“女難の対魔忍”暗躍譚 ―対魔忍RPGX HAERESIS― 作:holdics
俺は独立遊撃隊の隊長になって以来、種族や勢力を問わず、様々な人物と交流を深めた。
それは現世(人間界)で唯一、魔界との行き来を可能にする「門」が存在する日本に存在する対魔忍の組織である五車学園の、新設された部隊の隊長であるという職責上の必要以上に、俺自身の好奇心に拠る所が多い。
つまり外聞を憚らず言えば、単純な情報収集やコネクションの構築にかこつけて、美女と関係を持つことを考えているわけだ。
そして、隊長業がスタートしてから初めての夏が始まろうといる今日、何故か奇妙なくらいにこの目論見が上手くいき、俺の欲望を満たす環境が着々とつくられつつあった。
春まではさぼり魔のボッチ、忍法も碌に使えない落ちこぼれ陰キャ筆頭だったとは思えない女性関係の充実ぶりは、我がことながら理由が今一つかめず、うすら寒いものを感じる程だ。
そんな、逆に今までの不遇は何だったんだと思うくらいのモテ期到来のきっかけになったのが、何を隠そうさくら先生だった。
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端的に言うと、俺ことふうま小太郎は今年の春、井河さくらにレイプされた。
普通の学校なら不祥事どころか完全なる刑事事件だが、幸いにも当事者同士が対魔忍なので無事話し合いによる和解が成立し、俺にとっては嬉しいことにその後も肉体関係を続けられている。
事の始まりは今年―2083年の4月初旬、独立遊撃隊ができる3週間ほど前になる。
とある休日の昼下がりのことだ。折角の花盛りだし花見でもするかと、満開の桜が見れることで有名な町内の神社近くにある広場に向かったところ、そこに先客としてさくら先生がいた。
ブルーシートを一番大きな桜の真下に敷き、花見酒と洒落込んでいたようだ。
「んく、んく…………ぷは~っ! うーん、ごぞーろっぷにちみわたるぅ~……てかんじぃ? にゃははははは~!」
間の悪いことに彼女はお一人様で、しかもすっかり酒で出来上がっていた。
シートの上には、遠目ですらはっきりと散乱した酒瓶と缶ビールが視認できた。
酔っ払いの相手など御免被る俺はすぐさま退散しようとしたが、更に運悪く後姿を彼女に見つかってしまい、呼び止められるだけでなく腕を掴まれ、強制的にその宴へ参加されてしまった。
「だいたいあ~の二人はさぁ……ヒク、わ~たしとしふぉと、どっちが大事なのよ~……ねえ、ふうま君! こんなのひどいっしょお!?」
「ええ……ほんとうにですね。さくら先生も大分ひど……イエ、ナンデモナイデスハイ。モウイッパイドゾー」
呂律の回らない証言から推測するに、どうもアサギ校長、紫先生の2人と一緒に花見をする約束していたようだ。
だが間が悪く、その2人とも急な仕事で外出せねばならなくなり、1人さくら先生だけが取り残される形になっていたらしい。
酒に対し特別耐性があるわけでもなく、何ならそこまで好きなわけでもないさくら先生が夕方から浴びるほどの飲酒をかましていた理由は分かったし、何なら少しばかり同情もした。
だがその憂さ晴らしのために、サボりだの落ちこぼれだのと、煩く後ろ指をさされることなく風流を楽しめる貴重な時間を教師に捧げるほど、俺は聖人でもフェミニストでもない。
いい天気でよかったですね、名前つながりで桜が好きなんですか、等と適当に話しながら抜け出す隙を窺っていたところ、突然何の前触れもなく、先生から彼女の有無を尋ねられた。
当然その時の俺はうだつの上がらない劣等生だったため、そんなのいる訳ないと答えた。
「え~ほんとぅにぃ~? ……むふふ、あやしーなぁ♪ えい♪」
