※この作品はR-18です。

秘密の花園   作:うさぎ


原作:ちいかわ
タグ:R-18 ガールズラブ ちいかわ 百合 自己解釈
穏やかな昼下がり、ちいかわとハチワレが見つけたのは大人たちの秘密が描かれた一冊の妖しく美しい本だった。本能的な好奇心に突き動かされた二人は、そこに描かれた未知の世界を確かめ合う

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二人の秘蜜

 風が草を揺らす音が聞こえる。

 穏やかな昼下がりだった。ちいかわとハチワレはいつもの草むらで寝転んでいた。空は高く青く、白い雲がゆっくりと流れていく。

 

 ちいかわは半分閉じた目でその動きを追い、ハチワレは隣で楽しそうに鼻歌を歌う。

 すべてがいつも通りで、すべてが完璧な午後──そのはずだった。

 

 きらり、と何かが光を反射した。

 ちいかわの視界の端で、それはまるで宝物のように輝いている。なんだろうと体を起こすと、ハチワレも気づいて隣に座った。

 

「なになに?」

 

 その声は弾んでいる。二人は光の源へそろそろと近づいていく。それは一冊の本だった。硬くつやつやした表紙には見たこともない綺麗な絵が描かれている。男の人と女の人がなんだかとても親密そうに抱き合っていた。本の題名は読めない難しい文字で書かれている。

 

「すごいね、これ」

 

 ハチワレが感心したように言う。

 

 ちいかわはこくりと頷いた。誰かの落とし物だろうか。でもこのきらきらした本からは、いけないもののような、それでいて蜂蜜みたいに甘い匂いがする気がした。

 

 二人は顔を見合わせる。その目には同じ色の好奇心が浮かんでいた。ハチワレがそっと本を手に取り、ちいかわは息を詰めてそれを見守る。

 

 ぱらり、とページがめくれる。

 

 中に描かれていたのは、二人が今まで見たこともない光景の連続だった。肌と肌を重ね、熱い吐息を交わし、蕩けるような表情を浮かべる大人たち。ちいかわの頬にぽっと熱が集まるのを感じる。

 心臓が少しだけ速く脈打っていた。

 

「なんだか……あったかそうだね」

 

 ハチワレがぽつりと呟いた。その言葉はちいかわが感じていたぼんやりとした感覚を的確に言い表している。絵の中の人々は、とても気持ちがよさそうだった。苦しいような、でも幸せなような──そんな不思議な顔をしている。

 

 二人は夢中でページをめくった。

 

 そしてあることに気づく。絵の中の男の人には、足の間に何かがぶら下がっているのだ。でも自分たちにはない。二人は顔を見合わせ、それから自分たちの股の間を確かめた。やっぱり、ない。二人はなんだか少し仲間外れにされたような寂しい気持ちがした。

 

「ぼくたちには、ないんだね……」

 

 ハチワレの声が少しだけしゅんとしている。ちいかわも言葉なく頷いた。

 

 その時だった。

 

 ハチワレが「あ」と小さな声を上げた。

 

「見て。こっちの人にはないよ」

 

 ハチワレが指差した先、女の人の体にはその「何か」が無かった。だが代わりに足の付け根にしっとりとした影のようなものが描かれている。

 

 それは溝のような割れ目のような。

 

 二人はもう一度、自分たちの体を確かめる。そこには本の絵と同じように、柔らかい毛に覆われた小さな膨らみと、その中心に走る一本の線があった。

 

「……ある」

 

 ちいかわの口から、ほとんど吐息のような声が漏れた。

 

「ぼくたちにも、あるね」

 

 ハチワレが嬉しそうに笑う。さっきまでの寂しい気持ちはどこかへ消え、代わりにむくむくと新しい興味が湧き上がってくる。本の中の人々はこの「われめ」を使って、なんだかすごいことをしているようだった。

 

「ねえ」

 

 ハチワレが、いたずらっぽく光る目でちいかわを見つめる。

 

「ぼくたちも、やってみない?」

 

 その提案にちいかわの心臓が大きく跳ねた。

 

 それはいけないことのような気がする。でもハチワレの真剣な眼差しと、自分の体の奥から湧き上がる未知への渇望がちいかわの首を縦に動かさせた。

 

 §

 

 陽が少し傾き、草むらを黄金色に染め始めている。

 

 二人は自分たちの小さな巣穴に戻った。

 

 外の世界の音は遠くなり、狭い空間には二人の呼吸の音だけが響く。

 

 少しの緊張と、それ以上の期待が空気を満たしていた。

 

「じゃあ……」

 

 ハチワレがごくりと喉を鳴らす。

 

「ほんとに、するんだね?」

 

 ちいかわはもう一度、小さく頷いた。頬は熱く、指先は少しだけ冷たい。ハチワレはゆっくりとちいかわににじり寄り、その小さな体の前に屈み込んだ。本の挿絵を思い出すように、その視線はちいかわの足の付け根、柔らかい毛に覆われた部分に注がれる。

 

 ちいかわは思わず足を閉じてしまいそうになるのを必死で堪えた。見られている。その事実だけで、体の中心がきゅっと縮こまるような、甘い疼きが走った。

 

 ハチワレの指がゆっくりと近づいてくる。そして、その指先が──まだ何も知らない聖域の、その入り口にそっと触れた。

 

