※この作品はR-18です。

侯爵家の影の支配者は熟女が大好き   作:埴輪庭

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学院生活⑬

学院生活⑬

 

 ◆

 

「んッ……♡ ぐぅ……はぁッ……あ゙ッ!?」

 

 静謐であるべき帝国魔術学院、大図書館の最奥で背徳の宴が催されていた。

 

 押し殺したような甘い悲鳴が重厚な革表紙の本に吸い込まれていく。

 

 そう、イサクによるいつもの()()()()だ。清掃婦マージの両手が書架の棚板を白くなるほど強く掴んでいた。爪が古い木板に食い込み、身体を支えるのがやっとだと言わんばかりに震えている。

 

 粗末なスカートは腰まで捲り上げられ、露わになった下半身は無防備に晒されていた。出産と労働で鍛えられた肉付きの良い太腿と尻が、背後からの衝撃を受けるたびに波打ち、痙攣する。

 

(締まりはそれほどでもないが、このむっちりしたビジュアルは良いな──)

 

 などと失礼な事を考えつつ、イサクはマージの豊かな臀部を鷲掴みにして腰を叩きつける。常ならぬ、荒々しい抽挿だ。

 

 肉に指を沈め、ずんぐりとした体躯を押し付け、腰を引いては突きこむ。

 

 パンッ、と肉と肉がぶつかり合う乾いた音が静寂な空間で異様に大きく響いた。

 

「ひぐぅっ! あ、おくっ、奥ぅ……!」

 

 マージの膝が砕けそうになるのを、イサクは片手で彼女の腹を抱え込むようにして支えた。子宮を外から圧迫されるような体勢になり、マージの苦悶と快楽がないまぜになった表情が一層歪む。

 

 本来ならばこんな場所で情事に耽るなど狂気の沙汰である。巡回する司書や調べ物に訪れた学院生に見つかればただでは済まない。まあ、良くて退学だろう。

 

 だがイサクには確信があった。

 

 誰もここには来ない。いや、来られないのだ。

 

 ──人払いの結界。

 

 一口に「人払い」と言っても、その術式構造や作用機序は千差万別である。魔術師の性格や流派によって、そのアプローチは大きく三つに分類される。

 

 一つ目は、認識操作による「無意識の誘導」だ。

 結界の境界線に触れた者の脳内に、ごく自然な形のノイズを走らせる。

 例えばこの通路に入ろうとした瞬間、「そういえば、あっちの棚にある本も確認しておかなければ」と思い出させる。あるいは「トイレに行きたくなった」「喉が渇いた」といった生理的欲求を前景化させる。

 

 強制ではない。あくまで本人の自発的な意思決定であるかのように錯覚させる点が肝要だ。人は自分の意思で選んだ行動に疑問を持たない。故に、誰もこの空間の異常性に気づかない。そこに「入れない」のではなく、「入ろうと思わない」のだから。

 

 二つ目は、精神干渉による「恐怖の植え付け」だ。

 特定の魔術的波長を放射し、範囲内に踏み込もうとする生物の本能に直接訴えかける。「ここは危険だ」「近づいてはいけない」という根源的な恐怖や生理的な嫌悪感を植え付け、遠ざける手法である。

 

 野生動物避けには効果的だが、知性ある人間、特に好奇心旺盛な学生や勘の鋭い魔術師相手にはかえって「何かある」と勘ぐらせる原因になりかねない。恐怖という感情は、時に人を遠ざけるどころか、その正体を暴こうとする探求心を刺激してしまうものだからだ。

 

 そして三つ目は、物理的な「空間隔離」だ。

 現実の座標から対象空間を位相的に切り離す。物理的に干渉不可能な亜空間を作り出し、誰も入ってこれないようにする。効果は絶大だが莫大な魔力消費を伴う上、空間の歪みが周囲の高位魔術師に検知されるリスクが高い。あたかも森の中に巨大な鉄の箱を置くようなもので、中身は見えなくとも、そこに異物があることは一目瞭然となってしまう。

 

 今回、イサクが採用したのは一番最初の「無意識の誘導」である。

 

 最もスタンダードかつ、穏当な手法。

 

 だがイサクのそれは非常に完成度が高い。この魔術の練度というものは、その「ノイズ」がどれだけ自然かに依る。下手な術者ならば被術者が「そもそもなぜ自分はこんな事を考えたのだろう」と疑問を覚えさせてしまう。

 

 その点イサクの意識誘導は極めて自然で、少なくとも学生レベルの魔術師が看破できる代物ではないはずだった。

 

 ──はずだった、のだが。

 

 イサクの腰がピタリと止まった。

 

 マージが「へ?」と間抜けな声を漏らしかけた瞬間、イサクの太い手が背後から伸び、彼女の口を乱暴に塞いだ。

 

 イサクはマージの耳元に唇を寄せ、警告を発する。

 

 ──静かに。

 

 書架の向こう……数メートル先の通路を誰かが歩いてくる気配がある。

 硬質でリズミカルな足音──その足音は迷いなく、イサクたちが潜むこの袋小路へと近づいてきていた。

 

 イサクはマージと繋がったまま息を潜めて様子を窺うと、書架の隙間から豪奢な金髪が見えた。

 

 ヴァリーラ・ド・オルレアンだ。

 