するといきなりさくら先生が火照った体で俺の肩へしなだれかかって来たかと思うと、彼女の右手が股間に伸びてきた。
その瞬間、むっちりとした柔らかい感触と花より香しい体臭、女の指先から与えられる静電気のようなピりつく快感が俺の脳を支配した。
頭の中に白い靄が充満して完全なフリーズが起こり、驚く、という感情すら浮かばなかった。
肩を大きく露出した春服の隙間から見える、豊かという言葉では足りない巨乳の谷間に俺の視線が吸い込まれている間に、さくら先生はズボンのファスナーをあけて俺の陰茎を露出させた。
いくら何でも野外で……と焦り、そこで我に返った俺はさくら先生を制止しようとした。
だが、おちゃらけた外面や言動とは裏腹に、五車全体で見てもトップクラスの腕前を持つ対魔忍である彼女の手を止められるはずもない。
俺が成す術なくあたふたしている様をじっとりとすわった眼で眺めながら、さくら先生はゆっくりとペニスを撫でさすり、徐々に屹立するそれをからかってきた。
「うふん、流石、若いよね~♪」
「い……いや、さくら先生みたいな美女にこんなことされたら誰だって……っ」
「美女♪ 嬉しいこと言ってくれんねえ~……お、もうイキそ? やめてほしい? じゃ~あ、誰がふうま君の彼女なのかな~? ほ、ら♡正直に言ってごらん?」
一体何を根拠に俺が彼女持ちだと決めつけるのか分からなった。
泥酔した人間に理屈なんて無いのは百も承知だが、当時はあまりに突拍子もない発想に困惑させられ、適当な言い訳を思い浮かべる余裕すら無かった。
「だから……そんなの、いませんっ……くあっ!?」
「ふ~ん。強情だなあ……じゃ、もっと強めで聞いちゃおっかなぁ?」
俺の面白みのない回答に焦れたのか、そう宣言したさくら先生は俺を押し倒し、そのまま肉棒丸出しで仰向けの俺を跨いで、彼女自身の下に組み敷いた。
スカートの中に見える水色のパンツと黒いストッキングのコントラストが、それぞれの良さを引き出してよりエロい雰囲気を醸し出している。
ちょうどいい塩梅に劣情を煽りつつ、ほのかな屈辱と気恥ずかしさを覚えさせるこの体勢は、想像するより遥かに胸を高鳴らせる。ここが誰に観られるかも分からない場所でなければ、だが。
俺に野外露出の趣味はないのだ。
「ほぉ~ら♪ こうするとぉ、君の可愛い顔が、よーく見えるね♡」
「この……見るからに悪いおチンポぉ……私のおマンコで、しっかりと試してあげる♪」
「や、やめ、ううっ……!」
「ん、はぁあ~~♪ ……ふ、ふうま君のチンボ、私の膣中をぐりぐりしてくぅ、すっごぉ……♡」
混乱する俺をよそに、酔いがさらに回ったのか真っ赤な顔に汗をじんわりと浮かべ、ワンピースとスカートをたくしあげたさくら先生は、俺のペニスへ腰を落とし、自身の膣で飲み込んだ。
そうして、俺は自分の通う学校の教師に犯された。最早尋問という体裁すら、挿入後は遥か彼方へすっとんでいた。
ただし俺の名誉のために言っておくが、この時に童貞でなくなったわけではない。
その後、ひとしきり俺の上で腰を暴れさせたさくら先生は、きゅう、と膣で俺の剛直を絞り上げ、前に倒れ込む体を支えるために俺の胸へ手をつき、絶頂の悦びに体全体を波打たせた。
びく、びく……と俺のモノが痙攣する度イッた余韻が更に増幅されるのか、彼女の太ももも痺れたれ鮪のようにぶるぶると小刻みに震え、はぁ、はぁ……と大きく息を吐いた。
その時、俺の胸中に浮かんだ感情は何か。
酔った勢いで自分勝手に絡んできた挙句、自身が教え導くべき生徒への強姦に及んだ女教師への軽蔑や復讐心か?
こんな花見スポットで情事に及んだ場面を、第三者に目撃され話が広まることへの恐怖か?
