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精神的な主従関係が確立されて以降、ドロテアの変化は誰の目にも明らかだった。
かつての狷介で傲慢な女主人の姿は影を潜め、そこには常に何かに怯えるように俯き、息を殺して主人の顔色を窺う従順な生き物の姿があった。
最も顕著な変化は、食事の席で現れた。
彼女はイサクが席に着くまで決して椅子に座ろうとせず、彼がカトラリーを手に取って初めて、おずおずと自分の食事に手をつける。
エリナはそんな義母の不可解な変化に戸惑いを隠せないでいた。
あれほど自分を憎んでいた相手が、今では義兄の一挙手一投足に怯え、媚びるような素振りまで見せている。その光景はあまりに異様で、エリナの心にかすかな不安の影を落とした。
だが勉学という新しい世界に夢中になるあまり、その違和感を深く追求するには至らなかった。
彼女はまだ知らない──自分が享受している平穏が、義母の尊厳という犠牲の上に成り立っているという事実を。
そんなある日、グレイルがイサクに一つの提案を持ちかけた。
「イサクよ。たまには机上の学問から離れ、領地を視察してみないか。次期当主として、自らが治めることになる土地と人々を見ておくのも良い経験になるだろう」
「父上がお望みとあらば」
イサクは恭しく応じた。
翌日、二人は数人の供だけを連れて、サザーランド侯爵領の視察へと出かけた。
馬上で揺られながら見る夏の領地は、生命力に満ち溢れていた。
どこまでも広がる麦畑は黄金色に輝き、遠くの森からは涼やかな風が吹き抜けてくる。
視察の最中、イサクは次期当主としての顔を完璧に演じてみせた。
彼は農村の長老の話に真摯に耳を傾け、水路の治水問題について的確な質問を投げかける。市場を訪れれば、商人たちの景気の良い声に混じり、物流の滞りや税率の問題点を鋭く指摘した。その洞察力と落ち着いた態度はグレイルを驚かせ、そして深く満足させた。
「はっはっは、見事だ、イサク! お前には儂の父上の血が濃く流れているらしい。サザーランドの未来は安泰だな!」
グレイルは心から息子の優秀さを誇りに思った。
まあそのイサクは父の賛辞に謙虚な笑みで応えながら、その視線は別のものを捉えているのだが。
市場の片隅で日よけの布の下、一人で果物を売る中年の女。器量こそ良くはないが、胸、尻──肉付きは良い。
イサクの口の端に、ほんのわずかに笑みが浮かぶ。
(……悪くない)
若い娘たちが投げかける好奇の視線など意にも介さず、彼の目は常に熟しきって腐り落ちる寸前の果実だけを探し求めている。その歪んだ本性を父であるグレイルは知る由もなかった。
◆
数日間の視察を終え、屋敷に戻ったその夜のことだった。
イサクは自室で書物を読んでいたが、ふと喉の渇きを覚え、水を飲もうと部屋を出た。
深夜の廊下は静まり返り、床板の軋む音だけがやけに大きく響く。
ドロテアの私室の前を通りかかった時、足がぴたりと止まった。
魔術により聴覚を拡張し、内部の声を拾う。すると──
「……あ……イサク……んんっ……」
それは、紛れもなくドロテアの声だった。
熱に浮かされたような切なげな喘ぎ。そして、自分の名を呼ぶ声。
イサクは音もなく扉に近づき、やはり魔術を行使して扉越しにドロテアを
月明かりが差し込む部屋の中、ドロテアはベッドの上で四つん這いになっていた。
薄いネグリジェは腰までまくり上げられ、成熟した尻と太腿が露わになっている。彼女は片手で自らの乳房を揉みしだき、もう片方の手は、自身の最も秘すべき場所で忙しなく蠢いていた。
「あ、あぁ……もっと……わたくしを、ぶって……ください……っ」
虚空に向かって懇願するその姿は、もはや侯爵夫人としての威厳など微塵も感じさせない、ただ欲望のままに身をよじる一体の雌でしかなかった。
イサクが数日間屋敷を空けたことで彼女の体は禁断症状を起こしていたのだ。
与えられる屈辱と快感に慣れきってしまった肉体は主人の不在に耐えきれず、自らその記憶を呼び覚まそうとしていたのである。
イサクは静かに扉を開け、部屋の中へと足を踏み入れた。
その気配に気づいたドロテアが、びくりと肩を震わせ、ゆっくりと振り返る。自慰の真っ最中を見られた羞恥と、主人が帰ってきたという安堵と喜び。その二つの相反する感情が入り混じり、彼女の顔をぐちゃぐちゃに歪ませた。
「……イ、イサク」
「義母上。……ずいぶんと、出来上がってきましたね」
イサクは嘲るでもなく、咎めるでもなく、ただ事実だけを淡々と告げた。
「あ、あぁ……! ごめんなさい……! わたくし、はしたなくも……!」
「謝る必要はありません。むしろ、感心しました。僕の不在中も雌豚としての務めを忘れなかったのですね」
イサクはベッドに近づくと、おもむろにドロテアの秘部へ指を挿し込む。
「あ゙ァッ……んッ……♡」
熱い肉が指に絡み、締め付ける。
その淫靡さたるや。
イサクは指先を引き抜き、濡れた人差し指をドロテアの口元へと運んだ。
