女勇者が魔王を倒したらドスケベ本性が現れた〜異種姦行脚日誌 作:ぶらっくさゆ
竜帝との会合から数日が経った。
その後、ミーシャは新たなる相手を求めてあてもなく旅を続けていた。
昼は陽に灼かれ、夜は冷たい風にさらされる日々の中で、心も身体も次第に渇きを募らせていく。
胸の奥では言葉にできぬ欲求が芽吹き、肉体はそれに応じるように熱を帯び、疼きは夜ごと強まっていった。
すでに彼女は一糸まとわぬ姿で歩いていた、月明かりにさらされた白い肢体は汗に濡れ、熱に浮かされたようにふらつきながら森を進んでいく。
肌を撫でる風さえも刺激となり、胸の突起は硬く尖り、下腹は疼きに支配されていた。
片手は絶えず股間をかき乱し、ぐちゅぐちゅと卑猥な水音を響かせながら蜜壺を掻き回していた。
もう片方の手は乳首を強く抓み、硬く尖った突起をきゅぅっと締め上げる。
腰は勝手に揺れ、全身は獲物を待ちきれぬ発情雌そのものだった。
「もう……がまん、できない……っ……」
「はやく……ずっぽずっぽに突いて……あぁぁっ……もう溶けちゃうのぉ……」
「誰でもいい……オークさまでも、グリフォンさまでも……っ……はやくわたしを犯してぇっ……!」
理性よりも渇望に突き動かされるその姿は、まるで獲物を求める獣のように異常で淫らだった。
そして今宵――。
夜の森は、ひっそりと静まり返っていた。
木々の梢を揺らす風は甘く湿り、どこか懐かしい匂いを含んでいる。
ミーシャは足を止めた。
胸の奥に、微かな疼きが走る。
それは痛みの残響のようでもあり、熱を帯びた快楽の記憶のようでもあった。
「……あぁ……思い出した」
唇が自然に綻ぶ。
いつから忘れていたのかも分からない。
けれど今、確かに呼び覚まされた。
苔と血と精の匂いが入り混じった、あの洞窟のことを。
縛られ、壊され、そして……生まれ変わったあの場所を。
彼女の足は迷わなかった。
森の奥へ進むごとに、胸の鼓動は甘く早鐘を打ち、頬は自然に紅潮していく。
暗がりの中で、かつて泣き叫んだ声が微かに蘇り、それすらも今は快い囁きとなって耳を撫でた。
「ふふ……」
洞窟の入口に立つと、ひんやりとした石の吐息が頬を撫でた。
苔の匂い、血の鉄臭さ、そして――鼻腔の奥を刺激する濃密な精の残り香。
それらがゆっくりと胸に染み込み、忘れていたはずの記憶を少しずつ引きずり上げていく。
「……そう……ここで、私は……」
囁きが漏れる。
足を踏み入れるたびに、石床の冷たさが肌に伝わり、体の奥で疼きが広がる。
脳裏に浮かぶ光景は断片から鮮明へと変わり、甘美と恐怖が入り混じって心を締めつける。
暗闇を進むごとに、瞳の奥で映像は鮮烈さを増していった。
やがて、意識の底に沈んでいた過去が、まるで今起こっているかのように蘇る。
◆
その蘇りし記憶の始まりは――この洞窟の底。
苔の匂いと血と精の臭気が充満する巣穴の一角に、ミーシャは縛り付けられていた。
すでに衣はすべて剥ぎ取られ、白い肌の隅々までが露わになっている。
胸も、腰も、秘所も、羞恥を隠すものは何ひとつなく、岩の冷たさと周囲の視線に晒されていた。
両手首は粗縄で背後の杭に括られ、強引に引き開かれた足首は石床に押し付けられている。
硬い縄は肌に食い込み、赤い痕を刻みながら体を固定していた。
縄のきしむ音と、彼女の荒い呼吸だけが、ひときわ大きく洞窟に響く。
胸は緊張と寒気に震え、尖った突起が無防備に晒されている。
股間もまた、ひと筋の抵抗も許されぬほど広げられ、秘めた花弁の奥までもが闇の中で白々と浮かび上がっていた。
羞恥と恐怖に頬は赤く染まり、瞳には涙が滲む。