 びくっ。

 

 ちいかわの体が意思とは関係なく大きく震えた。息が止まる。指が触れた一点から、今まで感じたことのない種類の熱が、さざなみのように全身へと広がっていく。それは電気のようでもあり、熱い蜜のようでもあった。

 

「……ワ、ァ」

 

 声にならない声が、唇の隙間から漏れ落ちる。

 

 ハチワレの指はまだ入り口をなぞっているだけだ。それなのにちいかわは体の奥の方が、ずくん、と疼く。

 

 もっと、とねだるように腰が動く。

 

 ハチワレはちいかわのその反応に目を見張った。指先に伝わる小さな震えと、じわりと湿り気を帯びていく感触。それがハチワレ自身の体の中心をも熱くさせた。支配欲というにはあまりに純粋で、しかし確かな興奮が彼を突き動かす。

 

「ここ……きもちいいの?」

 

 囁くような声で問いかけながら、ハチワレは指を一本、ゆっくりと割れ目の間に滑り込ませた。

 

 柔らかい粘膜が、ぬるり、と指を受け入れる。ちいかわの喉がひゅっと鳴った。内部に侵入してくる異物感と、それがもたらす未知の快感。脳が混乱し、思考が真っ白に塗りつぶされていく。

 

 ハチワレの指がちいかわの内壁を優しく擦る。

 

「ン……っ、や……」

 

 ちいかわの声は快感に震えて甘く掠れてしまう。その反応がハチワレの興奮をさらに煽った。彼はちいかわの潤んだ瞳を見つめる。焦点が合わず、とろりと蕩けたその目は、もう抵抗の色を映してはいない。

 

(なんか……えっち!)

 

 ハチワレは指をもう一本増やした。

 

 狭い内部がぐ、と押し広げられる。ちいかわの背中が弓なりにしなり、シーツ代わりに敷いた枯れ葉を指が掻きむしった。痛みと快感の境界線が曖昧になる。その曖昧な場所をハチワレの指が的確に抉り、擦り上げていく。

 

 するとちいかわの内部で何かが蠢き、熱い液体がとろりと溢れ出した。

 

「すごいよ……あったかくて、きゅうってしてる」

 

 ハチワレは自分の指がちいかわの内部で締め付けられる感触に夢中だった。

 

 相手が自分のせいで感じている。その事実がたまらない悦びをもたらす。彼は本の挿絵を思い出し、指の動きを少し変えてみた。くるり、と内部で指を回転させると、ちいかわが「ヒッ」と短い悲鳴を上げた。そこは今までで一番敏感な場所だったらしい。

 

「ここ……?」

 

 確かめるように、もう一度同じ場所を、今度はゆっくりと押し潰すように圧迫する。

 

「ワァ……! アッ……アッ……!」

 

 ちいかわはもう声を抑えられなかった。必死に堪えていた喘ぎ声が、決壊したように溢れ出す。その声に導かれるようにハチワレは執拗にその一点を攻め続けた。

 

 ちいかわはもう何も考えられない。

 

 ただ、体の奥で膨れ上がっていく熱い塊を感じていた。それが弾けそうでとても、とても怖い。でも不思議な事に、ちいかわはそ(・)れ(・)が弾けてほしいと願ってしまう。

 

「ヤ……ァァアアッ……」

 

 懇願するような声。それに応えるようにハチワレは指の動きを速めた。内部を激しく掻き回し、敏感な点を連続して打つ。的確に急所を狙い打てるのは知識があるからではない。ハチワレの野生の本能によるところが大きかった。

 

 そして。

 

「ア────ーっ!」

 

 ちいかわの体が大きく痙攣した。

 

 体の奥で、熱い塊が弾け飛ぶ。脳天から爪先まで強烈な快感の稲妻が突き抜けていった。

 

 視界は完全に真っ白になり、何も見えない。

 

 何も聞こえない。

 

 ただ自分の体から、熱いものがどくどくと溢れ出す感覚だけがあった。

 

 ちいかわは全身の力が抜け、ぐったりと体を横たわった。荒い呼吸を繰り返しながら、まだ痺れの残る体で快感の余韻に浸っている。

 

 ハチワレは指を引き抜いた。

 

 指がちいかわから溢れた透明な液体でぬらぬらと濡れている。その生々しい光景と甘い匂いに、ハチワレ自身の体も限界に近づいていた。

 

「ネっ……今度は、ぼくの番」

 

 掠れた声でそう言うと、ハチワレはぐったりしているちいかわの手を取った。そして自分のわれめへと導く。

 

「さっき、ぼくがしたみたいに……して?」

 

 ちいかわはまだ朦朧とする意識の中、促されるままにハチワレの湿った場所に指を触れる。

 

 瞬間、ハチワレの体がびくりと震えた。

 

 それをみて、ちいかわは疲労感が吹き飛んでしまう。心の奥底からぐつぐつと煮え滾る様な何かが湧いてくるではないか。

 

 ちいかわは、されるだけの快感とは違う、相手を自分の手で悦ばせるという能動的な喜びに目覚めたのだ。

 

 そしてハチワレにされたことを思い出しながら、おそるおそる指を動かし始めた──ハチワレから漏れる、甘い喘ぎ声を聞きながら。


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