ナンパをからかっていた男の娘がチャラ男に騙されて酷い目に遭う話 作:ちょっとだけマイナー性癖マン
僕を真ん中に挟んだ、奇妙な三人での映画鑑賞が始まった。
スクリーンには華やかな恋愛模様が映し出されているけど、僕の意識は隣に座る二人の男の人に釘付けになっていた。
左隣の翔平さんからは、甘い香水の匂いと、安心するはずの体温。
右隣の隆さんからは、息が詰まるような無言の圧力。
その異様な並びに、僕はただソファのクッションを固く握りしめることしかできなかった。
(なんなんだろう、この状況……)
映画に集中しようとすればするほど、僕の思考は悪い方へと沈んでいく。
その時だった。
ふわりと、左肩に重みがかかる。
見ると、翔平さんが優しい笑顔で僕の肩に手を置いていて、そのままするりと腕を背中に回してきた。
「凛ちゃん」
吐息がかかるほど近くで囁かれて、僕の心臓が大きく跳ねる。
次の瞬間、僕の唇に柔らかな感触が押し当てられた。
驚きに目を見開く僕を意に介さず、翔平さんは角度を変えて、さらに深く口づけてくる。
抵抗しようにも、腰に回された腕に力が込められていて、逃れることはできない。
でも、その強引さとは裏腹に、キスそのものはどこまでも優しくて、甘かった。
次第に僕の身体から力が抜けて、彼の巧みなリードに身を委ねてしまう。
(翔平さん……)
大好きな人とのキスに、さっきまでの不安が溶けていく。
この腕の中にいれば大丈夫。
翔平さんが、僕を守ってくれる。
そう思い始めた、まさにその時だった。
後頭部に、何かが触れる感触があった。
(……え?)
誰かの指が、僕の髪を、指先でそっと梳いている。
キスに夢中になっていた僕は、一瞬、それが気のせいだと思おうとした。
翔平さんの腕が当たったのかもしれない。
そう自分に言い聞かせ、再び翔平さんとのキスに意識を集中させる。
しかし、その手は髪から離れると、今度はスカートの裾から伸びる僕の太ももへと、ゆっくりと移ってきた。
ざらりとした指の腹が肌を撫でる。
その生々しい感触に、僕の身体はびくりと大きく跳ねた。
「……んっ!」
思わず身じろぎして、隆さんの手から逃れようとする。
その動きに、キスをしていた翔平さんが唇を離さずに、吐息混じりに囁いた。
「ん……どうしたの?……気持ち良すぎて、興奮しちゃった?」
悪戯っぽく笑う翔平さんの声。
その言葉に、僕の思考は一瞬停止してしまった。
違う。そうじゃない。
隣の男の人に、太ももを触られているんだ。
そう叫びたかった。
けれど、翔平さんと親しげに話していた隆さんの暴挙を、告げ口していいものだろうか。
その躊躇が、僕の口をなかなか動かさなかった。
僕の戸惑いを、翔平さんは都合よく解釈したらしい。
恥ずかしがっているだけだと思ったのか、彼はさらに深く、激しいキスを仕掛けてきた。
思考の隙を与えないような、貪るような口づけ。
それに合わせるように、僕の上半身は掻き抱くように、強く抱きしめられる。
その、次の瞬間だった。
太ももを撫でていた隆さんの手が、するりと移動して、僕の股間へと辿り着いた。
翔平さんとの行為では、決して触れられることのなかった場所。
僕が隠してきた、「男」の部分。
そこを、パンツの上から的確に鷲掴みにされた。
「……っ!?」
声にならない悲鳴が、喉の奥で詰まる。
混乱と恐怖で、翔平さんの胸を何度も叩いた。
でも、その必死の抵抗すら、翔平さんには熱烈な愛情表現にしか見えていないみたいだった。
優しげな表情で、僕の抵抗を甘い喘ぎ声へと変えていく。
下半身を動かして隆さんの手から逃れようとするけど、僕の膝の上に、彼の大きな足がどすんと乗せられて、完全に動きを封じられてしまった。
そして、無慈悲にもショーツが横にずらされて、隠されていた僕のペニスが、冷たい外気に晒される。
目の前には、愛する彼氏の優しい顔。
下半身は、見知らぬ男に拘束され、弄ばれている。
その異常な状況に、色んな感情が綯い交ぜになり、思考が正常に回らない。
キスによる酸欠も合わさり意識が朦朧とする中、いつの間にか隆さんの手は、僕のペニスの先端を執拗に指先で刺激し始めていた。
我慢汁で濡れた鈴口を、ぐりぐりと抉るように。
(あ……だめ、だめだ……っ)
いけない。
そう思うのに、身体は反応してしまう。
射精感が、じわじわと込み上げてくるのがわかった。
それだけは、絶対に避けなければならない。
翔平さん以外の男の人の手で、こんな場所で、汚されるわけにはいかない。
「んんーっ!」
最後の力を振り絞って、暴れる。
しかし、いつの間にか翔平さんによる上半身の拘束も強くなっていて、身じろぎ一つできなかった。
(何で……、どうして……)
疑問符が頭の中を埋め尽くすうちに、快感の波は、もう引き返せないところまで登りつめていた。
(止まって、止まって……!)
いやいや、と必死に首を振る。
だけど、拘束は固く、唇も離れない。
そして、ついに。
「……んっ、ぁあ……っ!」
隆さんの指先が、最後の一押しをする。
僕の身体が大きく痙攣し、熱いものが迸った。
静かに涙が頬を伝う。
長い、長い射精だった。
翔平さん以外の男の人の手で、こんなにも長く、深く、快感の底に堕ちてしまった。
僕はもう、汚れてしまった。
絶望が、僕の心を真っ黒に塗りつぶしていく。