それでも、縄に縛られた体は逃げられず、洞窟の奥で蠢く影の餌食になるのを待つしかなかった。
――どうして、こんなことに。
胸を締めつける後悔が、今さらになって込み上げてきた。
初めての冒険依頼。
「ゴブリン退治など雑魚相手、私の魔法なら容易いはず」
そう言って、他の冒険者の制止も聞かずに一人で請け負ってしまった。
「せめてパーティーを組んだ方がいい」
「群れで出たら危険すぎる」
――誰もが口々に止めてくれたのに。
だが自分には確かな自信があった。
魔力の流れを自在に操り、炎も氷も思うまま。
子供の頃から「天才」と呼ばれてきた自負が、彼女の耳を塞いでいた。
「たかがゴブリンごときに後れを取るものですか」
その慢心が、すべての始まりだった。
森で群れに遭遇した瞬間、数は想定よりも遥かに多く、加えて彼らは粗末ながらも罠や待ち伏せを用意していた。
足元の草の輪に足を気を取られ、気がそっちに向いた瞬間に背後から網を被せられ、体勢を崩した彼女は棍棒で頭を殴打され、意識を手放した。
――そして気がつけば、今ここに。
杭に縛られ、衣を引き裂かれ、かつての自信も矜持も、全てが剥ぎ取られた。
後悔すらもう遅い。
洞窟の奥から忍び寄る獣じみた気配が、すでに彼女の処遇を決めていた。
◆
「……手足邪魔……」
ゴブリンの一匹が、刃こぼれだらけの鉈を振りかぶった。
鉄の表面には古い血肉がこびりつき、たいまつの灯りで黒い斑点を浮かべている。
「や……っ、まって……!」
必死の懇願は嘲笑でかき消される。
次の瞬間――。
ごぎんっ!!
冷たい鉄が右腕に叩き込まれた。
刃は骨に食い込み、だが切り落とすには至らない。
肉が裂け、骨が悲鳴を上げながら白い欠片を覗かせる。
「ぎゃあああああっ!!」
鮮血が滝のように噴き出し、岩壁に飛沫を刻む。
二撃目。
ぐしゃっ! べきぃっ!
裂けかけた肉をさらに断ち割り、腕はほとんど繋ぎ止めを失った。
だがまだぶらぶらとぶら下がり、筋が切れずに残っている。
三撃目。
どしゃり、と。
ようやく右腕が完全に落ち、石床に転がった。
赤黒い血溜まりが一気に広がり、熱せられた石が断面へ押し当てられる。
じゅうぅぅぅっ……!!
「やゃあああっ!! やめっ、いやぁぁぁっ!」
焦げる肉の音が耳をつんざき、白い煙が立ち昇る。
皮膚が焼け縮み、炭化した臭気が鼻腔を強襲した。
ミーシャは絶叫し、背筋を弓なりに反らす。
やがて左腕へ、そして両脚へと、同じ運命は容赦なく繰り返された。
鉈が振り下ろされる音、血飛沫が舞う光景、焼け石の焦げ臭さ――すべてが機械的に続けられ、彼女の肉体から四肢はひとつ残らず奪われた。
悲鳴は断続的に途切れ、涙と唾液と血で濡れた顔が杭に押し付けられる。
もはや抵抗の術もなく、杭に縛られたエルフの少女は、ただの芋虫に堕ちていった。
◆
手足を失った胴体は、杭の根元に転がされていた。
断ち切られた四肢の痕は黒く焦げ、止血のために押し当てられた焼け石の痕がまだじゅくじゅくと膿を滲ませている。
焦げた肉の匂いが彼女自身の吐息に混じり、血の匂いとともに胸を満たすたび、喉の奥でえずきが走った。
皮膚は汗と血で湿り、石床の冷たさに張り付いている。
背骨がむき出しの石に押し付けられるたびに、神経の残滓がびりびりと震えた。
僅かに残る感覚が、逆に痛みを倍加させていた。
もはや抵抗の術などなく、首を振ることがかろうじて可能なだけだった。
その姿は、抵抗も誇りも奪われた「肉穴」として、ただゴブリンの欲望を受け止め続ける器でしかなかった。
「ひっ……はぁ……あぁ……」
頬は涙と血に濡れ、声は震えていた。
