※この作品はR-18です。

“女難の対魔忍”暗躍譚 ―対魔忍RPGX HAERESIS―   作:holdics

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Main Story : Sakura 03

「──大体ねぇ! な~にが『この関係を続けたい』、だよ!」

 

 

 

 そして、ファミレスでの会話から3ヶ月程経過した現在。

 

 俺はさくら先生と同じ湯船に浸かりながら、俺の告白について受けた本人直々にダメ出しを食らっていた。

 

 

 

「そこはさぁ! 嘘でも『好きです、付き合ってください』とかでしょふつ~!? ほんっとふうま君てデリカシーないというか、オンナゴコロってもんが分かってないよね! 先生心配だよ、まったくぅ!」

 

 

 

 さくら先生は、俺の胸板に背中を預けて訳の分からない説教をしている。

 

 

 

 現状視線を少し下に向ければ、彼女のうなじ越しに豊か過ぎるおっぱい山の全景を一望できる。

 

 眼福という言葉では足りない幸せを運ぶ光景だが、話してる内容のせいで魅力が2割は減少している。

 

 

 

「はは、それは申し訳ない。……でも、あの場で好きだっていうのは逆におかしくありません? 怒ってないんでこれからもエッチさせて下さいってくらいが、納得できる落としどころだと思うんですけど……おぅっ!」

 

 

 

 さくら先生の大きな桃尻と腰のひねり込みを駆使したヒップアタックが腹のど真ん中に命中した。

 

 ある意味ありがたいが、普通に痛い。

 

 

 

「かー! ばっかだね~ちみは! だから噓でもいいんだって、ウソでも! 

 

 

 

『実は僕、舞い散る桜の花びらのように可憐で美しい貴女に、ずっと昔から恋していたんです。昨日は一夜の過ちだったとしても構いません。どうか、僕の想いを受け取ってください』

 

 

 

 とか言われたらさぁ~、流石の私もあの場で思わずOKしちゃってたよね! 分かる、ふうまクン!? 君は丸々1ヶ月以上、私とエッチできる機会をフイにしたんだよ? どう、そう考えたらすごい損じゃない?」

 

「な、成程。そう言われると……」

 

 

 

 この女教師、一度箍を外してからちょっとはっちゃけ過ぎである。

 

 

 

 あの状況でエッチしたいだの付き合いたいだの、そういう台詞を吐くこと自体が既にして異常だという考えはとっくの昔にすっ飛んでいる。

 

 大体「花びらのように可憐」な女は尻を武器に使ったりはしない。

 

 

 

 イケない経験を重ねるうちに生徒である俺とのセフレ生活にもすっかり順応し、その手の価値観も随分俺に毒されたようだ(怖いことにワンチャン素の可能性があるが)。

 

 ノリノリすぎて普段の倫理観まで壊れたりしていないか、こっちが不安になる。

 

 

 

「ふー……ま、私も何だかんだこうなっちゃった訳だからさ。ふうま君にはそれに相応しい男の子になってもらいたいわけよ。そうすれば、たとえむっちゃんだってイチコロ間違いなしだよ。何たって、私なんかと比べ物にならないくらい男に耐性ないんだからさ」

 

 

 

 今一番振られたくない話題を蒸し返された。

 

 どうも考えが読めない。やっぱりこれがさくら先生の本性なんじゃないのか。

 

 

 

「えー……いやあの、紫先生のあれは男に耐性ないというより、そもそも興味がないというか、男性そのものがあまりお好きではないというか……って、分かってて言ってますよね?」

 

「ふっふっふ、勿論分かるともふうまクン。むっちゃんが抱くお姉ちゃんへの恋心はさ、何も昨日今日芽生えたものじゃあないんだよ?」

 

 

 

 あれは10,いや20年物の秘めたラブだね。ワインなら丁度飲み頃って感じかな? にひひ。

 

 などと、上手くも何ともない喩えでドヤ顔されても返事に困る。

 

 

 

 つっこみもせず相槌も打たず、無言で話を続きを促す。

 

 すると流石のさくら先生も気まずくなったのか、ずっと首を曲げてこちらに向けていた視線を逸らした。

 

 

 

「まあ、ぶっちゃけ普通にいったら叶わぬ恋じゃん? むっちゃんは胸に秘めたつもりでぜんっぜん隠せてないのに、お姉ちゃんはスルーどころかその気持ちに気づいてすらいないし。第一、お姉ちゃんももうふうま君のなんだし、たとえむっちゃんでも『譲る』のは、無理……だよねぇ? ご・しゅ・じ・ん・さ・ま♪」