無論、そのどれでもない。
(……胸が見えないなぁ……)
さくら先生はスカートをまくってタイツを半脱ぎし、健康的な生足とお尻を披露している。
律動の勢いで緑色のワンピースが開け、レースが付いた水色の可愛らしいブラは見えている。
だが、俺的にはその中身が最重要なのだ。
俺は着衣エッチは好きだし、女性に騎乗位でリードされるのも興奮する。
だが男たるもの、性交相手の乳首とヴァギナを鑑賞せずにフィニッシュするなど、はっきり言って片手落ちもいいところではないか。
そんなポリシーに突き動かされるまま、俺はここで漸く自分からさくら先生を責め始めた。
まだ自分が射精していないのに、女の方だけ先に絶頂したことも、まあ不満といえば不満だ。
だがこの時は、そんな些事に全く気が回らないくらい、「お宝」2つの片割れを拝めていない口惜しさの方が余程抗い難かった。
「ふぁ……? あ、やぁん! ……にゃはは。やだふうま君、ずいぶんその気に……あん♪」
ワンピースの下から右手を潜り込ませ、服越しでも綺麗な丸みを帯びる巨乳に指を這わせていく。
さっきまでの本番でも、ぶるんぶるん、とまるでゼリーで出来ているかのように跳ねていた。
この暴力的なまでの柔らかさとジューシーさを、高々布2枚ごときでは抑制しきれるはずもない。
だが、それだけに期待感はいや増していく。
「ん! あ、そこ……! やぁん、服越しに乳首当てられちゃった♪ ちょっと、恥ずかしいかも……?」
指先に、微かに干し葡萄のような感触が伝わり、我が意を得たりとばかりに摘まみ上げる。
それだけで、さくら先生は大げさに身を捩じらせ、濡れた目でこちらを見つめてくる。
思わず、生唾を飲み込む。
元々本能のみを原動力として腕を動かしていたが、ここでさらに一段箍が外れた。
シートの上に寝ていた上半身を起こし、ワンピースの裾を両手で掴んで脱がしにかかる。
さくら先生は一切抵抗しなかったどころか、俺の意図を汲むや自ら腕を上げる始末だ。
いい加減酔いが冷めないと取り返しがつかないですよ。
俺は目前の神秘を探求することに夢中になりながら、そんな思考も頭の片隅には残っていた。
さくら先生が隠し持つ2つの大山嶺、その景色を生で観られる直前までは、だが。
「ふぁん♪ えへへ、外で脱いじゃったぁ♪ ……ん~? 何ふうまくん、ひょっとして私のおっぱい見たいの? ……あはは、そんなに鼻息荒くして、もう……♪ ……いいよ、じゃ、ごかーいちょーう♪」
そう言って、さくら先生はブラのホックに手をかけた。
「…………ごくっ」
目の前に、極上の財宝にして世界最高の美食が広がっていた。
いかなる高級レストランのフルコースを繰り出しても、この白桃の如き天然の乳袋と桜色の乳首から醸し出される、得も言われぬ甘美な魅力には到底敵うまい。
本来赤子と恋人以外に使用する権利がないその突起は、母性と愛欲の絶妙なるコントラストをもって益荒男を誘惑し、聖人を幼児退行させる力があるのだ。
それが、こともあろうに持ち主であるさくら先生本人の両手でもって俺の目前に掲げられ、さあ召し上がれ、と言わんばかりに差し出された。
彼女の赤く色づいた顔に浮かぶ恍惚とした微笑み、興奮でハァ、ハァと少し荒くなった呼吸も、全ての仕草が俺を快楽の坩堝へ誘いこんでいた。
そこからは、最早俺に人としての理性は欠片も残っていなかった。
「ん、んっ、ンー! あ、ああ、いいよぉ、ふうまくぅん♪ もっと、もっと私の乳首吸ってぇ。ポチっとした乳首フェラしてぇ、舐りまくって大きくしちゃってぇ♪」
「ん! んはぁ、はあぁ! いい、いいよぉ! もっと奥のほうまでついてっ! はめまくってぇ! あ、ああっ、い、いっっくぅうぅううぅ~!!」
「んじゅる、ふちゅ、じゅるる、ちゅぅ、じゅ~……! ん、ぱあ……! ……んはぁ♪ ふうま君の精液とぉっても濃いよぉ♪ 3回目なのに……ん、ちゅる、ドロドロで、喉の奥にへばりついてるみたい……ふふ♪」
そこから2時間余りの時間、上半身は完全に裸で、スカートとずらしたパンツのみを身に着けたさくら先生を、性的に貪ることのみに俺の思考能力は費やされた。
巨乳を両手でぐにゅぐにゅと変形させながら揉み上げ、片方の乳首を口で吸いつつ、もう一方の先端を指でカリカリと擦りあげる。
四つん這いになったさくら先生に覆いかぶさり、ピアスごと耳朶を舐めて涎まみれにしつつ、重厚感と性的魅力に溢れたお尻をつかみ、貫かんばかりの勢いで腰を打ち付ける。