だがその奥、下腹の芯に、微かに熱が芽吹いているのを、ミーシャ自身が気づいていた。
(……いや……違う……でも……これ……)
痛みで朦朧としながらも、その熱は確かに広がっていた。
恐怖と絶望の只中にあって、彼女は自分の身体が別の欲望で震えていることに、薄ら寒い自覚を覚え始めていた。
その無残な身体を前に、ゴブリンたちはぎらついた眼で近づいて来る。
彼らの狙いが明確であることを悟った瞬間、全身が凍りついた。
「や……やめ……いや……っ!」
逃げようにも、もはや腕も脚もない。
転がる胴体はただ押さえつけられるまま、石床に叩きつけられる。
獣じみた咆哮とともに、一匹が背後へ回り込む。
ごつごつとした突起を掴み出し、熱を帯びた先端を尻の窄まりへ押し当てた。
ぬちゃ……。
唾液と粘液を塗りつけながら、肛門の皺を無理やりこじ開ける。
皮膚が裂けそうな圧迫に、背筋が反射的に跳ね上がった。
「ぎぃっ!!」
悲鳴と同時に、異物が力任せに押し込まれる。
括約筋が裂ける感覚とともに、ぬるりとした質量が奥へ侵入し、腹の奥にまでねじ込まれていく。
同時に、前からも襲撃が重なる。
獣の熱と臭気を帯びた突起が、強引に唇をこじ開けて口内を満たす。
喉奥まで突き立てられ、呼吸が奪われた。
涙と唾液が混じり合い、吐き出すことすら許されない。
逆流した粘液が鼻に流れ込み、酸欠とむせびに全身が痙攣する。
「んぶっ……ぐぅっ……!」
掠れた声は喉奥で塞がれ、嗚咽に変わるだけ。
そして、別の個体が、ミーシャの広げられ無抵抗となっている性器に、熱く膨らんだ突起をねじ込んできた。
無理やり開かれた花弁に鈍重な質量が押し当てられ、ずぶずぶと突き進んでいく。
「ひっ……やっ……いやぁぁぁっ! 初めてなの! それだけは許して!!」
そんなミーシャの必死の懇願は受けいれるわけもなく、ミーシャの処女は無惨にも散らされる。
ブチブチという音と共に裂ける痛みと、粘膜を抉られる感覚。
愛液がどろりと溢れ、侵入を助けるように床へ垂れ落ちた。
腹の奥を乱暴に擦り上げられるたび、胴体だけの身体がビクンと跳ねる。
◆
ぐちゅ、ぐちゅっ……。
洞窟には、三穴を同時に貪られる卑猥な音が充満した。
前後から突き上げられる衝撃と、喉奥を塞ぐ圧迫感。
三つの穴を同時に突き上げられる運動が繰り返され、限界に達したゴブリンの一匹が背を反らせ、呻き声とともに奥深くまで押し込んだ。
「んぶぅっ……っ!」
次の瞬間、熱い奔流が尻の奥で炸裂した。
裂けた括約筋を焼くように、濃い精が奥へ、さらに腹の中へと溢れ込む。
膨れ上がる圧迫感に、胴体は小さく痙攣した。
同時に、口を塞いでいた突起も震え、喉奥に容赦なく吐き出された。
とろりとした粘液が一気に流し込まれ、胃袋へと押し込まれる。
鼻に逆流した分が気道を塞ぎ、彼女は窒息寸前のまま、必死に嚥下するしかなかった。
「ごぶっ……ぐぅぅっ……!」
瞳は涙に曇り、首を必死に振っても無駄だった。
吐き気と酸欠で意識が薄れるが、それでも熱い精は止まらず流れ込んでいった。
股間にねじ込まれた突起もまた限界を迎え、荒々しい咆哮とともに膣内に注ぎ込む。
裂けた粘膜に、熱く濃厚な精が叩きつけられるように子宮口から中になだれ込む。
血と愛液に混じり、白濁が溢れ出して腿を濡らす。
「ひぃっ……あぁぁぁぁ……っ!」
四肢を失った肉体は、ただ精の受け皿と化していた。
腹の中は熱い泥のような液で満たされ、喉からも、尻の奥からも、膣からも溢れ続ける。
注ぎ込まれた後も、交代の列は途切れない。
一匹が果てて抜ければ、次の一匹がすぐに穴を塞ぎ、新たな奔流を注ぐ。
