ」

 

 グレイルは感嘆の声を漏らした。

 

 あれは自分には到底できぬ芸当だ──そうグレイルは考えている。もしグレイルが同じ立場であったなら、相手が誰であろうと容赦なく叩き潰していただろう。良くも悪くも、彼は純粋な魔術馬鹿なのである。世界の真理は術式の先にこそあれ、政治的な駆け引きや人間関係の機微など、彼にとっては煩わしい雑音でしかない。

 

 だがイサクは違う。彼は魔術の才能だけでなく、自分にはない「世俗的な知恵」をも持ち合わせている。その事実に、グレイルは言い知れぬ頼もしさを覚えるのだった。

 

 ──儂の父上は政治にも長けておられた。イサクは隔世遺伝かもしれんな。

 

 グレイルの中で、息子への評価がまた一つ上がった。この子ならば、サザーランド家の未来は安泰である。

 

 まあ、そのイサクの「合理性」がどれほど常軌を逸した歪な欲望に基づいているのか。例えば「青い果実が腐り落ちていく様を観察するのも一興」などという倒錯的な愉悦が含まれていることなど、この能天気な父親が知る由もないのだが。人の親とは得てして都合の良い解釈を好む生き物である。

 

 そんなことを考えていると、執務室の扉が控えめにノックされた。

 

「入れ」

 

 短く応じると、音もなく扉が開き、ドロテアが姿を現した。

 

 グレイルはわずかに眉をひそめる。彼女がこの執務室を訪れるのは珍しい。そして何より、その様子がいつもと違っていた。

 

 顔色は常よりも青白く、どこか憔悴しているように見える。かつてこの屋敷を支配していた傲慢な空気はすっかり鳴りを潜め、その立ち姿には奇妙なまでの従順さと、何かに怯えているような落ち着きのなさが漂っていた。

 

 ──夏の暑さにやられたか。

 

 グレイルはそんな風に結論付けた。他者の感情の機微に疎いのは彼の数少ない、そして致命的な欠点である。

 

「何か用かね、ドロテア」

 

「実はエリナのことでご相談がございます」

 

「エリナ? あの子がどうかしたのか」

 

 また不満の吐露か、と身構えたグレイルだったが続いたドロテアの言葉は彼の予想を裏切るものだった。

 

「その……あの子、ゆくゆくは帝国魔術学院に進学したいと申しておりまして」

 

「……ほう?」

 

 グレイルは思わず顔を上げた。帝国魔術学院。それは帝国中から選りすぐられた才能が集う、魔術の最高学府だ。

 

「それは志が高いことだ。だが学院の入学試験は生半可なものではないぞ」

 

 グレイルは顎に手を当て、思考する。彼なりにエリナの魔術の才を見極めようとしていたのだ。

 

「あの子の才能は……そうだな、可もなく不可もなく、といったところか」

 

 それは冷徹だが的を射た評価だった。エリナは確かに頭が良い。イサクの教えを驚くべき速度で吸収していることは知っている。だが魔術師として大成するために不可欠な、根源的な魔力量においては決して優れているとは言えなかった。

 

「ええ、わたくしもそう思います。ですがあの子の熱意は本物のようでして」

 

 ドロテアはそこで言葉を切ると、意を決したようにグレイルを見据えた。

 

「そこで、もしよろしければ、イサクに本格的な指導をお願いできないでしょうか。あの方ならば、エリナの才能を最大限に引き出してくれるのではないかと」

 

 その提案はグレイルを心底驚かせた。

 

「お前がそれを言うのか」

 

 思わず、そんな言葉が口をついて出た。

 

 ドロテアがエリナをどれほど憎み、虐げてきたか。その事実を知っているからこその、純粋な驚きだった。あれほどエリナの存在を否定していた女が今、その娘の将来のために頭を下げている。一体どういう風の吹き回しか。

 

 グレイルの視線に、ドロテアはびくりと小さく肩を震わせた。そして、何かを隠すように、さっと視線を逸らす。

 

「……わたくしも、色々と考えるところがありまして」

 

 彼女は視線を逸らしながら、呟くように言った。

 

「あの子とイサクが仲睦まじく学んでいる姿を見ておりますと……」

 