膣内射精を2度ほど行った後、仰向けでぐったりとしたさくら先生を今度は俺が跨ぎ、自分でチンポをしごいて尿道内の残り汁を胸に振りかけ、彼女の顔を起こしてお掃除フェラさせる。
そんなめくるめく快楽行為を続けた結果、さくら先生は酔い疲れて眠ってしまった。
幸いにして、俺たち以外に花見客は1人も来ず、さくら先生が悪酔い特有の醜態―つまり嘔吐のことだが―を晒すこともなかった。
この時の彼女はゲロなんぞを遥かに超える酷い有様ではあったが、少なくとも俺が後始末する手間が1つ増えなかっただけでも御の字というものだった。
そして、あらゆる性的残留物に塗れてデロデロのまま熟睡するさくら先生を放置なぞ到底出来ず、苦心しながらも汚れを拭い服を着せることに成功し、何とかして夜が更ける前にさくら先生の家に送り届けられた。
意識のない女性の肩を担いで歩くのは初めてで、存外体力を消耗した。当然この姿を誰かに見られても一発でジ・エンドだったが、結局最後までこの日の天は俺の味方でいてくれた。
そんな事があった翌日、俺は素面のさくら先生と一緒に夕食を摂った。
場所は五車の隣街であるまえさき市のファミリーレストラン。もちろん先生の奢りだ。
俺はさくら先生を家まで運んでソファーに寝かせる時、タオル等を使って一応最低限の身繕いはした。しかし、流石にシャワーを浴びせるのは至難の業過ぎたから、匂いやら行為の跡やらはそのまま残ってしまった。
たとえ記憶が全て飛んでしまっていたとしても、朝になって起きたさくら先生が、自分が昨夜何をしたのか気づかないはずがない。……そう、俺は考えていた。
だから黙っていても良いことはない。そう意を決して放課後に話しかけてみたら、何とさくら先生は本気できょとん、としていた。
驚くべきことに、彼女は昨日桜の下で飲み始めてからの記憶が皆無なだけに留まらず、朝起きてすぐに寝ぼけ眼のままでシャワーを浴びてしまったために、自分の体の異常に全く気付かなかったと言うのだ。
最初はブラックジョークの類だと思った。
記憶が飛ぶほど悪酔いしたなら2日酔いで起き上がるのも億劫になるのが普通だし、何よりあれだけ派手に盛りまくった後に何も違和感を感じなかったなんて、そんな話信じられるわけがない。
だが、どうやらマジのマジで、井河さくらの脳内メモリに、あのご乱行の記憶やそれに伴う感触は1バイトたりとも記録されていなかったらしい。飲んだ翌日にしてはやけにあっさり起きられたことは、流石に少し不思議に思っていたらしいが。
「……あれ、もしかして私、酔っぱらって何かやっちゃった?」
心配そうに俺の顔を見つめるさくら先生を見て、思わずずっこけそうになった。
同時にこのまま秘密にしておいても……という悪しき囁きも聞こえた。
だが結局は少しばかり逡巡した後、お互いのために話すべきだと結論付けた。
何より、俺はこの時何処か不完全燃焼な気分になってしまった。
あれだけのことをして、女のほうが何も覚えていないというのが気に障ったのだ。
折角できた既成事実を共有し、関係を深める以外の発想はもう取れなかった。
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「いやー、あの時一部始終を聞いたさくら先生の顔ときたら。アサギ先生が亡くなったって聞いたぐらいのショックだったでしょ、あれ?」
「うん……あんま言いたくないけど、ある意味それ以上かも……。ほら、お姉ちゃんが死んでもお姉ちゃん自身に迷惑はかからないでしょ? そういう意味で……」
「あー、成程。……ま、そこから開き直ってアサギ先生もこの爛れた関係に巻き込むんですから、見かけによらずいい性格してますよね、ほんと」
「あー! それに関しては私だけのせいじゃないよねマジで! 誰がふうま家特性の媚薬まで持ち出せって言った!?」
そして現在。
俺はさくら先生の自宅にて、家主と一緒に風呂へ入っていた。
俺が湯船に浸かり伸ばしている足の間に、さくら先生がお尻をつけている体勢だ。
相手の匂いが間近に感じられる上に、スキンシップもこの上なくやりやすい。
恋人ができたら、毎日でもやってみたいシチュエーションと言っていいのではないだろうか。
例によって、今俺はさくら先生の体に手を回しておっぱいを支え持っている。
派手に揉みしだいたり、乳首を摘まんだりはせず、ほとんど手を添えているだけだ。
今は会話しながらお互いに記憶の整理をする時間であって、彼女を喘がせて思考を放棄させる時間ではない。それはそれとして手慰みは必要だが。