三つの穴は絶え間なく白濁で満たされ、彼女の体温を奪いながらも、なお熱を与え続けた。
やがて、石床の上は血と精液でぬめり、ミーシャの白い肌はそれらで光沢を帯びていた。
胴体だけの彼女は、なお震え、息を荒げながらも笑みに似た痙攣を口元に浮かべていた。
「ひっ……やめ……やめて……っ、あぁっ……!」
泣き叫ぶ声は、すでに懇願ではなく、どこか震える快楽の吐息に変わり始めていた。
◆
数時間後。
ゴブリンたちはしばし飽きたように姿を消し、残されたのは放置されたミーシャだった。
四肢を失った胴体はただ荒い息と涙を零すしかない。
そして、ミーシャの生理現象が始まる。
ゆっくりとしかし確実に便意と尿意が彼女を支配していく、全裸の下腹は汗で濡れ、呼吸に合わせて小刻みに痙攣していた。
(……だめ……もう……っ)
腹の奥を締め付ける痛みが限界に達し、腸が不規則に蠕動を始める。
きゅるる……と、かすかな音が腹の中から漏れ、羞恥に顔が赤く染まった。
血と精で濡れた下半身に、圧力がじわじわと押し寄せてくる。
尻の奥が熱を帯び、きりきりとした感覚が耐えがたく膨らんでいった。
「いや……やだ……出ちゃう……っ……」
必死に括約筋を締め付けようとする。
だが、四肢を失った胴体では身を捩ることすらできず、ただ震えるだけ。
汗と涙が頬を伝い、口元からはかすかな嗚咽が漏れた。
石床に押し付けられた尻の下で、今にも決壊しそうな圧力がせり上がってくる――
「いや……っ……いやぁぁ……っ」
必死に堪えるが、便意はすでに限界を超えていた。
次の瞬間――。
ぶほっ、ぶべべっ、ぶりゅっ、ぶりっ!
後ろの穴が勝手に開き、放屁と共にどろりとした排泄物が押し出された。
独特の匂いをまき散らしながら、排出されたものは粘ついた音を立てて石床に落ち、茶色の塊としてぬるりと転がっていく。
ぐちゅ、ぼとん……。
血と精で濡れた下半身を汚しながら、軟泥のような排泄物が次々と押し出される。
石床に広がる液体と混ざり合い、ぬるぬるとした音を立てて広がった。
「いや……っ、みないでぇ……っ……」
羞恥に顔を背けても、縄に縛られた身体は晒されたまま。
熱を帯びた汚泥が背中や腰に絡みつき、においは一層濃く充満していく。
さらに我慢していた前も同時に崩れた。
しゃぁぁぁぁ……。
股間から温かな尿が奔流のように溢れ出す。
血や汗に混じり、石床を濡らして泡立ちながら広がっていく。
滴る音と、後ろから落ちる粘液の音が重なり合い、洞窟に卑猥な響きを残した。
「……っ……はぁ、はぁ……っ……」
涙と涎に濡れた顔で、ミーシャは声にならない嗚咽を漏らした。
芋虫のような胴体は、ただ恥辱にまみれ、血と精と汚物に沈む。
エルフとしての尊厳はすでになく、そこにあるのはただ雌の塊のみだった。
「……ぁ……いや……っ……」
誰も見ていない。
それでも、彼女は顔を背けて震えるしかなかった。
石床は汚濁に濡れ、血と精に加えて尿と糞が混じり合い、異臭を放っていた。
その中心に転がされたミーシャは、涙に濡れた顔を横に背け、かすかに震えている。
(……もう、消えてしまいたいのに……でも……)
羞恥と屈辱のあまり、心は限界に追い詰められていた。
だが、どこか心の奥底で何かが目覚めていた。
それはあまりにも小さいが、かすかに存在する喜び。
その芽生えに対して困惑する間もないまま、洞窟の奥から甲高い笑い声が響いた。
「ギヒヒヒッ!」
「ケッケッケッ……クサッ……!」
ゴブリンたちが戻ってきたのだ。
血走った目をぎらつかせ、鼻をひくつかせて、ミーシャの体から漂う強烈な臭気を楽しむように嗅ぎ回る。