 

 

 

 セックスパートナーの浮気を容認するどころか実の姉を手籠めにする手助けを行い、今度は親友をその毒牙にかけることを画策する様は、正に悪女のそれだった。

 

 

 

 ワルい女もぶっとんだ女も嫌いじゃないしむしろタイプだが、何事にも許容範囲ってものがある。

 

 ましてつい先日その悪企みが露見して散々な目にあったばかりだというのに、この脳内桜色雌教師は全く懲りてない。いやそれどころか、更に取り返しがつかない事態を生み出そうとしている。

 

 

 

 こういうタイプの悪役が成功を確信した作戦に乗るなんて、控えめに言って自殺と同義である。

 

 言うなれば6面サイコロを1回振って、1から6までの目が出たら死ぬギャンブルをするようなものだ。

 

 

 

 この色ボケ巨乳対魔忍は、俺の脳には腐った精液しか詰まってないとでも思っているのだろうか。

 

 

 

「あー……俺的には女性を“もの”って言い方するのも、セックスしたからって束縛するのも、その人の良さを殺してしまうから好きじゃないですね。……大体、紫先生のガードはそれこそさくら先生とは比べ物にならない固さでしょ。何とか2人きりになれたとして、どうやって先生の意識をエッチするまでもっていくんです?」

 

「うーんそこだよねぇ~……あんま言いたくないけど薬も効果薄だし、逆に怒らせるだけって事になりかねないなー。こりゃ相当策を練らないと……」

 

 

 

 いや、そもそも手を出すことの是非を問うているんですがね。

 

 俺は溜息を軽くつき、さくら先生の邪悪な企みを中断させるべく乳房の愛撫を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 結局さくら先生と俺がお互い合意の上でセックスする関係となったのは、ファミレスでの話し合いから2ヶ月近くの日々が過ぎた5月の終わり頃だった。

 

 彼女が悩んでいたというよりは、その間お互いドタバタして時間自体がなかった、というのが正しい。

 

 

 

 学校教諭にとって、新学期の始まりはやることが立て込んで睡眠時間すら削られるのが通例だ。

 

 俺は俺で何の前触れもなく独立遊撃隊の結成が決定したことで、目的も生産性もないサボり生活に別れを告げ、隊の活動に精を出す必要があった。

 

 

 

 関係が進展したのは、丁度俺が五車町内にある幽霊城の調査任務に就いた時だった。さくら先生自ら同行を希望し、彼女の活躍で五車における淫魔の暗躍を阻止できたことで、任務は成功に終わった。

 

 

 

 そのデブリーフィングの後だった。彼女にこっそりと自宅へ誘われたのは。

 

 

 

 その時の井河さくらの表情は、俺が今まで見た中で一番蠱惑的な女の顔をしていた。

 

 年下の男、しかも自らの生徒を閨に誘うというタブーに直面し、顔中に照れや戸惑いの色を浮かべながらも、それでも尚期待と興奮を抑えきれないと言わんばかりの濡れた瞳が、こちらを見つめていた。

 

 

 

 欲望が抑えきれず、素面のまま一線を越えてしまったさくら先生を目の当たりにし、俺も喜びのあまり自然と邪悪な笑みを浮かべてしまっていたのを覚えている。

 

 

 

 初めて任務達成の報酬をもらった時も、ここまでの心地よい達成感は得られなかった。

 

 まあ初任務の時からずっと、成功報酬として得たボーナスの類は例外なく時子が預かり貯金しているのだから、そこに感慨もへったくれもないのは当然だが。

 

 

 

 その日、俺は初めて女性の家で一夜を過ごし、同時に初めて自分だけの力で女を堕とした。

 

 その晩感じた絶頂は……とても語りつくせないほど素晴らしいものだった、とだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 それからは、他人の目を盗みつつ、最低週に1日は2人きりになった。

 

 勿論五車内での密会は危険極まりないし、隣町のまえさき市も知り合いの目が多すぎる。

 

 自然と、別々に遠出をしてから現地で合流という形をとっていた。

 

 

 

 幸いゲームという共通の趣味があったため、都市部のゲーセンやショップで偶然を装って待ち合せれば、然程怪しまれずに逢瀬を重ねることはできた。

 

 

 

 その際電車代やらホテル代やらは先生持ちなのが、ヒモになったようで心苦しくはある。

 

