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セシリア・クラインフェルトという娘を的確に表現する言葉があるとすれば、それは「地味」という一言に尽きるだろう。
帝国魔術学院という才気と美貌が咲き乱れる華やかな庭園において、彼女は誰の目にも留まらぬ野花のような存在だった。栗色の髪はいつも実用本位の三つ編みにまとめられ、化粧っ気のない顔にはそばかすが散らばっている。その身に纏うローブも上質ではあるが流行からは程遠い、体の線を隠すようなデザインばかりだ。
だがその凡庸な外見の下には燃え盛る炉のような知性と、そして誰にも知られることのないドロドロとした欲望が隠されていた。
彼女は幼い頃から、自らの容姿が劣っていることを自覚していた。姉や妹が薔薇や百合のように持て囃される傍らで、彼女に向けられるのは常に憐憫か無関心の眼差し。そんな彼女にとって唯一の拠り所であり、自らの価値を証明する手段は学問の世界にしかなかった。
彼女は賢かった。その知性は同年代の男性たちをも凌駕するほどだったが皮肉なことに、それは彼女を異性から遠ざける要因ともなった。貴族の令嬢に求められるのは過ぎた才気よりも従順な愛嬌だったからだ。
そしてその劣等感は数年前に起こったある出来事によって決定的なものとなる。
当時、彼女には家同士が決めた婚約者がいた。相手は帝都でも有名な騎士団に所属する、絵に描いたような美男子だった。
だが初めての顔合わせの席で、その期待は無残に打ち砕かれた。
男はセシリアの姿を見るなり、あからさまに落胆の色を浮かべ、そしてこともなげに言い放ったのだ。
──「話が違う。これほど地味で、色気のない娘だったとは。君のような女を連れて歩く僕の身にもなってくれ」
その言葉は鋭利な刃物のようにセシリアの心を切り裂いた。彼はセシリアの内面にある知性など一顧だにせず、ただその外見だけを見て、彼女の価値を断じたのである。
結局、その婚約は破談となった。セシリアは深く傷つき、それ以来、異性に対して固く心を閉ざすようになった。
だがその傷ついた心が彼女の内なる欲望を歪な形で目覚めさせることになる。
セシリアはいわゆる「むっつりスケベ」であった。
表向きは堅物で通っているがその実、寄宿舎の自室ではこっそりと際どい恋愛小説を読み耽り、その情熱的な描写に顔を赤らめるような一面も持っている。特に彼女が好んだのは強引で傲慢な男性がヒロインを力ずくで屈服させ、その心と体を奪い去るような物語だった。
支配されたいという密かな憧れ。それは現実世界で誰にも認められなかった彼女の、倒錯的な願望の表れだったのかもしれない。
そんな彼女がイサク・サザーランドという存在に出会ったのは必然だった。圧倒的な知性と、何者にも屈しない強さ。そして他者の評価など意に介さない、冷徹なまでの合理主義。
イサクはセシリアがこれまで出会ってきたどの男とも違っていた。イサクの前では外見など意味をなさない。その事実はセシリアにとって何よりも心地よく、そして抗いがたい魅力となったのである。
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そんなセシリアのイサクに対するアプローチは相変わらず健気で、そしてどこか滑稽だった。
彼女はあらゆる機会を利用して、イサクとの接点を持とうと試みる。講義室へ向かう廊下でイサクの姿を見つければ、淑女の嗜みなどかなぐり捨てて駆け寄り、満面の笑みで挨拶を投げかける。図書室ではイサクが手に取った本の関連書籍をすかさず探し出し、その内容について議論を吹っかける。
だがイサクの反応は常に変わらない。
「ごきげんよう、イサク様! 昨日の古代語のレポートですがあの部分の解釈について、もう少し詳しくお聞かせ願えませんでしょうか」
「あの部分はテキストの記述通りに解釈すれば問題ありませんよ。それよりも、貴女のレポートは全体的に論旨が不明瞭です。もう少し構成を意識した方がよろしいかと」