「や……っ、こないで……っ!」
必死の懇願も虚しく、彼らは肉塊と化した身体を囲み込む。
四肢を失った胴体はもがくこともできず、ただ首を振るだけの抵抗が逆に嘲笑を誘った。
「グフフッ、出してやがる……」
「見ろよ、ケツもアソコもぐちゃぐちゃだ……」
「やぁぁっ……いやぁぁぁっ!」
ミーシャは声を上げて拒絶するが、無慈悲な手は止まらない。
彼女の全身は、ほとんど暴力に近い愛撫にさらされる。
「んぶぅっ……ごぶっ……!」
「もっと出せよ!」
「今度はチンポで掻き出してやる!」
嘲笑と咆哮の中、すでに精で濡れた膣内はぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる。
尻の穴も口も同時に塞がれ、体内に熱い粘液が再び注ぎ込まれていく。
彼女の体は汚物まみれのまま、三つの穴を貪られる玩具と化していた。
「……っ、ひぃっ……ぁぁっ……」
涙と嗚咽を零すその顔を、ゴブリンたちは愉悦の餌にし、嘲笑とともに終わらない快楽をむさぼり続けるのだった。
◆
数日後、洞窟の奥は、熱気と悪臭で淀んでいた。
排泄物と精液と血が混ざった空気の中、ミーシャは芋虫のような姿のまま、荒い呼吸を繰り返していた。
「……はぁ……はぁ……っ……」
頬は痩せ、唇は乾ききり、ひび割れて血が滲んでいる。
尖っていた耳は項垂れ、かつて光を帯びていた瞳は半ば濁り、虚ろに揺れるだけ。
白い肌は無数の噛み跡と爪痕に覆われ、裂け目から滲んだ血が乾いて黒い筋となっていた。
胸の突起は荒く噛まれて腫れ上がり、擦り切れた乳輪から膿が滲んでいる。
股間は幾度も貫かれ、小陰唇のヒダは使い込まれ伸びきっていた。
その割れ目からあふれる液は、血と精と体液が混ざり合ったもので、どろりと腿を伝って垂れ続けていた。
日数の感覚はすでに失われていた。
眠ろうとしても塞がれる口、前後から突き立てられる衝撃、乳首やクリトリスを噛み千切られそうな痛みが途切れることはなく、夜も昼も区別なく繰り返された。
だが、その狂宴に飽きを覚え始めた気配が漂い始めていた。
ゴブリンたちは最初こそ興奮に酔い、交代で彼女を貪り続けたが、数日を経た今、笑い声はどこか倦怠を帯びていた。
「グルル……」
「ケヒッ……もう飽きた……」
嘲笑はまだ響いていたが、それは欲望の歓喜ではなく、「最後の暇潰し」を前にした乾いた笑いだった。
ミーシャは痙攣する喉から掠れた声を漏らした。
「……ぁ……ま、だ……おわ……り……」
生気を失った顔に、それでもどこか熱を宿す紅潮が浮かんでいた。
肉体は疲弊しきっているのに、胸の奥には得体の知れぬ痺れが残り続けていた。
痛みと絶望の果てに、微かに甘美を見出してしまった証のように。
――その姿を前に、ゴブリンたちはついに決めたのだ。
「もう遊びは終わり。あとは解体して捨てるだけ」
◆
胴だけの身体を転がしたゴブリンたちは、最後の玩具を手に取った。
刃こぼれの鉈よりも細く鋭い、錆びた短剣。
それを見ただけで、ミーシャの呼吸は荒くなり、胸の奥が恐怖で縮み上がる。
「ひっ……や……やめて……っ」
声は震え、涙が頬を伝う。
だが嘲笑に囲まれ、拒絶の言葉など耳に届くはずもない。
突如、腹部に冷たい感触。
臍のすぐ上に短剣が突き立てられた。
「っ……ああああああぁぁぁっ!!」
鋭い刃先が肉を割き、皮膚を押し開きながら深く沈んでいく。
腹壁の内側をかき分けるたびに、脂肪と血が混じり合った液があふれ出し、赤い滴が床に広がった。
短剣が左右に強引に引かれる。
べりっ、べりりりっ……!