先ほど紫先生のことについての会話が不穏な方向へ進みかけた時、ちょうど空気を読む形でかかってきた電話。その相手はアサギ先生だった。
何故態々携帯にではなく家の電話にかけたのかというと、家で待つと言いつつ俺とこっそり別の場所にしけこんでないか確認するためだったらしい。
どうやら俺との一件が明るみに出て以来、姉から妹に対する信頼度は著しく下がっているらしい。 申し訳ないが、被害者としてはちょっと同情しかねる。
そして、その電話の内容をかいつまんで言うと、
「急に用事が入ったので、今夜さくらのとこには行けなくなった。この後2人で『どうする』かは任せるけど、ふうま君は病み上がりのようなものだし、明日の朝から2人にやってもらわないといけないことがあるから、余り夜更かしはしないように。晩酌したら極刑」
俺とさくら先生の関係を承知している以上、これは事実上のお泊り許可であった。
さくら先生自身もそのことを話すとき、期待による顔の紅潮を全く隠せてなかった。
俺はその内容を聞くと、早速実家で同居している時子に連絡を入れた。
俺の腹違いの姉であり、幼くして両親がいなくなった俺にとっては、実質母親のような存在とも言える時子は、その話を聞いてあからさまに口調が硬くなった。
まあ確かに、事前に連絡なしに2日続けて外泊、しかも日ごとに別の女の家に泊まるとあっては、保護者としては文句の一つも言いたくなるだろう。
俺は丁寧に謝罪を述べて、今度埋め合わせをすることを約束して電話を切った。
これで溜息をつきながらもちょっと機嫌が戻ったあたり、あいつも分かりやすいことだ。
その後は、俺から半ば無理やりゲームに誘って時間を潰した。
さっきまでの話題について話す暇を与えたくないし、俺自身も深く考えたくなかった。
さくら先生がゲーマーなのは、件のファミレスにおける雑談時に初めて知った。
ストリーマーとして小遣いレベルを超えた収益を叩き出している、同級生の水城ゆきかぜ程ではないものの、先生も中々の腕前だった。
ちなみにゆきかぜの得意分野はFPSだが、さくら先生は格ゲーがお好きのようだ。
スピードや小技を駆使するよりもデカキャラ、投げキャラのパワーで相手を蹂躙するのがたまんないらしい。本人の戦闘スタイルとは魔逆なのが意外で興味深かった。
その日の夕食は俺が作った。
服やら書類やらお菓子やらが散乱するリビングと、洗ってない使用済み食器やカップ麺の容器が無造作に投げ込まれた洗い場を見れば、誰もが彼女を料理を任せたくはなるまい。
冷蔵庫の中身は勿論空同然。何と食器用洗剤すら置かれてなかったために買い出しからして余計な時間を取られたが、調味料だけはそれなりにあったのは不幸中の幸いだった。
ちなみに俺の得意料理は麺料理とカレーライスだ。特に蕎麦に関しては訳あって凝っていた時期があり店で出せるレベルとは言わないにしても、それなり以上の腕前だと自負している。
とは言っても今日はそんなに仕込みを頑張る気にはなれなかったため、メニューは簡単に作れる焼きそばとポテトサラダにした。
俺好みの濃い味付けがお口に合ったのか、さくら先生からは大絶賛だった。
美味しいと思ってもらえたのは素直に嬉しいが、「おいしい……男の人に料理してもらうとか、私初めてだよ。なんか、感激……」と涙声でしみじみ言われたのには少々引いてしまった。
普段の食生活と、これまでの交際経験を嫌でも想像してしまったからだ。
そして現在は夜。俺から一緒に入浴することを提案してみた。
期せずしてここまで普通の恋人みたいな空気をつくることに成功したのだから、この2か月間に経験のないシチュでいちゃつきたくなったのだ。
「え……えぇっ!? ……ん、うん。いい、けど……」
付き合いたての少女みたいに動揺したリアクションを取り、何度も性的つながりをもった相手との入浴を恥ずかしがるさくら先生の事を、俺は素直に可愛いな、と思い微笑を浮かべた。
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「その、ふうま小太郎君……昨日は本当に、申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げ、神妙な口調で謝罪する井河さくらの姿を、俺はファミレスで初めて見ることになった。
この時に至ってもなお泥酔時の記憶が全く戻らなかったにも関わらず、さくら先生は俺の報告を虚偽だと疑わなかった。