 だが彼女自身はむしろ、傍から見れば貢ぎにしか見えないその経験をも楽しんでいるようだった。

 

 

 

 地雷を踏みそうなので聞けていないが、男のために何かを支払う、という行為そのものも初体験だったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 そんな日々を重ねた今日。

 

 対魔忍井河さくらはすっかり俺との行為に耽溺し、日々順調に“深い快楽”を仕込まれていた。

 

 

 

「ふっ……うぅん。ふうま君、いつもながら上手……あぁん! ちくびぃ、そんな強くつぶしちゃ、んくうっ……!」

 

 

 

 両腕をさくら先生の脇へ通し、日焼け跡がついた外縁部から乳房を両方ともに掌で包み込みながら、中心部へ向けてやや絞り上げるようにしっかりと揉み込んでいく。

 

 快感に身震いした隙を見逃さず、人差し指と親指で頂点に位置する桜色の粒をシコリあげ、軽く捩じる。

 

 その瞬間さくら先生の背中が反り返り、一瞬太ももが痙攣して顎が上がった。

 

 

 

「ちょっとさくら先生、イクの早すぎです。乳首だけでこんな反応してたら持ちませんよ?」

 

「んんっ! んう、んんん……! ……い、いって、ないし……ちょっと、予想外の刺激でびくっただけ、だし……さくら先生をぉ……んっ、なめんじゃないぞぉ……?」

 

「ククク。そうですか……」

 

 

 

 胸を揉まれていて乳首イキするのが「予想外」だった……は通らない。

 

 おまけにそんな風に息も絶え絶えに話してしまうと、語外で強がりだと自白しているようなものだ。

 

 

 

 とはいえ本イキには程遠い、極々軽めのアクメだったことも事実だ。

 

 こういう場面で採るべき手段は、様子見や無駄口を叩くことではない。

 

 休憩の時間を与えず、ダウンするまで快感のラッシュを叩きこむことだ。

 

 

 

「あ……んひぃ! く、クリだめぇ! 今そこは、感じすぎちゃう……はひゃぁ! 指が膣中にはダメェ!」

 

「乳首ちょっと摘ままれただけじゃイケないんでしょ。ならこっちの突起も可愛がってあげないと……ね!」

 

 

 

 さくら先生が上の刺激に手一杯になった隙に、股間に手を潜り込ませる。

 

 

 

「あ! あ! あ、イク、イク、あ、あああぁああ~~~~~!!」

 

 

 

 ビンビンになった陰核にカリ……と爪をかけて傷つけない程度に引っ掻くと、さくら先生はあっさり平静を取り繕う努力を放棄し、派手に鳴きながら湯船一杯に体を伸ばした。

 

 俺と最初にベッドインした時から、彼女がこの両乳首+クリトリスの三点責めに耐えられた事例は無い。

 

 

 

 別に俺が超絶的技巧の持ち主というわけではない。

 

 “先生たちが姉妹揃って”、こういった刺激への耐性が低すぎるのだ。

 

 

 

 生来の敏感さに加え、過酷な任務で受けた「様々な」体験は、如何に治療を重ねても記憶ある限り心身を苛み続ける。

 

 日頃本人も漏らしているように、こうした女としての欲求を晴らしてくれる特定の相手もいないのだろう。

 

 

 

 実に勿体ない、そして失礼ながら、俺にとっては有難い話だ。

 

 

 

「……一回上がります? 湯あたりしちゃいますよ」

 

 

 

 目の前で喘ぐ女の体中から立ち昇る発情臭を鼻腔に吸い込みながら、俺はそう囁いた。

 

 ハーッ、ハーッと、顔を下げながら1㎞ばかり全力疾走をしてかのような荒い呼吸を続けるさくら先生は、

 

 

 

「…………だね。でも、その前に……!」

 

 

 

 そう言うや否や、さくら先生はオーガズムの余韻でぐったりとなっていた体を起こしてこちらに振り向くと、俺の首に腕を回して口付けをしてきた。

 

 

 

「んふ……ちゅぅ、じゅる、ちゅ……ちゅる、えろ……ちゅう……じゅ、ちゅっ……」

 

 

 

 さくら先生のキスは上手い。より正確に言うなら、舌の使い方が俺の知る限り一番エロい。

 

 下唇、舌、歯列、口底、口蓋、頬粘膜など、口の中のあらゆる部位を舐りながら不規則に動き回り、常に新鮮な気持ちよさを提供してくれる。

 

 

 