イサクの対応は常に淡白だった。イサクはセシリアの質問には的確に答えるがそこに個人的な感情が入り込む余地は一切ない。その態度はまるで分厚い壁のようだ。セシリアの熱意はその壁に虚しく跳ね返されるばかり。
そんなある日の昼下がり。中庭のベンチで本を読んでいたイサクの元に、数人の男子生徒が近づいてきた。イサクらはアルフォンスの取り巻き連中で、イサクを快く思っていない者たちだ。
「よう、ふとっちょ。随分とご熱心だな」
一人が嘲るような口調で声をかけた。
「最近、クラインフェルト嬢と随分と仲が良いようじゃないか。あの地味な娘のどこがいいんだ?」
その下卑た問いに、イサクは本から目を離すことなく、淡々と答えた。
「僕たちは同じ学院で学ぶ者同士です。それ以上でも、それ以下でもありません。貴方がたのような低俗な詮索には興味がありませんね」
その言葉は氷のように冷たく、そして鋭かった。男子生徒たちは気圧されたように口ごもり、ばつが悪そうにその場を立ち去っていく。
だがそのやり取りを、偶然近くの木陰で聞いていた者がいた。
セシリアだ。
彼女はイサクの言葉を聞いた瞬間、心臓が凍りつくような感覚を覚えた。
──『それ以上でも、それ以下でもありません』
わかっていたことだ。イサクが自分に特別な感情など抱いていないことは。だが改めて本人の口から突きつけられると、その事実はあまりにも重く、鋭く、彼女の心に突き刺さった。
胸が痛い。セシリアはその場に立ち尽くし、俯いたまま動けなかった。
この一件を境に、学院内では一つの噂が広まり始めた。
──イサク・サザーランドは朴念仁である。
あれほど分かりやすい好意を向けられていながら、全く意に介さないその態度は周囲の者たちにとって不可解なものだった。無論、その噂は的を射ていない。イサクは朴念仁などではなく、ただ、自らの欲望の対象を極端に限定しているだけなのだが。そんな真実を知る由もないセシリアはただ一人、その冷たい現実に打ちひしがれていた。
◆
そんな日々が続く中、ある日の午後の講義でのことだった。
アガサ・メーベルによる上級魔術理論。その日のテーマは「古代語の音韻変遷が術式に与える影響」についてだった。
アガサは教壇に立ち、いつものように厳格な口調で講義を進めていく。
「……中期エルフ語における母音の長短の変化は精霊魔術の効率性に多大な影響を与えました。この点について、諸君らの見解を聞きたい。誰か、意見のある者は?」
その問いに、教室は静まり返った。誰もがアガサの権威に気圧され、発言を躊躇している。
だがその沈黙を破ったのは意外な人物だった。
「失礼します、メーベル先生」
静かだがよく通る声。それは最前列に座っていたセシリアのものだった。彼女はゆっくりと立ち上がると、アガサの目を真っ直ぐに見据え、自らの見解を述べ始めた。
「先生のご指摘の通り、母音の長短の変化は重要です。ですがそれ以上に注目すべきは子音の有声化と無声化の揺らぎではないでしょうか」
その言葉に、教室がどよめいた。それは教科書には載っていない、一歩踏み込んだ解釈だった。
「ほう。詳しく聞かせなさい、クラインフェルト嬢」
アガサが興味深そうに促す。
「はい。中期エルフ語においては特定の感情の昂ぶりに伴い、子音の無声化が頻繁に起こっていたと考えられます。それは精霊との同調率を高めるための、無意識の調整であった可能性があります。つまり、音韻の変化は単なる言語的な変遷ではなく、術者の精神状態と密接に関わる、魔術的な現象として捉えるべきではないでしょうか」
立て板に水。セシリアの口から紡がれるのはここ数週間の猛勉強の成果だった。彼女はイサクに追いつくために、文字通り寝食を忘れて古代語の研究に没頭していたのだ。
アガサはその解説を聞き終えると、深く頷いた。その厳格な表情に、純粋な賞賛の色が浮かぶ。
「……見事な洞察です、クラインフェルト嬢。貴女の指摘はこの問題の本質を的確に捉えている。実に素晴らしい」
その言葉に、セシリアの顔がぱっと輝いた。そして彼女は無意識のうちに、教室の後方に座るイサクの方へと視線を向けた。