 彼女はそこで言葉を切ると、少しだけ口元を綻ばせた。それは作り笑いではない、かすかな、しかし確かな感情の表れのように見えた。

 

「わたくしも、二人の親となったわけですから……母親として、当然のことですわ」

 

 その言葉はどこか照れ臭そうに響き、ドロテアの頬がわずかに赤らんだ。それはまるで、長年の確執を水に流し、ようやく母親としての自覚に目覚めた女の、照れ隠しのようにも見えた。

 

 グレイルはその様子を見て、深く納得した。なるほど、イサクの存在がこの頑なな女の心を変えたのか。血の繋がりはなくとも、家族として過ごす時間の中で、彼女の中にも母性のようなものが芽生えたのかもしれない。それは喜ばしい変化だ。

 

「そうか。わかった。イサクには儂から話しておこう。イサクもきっと引き受けてくれるはずだ」

 

「ありがとうございます、あなた」

 

 ドロテアは恭しく頭を下げると、まるで逃げるように執務室を後にした。

 

 扉が閉まる音を聞きながら、グレイルは満足げに微笑む。

 

 ──全てがうまく回っている。

 

 彼はそう信じて疑わなかった。

 

 実に感動的な光景だ。絵に描いたような家族の再生の物語。

 

 だが騙されてはいけない。この女の心にあるのは母親としての愛情などでは断じてない。

 

 ドロテアがエリナの教育に熱心なのはひとえにイサクの機嫌を取るためだ。主人が気にかけている玩具(エリナ)の手入れを怠らないこと。それが従順なペット(ドロテア)の務めである。彼女の思考回路はもはやそれだけだった。イサクに認められたい、彼の役に立ちたい。その渇望が彼女を突き動かしている。

 

 彼女の頬の赤らみも、照れ隠しなどではない。イサクの名を口にするだけで、あの夜の屈辱と快感が蘇り、体が勝手に熱を帯びてしまうのだ。

 

 そんな真実に気づかぬまま、グレイルは上機嫌で再び机上の魔導書へと視線を落とした。

 

 ◆◆◆

 

 グレイルの執務室を辞したドロテアの足取りは常よりも幾分か早かった。誰かに追われているわけでもないのに、まるで逃げるように自らの私室へと滑り込む。重い扉が閉ざされ、カチリと錠が下りる音を聞いて、ようやく彼女は詰めていた息を深く吐き出した。

 

 しかし心臓の鼓動は一向に収まる気配がない。それどころか、ドロテアの体は奇妙な熱を帯び始めていた。

 

 ──『わたくしも、二人の親となったわけですから……母親として、当然のことですわ』

 

 先ほどグレイルの前で口にした言葉が脳裏で反響する。なんと空々しく、欺瞞に満ちた響きだろう。母親。その言葉を発した瞬間、ドロテアの頬が熱を持ったのは決して母性に目覚めたからではない。

 

 イサク。

 

 あの忌まわしい青年の名を思い浮かべただけで、体の奥底がずくりと疼いたのだ。あの夜、この部屋で味わわされた屈辱と、筆舌に尽くしがたい快楽の記憶が鮮烈な残像となって蘇る。鞭の痛み、拘束された無力感、そして獣のように啼きながら絶頂に達した己の姿。

 

 思い出すだけで吐き気がするほどの自己嫌悪と、同時に、抗いがたい甘美な痺れが背筋を駆け下りた。

 

 ──夏休みの間、ずっと。

 

 グレイルの言葉が再び彼女の鼓膜を震わせる。あの化け物がこの屋敷に居座り続ける。それは地獄の宣告であり、同時に、倒錯した福音でもあった。

 

 認めたくない。認めてしまえば、ドロテア・サザーランドという人間は完全に崩壊してしまう。だが体は正直だった。彼女の意思とは無関係に、下腹部に熱が集まり、そこは既にじっとりと湿り始めている。

 

「……ああ」

 

 小さく、掠れた声が漏れた。それは絶望の吐息であり、同時に、渇望の喘ぎでもあった。

 

 もはや抗う術はない。

 

 ドロテアはふらふらとベッドへと近づくと、枕元のサイドテーブルの引き出しを開けた。そこには小さなビロードの袋が収められている。数日前、イサクが彼女の部屋を訪れた際に置いていったものだ。

