的なのがTtM公式Y○utubeに投稿される世界線を生きていたかった。
ふたりはよく切ったデッキをセットして、デッキの上から5枚を手札として引いた。ミララはティッシュの箱で手に持つには大きすぎる手札を支え、一息ついてからルール説明を始める。
「それじゃあ改めて、チケミスバトルを始めます!ソーイチの目的は、ボクたちモンスターのカードで相手を攻撃して、お互いが100持っている相手のルーツポイントを0にすること。ルーツポイントはカードだとRPって書かれてるので、そっちの呼び方も覚えておいてくださいね」
「なるほど。……えっと、ルーツポイントっていうのは自分で覚えとかなきゃいけないのかな?僕暗記は苦手なんだよね……」
「ご心配なく!はいっ、これをどうぞ」
不安げな颯一に、ミララが何かを手渡す。
「このルーツカウンターでRPをいつでも確認出来るから安心してくださいね。ダメージを受けたらこう……引っ張ってルーツを変動させる感じです」
「へー、これ便利じゃん。助かるなぁ」
「あ、鏡のあるところならボクの力でARフィールドのUIみたいにRPを表示出来ますよ!それにこっちなら自分で表示を変える必要も無くて便利ですし……」
「え?そんなことも出来るんだ!すごいじゃん……いや待てよ?」
そいつよりボクの方が役に立てますよ、とばかりに自己PRを始めたミララだったが、颯一の頭に懸念点が湧き上がる。
「自分だけUIが出てたら相手に怪しまれちゃう……ミララ、悪いけどUIを出すのは無しにしよう。折角教えてくれたのにごめんね」
「わかりました……。……そっか、ボクよりコレの方がいいんだ……」
俯きがちで頬を僅かに膨らませるミララ。拗ねてしまったのか自分のRPカウンターをつんつんと爪で突いて虐めている。申し訳なくなった颯一はカウンターを脇に置いてミララの隣に座る。
「……分かった。ミララ?ふたりきりでチケミスをする時だけは、ミララにUIをお願いしたいんだ。」
「……ほんとですか?」
「うん、ミララが折角僕のために提案してくれたのに、お蔵入りじゃ勿体ないし……。やってもらえるかな?」
「はい、勿論!他ならぬソーイチの頼みですからね!お役に立てるなら嬉しいです!!」
いじけていた様子のミララは一転してやる気をみなぎらせ、ふんすと鼻息荒く立ち上がった。そして額に淡く光る紋章を浮かび上がらせる。大きな円の円周上、外側に等間隔で小さな円が並ぶ簡素なものだが、真ん丸いミララの瞳と並ぶと第三の目のようにも見え、不思議な神秘性が漂っている。
ほう、と溜息を吐いて見とれる颯一だったが、不意に視界の端に現れた何かに気を取られ目を向ける。
「うん、綺麗に映し出せました!ルーツもきちんと増減させられます!」
「おぉ……ちゃんとカウンターだ、凄いじゃん」
そこにはミララの投影したカウンターが宙に浮いており、颯一とミララのRPをそれぞれ100と表示していた。ミララが操作しているのか、数字が減ったり増えたり、くるくると目まぐるしく動いている。ある程度動いた辺りで、100に戻ってきてピタリと止まった。
「えーと、それじゃあカウンターが動くのを確認したので、ルール説明に戻りますね!先行後攻を決めましょう。じゃんけんで勝った方が先行なんですけど、ボクはじゃんけんが出来ないし、教えておきたい先行のルールがあるのでソーイチが先行でいいですか?」
「分かった。まずは何をすればいいの?」
「まずはデッキから一枚ドロー……したい所なんですが、先行の最初の番はドロー無しってルールがあるんです。なのでドローは飛ばして、スピリットを溜めましょうか」
「スピリットって?」
「ボクたちを呼び出すのに必要なエネルギー、みたいなものです。毎ターン1回、ドローの後にカードをスピリットゾーンに表向きに置いて溜めることができます。絶対溜めなきゃダメ、ってわけじゃないけど基本はやった方がいいですよ。さっそく、実際にやってみましょうか」
「わかった。じゃあとりあえず……これを」
ミララが両の手でフィールドの下辺りを示し、スピリットゾーンの位置を教えてくれる。颯一はミララの説明通りに、スピリットゾーンにカードを一枚設置した。
