黒い靄が立ちこめる市街地に、異形のランボーグが姿を現した。
幾重にも分かれた腕のような触手がビルを薙ぎ倒し、舗道を砕き、街を蹂躙する。
「――行くよ、ソラちゃん!」
「ええ、ましろさん!」
蒼い光に包まれて変身を終えたキュアスカイが、前へ飛び出す。続いて虹色の輝きを帯びたキュアプリズムも駆けた。
スカイは拳を握り締め、真正面から飛び込む。
「はぁっ――!」
鋭いジャブが触手を打ち抜き、肉のような感触が弾けて黒い液が散る。しかしランボーグは即座に別の触手を伸ばし、次々と絡みつかせてくる。
「スカイ、気をつけて!」
「大丈夫っ!」
渾身の蹴りを叩き込んだ刹那――。
背後から伸びた太い触手が、油断したスカイの胴を絡め取った。瞬く間に両腕、両脚が締め上げられ、身体が宙に持ち上がる。
「くっ……放せっ!」
空中でもがくが、触手の数は増えていくばかり。肉の鞭が幾重にも巻き付き、抵抗すればするほど締め付けが強くなった。
さらに――一本の触手が、偶然にもスカイの太腿の間へと滑り込んだ。
「っ……!?」
スパッツ越しに、敏感な部分を押し潰すように擦っていく。激しく抵抗するたびに、その場所が強く擦られてしまう。
「……っあ……!」
思わず声が漏れた。痛みではない。熱く、眩暈がするような感覚が一瞬だけ走り、胸の奥をざわめかせる。
「スカイ……?」
プリズムの視線が、その一瞬の反応を逃さなかった。
苦しさとも違う、明らかに戸惑いを含んだ吐息。頬に浮かんだ赤み。
そして、太腿の間にある触手。
「まさか……」
彼女の頭をよぎったのは、自分が知っている“あの感覚”。
触手が偶然とはいえ、スカイの体に“えっちなこと”をしてしまっているのだと察した。
「ダメ……スカイにひどいことしないで!」
プリズムは震える指先を握りしめ、迷いを振り切った。余力を残すことなど考えず、ありったけの力を込めて両手を突き出す。
「プリズムショット――ッ!!!」
光弾が連続して放たれ、空気を焼きながら触手を撃ち砕く。
「っ、はぁっ……!」
拘束がわずかに緩んだ瞬間、スカイは全身の力を込めて拘束を振り解いた。
「はあああああっ!」
青い拳が触手をまとめて砕き、解放された身体を大地に叩きつけるように着地。勢いそのままにランボーグの胴へ渾身のパンチを叩き込む。
轟音とともに巨体が吹き飛んだ。
荒い息を整えながら、スカイは駆け寄る。
「プリズム! ありがとう、助けてくれて!」
「……スカイのためだもの。無茶しちゃった」
プリズムの肩は大きく上下し、消耗の色が濃い。それでも目は真っ直ぐにスカイを見ていた。
短い会話の後、二人は再び息を合わせて突撃する。プリズムショットが雨のように降り注ぎ、ランボーグの動きを止める。そこへスカイが跳躍し、全身を青い光に包み込む。
「ひ~~ろ~~が~~るッ! スカイパンチッ!!!」
拳が炸裂し、ランボーグの肉体を貫いた。異形は浄化の光に溶け、街全体に煌めきが広がる。
砕けた舗道や崩れた壁が修復され、光は夜空に溶けていった。
――戦いは終わった。
ランボーグが光の粒となって消え去り、街に再び静けさが戻る。
崩壊しかけた建物も元に戻り、通りには何事もなかったかのような日常が流れ始める。
ただキュアスカイ――ソラの身体の奥にだけは、説明のつかないざわめきが残っていた。
「ソラちゃん、大丈夫……?」
変身を解いたましろが、息を整えながら歩み寄る。
その瞳には、さっきまで触手に捕らわれていたソラを見てしまった動揺が隠しきれない。
けれどソラは、無邪気な笑顔で答える。
「はいっ! 怪我もしてません!」
胸を張ってそう言い切った。
――その瞬間、ましろの心臓がぎゅっと締め付けられる。
(……やっぱり気づいてないんだ……)
触手に弄ばれ、普段なら絶対に聞かせたことのない声を漏らしてしまったソラ。
その一部始終を見た自分は、彼女の心が深く傷ついているのではと心配でならなかった。
だが今の返答――ソラは本当に「怪我の有無」だけの問いだと受け取っている。
つまり彼女には、そういう“行為”の知識がまだない。
“あの反応”が何だったのかも、まったく理解していないのだ。
(……よかった……。ソラちゃんの心は無事……)
安堵が胸に広がると同時に、ふいに自分自身を意識してしまう。
もうずっと前から、ひとりで布団の中で身体を慰めることが習慣になっている自分。
欲望に駆られ、息を殺して指を動かし、何度も絶頂を迎えてしまう自分。
(……え、ちょっと待って。私、冷静に考えると夜な夜なやりすぎじゃない?)