俺の話が詳細で真実味があったというのもあるが、決定的な証拠の存在が決め手だった。
さくら先生本人を家に送り届けた後で、俺は広場に戻って残ったものを片づけた。
あんな乱行の跡をそのままにしておくのはまず道徳的に無理だったし、万が一痕跡からそこで起こったことを第3者に感づかれでもしたら、俺はともかくさくら先生の将来に関わるからだ。
科学的手法による調査は無論のこと、五車にはそのような技術がなくとも、地面に落ちた汗や血液から人物を特定することのできる人間が複数存在するのだから。
そして片付けにかかろうとした時、俺は自らの懐にその証拠があったのを思い出した。
それはスマートフォンだ。俺はこの淫らな酒宴に誘われた際に、咄嗟にこれで音声を録音していたのだ。
すなわち酔った勢いのまま俺にダル絡みをし、あまつさえ野外で生徒を押し倒してきた井河さくらの音声を、である。
何故そんなことをしたのかと問われれば、本当に魔が差したとしか言いようがない。
スマホの録音機能に考えが至ったのは、丁度ブルーシートまで連行されたタイミングだ。
無論その時は、ここまで自体がエスカレートするとは考えもしなかった。
他の生徒や先生に見つかって誤解されたときに使うつもりだったのか。それとも後日さくら先生本人に聞かせて意趣返しでもするつもりだったのか。
今となっては自分でもよく分からない感情に突き動かされた行動だったが、結果としては最大限の効力を発揮したといえるだろう。
だが、先生が狂態を晒した自分を認めた段階で、俺はその音声を彼女の見る前で消去した。当然バックアップもとってはいない。
さくら先生の狼狽ぶりから見て、その音声で脅迫をかければ大抵のことは聞いてくれそうだったが、そういうのは俺の趣味じゃない。
その時の反応から見て、さくら先生にとっても俺のデータ消去は意外な行動だったようだ。
全くもって心外だ。俺はそこまで小悪党に見られていたのか。
そこで、俺はお互いに不本意ながらも始まってしまったこの関係を続けたいと話した。
一切の婉曲表現を排して言えば、自分を強姦した教師に向かって、先生の肉体が忘れられないのでこれからも抱かせてほしいというお願いをしたのだ。
「……お……怒ってない、の……?」
俺の告白を聞いた時のさくら先生は、明らかに頭が正常に回ってなかった。
只関係を求めるならさっきの映像をネタにすればいい話なのだから、態々消した後でそれを求めたことが解せなかったのかもしれない。
つくづく、俺は見損なわれているらしい。大体怒っているなら最初に映像を見せる先はさくら先生本人ではなく、彼女の姉になっているはずだ。
俺にはさくら先生を糾弾する気もなければ、この一件を脅しに使うつもりも毛頭ない。だが、このまま彼女が全てを忘れ、今までの日常を過ごすことを良しとするほど、俺は善良でもヘタレでもない。
「勿論怒ってません。だからさくら先生が嫌だというなら無理強いはしませんし、誰かに言いふらしたりもしません。…びっくりしたのは本当ですし、何なら少しばかり心配になりましたけどね」
「え……? ……! わ、私は別に」
「ええ、俺もそんなこと・・・・・はないと思います。さくら先生がはっちゃけた性格なのは有名ですけど、その手の淫行に走ったっていう噂は、全く聞いたことありませんからね」
じゃあ猶更何故、その初めての「淫行」相手が俺だったのか。
そのことを尋ねてみたが、気を取り直したさくら先生がいくら思い返しても、全く心当たりがないという。
「んー……そりゃ、ふうま君のことは昔から知ってたよ? お姉ちゃんがふうま家絡みで色々やってたのは知ってたし、その後ウチであったなんやかんやも、元をたどれば井河とふうまの抗争が大本の原因みたいなもんだしさ」
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さくら先生が言う所の「なんやかんや」とは、今から14年ほど前に起きた井河における内紛のことだ。
当時の対魔忍は今以上に一族の独立性が高く、家同士の抗争も激化の一途をたどっていた。
誤解を恐れず言えば、その性質は日本のヤクザ組織に極めて近かったと言えるだろう。
事実、当時魔のものを狩り人間世界を守るという対魔忍本来の使命よりも、他の家を追い落とすことによる立身出世を優先する者の数は、今とは比べものにならないくらいに多かった。