 公爵家の令嬢であり、かつてイサクが決闘で打ち負かした相手である。

 

 彼女は通路の真ん中で立ち止まっていた。訝しげに周囲を見回している。視線の先にあるのは、まさにイサクたちがいる書架の陰だった。

 

 マージの体が強張る。

 

 膣壁がきゅっと収縮し、イサクのペニスを締め付けた。

 

 恐怖──もし見つかれば、清掃婦である彼女の破滅は免れない。いや、それ以上に、貴族であるイサクの顔に泥を塗ることになる。マージにとって、息子の恩人であるイサクに迷惑をかけることは死にも勝る苦痛だった。

 

 ──落ち着け、マージ。

 

 イサクは内心でそう呼びかける。

 

 声には出さない。ただ、塞いだ口元の手と腰を掴む手に力を込め、自らの存在を誇示する。

 

 その無言の圧力にマージの震えがわずかに収まる。

 

 ヴァリーラはまだそこにいた。

 

 美しい眉間に皺を寄せ、じっと空間を睨んでいる。

 

 ヴァリーラは確かに決闘でイサクにこてんぱんにされたのだが、彼女は彼女で優れた魔術の才をもつ。その勘が警鐘を鳴らしているのだろう。さすがは公爵家の血筋と言うべきか。魔力に対する感受性は凡百の学生とは一線を画している。イサクの術式は完璧だったが、彼女の動物的な直感が論理を超えて反応しているのだ。

 

 とはいえ、決定打には欠けているようだった。

 

 ヴァリーラは首を傾げ、さらに一歩、こちらへ踏み出そうとした。

 

 その時。

 

 ヴァリーラの瞳の焦点がふっと揺らぎ、一度まばたきをして小さくかぶりを振った。

 そして興味を失ったように、きびすを返す。

 

 カツ、カツ、カツ……。

 

 ヒールの音が遠ざかっていく。

 

 その音が完全に聞こえなくなるまで、イサクは動かなかった。やがて静寂が戻ると、イサクはマージの口から手を離した。

 

「ぷはっ……! はぁ、はぁ……」

 

 マージが酸素を求めて荒い呼吸を繰り返す。その目には涙が浮かんでいた。極限の緊張からの解放。だがイサクはそんな彼女を労るような優しい言葉はかけない。代わりに中断していた腰の動きを再開した。

 

「あ゙っ……!? サザーランド、さま……まだ……!」

 

「中断して悪かったですね。続きとしましょう」

 

 イサクはマージの腰を乱暴に引き寄せ、最後の追い込みにかかる。

 

 腰と腰が打ち合わされる衝突音が再び静かな図書館に響き渡る。無論この音もイサクが遮音している。

 

「ひぃ、あ、あああっ! 深い、深いですぅっ!」

 

 マージは書架に縋りつき、だらしなく舌を出して喘ぐ。理性のタガが外れた牝の顔は、もし彼女の息子が見れば何と思うだろうか。

 

【挿絵表示】

 

 息子の命を救われた恩義と、イサクによって開発された肉体の快楽。二つの鎖に縛られた彼女はもはやイサクの所有物でしかなかった。

 

「出しますよ」

 

 そういってイサクはマージの最奥部、子宮口を小突く位置まで剛直をねじ込み、腰を固めた。

 

 熱い奔流が勢いよくマージの胎内へと吐き出される。

 

 一度、二度、三度。

 

 搾り出すように、全てを注ぎ込む。

 

「んぐぅぅぅぅ……ッ!」

 

 マージが背中を反らし、声にならない絶叫をあげる。老いた子宮が注がれた種を飲み込もうと痙攣し、イサクのペニスを愛おしむように締め付けた。

 

 長い余韻の後、イサクはゆっくりと息を吐きマージの体内から自身を引き抜いた。白濁した液体が太腿を伝い落ちる。

 

【挿絵表示】

 

 事が済むと、イサクは手早くズボンのベルトを締め襟元を正す。数秒前まで野獣のように腰を振っていた男とは思えないほど落ち着いていた。

 

「マージ。先に出なさい」

 

「……はい、サザーランド様」

 

 マージはスカートを直し、深々と一礼する。

 

 その顔には先ほどの痴態の名残はなく、勤勉な清掃婦の仮面を被り直している。そうして彼女は足音を忍ばせ、書架の影へと消えていった。

 

 イサクは一人その場に残り、懐中時計を取り出して時間を確認する。ややあって、彼は懐から一冊の本を取り出した。

 

 あたかも、ずっとここで読書をしていたかのように装うためだ。

 

 そして、ゆっくりと歩き出す。

 

 向かう先は先ほどヴァリーラが消えた通路の方角だ。

 

 予想通りだった。

 

 通路の曲がり角、閲覧席の近くでヴァリーラが立ち止まっている。彼女はまだ狐につままれたような顔をしていた。術式の誘導効果と、彼女自身の鋭い勘がまだ喧嘩しているのだろう。

 

 イサクは足音を立てずに背後から近づく。

 

 その距離、三歩。

 

 彼女のうなじにある産毛が見える距離まで。

 

 そしてにこやかに、あくまで友好的に声をかけた。

 

「やあ、これはヴァリーラ嬢、こんな所でどうされました?」

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