頭の中で思い返した瞬間、頬が一気に熱くなる。
(ソラちゃんが「怪我はありません!」ってキラキラ笑ってる横で、私だけ昨日もその前も……しかも週の半分どころじゃないし!)
(うわぁぁ……これ、もしバレたら絶対笑えない……いやむしろ笑われる……!)
肩をすくめて視線を逸らすましろ。
その姿を見て、ソラは小首をかしげるだけだった。
(はぁ……なんか、私だけ妙に“経験豊富”っていうか……いや、経験って言っていいのこれ? セルフで?)
心の中で自分にツッコミを入れながら、ましろは一人で勝手に赤面していた。
夜 ―
シャワーを終え、濡れた髪をタオルで拭きながらベッドに潜り込んだソラ。
灯りを消すと、暗闇の中で昼間の感覚が鮮やかに蘇ってくる。
触手に拘束され、無理やり擦りつけられた場所。
太腿の奥――足の間にある小さな核が、じんわりと熱を持って疼いていた。
「なんだったんだろう、あれ……」
呟きながら、布団の中でそっと脚を擦り合わせてみる。
ズボン越しに核が押しつぶされ、かすかな快感が電流のように走った。
「ん……っ」
胸がどくんと高鳴る。もう一度、もっとはっきり確かめたくて指先を伸ばす。
寝間着のズボンの上から、股間を探り、熱を帯びた小さな突起を指でなぞる。
「……っひぁ……っ」
布地越しに触れただけで、全身に痺れるような快感が駆け抜ける。
擦るたびに、そこが硬く膨らみ始めるのがはっきりとわかる。
(これ……大きくなってる……?)
無意識に何度も撫で、押し、転がす。
ズボンが熱で湿り、じんわりと染みていく感触に気づきながらも、手を止められない。
「はぁ……っ、んっ……これ……すご……」
ズボン越しでは物足りない。もっと強く欲しい――そう思った瞬間、ソラは躊躇いなくズボンを腰まで下げ、太腿の途中で引っかけた。
露わになった下着にはすでに濃い染みが広がり、布越しに熱い突起が脈打っている。
「えっ……な、なにこれ……濡れてる……? ……も、もしかして……おもらし……?」
一瞬、顔が真っ赤になり、慌てて両手で股間を覆う。
だが、次の瞬間にはすぐにまたズキズキと疼く感覚が意識を塗りつぶしていく。
「……っ、ち、違う……たぶん……でも……今は……っ」
羞恥よりも強烈な快感の誘惑が勝り、ソラは迷いを振り払うように下着の上から小さな突起を擦り始めた。
「っあぁ……っ、ん……んんっ……!」
勃ち上がった突起を指先がとらえるたび、頭の奥がじわじわと焼けるような快感で満たされる。
擦るリズムは次第に速くなり、下着はさらに濡れていく。
「やっ……止まんない……もっと……っ!」
腰が勝手に浮き、足をぎゅっと閉じながら夢中で擦り続ける。
下着の奥からぬるぬるとした感触が広がり、指先と布の間でくちゅくちゅといやらしい音が立つ。
「ふぁぁ……っ、あっ……! なにこれ……すご……っ!」
熱が一気に高まり、全身が硬直する。
熱をもった突起を押し潰した瞬間、ソラの身体は弓のように跳ね上がり、喉の奥から甘い声が零れた。
「――――っ!!!」
初めての絶頂。
全身を襲う痺れに耐えきれず、ソラはシーツに身体を投げ出した。
だが、呼吸が落ち着く前に、まだ疼きが残っていることに気づく。
下着はびしょびしょに濡れて張り付き、指先を動かすたびに新しい快感が弾ける。
「や……まだ……止めたくない……っ」
汗ばんだ額を枕に押しつけながら、また指を動かしてしまう。
絶頂の余韻に溺れながら、もう一度、もう一度と繰り返す。
「はぁ、あっ……んん……っ、も、だめ……っ、また……っ!」
夜は果てなく続き、ソラは夢中で己の快楽を追い求めていった。
荒い息を吐きながら、ソラはびしょ濡れになった下着の感触に顔を赤くしていた。
絶頂を迎えたばかりだというのに、まだ奥の疼きは収まらない。
むしろ、擦り続けるほどに熱が強くなり、胸がドキドキして落ち着かなかった。
「……っ、こんなに……まだ……したい……」
濡れた下着の布越しでも快感は十分だった。
けれど、擦るたびに指先が布に引っかかり、核の感触がぼやける。
(……もし……直接さわったら……?)
