あれって都市伝説じゃなかったんですね
霧野との一件が終えた後、意外にも九条は大人しくしていた。
理由は明白、霧野の機嫌がすこぶる悪いからである。
愛しの彼氏(仮)と行為中に乱入した如月まこ、事情を聞くが納得いかず。惚れた弱みでもあるため将来における重婚については了承してはいるものの、この世界ではそういう制度がある程度の認識であり、金に余裕のある富豪が行うもの程度である。
つまりはそこまで一般市民には浸透していない馴染み無い制度であるため普通に浮気やら不倫などとして嫌うものがいるのである。
九条はそもそも重婚くらいできないと
とはいえ今貴重な相手である二人目の霧野を手放したくはない。
そんなこんなで新しく相手を作ったりせず、まじめに学校へ行き部活をする。そして霧野と共に帰りエッチをする。そんな生活を二週間ほど行っていた。
そんな代わり映えのない日にいよいよ来たかとイベントが舞い降りた。
それは練習試合が決まったことである。そう、その対戦相手は栄都学園。元々は進学校であった栄都学園であったが、昨今のサッカーブームに生徒が攫われ生徒数が激減。
それを解消すべくフィフスセクターがテコ入れのために偽りの勝利を手に巷ではここ最近強くなってきていると噂されているあの栄都学園である。
勿論自身は今の界隈を知っているし、話をすり合わせるために霧野先輩からも話は聞いているためしょうがないから手を抜こう。
念のために去年の雷門中の試合をすべて見ていたが、本気を出した試合とそうでない試合の差が激しすぎて経験者ならわかるレベルではあった。
本当に心外であるが話を合わせることにしよう。
そう思い迎えた試合当日。ベンチスタートであった。
あれぇ???
あの、久遠監督。俺練習結構真面目に取り組んでたんですけど。なんか気に食わなかったんですか?
いや、霧野先輩。そんな抗議しなくても大丈夫です。ほかの先輩が不思議がってみてますよ。
とまぁいろいろどったんばたったんとあったが出れないなら出れないでしょうがない。
むしろ練習試合の内に今のサッカー界がどうなっているのかを理解させるために、そして天馬たちの熱量で先輩たちの心に何かを伝えたいのかもしれない。
うん、そう勝手に納得しよう。
何も言わない久遠監督である。そう自身で勝手に納得して天馬達のところに向かう。
「天馬、頑張れよ!」
「ちょっと、ちょっと僕は!」
下でぴょこぴょこはねてるピカチュウ野郎はさておき天馬を見るとちょっと申し訳なさそうな表情を浮かべていた。
「もしかしてスタメンもらって申し訳ないとか思ってるの?むしろ誇っていいでしょ。出場してへなちょこプレイでもされたら出れなかった俺はどんだけポンコツなんだって思われちゃうんだから頑張ってね。」
その言葉に気合が入る様子の天馬。入部試験時の九条のプレイを見ている天馬は九条が自身よりも全然上手い選手であると認識している。
「もちろん!見ててねケイ!」
自身満々にそういう天馬。入部してから約一か月。天馬がどれほど成長したか楽しみである。
試合が始まって前半、感想はすっごい地味である。
超次元技やら化身やらにまみれていて忘れていたが、シーフアイやらパーフェクトコースやら気をまとって放たれている技が外側に向けられている技ではなくあくまで自分目線の技であるため、それらを多用する相手はなんか手でポーズ取り始めたくらいの感想しかないのである。
しかも管理サッカーの試合である、当然アツい展開も今のところ無いのである。
その様相に違和感を感じ始めた天馬。コート上でなにやら言い合っている。
そのまま何事もなく前半が終了。後半に向けて水分を取っている。特に疲れた様子もない先輩を見て疑念が確信に変わる天馬。
「どうして先輩たちは本気でやらないんですか。」
当然の疑問である。相手が弱いチームだからなのか、それとも違う理由からなのか。疑問は尽きていない様子だ。
めんどくさそうに今の中学サッカーを語る先輩たち、その内容は天馬たちには衝撃的であった。
「でもそれっておかしいですよ!そんなのサッカーじゃないですよ!」
その言葉は正論である。それはこの場にいる誰もが思っているものだ。
ただそんなことなんてわかっていると、ただ逆らったらサッカー部が潰されるかもしれない。そんなことを言われたら逆らいたくても逆らえないのが実情である。
「でも……だからって!」
それでもあきらめずに訴えかける天馬。
「ケイはこのこと知ってたの?ケイはどう思ってるのさ。」
このことを知っていたのかと聞いてくる天馬、もう完全に諦めている先輩たちの説得に攻めあぐねているためこちらにパスを投げてきた。
「当然知ってたよ。去年の試合とか見たら全力でやってた試合とそうじゃない試合比較したらそんなのまるわかりだし。俺は……監督次第かな、監督が反抗しても全力でやるって方針なら全力でやるしそうじゃないなら時を待つ。」
なんとも受け身な答えである。天馬の求めていた答えとは違うものでありそれでいいのか!なんて糾弾されてしまった。
当然この状況になっても沈黙を貫く監督。その場はそんなとても休憩のための時間の雰囲気にはならず後半が始まる時間となってしまった。おれはそのままベンチのようだ。
そこからは原作通りである、結果は負けてしまったものの天馬からの魂のパスにより神童がシュートを決め試合は終了した。
試合後珍しくしんみりとしていた天馬は、俺間違ったことしてたのかなと考え込んでいた。
まぁ天馬なら大丈夫だろ思い一言「天馬は天馬の思うがままにサッカーをしたらいい。それが良い結果につながるから。」そう言い残しその日は解散となった。
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