「それじゃあ次に、スピリットをコストとしてカードを使ってみましょうか。カードの左上あたり……名前の下に書いてある数字分スピリットを横に倒すと、カードを使うことができます。ソーイチの手札にコスト1で使えるカードはありますか?」
「えーと、あ、あった。この『盲目の導き手 グロリア』ってのが1コストだよ」
「お、運がいいですね。モンスターのカードなので、コストを払ってバトルゾーンに置いてください。スピリットゾーンの上くらいです」
「りょーかい。この辺でいいかな?」
「オッケーです!これでモンスターを召喚する事ができましたね。ただし、召喚されてすぐのターンはまだこちらの世界に完全には来れていないので相手を攻撃することは出来ません!気を付けてくださいね」
「わかった。それじゃあ改めて、盲目の導き手 グロリアを召喚だ!」
『盲目の導き手 グロリア』
コスト1・光
自分の光属性モンスターの召喚コストを1少なくする。ただしコストは1を下回らない。
1000 / 5
颯一はスピリットゾーンのカードを横倒しにする。彼のバトルゾーンに目隠しをして祈りを捧げる聖職者のカードが並べられた。
「さて、スピリットが無くなってできることももう無いのでターンを終わりましょうか。因みに、このスピリットみたいに横向きのカードをロー、このモンスターみたいに縦向きのカードをハイって言うので覚えましょうね〜」
「はーい、ミララ先生」
ミララがしれっと投影した指し棒でカードを指して解説するので、颯一も乗っかる事にした。そんなこんなでターンはミララに移る。ミララはデッキからカードを1枚引き、それをスピリットゾーンに置く。
「ではボクもモンスターを召喚します!召喚するのは『開花する先駆 サクラ』です!」
『開花する先駆 サクラ』
コスト1・木
自分の木属性モンスターの召喚コストを1少なくする。ただしコストは1を下回らない。
1000 / 5
1ターン目は、お互いにコスト軽減モンスターを場に出す順調な滑り出し。颯一にターンが返され、彼のドローが行われる。
「ドロー!……おお、これが人生初ドロー……。なんか感慨深いな。じゃあ手札からスピリットゾーンに1枚置いて……」
「あ、その前に!ドローしたらスピリットとモンスターをハイにしておいてくださいね。ビーハイっていいます」
「オッケー。スピリットは一旦置いたら毎ターン使えるんだね。……じゃあハイにしてからスピリットを置く!カードはどうしよっかな……じゃあ、1コスト軽減されて2コストで『戒める法典 インプリズ』を召喚!バトルゾーンに出た時の効果でミララのスピリット1個を選んで、次のターンの始めにハイにできなくするよ!」
『戒める法典 インプリズ』
コスト3・光
バトルゾーンに出た時、相手のスピリットを1個選ぶ。それはローにされ、次の相手のターンの始めにハイにならない。
2500 / 30
「おっ、便利な妨害持ちのモンスターですね!流石ソーイチです。……さて、ソーイチのスピリットは全部無くなりましたけど、グロリアの召喚待機が終わったので攻撃できますよ」
「削っとかないと勝てないし攻撃するか。ミララをグロリアで攻撃だ!ローにすれば攻撃した事になる?」
「はい、攻撃する時はモンスターをローにしてください。ただしローにすると、相手のモンスターに攻撃のターゲットとして選ばれるようになってしまう他に、自分への直接攻撃を庇うことができなくなるので気をつけましょう!」
「あっ、ガードもしてくれるんだ!じゃあ、一斉攻撃はよっぽど勝つ自信があるとき位にしかしない方がいいのかな……」
「そうですね。保険としてハイのモンスターを残しておくといいですよ。さて、ボクのモンスター、サクラで一応ガードはできるんですが……戦闘力が同じなので相打ちしちゃいますね。温存しておきたいのでガードは無しです!」
「戦闘力、って何?」
「左下に2つ数字があるでしょう?その右側の数字です。グロリアの場合は1000ですね。モンスター同士のバトルはこれが大きい方が勝ち、負けた方はグレイブに落ちて戦えなくなります」