その考えが浮かんだ瞬間、心臓が大きく跳ねた。
でも、もうためらっていられなかった。
ソラは息を止めるようにして、下着を指でつまみ、太ももまでずり下ろした。
「……ぁ……で、でちゃった……」
小さな丘と、その先に熱で膨らんだ突起が露わになる。
しっとりと濡れたそこは、灯りを落とした暗がりの中でも艶めいて見えた。
ほんのりと震えている突起を、そっと人差し指で撫でてみる。
「ひゃ……っ! あっ、あぁぁ……っ!」
布越しとは比べ物にならない、鋭く甘い衝撃。
電撃のような快感が全身を駆け抜け、思わず腰が浮き上がった。
「な、なにこれ……っ、すご……っ、すごいっ……!」
勃ち上がった突起の輪郭を、指先でなぞり、軽く弾く。
そのたびに喉から抑えきれない声が溢れ、足の間からぬるぬるとした液が零れ出てシーツに染みていく。
「っあぁ……っ、だめ……やめ……やめられない……っ!」
ソラは夢中で指を動かし続ける。
撫でる、押す、転がす、擦る。
指の動きに合わせて突起が小さく脈打ち、熱を持った愛液が糸を引いて滴る。
「んっ……んんんっ……あぁっ、また……っ!」
再び訪れる大きな波。
背筋が反り返り、足の指先まで痺れるような強烈な快感に飲み込まれる。
ソラは声を押し殺そうともせず、全身を震わせながら絶頂に達した。
だが、その余韻が消える前に、疼きはまた蘇る。
呼吸を整える間もなく、指は勝手に突起を探していた。
「はぁ……っ、ん……まだ……まだしたい……っ!」
気がつけば、何度も、何度も同じことを繰り返していた。
絶頂を迎えてはシーツに沈み、汗を拭う間もなく次の快楽を求めて足を開く。
愛液に濡れた指はすぐにまた突起に伸び、止まらない。
「ふぁ……っ、やぁ……っ、もう……もうわかんない……でも……気持ちいい……っ!」
涙がにじむほどの強烈な快感に、ソラの身体は夜が更けても動き続けた。
時折、あまりの強さに痙攣のように腰を跳ね上げ、そのたびにシーツに濃い染みを広げていく。
「……っあ、あっ……んんっ、また……また……っ!!」
何度目かもわからない絶頂。
指先で硬くなった突起を押しつぶすと、全身が跳ね、声にならない悲鳴が喉を裂いた。
「ぁぁぁっ……っ!!! っはぁ……っ……はぁぁぁ……っ……」
ソラは仰向けに倒れ込み、汗で濡れた髪が枕に張り付く。
それでもまだ、突起は赤く熱を持ち続け、疼きが消えることはない。
「……も、もう……やめたいのに……でも……もっと欲しい……っ」
羞恥も、疲労も、すべて忘れて。
快感の虜になったソラは、深夜を過ぎても何十回と自慰を繰り返した。
夜明け前 ―
窓の外がほんのりと白み始めても、ソラの身体はまだ火照りを残していた。
シーツはびしょびしょに濡れて、途中で脱ぎ捨てた下着も足元に無造作に転がっている。
「……はぁ……っ……もう……何回したんだろ……」
汗と涙と愛液にまみれた身体を抱きしめながら、ソラはかすかな笑みを浮かべた。
指先はまだじんじんと痺れていて、足の間の突起は腫れたように熱を帯びている。
それでも、心の奥に芽生えた満ち足りた快感は、疲労よりも勝っていた。
(……気持ちよかった……もっとしたい……でも……ねむ……い……)
瞼が落ちる。
ソラはそのまま、乱れたシーツに包まれながら泥のように眠りに落ちていった。
早朝 ―
まだましろが寝ている時間。
ソラはふと目を覚ました。
寝ぼけた頭で身を起こした瞬間、下半身にまとわりつく冷たく濡れた感触に思わず身を震わせる。
「……っ……やだ……」
シーツも下着も、昨夜の行為の痕跡をあまりに生々しく残している。
熱が引いた身体とは裏腹に、鼻をかすめる濃い匂いが羞恥を突き刺す。
(ましろさんに……気づかれてしまったら……いけません……!)