皮膚と筋肉が裂け、臍から恥骨にかけての下腹部が大きく開いた。
開口部から体内の空気が漏れ出し、臓腑の熱気と鉄臭さが洞窟の空気に混じった。
「いやっ……あ……あぁぁ……」
目の前で、己の内側があらわになる。
赤黒い臓器が脈打ち、腸がぬるぬると震え、血と胃液の混ざった匂いが漂う。
ゴブリンたちは歓声を上げ、短剣を突っ込みながら内臓を一つずつ引きずり出していった。
まずは腸。
ずるり、と長い管が腹から滑り落ち、石床を這う。
粘液で濡れた腸が伸ばされるたびに、ミーシャの身体は反射的に痙攣し、声を押し殺せない。
「ひっ……ぐぅ……や……め……て……っ」
続いて肝臓、胃。
摘まみ出されたそれらは血と共に床に投げ捨てられ、どちゃり、と鈍い音を立てる。
胃袋は中身をぶちまけ、酸っぱい臭気を漂わせた。
臓腑をほとんど失い、腹の中は空洞と化していた。
赤い肉の隙間から背骨がのぞき、そこをかき回されるたびに全身が震え、口から血泡があふれ出す。
「けほっ……あ……っ……ぁぁ……」
声は細り、瞳は虚ろ。
それでも完全に死ぬことを許されず、ゴブリンの玩具として弄ばれ続ける。
周囲は歓喜の咆哮で満ちていた。
臓腑を振り回し、血を浴び、獣のように踊り狂う。
ミーシャの耳にそれは、断末魔の合唱ではなく――
なぜか妙に甘美な音楽のように響いていた。
◆
四肢を奪われ、臓腑を抜かれた胴体は、ただ荒い息を漏らすばかりだった。
それでも、ミーシャの胸はわずかに上下していた。
血に塗れ、空洞となった腹がひくひくと痙攣を繰り返す。
「……っ……はぁ……あぁ……」
その姿に、ゴブリンたちはなおも嘲笑し、最後の愉しみを求めて石の棍棒を振り上げた。
血と脂で黒光りするその先端は、数えきれぬほどの頭を砕いてきた凶器。
洞窟の天井から滴る水滴が、棍棒に落ちて、赤黒い跡をさらに濁らせた。
「……め……っ」
かすかな声が漏れる。
だがその乞いは、次の瞬間、轟音にかき消された。
ごしゃっ。
棍棒が頭蓋を直撃する。
白と赤の飛沫が弧を描いて散り、洞窟の壁に叩きつけられた。
骨が砕ける鈍音と、脳が潰れる水っぽい音が重なり合う。
右目が眼窩ごと押し潰され、ゼリー状の塊が頬に流れ落ちる。
左目は飛び出し、神経にぶら下がったままぶらぶらと揺れた。
「……っ……が……ぁぁ……」
口元は顎の骨ごと砕け、歯が何本も弾け飛ぶ。
舌は半ばちぎれ、赤黒い肉片が喉から零れ落ちて床に貼りついた。
ゴブリンたちは笑いながら、さらに何度も棍棒を振り下ろす。
ごりっ、ぐしゃっ、ばきぃんっ。
一撃ごとに頭の形が失われ、髪に絡んだ骨片と脳漿が飛び散る。
頬骨が割れて押し潰され、鼻梁は消え去り、顔という輪郭は跡形もなく崩れていった。
砕けた頭蓋の割れ目から、どろりと温かい液が溢れ出す。
血と混じったそれはとろりと床に広がり、蒸気を上げながら生臭い匂いを放った。
呼吸はもう絶え絶え。
喉奥からは泡混じりの血がぶくぶくと漏れ、最後の喘ぎ声が洞窟に反響した。
「……ぁ……あ……」
その声が掻き消えると同時に、ミーシャの口は完全に沈黙した。
ゴブリンたちは、壊れ果てた肉塊をつかんで持ち上げると、奥の洞窟へと運んでいく。
そこには無数の骸が折り重なり、腐臭と血臭に満ちた苔むした石の祭壇があった。
そして――ミーシャの残骸は、何の感慨もなくその上へ投げ捨てられた。
◆
四肢のない胴、えぐり出された臓腑、砕けた頭蓋。
すでに人の形をなさぬ肉塊からは、赤い血が石の祭壇の隙間へとじわじわと染み込んでいく。