「……義母上の愛液で汚れました。舐め、清めなさい」
ドロテアは一瞬躊躇ったが、すぐに全てをかなぐり捨てた。
子犬のようにその指にしゃぶりつき、自分自身から分泌された蜜を一滴残らず舌で絡め取った。生暖かく、少し鉄の味がする液体が喉を潤していく。
その卑猥な光景に満足したイサクは、静かに告げた。
「今夜は本当の意味で貴女を僕のものにして差し上げます」
その言葉の意味を理解した瞬間、ドロテアの体に歓喜の震えが走った。
イサクはドロテアをベッドに押し倒すと、その両足の間に自らの体を滑り込ませる。
熱く硬くなったものをゆっくりと挿し入れた。
「お゙っ……!」
イサクのモノはグレイルよりも太く、長い。暴力的ですらある。
そんなモノがぎちぎちと音をたてるかのように、ドロテアの秘部へと埋まっていく。
(お、犯されている)
ドロテアはそんな事を思った。
グレイルのそれとは比べ物にならないほどの熱と質量が、無理やり道をこじ開け、彼女の最も柔らかな場所を蹂躙していく。肉の壁がみしみしと音を立てて押し広げられる感覚。灼けつくような痛みが下腹部を貫き、ドロテアの口から引き裂かれるような悲鳴が漏れそうになる。
「あ……ッ、ぁ、う……!」
しかし、その声は喉の奥でくぐもった呻きに変わった。
イサクが彼女の口を塞ぐように、深く口づけてきたからだ。
舌が巧みに彼女の舌を絡め取り、思考を掻き乱す。涙で滲む視界に冷徹なまでに落ち着いたイサクの瞳が映る。
その目に宿るのは、征服者の獰猛な喜びであった。
彼の剛直が完全にドロテアの内奥に収まった時、イサクは動きを止めた。
内壁はこれ以上ないほどに引き伸ばされ、ちりちりと痛みを訴えている。
ドロテアはシーツを握りしめる指先に力を込め、ただその暴力的なまでの存在感に耐えるしかなかった。汗がこめかみを伝い、枕へと染みを作っていく。
「どうしました、義母上。これが貴女の望んだものでしょう?」
耳元で囁かれる声は、悪魔の甘言のように響く。その言葉が引き金になったかのように、痛みの奥底でちろりと小さな快感の炎が灯った。
あれほど憎んでいた痛みが、今は背徳的な甘さを伴って全身に染み渡っていく。
「……ん、ぅ……ぁ……」
否定も肯定もできず、ただ熱い吐息だけが漏れる。
その反応を確かめるように、イサクはゆっくりと、しかし確実に腰を動かし始めた。
ず、と肉が引き抜かれる感覚。そして、ぐ、と再び深く突き込まれる衝撃。その度に、腹の底で熱い塊がぐり、と蠢く。
「ひ……ッ! あ、ぁ……ん、んんっ……!」
最初は悲鳴に近かった声が、次第に甘く、切ない響きを帯びていく。イサクの動きが徐々に速度を増すにつれて、ぬちゃぬちゃと卑猥な水音が部屋に響き渡り始めた。それは衣擦れの音や、二人の荒い呼吸と混じり合い倒錯的な音楽を奏でた。
ドロテアの体は正直だった。
あれほど痛がっていた場所は、今や自ら熱い蜜を溢れさせ、侵入者を歓待するように潤んでいる。
イサクの指が彼女の指に絡め取られ、固く結ばれる。
その繋がれた手は、まるで彼から逃れられないという事実を突きつける枷のようだった。
「あ、あ、ああッ……! イサク、イサク……! もっと、もっと……っ!」
もはや羞恥心などどこかへ消え去っていた。侯爵夫人としてのプライドなど、この燃え盛る快楽の前では塵芥に等しい。
ドロテアはただ与えられる感覚に身を委ね、もっと深く、もっと激しく掻き乱してほしいと、喘ぎながら懇願することしかできなかった。
イサクの肌から立ち上る、汗と男性的な匂いがドロテアの嗅覚を麻痺させる。
首筋に顔を埋めその肌を舐めると、しょっぱい汗の味がした。それがまた彼女の興奮を煽る。
「……良い声だ。もっと鳴きなさい、僕のためだけに」
イサクは命令するように言うと、一際深く、強く、その楔を打ち付けた。
「あ゙ッ——————♡♡♡」
絶頂。
今まで感じたことのない、脳が焼き切れるような強烈な快感が全身を貫いた。
視界が白く点滅し、体の芯が蕩けていく。自分の体が自分のものでなくなるような感覚。思考は停止し、ただ快楽の奔流に飲み込まれていく。正気などとうに失せていた。
全身が弓なりにしなり、びくびくと激しく痙攣する。
どれほどの時間が経ったのか。
朦朧とする意識の中、ドロテアは自分の内で何かが爆ぜるのを感じた。熱い奔流が容赦なく注ぎ込まれ、子宮の奥がきゅん、と疼く。その圧倒的な量と熱に、彼女は再び小さな絶頂の波に攫われた。
やがてイサクはゆっくりと身を引き抜くと、ぐったりと脱力したドロテアの体に覆いかぶさった。汗で濡れた肌が触れ合う感触が妙に生々しい。部屋には、二人の体液が混じり合った濃厚な匂いが満ちていた。
「……よくできました、僕の雌豚」
イサクの満足げな声が耳元で響く。
ドロテアは返事もできず、ただ荒い呼吸を繰り返すだけだった。
しかし、その心は不思議なほどの充足感と、イサクのモノになったという悦びに満たされていた。
今夜、彼女は本当の意味でただのドロテアになったのだ。
イサクという主人のためだけに存在する、一体の雌として。