ソラは慌てて立ち上がり、濡れたシーツを抱え、下着を拾った。
シャワーを浴びるため、抱えた荷物を胸に押し付けて洗面所へ向かう。
「……んしょ……っ」
シーツを大きな桶に押し込み、水を流す。下着は石鹸でこすりながら必死に汚れを落とす。
シャワーで身体を洗い流すと、昨夜あれほど火照っていた下半身がまだ敏感に疼いているのを感じてしまい、思わず顔を真っ赤にして俯いた。
「……だめ……今は……」
必死に気を引き締めながら処理を終え、濡れた洗濯物を抱えて廊下へ戻る。
そのとき。
ふいに近くのドアが開き、トイレに向かうましろと鉢合わせてしまった。
「……ソラちゃん?」
「ひゃ……っ!!」
抱えた洗濯物を背中に隠すように立ち止まるソラ。
あたふたと口を開くが、言い訳が何も浮かばない。
「そ、その……あの……っ……!」
顔は真っ赤に染まり、しどろもどろで目を泳がせる。
その様子を見たましろは、一瞬で察した。――昨夜の戦闘で与えられた刺激と、今のソラの態度から。
けれど彼女は、あえて柔らかく微笑みながら首をかしげた。
「もしかして……ベッドでジュースこぼしちゃったの? だめだよ、飲み物は布団の上じゃ……」
「っ……!」
助け舟だと悟ったソラは、顔をさらに赤くしながらも、即座に頷いた。
「そ、そうなんですっ……! わ、私……こぼしちゃって……ほんとにごめんなさい……!」
声は裏返り、抱えたシーツをぎゅっと握りしめる。
そして、ましろの優しい“勘違い”に救われたように、胸を押さえて小さく息をついた。
「……はぁ……」
ましろは何も追及せず、ただ眠たげに微笑んだままトイレへと消えていく。
ソラはその背中を見送りながら、胸を撫で下ろし、安堵の吐息を漏らした。
「……ふぅ……」
洗い終わったシーツと下着を外の物干しにかけ、ソラはまだ薄暗い廊下をそろりそろりと戻ってきた。
足元に伝わる床のひんやりした感触に、火照りを残す身体がかすかに震える。
自室へ滑り込むと、布団の上は裸のまま放置していたタオルだけが散らかっていた。
一瞬、ましろが覗きに来ていないか不安になったが……静まり返った家の空気に、胸をなで下ろす。
「……大丈夫……バレてません……」
安堵の息をつきながら、タオルで急いで布団を整え、まだ湿り気の残るシーツの代わりに予備の毛布を敷いて潜り込む。
肌にまとわりつく毛布の柔らかさが、洗いたての身体に心地よかった。
(……よかったです……ましろさんに……変なふうに思われなくて……)
ほっと胸を落ち着けると、昨夜の昂ぶりが尾を引くように思考の端をくすぐったが、それ以上は考えないように瞼を閉じた。
やがて睡魔に引き込まれるように眠りへ落ちていった。
朝 ―
「ソラちゃーん、朝ごはんできたよ」
耳に届いたのは、ましろの朗らかな声だった。
ソラは少し寝不足気味に目をこすり、部屋を出て食卓へ向かう。
ましろはいつも通り、エプロン姿で卵焼きを並べていた。
目が合うと、柔らかく微笑んで「おはよう」と声をかけてくる。
「……おはようございます」
ソラは顔を赤らめ、ぎこちなく挨拶を返した。
昨夜のことを思い出すたびに心臓が早鐘を打ち、視線を合わせるのも難しい。
けれどましろは、まるで何も知らないふりをしていた。
――いや、知っているけれど、あえて触れない。そんな穏やかな空気だった。
「ジュースはね、やっぱりコップで飲むに限るよ」
冗談めかして笑うましろに、ソラは小さく頷いた。
「……はい。気をつけます」
その返事に、二人の間にやわらかな沈黙が流れる。
ソラはほっと胸を撫で下ろし、出された朝食に手を伸ばした。