そんな中、現状を改革すべく政府との繋がりを強化し、対魔忍の公的地位を確立することを目指す井河アサギ一派と、これまで通りの体制を維持し、その中で井河一族の繫栄を企図する井河長老衆の対立は、とある事件を機に決定的なものとなる。
それが井河の内紛よりさらに1年前に起きた、ふうまによる井河への反乱である。
現ふうま家当主の身でありながら恥ずかしいことに、俺はこの戦いが起きた詳しい経緯を知らない。
だが結果として、この抗争によって当時の当主だった俺の父、ふうま弾正は死亡。
時子たちの奮闘によりふうま家の滅亡だけは避けられたが、その時の凄惨な記憶は、特に俺たち敗戦した側にとっては、今に至るも深い傷跡となっている。
だが、この時井河内部にも、この戦いに異を唱え、更に表立って俺たちの後見を引き受けることで身の安全を保証してくれた人がいる。
それが何を隠そう、当主になって間もない井河アサギその人だったのだ。
だが、その行いはふうま撲滅を主張していた長老衆の怒りを買い、その翌年には先に述べた井河内部が2派に分かれた抗争が勃発。
その戦いそのものはアサギ先生たちの勝利で幕を閉じたものの、この争いによって生まれた怨恨は現在に至るまで、対魔忍の世界に長く尾を引くこととなった。
アサギ自身もこれを機として、数年後に生き地獄と形容される程の壮絶な試練を与えられることになる。
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それら抗争の詳細な経緯については、一旦置いておく。
ここで重要なのは、アサギ先生が俺にとっては恩人であり、さくら先生も当時から俺たちの身の上を知っていたということだ。
だが、だからといって彼女に俺を特別視する理由はない。
「勿論、私も一応関係者なわけだし、言いたいことはあるよ? でも、だからってふうま君を恨んだりするのは筋違いもいいとこだし、逆に『うわー、可哀そう』って大げさに同情するのも違うと思うしさ」
そこで、さくら先生は注文したカフェオレを一口飲む。
ちなみに、俺はコーヒーに関してはガキのころからブラック派である。
だが、俺は注文したアイスコーヒーがテーブルに置かれて以降、口はおろか手すら伸ばしていない。
「大体、あれはふうまの反乱からしてさ、半分星舟のおばさんとかが仕組んだことだし、私の中ではもう終わった話だよ。だから、ふうま君にも特別な感情とかは全然なかった……はず、なんだけどなあ」
そこまで話し、さくら先生は心底不思議そうな顔で首を傾げた。
「……じゃあ、俺としたこと自体は嫌ではない?」
「……その質問はかなり嫌なんだけど。……まあ、そこはあんまり、かなあ? あれ……うーん? とんでもないことしちゃった筈なのに、何だろう、この気持ち。これは……いや、でも何で? ……」
回答内容が後半からしどろもどろになった所を見るに、さくら先生は今自身が抱いている感情を上手く処理できていないようだ。
勿論彼女は優秀な対魔忍であり、多くの生徒に慕われる五車学園の先生だ。自分が教師としても大人としても取り返しのつかないことをした自覚はあるし、禁忌を犯したことへのショックは少なからず受けている。
にも関わらず、無意識で俺と性行為をしたことには焦りや困惑、絶望ではなく、何故か説明不能な納得感や安心感を得てしまっているようだ。
彼女の理性は、その感情を受け入れてはいけない、しっかり反省して償わなければいけないと確信しているのに、事態を楽観視する思いをどうしても拭い去ることができない。そしてどちらかと言えば、どこかこの状況でどこか落ち着いている自分にこそ戸惑い、自己を責める気勢が削がれてしまっている。
更に彼女らしくないといえばそうだが、この事を決して他に知られてはいけない、なんとかして俺の口止めをしなければいけないという保身の感情すら、殆ど頭の中に浮かんでいないようだ。
「……ふうま君こそ、ホントにいいの? 私が言うのもホントに何だけど、お姉ちゃんなり時子さんに話した方が絶対にいいと思うよ。写真なんかなくてもしらばっくれたりしないよ、約束する」
「それは止めておきます。さっきも言ったとおり、確かに俺は昨日のことは驚いてはいます。ですが写真を消したことで分かるように、先生へ仕返しをしてやろうとか、これをネタに関係を強要する気はありません」
「そ、そう……いやだけど、こんな後で、そんな、続けようって言われても……」
どうやら焦りこそあまり抱いてはいないものの、さくら先生の判断力はかなり鈍っているとみて間違いない。