ごぽ、ごぽ……。
血を吸った石は小さく脈打つように震えたが、周囲に気づく者はいない。
ゴブリンたちはすでに立ち去り、洞窟にはただ静寂と悪臭だけが満ちていた。
その肉塊の中に、かすかに残っていた命の光があった。
だがそれもほどなく終わるのは明らかであった。
ミーシャの目の光は、ひと呼吸ごとに淡く薄れていく。
「……っ……」
声にならぬ喘ぎが、砕けた喉から泡のように漏れる。
それは最期の名残、魂が肉から離れかけている証だった。
腹の空洞から、切断面から――魂の輝きが霧のように溶け出し、砕けた頭蓋からは白い煙のように意識の残滓が漂い出す。
思考は闇に沈み、音も遠のき、匂いすら失われる。
ただ、己の存在がこの世から剥がれ落ちていく感覚だけがあった。
(あぁ……これで……終わり……)
全身がふっと軽くなる。
苦痛も羞恥も、すべてが遠ざかり、魂は祭壇の上で光を失った。
――その瞬間。
ずうん、と。
祭壇の底から地鳴りのような震えが響いた。
赤黒く濡れた石の紋様が淡く光り、血に浸された肉塊を抱き込むように輝きが広がる。
『……待ちわびたぞ……』
血を吸った石が脈打つように震え、表面に刻まれた古い紋様が赤く浮かび上がった。
やがてそれは、血管のように祭壇全体へ広がり、淡く青白い光を帯びはじめる。
腐肉と骨で築かれた屍の山がざわめき、かすかに蠢いた。
千年、万年と繰り返されてきた儀式の最終段階――すでに999人がここで捨てられ死んだ。
そう「千人目の供物」が揃った瞬間だった。
洞窟全体に、言葉にならない声が響いた。
耳で聞くのではなく、骨や肉片の奥深くに直接染み入る声。
神とも魔とも知れぬ、名を呼べぬ存在の囁き。
『……儀式は完遂した……だが、他に誰もおらぬ……ならば汝の魂が願い応えよ……』
空気が震えた。
血と腐臭に満ちた洞窟の空気が、いつの間にか甘い芳香へと変わっていく。
まるで死の匂いが蜜へと転じるかのように。
祭壇に投げ捨てられた肉片は沈黙していた。
だが――砕けた頭蓋の奥、霧のように溶けかけた意識の残滓が、ふと呼び戻される。
砕け散った脳の断片にまで、何かが染み渡る。
声だ。
『……汝……』
それは空気を伝うものではなく、魂そのものに直接響く囁きだった。
岩のひび割れでも、血に染みた石でもない。
ただ「存在そのもの」を揺さぶる響き。
『問おう……汝は……望むか……?』
魂となったミーシャは、ゆっくりと漂いながら震えた。
――この数日……痛くて苦しくて恥ずかしいだけのはずだった
――でも今ならわかる、心の奥底では喜びが芽生えていた
――もっと……まだ……終わりたくない……
――痛みも、裂ける苦しみも……全部……もっと体験したい
声にはならない。
息も舌もない、ただの想念。
だが確かに、その願望は闇に溶け、囁きに応えた。
それは救いを乞う祈りではなかった。
誰かに赦しを求める懺悔でもなかった。
――さらなる堕落と快楽を希求する、燃えるような渇望だった。
◆
『よい……』
闇の中、祈りに満ちた声が震えた。
『汝の願い、確かに聞き届けた……』
祭壇の紋様が赤く脈打ち、消えたはずの魂は光に抱かれて再び形を与えられていく。
声は荘厳に震え、祭壇全体が眩く光り出す。
『死を拒み、痛みを悦びとせよ。
汝を終わらぬ器とする。
斬られようとも、砕かれようとも――決して尽きぬ渇きを与えよう……』
その瞬間。
断ち切られた断面から光の繊維が伸び、散乱した肉片を絡め取っていく。