講義が終わった後、イサクは珍しく自らセシリアの元へと歩み寄った。
「クラインフェルト嬢。先ほどの見解、実に興味深かったです」
その声はいつもと変わらず平坦だったがそこにはわずかに熱が籠もっていた。
「ああいった視点は僕にはありませんでした。参考になります」
その言葉を聞いた瞬間、セシリアの心臓が大きく跳ねた。
イサクが自分を認めてくれた。その事実が彼女の心を甘く痺れさせる。数日前の冷たい拒絶の言葉によって傷ついた心が今、イサクの温かい賞賛によって癒されていく。
嬉しさと、安堵と、そして愛おしさと。様々な感情が入り混じり、彼女の視界が滲んだ。
次の瞬間。
セシリアの体はふらり、と大きく傾いた。
「きゃっ」
小さな悲鳴と共に、彼女はイサクの胸元へと倒れ込む。
「おっと」
イサクは反射的にその華奢な体を受け止めた。そのずんぐりとした腕の中に、セシリアはすっぽりと収まってしまう。
周囲の生徒たちが息を呑む音が聞こえた。
「大丈夫ですか、クラインフェルト嬢」
イサクが心配そうに尋ねる。
「ははい……。少し、貧血気味のようで……」
セシリアは慌てて答えた。もちろん、それは嘘だ。彼女はただ、イサクの温もりに触れたくて、無意識のうちに足の力を抜いただけなのだ。
「……無理はいけませんね。医務室へ運びましょう」
イサクはそう言うと、セシリアの体を支えながら、ゆっくりと歩き始めた。だが今回は以前のように魔術で彼女を浮かせることはしなかった。意識がはっきりしている相手に、そのような大袈裟な真似は必要ないと判断したのだろう。
代わりに、イサクはセシリアの手をそっと握った。
「歩けますか」
「は、はいぃ……」
セシリアは頬を赤らめながら、蚊の鳴くような声で答えた。
イサクの手はぽっちゃりとしているが意外なほど骨張っていて、力強かった。その温かい感触が彼女の手のひらから全身へと伝わっていく。
──ああ、なんてこと。
セシリアは夢見心地で、イサクの横顔を見上げた。
かつて、元婚約者に「色気がない」と罵られた自分が今、こんなにも素敵な男性に手を引かれている。その事実が彼女の心を熱く満たしていく。イサクの優しさに触れるたびに、心の奥底で何かが溶けていくような感覚。
セシリアはその手を決して離すまいと、きゅっと力を込めた。その小さな愛の告白に、イサクが気づくことはなかったが。
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その日の夜遅く。帝国魔術学院の女子寮、その一室。豪奢な天蓋付きのベッドの上で、セシリア・クラインフェルトは身じろぎもせず、ただ天井の一点を凝視していた。
心の奥底で昼間の出来事の余韻が未だに燻り続けており、眠気を感じない。
──『大丈夫ですか、クラインフェルト嬢』
イサクの声が鼓膜の奥で反響する。低く、落ち着いた、何の感情も乗っていないはずの声。だというのに、その響きはセシリアの神経を甘く痺れさせた。
セシリアは暗闇の中でそっと、自らの右手を持ち上げた。昼間、イサクに引かれた手だ。その掌にはイサクの指の感触がまだ生々しく残っている。ぽっちゃりとして肉厚な、しかしその中心には確かな骨の硬さを感じさせる、力強い手。
あの手が自分を支えてくれた。あの手が自分に触れてくれた。
その事実だけで、全身の血が沸騰するような熱を覚える。数日前、中庭で突きつけられた冷たい拒絶の言葉によって凍りついていた心がイサクの些細な優しさによって、いともたやすく溶かされていくのだから。
──ああ、わたくしはなんて単純なのだろう。
自嘲の笑みが浮かぶ。だがその熱は収まるどころか、むしろ勢いを増して体中を駆け巡った。ネグリジェの下で、肌がじっとりと汗ばむ。下腹部のあたりに、覚えのある疼きが灯る。
セシリアはゆっくりと目を閉じた。瞼の裏に浮かぶのはあのずんぐりとした、しかし何よりも雄々しいイサクの姿。そしてイサクの口から紡がれた、知的な言葉の数々。
──『貴女の古代語に対する理解は僕の想像を遥かに超えている。素晴らしい』