「グレイブは使い終わったカードを置くところです。デッキの右ですよ」とミララは指し棒を出す。次に再びグロリアのカードを指す。今度は指し棒の先端が戦闘力の隣の数字に伸びた。
「ガードされなかった直接攻撃はプレイヤーにダメージを与えます。ダメージの量はこの数字、衝撃力ぶんになるのでボクのRPは5削られて95です!」
ミララ RP: 100→95
「なるほど、こんな感じで進んで行くんだね。さて、とりあえずできることは無くなったからターンエンドで」
4ターン目。ミララはドローしたが、颯一のモンスターの効果でスピリットをハイにできず。新しいスピリットをチャージし即ローに。手札からカードを取り出した。
「マジックカード、『ひだまりの恵み』を使います!マジックカードはコストを払えば即座に便利な効果を発動できるけど、すぐにグレイブに落ちてしまうカードです。ひだまりの恵みの効果は、デッキの上から一枚をローにしてスピリットゾーンに置けます!」
『ひだまりの恵み』
コスト1・木
自分のデッキの上から1枚をローにしてスピリットゾーンに置く。
「なるほど、そういう感じで使うのか……」
「中には相手の攻撃やマジックに対して使える『エマージェンシー』を持ったものもありますよ!それらのマジックは普通に使うにはコストが高いですが、エマージェンシーとして使う時だけは0コストで扱えます!手札にとっておくといいことがあるかも?です」
「へぇ〜……やっぱり、引いたからって何でもかんでも考え無しに使うのが良いわけじゃあ無いんだね」
「このターンもサクラでは攻撃しません!ターンエンドです!」
5ターン目。颯一のインプリズが召喚待機から解放される。ドロー、ビーハイ、スピリットチャージを前のターンに比べて慣れた手付きで行った颯一は、早速ミララに習った通りにマジックを使う。
「2コストでマジック『スタン・スパーク』!サクラをローにする!そして1コスト軽減して1コストで『夢食む幼聖 バクラ』召喚!バトルゾーンに出た時の効果で、相手のモンスターが全てローなら手札を一枚スピリットに!そしてミララに5ダメージだ!」
『スタン・スパーク』
コスト2・光
エマージェンシー
相手のモンスターを1体ローにする。
『夢食む幼聖 バクラ』
コスト2・光
バトルゾーンに出た時、相手のモンスターが全てローなら手札を1枚選びスピリットゾーンに置く。その後相手に5ダメージ与える。
1000 / 5
ミララ RP: 95→90
「わっ!マジックとモンスターのコンボですか……ソーイチはデッキに慣れるのが早いですね」
「まだコンボは終わりじゃないよ!増えたスピリットでもう1回バクラ召喚!手札はなくなっちゃったけど、スピリットは5個だ!そしてミララに追加のダメージが入る!」
ミララ RP: 90→85
「そして攻撃だ!行けっ、グロリア、インプリズ!」
ミララ RP: 85→80→50
「ターンエンド!ふっふっふ……僕、初めてにしちゃ上手いでしょ?ミララ」
「はい……資格があるなら戦ううちにチケミスも上手くなるとは思ってたんですけど……想像以上です!ソーイチとのチケミス、早くもすっごく楽しいです!」
目を輝かせてカードをドローするミララ。6ターン目、ビーハイとスピリットチャージを経てミララのスピリットは4。RP的には劣勢かと思われたミララだが、手にしたマジックで逆転の一手を放つ。
「マジック『
「な゛っ!?」
「
『
7コスト・木
このマジックを使うコストは、自分のRPが50以下なら5少なくなる。
自分のデッキのカードを上から1枚スピリットゾーンに置く。この効果は相手のバトルゾーンのモンスターの数と同じ回数発動する。
『
ミララのハイなスピリットは6。大型モンスター──切り札を喚び出すには十分な量だ。
「1コスト軽減、6マナで召喚します……『
それは一見可愛らしくも見える、唐辛子の実に鮫の顔が付いた姿。しかし、デカイ。アツイ。颯一の前に、真っ赤で異質な巨大ザメが、轟々と燃え上がって君臨した。
追記: 記述漏れをしていましたので、『世界樹が一葉 豊穣』の効果部分に『世界樹』と名前にあるマジックは、1ターンに1枚しか使えない。という記述を追加しました。