普通の男子生徒相手なら、「怒ってない、脅しもしない」なんて話は到底信じられまい。
音声のコピーがないという証明は不可能だし、いかにさくら先生が五車中の男子が注目する容姿の持ち主だとしても、酔った勢いで力任せに関係を強要されれば、誰だって腹が立つものだ。
つまりたとえ内心半信半疑だとしても、こんな話を聞き肯定の言葉を口にしている時点で、さくら先生は俺を不自然に信用しすぎている。
口でこそ俺の提案を拒絶し、真っ当な対応を促そうとしているが、俺がその道を選択するとは内心露ほども期待していない。何ならこの後の展開や自分の本心にも、うっすらと察しがついているのだろう。
(……思った以上の効果だな。酔った勢いでシたとはいえ、ここまですぐ馴染むとはな)
今まで酒に酔って不特定の誰かと性的交渉を持った経験はなく、俺に一生徒として以上の好意を抱いていたわけでもない。つまりこれは、さくら先生の意志や酒の力に関わりなく、何かしらあの行為に至らしめた原因があったということだ。
そしてそれこそ、俺がここで一番に確認したかったことだ。
さくら先生が不自然に迫ってきた時にもしやと思ってはいたが、やはり「あれ」の効果は絶大だった。酔っていればさくら先生程の人でも、抵抗はおろか知覚すらできない、という貴重なデータも取れた。
内心ほくそ笑んでいるのがさくら先生にバレないように、俺は必死で真顔をつくる。
俺があの場で何を考え、秘密裏に何を行ったか、目の前の先生が気づく可能性は0だろう。
だがここで怪しまれたら、この美人教師との楽しい楽しい性活の日々は永久に幻となってしまう。
折角手に入れた野望のとっかかりを、つまらないミスで台無しにするなど言語道断である。
「……ま、ですよね。そんなことなくても、こんな陰気でサボり魔の「目抜け」なんかに、さくら先生ほどの人がその気になるわけありませんし」
「いやいや、私はそういうの、ホントに気にしてないから。……まあ、サボりは立場上止めなきゃだけど、忍法は今できないからって気にする必要はマジでないんだよ。私の知り合いにもさ、君よりずっと年がいってから忍法が使えるようになった人知ってるし、その人今じゃ、海外で大活躍中なんだから」
さくら先生は真剣な眼差しで、俺が自らを卑下した言葉を否定した。
そういう顔をしている時だけは、彼女が優秀で誠実な先生に見える。
いや、他人といる時はいつもおちゃらけて、任務や授業の最中でさえ本気なのかどうか分かりにくい人ではあるが、井河さくらの実力がアサギ先生や紫先生に引けを取らないということは十分に分かっている。
事実として、俺も何度かピンチの際彼女に助けてもらったことがある。
だからこそ、今回の「結果」は正に望外の僥倖といってよかった。
その成果を確信した所で、漸く俺はコーヒーで喉を潤すことができた。
「……それって、八津九朗さんですよね。紫先生のお兄さんの。実は俺、あの人と友達なんですよね。最初はなんかとっつきにくそうだなあって思ってたんですけど、話してみたら意外と気が合って」
その話は、自分のスキャンダラスな声を聴いた時と同等の衝撃をさくら先生に与えた。
少なくとも、瞳孔の開き具合は全く同じだった。
「エ……と、とも、だち? 九朗さんと、ふうま君が?」
「ええそうなんです。2ヶ月くらい前かな、あの人が日本に帰ってきた時に偶然会って、その時趣味の話で意気投合したんです。さくら先生はご存じないと思いますけど、実は九朗さんってああ見えて──」
「え……ええ~っ!? うっそぉ、ホントに!? うわーいが~い。え、それってさぁ……──」
共通の知り合いが持つ、彼女の知らない一面を話題に、そこから一気に話は盛り上がった。
つい先ほどまでの重苦しい空気など、最初から存在しなかったようだ。
俺から昨日のことを聞いた時、さくら先生は心の中で解雇はおろか、五車からの追放すら覚悟したはずだ。
だが九朗さんの話で驚きまくり、時に爆笑するその姿には、その手の悲壮な未来を想像している様子は一切窺えない。どうやら気をそらすことにも成功したようで、俺は内心少しほっとした。
その後1時間以上の雑談を重ね、彼女の警戒心や罪悪感が最大限薄れたと感じたところで、俺は本日最後のたたみ掛けを行うことにした。
「……それで、さくら先生。考えていただけますか? 俺と、これからもこの関係を続けること」
女の返答は分かりきっていた。
この場でされるか、少し後になるか。違いと呼べるものは、本当にそれだけだった。