イサクに褒められた。認められた。その歓喜が今、倒錯的な形で彼女の欲望を刺激する。もし、あの言葉がわたくしの知性ではなく、この肉体に向けられたものだったなら。
むっつりセシリアの妄想が始まる。
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──そこは夕暮れの学院だった。窓の外は茜色に染まり、長い廊下には人影一つない。次の講義の準備のために資料を探していたわたくしは突然、背後から強い力で腕を掴まれた。
「イ、イサク様……?」
驚いて振り返ると、そこにはイサク様がいた。いつもの冷静な表情はそのままに、だがその瞳の奥には見たこともないような暗い熱が宿っている。
「少し、付き合っていただきますよ、クラインフェルト嬢」
有無を言わせぬ口調。イサク様はわたくしの返事も待たず、そのまま近くの空き教室へと引きずり込んだ。埃っぽい匂いが鼻を衝く。乱雑に積まれた机と椅子が夕日の中で不気味な影を落としていた。
ガチャリ、と内側から鍵が閉められる音がやけに大きく響いた。
「な、何を……」
恐怖と、それ以上に、何かが始まるという予感に、心臓が早鐘を打つ。
イサク様はわたくしを壁に押し付けると、その大きな体で逃げ場を塞いだ。イサク様の吐息が顔にかかる。汗と、インクと、そしてかすかな男性的な匂いが混じり合い、わたくしの理性を奪っていく。
「貴女は実に興味深い研究対象です」
イサク様は淡々と、まるで講義の続きでもするかのように告げた。
「その知性、その探究心。そしてその裏に隠された、抑圧された欲望。その全てを、僕が解き明かして差し上げましょう」
そう言って、イサク様の手がわたくしのローブの留め具にかけられた。抵抗しようとしたがその腕は鉄の棒のように硬く、びくともしない。
「無駄ですよ。貴女の行動パターンは分析済みです。僕に対して、本気で抵抗などできない」
冷徹な宣告。その言葉はわたくしの心の奥底にある、最も隠しておきたかった願望を暴き立てる。
──わたくしは貴方に支配されたい。
そんな願望を──。
ローブが剥ぎ取られ、下着姿になったわたくしの体を、イサク様はまるで珍しい標本でも観察するかのように、じっとりと見つめた。その視線はかつて元婚約者に向けられた侮蔑のそれとは違う。もっと深く、粘着質で、全てを見透かすような、冒涜的な視線。
「地味で、色気がないと、そう言われたことがあるそうですね」
「なっ……!」
なぜ、イサク様がそれを。驚愕に目を見開くわたくしに、イサク様は口元にわずかな笑みを浮かべた。
「ですが僕はそうは思いませんよ。この成熟しきっていない、未発達な肉体。それ故に、開発の余地がある。実に、そそられる」
そう言って、イサク様の指がわたくしの胸の膨らみに触れた。びくり、と体が跳ねる。そのぽっちゃりとした指先が下着の上から、硬くなったそこを確かめるように、ゆっくりと捏ねる。まるで果実の熟れ具合を確かめるかのように、執拗に、ねっとりと。
「んっ……ぁ……」
甘い痺れが背筋を駆け下り、喉の奥から、くぐもった声が漏れた。指が離れると、下着の布地には小さな染みができていた。
「ほう。感度は悪くないようですね。では次はどうでしょうか」
イサク様はわたくしの下着を乱暴に引き裂いた。高価な絹が無残な布切れとなって床に落ちる。そしてその露わになった秘部へと、躊躇なく指を伸ばした。その指先が熱く濡れた肉の襞に触れる。わたくしのそこはその瞬間を待っていたかのように、自ら蜜を溢れさせ、ぐっしょりと濡れそぼっていた。
「ひゃっ……! や、やめ……」
「お黙りなさい。今は実験の最中です」
冷たい声と共に、イサク様の太い指がずぶり、とわたくしの体内へと侵入してきた。異物が内壁を擦る生々しい感触。狭い入り口を無理やりこじ開けられ、痛みと、それを上回る快感が下腹部を貫く。
「あ、あぁッ……!」
イサク様はその指を容赦なく動かし、わたくしの最も弱い場所を探り当てた。ぐちゅ、ぐちゅ、と卑猥な水音が静かな教室に響き渡る。指が引き抜かれるたびに、とろりとした液体が糸を引き、太腿を伝い落ちていく。