 

『貴女のような欲深い雌豚にはこれがお似合いでしょう』

 

 そう言って彼が手渡したのは黒楼石と呼ばれる硬質の石を削り出して作られた男根の模造品だった。ひやりとした鉱物の冷たさとは裏腹に、その形状は異様なまでに生々しく、禍々しい存在感を放っている。それはグレイルのものよりも太く、そして長く、イサクのそれを忠実に模しているかのようだった。

 

 ドロテアは震える手でそれを取り出した。ずしりとした重みがこれから行われる行為の背徳性を際立たせる。

 

 彼女はベッドに仰向けに倒れ込むと、ネグリジェの裾を乱暴に捲し上げた。月明かりに照らされた太腿が無防備に開かれる。

 

 躊躇いはなかった。ドロテアは自らの最も秘すべき場所に、その冷たい異物を宛がった。

 

「んっ……」

 

 ひやりとした感触が熱く濡れた肉の襞に触れる。その温度差が彼女の神経を鋭く刺激した。ドロテアは目を閉じ、ゆっくりと、それを自らの体内へと挿し入れていく。

 

 ず、と。硬質な塊が抵抗なく滑り込む。

 

「あ、ぁ……イサク……」

 

 無意識のうちに、その名が口をついて出た。その事実に気づいた瞬間、ドロテアの顔が屈辱に歪む。憎い。恐ろしい。だがそれ以上に、彼に支配されたいという欲求が心の奥底から湧き上がってくる。

 

 ドロテアはゆっくりと腰を揺らし始めた。黒楼石が内壁を擦り、ぐちゅり、と卑猥な水音を立てる。その音は彼女の理性を溶かす媚薬のように響いた。

 

 脳裏に浮かぶのはあの冷徹な瞳。自分を虫けらのように見下し、しかしその体の反応を正確に見抜いていた、あの青年の姿。

 

「もっと……わたくしを、見て……」

 

 虚空に向かって、掠れた声で懇願する。その姿はもはや侯爵夫人としての威厳など微塵もない。ただ欲望のままに身をよじる、一体の雌でしかなかった。

 

 彼女は片手で自らの乳房を掴み、乱暴に揉みしだいた。あの夜、イサクが装着した銀のクリップの痛みが幻肢痛のように蘇る。その痛みが快感をさらに増幅させた。

 

 もう片方の手は黒楼石をさらに深く、激しく出し入れする。ずちゅ、ずちゅ、と、動きに合わせて肉が蠢く音が部屋に響き渡る。

 

「あ、あぁッ……! ぶって……もっと、わたくしを、辱めて……くださいませ……!」

 

 もはや羞恥心などどこかへ消え去っていた。ドロテアはただ、与えられる快感の幻影に身を委ね、もっと深く、もっと激しく掻き乱してほしいと、喘ぎながら懇願する。

 

 汗が全身から噴き出し、シーツを濡らしていく。甘く、むせ返るような匂いが部屋に満ちた。それは彼女自身から発せられる雌の匂いだ。

 

 ──『いい声です、義母上。もっと鳴きなさい』

 

 イサクの声が脳髄に直接響く。その声が引き金となり、ドロテアの体はびくんと大きく跳ねた。

 

「ひ、ぎぃッ……! あ゙、あ゙ああァッ!!! ♡」

 

 甲高い、獣のような絶叫が迸る。体の芯が蕩けて視界が白く点滅した。黒楼石が最も深い場所を抉り、強烈な快感が全身を貫く。

 

 全身が弓なりにしなり、激しく痙攣する。どれほどの時間が経ったのか。

 

 朦朧とする意識の中、ドロテアは虚脱感と──そして奇妙な充足感に包まれていた。

 

 荒い呼吸を繰り返しながら、彼女は虚ろな目で天井を見上げる。そして、涙と汗でぐしょ濡れになった顔にかすかな笑みを浮かべ──

 

「イサク……様」

 

 と、ぽつりとつぶやき、自身の膣口へと指を這わせた。




義母ドロテア

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義母ドロテア②

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義母ドロテア③

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義母ドロテア④

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