床に転がっていた臓腑が蠢き、ずるずると裂けた腹の奥へ吸い込まれていく。
砕けた頭蓋が内側から押し広げられ、白濁した眼球が吸い込まれるように窪みへ戻っていく。
血を吸った床が乾き、代わりに肉が盛り上がり、骨が再構築されていった。
数分も経たぬうちに、血と骨の残骸は――ひとりの少女の姿へと戻った。
茶色の髪が背に流れ、白い肌が蒸気のような光に包まれて輝く。
砕けていた瞳は宝石めいて澄み、薄く笑みを浮かべて見開かれる。
声は澄んでいるのに、淫らな熱を帯びていた。
その頬は赤く染まり、潤んだ瞳には狂気めいた恍惚が宿る。
ミーシャは祭壇の上で、蘇った四肢をゆっくりと持ち上げ、指を確かめるように握り開いた。
祭壇の光は静まり、洞窟は再び暗闇に沈む。
だがその中心で微笑む少女は、もはやただの捕虜ではなかった。
不死の肉体を得た「千人目の供物」――
壊されることで悦びを得る、終わりなき異端者が、ここに生まれ落ちたのだった。
ミーシャは、自らが不死という異能を手にしたことだけは理解していた。
どれほど傷ついても再び立ち上がれる――その確信は、身体の隅々にまで沁み込んでいた。
だが、その力が与えられた理由も、血と快楽にまみれて紡いだ願いも、記憶の底へ沈んだまま思い出せない。
意識の表層には残っていないが、瞳の奥には言葉にならぬ微かな光が揺れていた。
それはまだ目覚めきらぬ衝動――異種との悦びを求める欲望の残滓。
彼女はふらふらと、夢遊病者のように祭壇をあとにして歩み去る。
背後に残された祭壇だけが、彼女の真実を知っていた。
◆
……断ち切られた悲鳴、焼ける肉の臭気、祭壇の光――
それら全てが脳裏に渦巻き、意識は深い闇に沈み込んでいった。
ふと瞬きをしたとき、ミーシャは現在の自分を取り戻していた。
過去の惨劇は記憶の底に溶け、瞳に映るのは今の洞窟。
洞窟の内部は、当時と変わらぬ湿り気と匂いを湛えていたが、ただ一つだけ違っていた。
それは魔王を倒したミーシャが帰還していたことだ。
全裸のまま肩肘をついて寝っ転がっている彼女の白い肌には、幾筋もの精が滴り、胸から腹、腿へと淫靡な模様を描いていた。
「……ふふっ」
彼女の周囲には、力尽きたゴブリンたちが転がっていた。
十数匹すべてがぐったりと横たわり、腹を上下させながら失神している。
しばらくは動けないほど、精を絞り尽くされていた。
ミーシャは指先で自らの腹に垂れた白濁をすくい取り、舐めるように唇へ運んだ。
その表情は、痛みに歪む過去の少女ではなく、快楽を知り尽くした淫らな女の微笑みだった。
「ゴブリンさま、この前は……死んでしまってごめんなさい」
囁くような声は、かつての後悔を茶化すようでもあり、甘やかに蕩けてもいた。
瞳を細め、口角を上げ、笑顔のまま続ける。
「でももう大丈夫。
今度からは、いくらでも……何度でも……あなたたちに注がせることができます」
その言葉どおり、不死の肉体はすでに証明されている。
四肢を切られ、臓腑を抜かれ、頭を砕かれてもなお蘇る身体。
それは、限界も終わりもない快楽の器。
彼女は満ち足りたように大きく息を吸い、頬を紅潮させながら笑った。
「だから……もっと、壊して。もっと、いっぱい注いで。すべての欲望をすべて吐き出して。
私は……永遠にそれを受け止め続けられるのだから」
洞窟の奥のゴブリンたちの呻きが、聖なる誓いへの返答のように響いた。
以降この地域ではゴブリンの被害が消えたという。