「ほう、興味深い反応だ。この角度、この速度で刺激を与えると、分泌液の量が増加する。実に論理的だ」
イサク様はそんなことを呟きながら、わたくしの体を弄ぶ。その冷静な分析の声が逆にわたくしの羞恥心と興奮を煽った。知的なイサク様に、獣のように扱われている。そのギャップがたまらない。
やがて、イサク様は指を引き抜くと、その濡れた指先をわたくしの口元へと運んだ。生臭い、自分自身の匂いが鼻を衝く。
「舐めなさい」
命令。逆らうことなどできない。わたくしは子犬のようにその指にしゃぶりつき、自分自身の蜜を一滴残らず舌で絡め取った。生暖かく、少し鉄の味がする液体が喉を潤していく。それは屈辱の味であり、同時に、イサク様に与えられたという甘美な証でもあった。
その卑猥な光景に満足したのか、イサク様はようやく自らのズボンの留め具に手をかけた。露わになったそれはイサク様のずんぐりとした体躯には不釣り合いなほど、熱く、禍々しい存在感を放っていた。脈打つそれはまるでそれ自体が独立した生き物のようだ。
「さあ、実験の最終段階です」
イサク様はわたくしの両足を掴み上げると、その間に自らの体を滑り込ませた。そしてその熱く硬いものを、わたくしの最奥部へと、一気に突き入れた。
「あ゙ッ……!」
引き裂かれるような痛み。だがそれ以上に、満たされたという充足感が全身を駆け巡る。イサク様の巨大な楔がわたくしの内壁を押し広げ、その存在を刻みつけていく。ぎちぎちと音を立てるかのように、イサク様の剛直がわたくしの全てを埋め尽くしていく。
イサク様はゆっくりとしかし確実に腰を動かし始めた。ず、と肉が引き抜かれる感覚。そしてぐ、と再び深く突き込まれる衝撃。その度に、腹の底で熱い塊がぐり、と蠢く。それはわたくしの体の構造そのものを、内側から書き換えていくような、圧倒的な暴力だった。
「ひ……ッ! あ、ぁ……ん、んんっ……!」
最初は悲鳴に近かった声が次第に甘く、切ない響きを帯びていく。イサク様の動きが徐々に速度を増すにつれて、ぬちゃぬちゃと卑猥な水音が教室に響き渡り始めた。
わたくしの体は正直だった。あれほど痛がっていた場所は今や自ら熱い蜜を溢れさせ、侵入者を歓待するように潤んでいる。
「あ、あ、ああッ……! イサク様、イサク様……! もっと、もっと……っ!」
もはや羞恥心などどこかへ消え去っていた。わたくしはただ与えられる感覚に身を委ね、もっと深く、もっと激しく掻き乱してほしいと、喘ぎながら懇願する。イサク様の肌から立ち上る、汗と男性的な匂いがわたくしの嗅覚を麻痺させる。その匂いを嗅ぐだけで、体の芯が蕩けていく。
ああ、わたくしは今、イサク様に犯されているんだ──
「……良い声だ。もっと鳴きなさい、僕のためだけに」
イサク様は命令するように言うと、一際深く、強く、乱暴に私の奥を貫いた。
「あ゙ああァッ——————♡♡♡」
頭がおかしくなる。
痛いはずなのに、気持ちがいい。
こんな、こんな事って──
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◆◆◆
──はっ、と。セシリアは目を開けた。
視界に映るのは見慣れた自室の天井。窓の外からは変わらず冷たい月明かりが差し込んでいる。
「……はぁ……はぁ……」
荒い呼吸。全身は汗でぐっしょりと濡れ、心臓はまだ狂ったように高鳴っていた。
そして下半身には生々しい快感の余韻が残っている。
セシリアはゆっくりと自らの右手を見た。その指先はネグリジェの下、自分自身の体液で濡れ、てらてらと光っていた。
彼女は妄想の中でイサクに犯されながら、無意識のうちに自らの体を慰めていたのだ。
──わたくしはなんてはしたないのだろう。
羞恥心が込み上げる。だがそれ以上に、彼女の心を支配していたのは満たされないという渇望だった。
妄想だけでは足りない。あの熱を、あの感触を、現実に味わいたい。
セシリアは濡れた指先をそっと唇に当てた。生暖かく、少し鉄の味がする液体。
その味は彼女の心に宿った欲望の炎に、油を注ぐかのようだった。