 フェラチオやアナル舐めの時も彼女はすごいテクを披露してくれるが、個人的にこの舌技が一番輝くのは口内で暴れさせている時だと思う。このピンク色の暴君による変幻自在な絡みは、自由になるスペースが広いほどその本領を発揮するからだ。

 

 

 

 純粋なテクニックだけを論じれば上の者はいくらか知っている。

 

 だが、さくら先生ほどに情欲と好奇心を込めて熱心に舌を駆使する女性とは、まだ出会ったことがない。

 

 

 

 男に対する奉仕の心というより、純粋にオーラルセックスでの交流がお気に入りのようだ。

 

 キス手コキ→パイズリフェラ→シックスナインの流れで行った前戯にかけたトータルの時間が、挿入してからの本番行為よりも2倍以上長かった夜もあった。

 

 

 

「んちゅ……にひひ、やられっぱなしはイヤだからね……ここらで……反撃開始だよっ……ちゅっ」

 

「ん……!」

 

 

 

 左腕を俺の首に回して肩ごと抱きながら、右手をペニスに回して上下に擦り始めた。

 

 案の定、イカされた分俺も射精させるつもりらしい。

 

 

 

 お互いの絶頂回数が同数であることに、彼女は強いこだわりがある。

 

 ゲーム感覚でセックスを楽しんでいるというのもあるが、年下の男に好き勝手されて自分だけ気持ちよくなってしまうということに、心のどこかで不安感を抱いてしまうようだ。

 

 

 

 シュッ……シュッ……シュッ……と、湯につかったままのペニスをしごくさくら先生。

 

 唾液の交換と舌の鍔迫り合いが合わさってとても興奮してくるのだが、やや物足りなさは否めない。

 

 

 

「……ん? もしかしてもうイキたい? むふふふ、ゼータクでドスケベのふうま君は、先生のお手てだけじゃもうチンポが満足できないのかなぁ~?」

 

 

 

 思わず表情に出てしまったのか、ニヤついた顔のさくら先生に煽られた。

 

 不覚を取ったのを胡麻化すために、再び彼女のおっぱいを撫でまわす。

 

 

 

「ええ……正直言って一回出したくはあります。でもお湯の中に……ってのはちょっとヤですね」

 

「にゃはぁ♪ ……じゃあ、どうしてほしいのかなぁ?」

 

 

 

 そう言い、さくら先生は急激にシコるスピードを速めた。

 

 虚を突かれた攻撃に体が硬直し、彼女の胸を愛撫する手も一瞬止まってしまう。

 

 

 

「ほらほら、このままお湯の中でピュッピュしたくないなら、私に何かお願いしなきゃいけないんじゃないかなぁ? ……さぁさぁ、恥ずかしがらずに言ってごらん、ふ・う・ま・君♡」

 

 

 

 ここぞとばかりに言葉責めをやり返してくる。

 

 こういう時のさくら先生は、いつもいたずらが成功した時特有の「ムフフ笑い」をするので、調子に乗っているのがすぐに分かる。

 

 

 

 だが、ここで意地を張って何か得があるわけでもない。

 

 俺もまたいつも通り、素直に欲求を言葉にすることにした。

 

 

 

「うくっ! ……お願いします……さくら先生の口の中で、射精させて下さい」

 

「ムッフッフ~。うんうん、素直におねだりできて大変結構! さて、と……うーん、ここで潜望鏡フェラっていうのも乙だけど……ま、今日は普通にしよっかな。ここに座ってくれる?」

 

 

 

 さくら先生はしてやったりとばかりの笑顔で、湯船の縁を軽く掌で叩く。

 

 俺が意を汲んで幅数センチほどの大理石へ腰掛けると、スッ、とその股間にさくら先生が顔を近づける。

 

 

 

「おお~。……うわっはぁ、やっぱこのおちんちん強烈ぅ~。ガチガチでピン、と上に伸びてて、出したい出したいってビクビク脈打って、おまけに火傷しそうなくらい熱い……もう、コレはホントに悪い子だなぁ♪」

 

 

 

 おっさんみたいな口調でペニスのレビューをしながら、さくら先生が亀頭を人差し指の先でツン、と突く。

 

 毎回初めて見るように驚くので、恥ずかしい反面少しばかり得意な気持ちになる俺がいるが、今はそんな優越感に浸る余裕はない。

 

 

 

 さくら先生、と名前を呼ぶと、焦らないの、とでも言わんばかりに彼女は指を振って応える。

 

 しかし先生も興奮が抑えきれないのか先端部を掌で包むと、ねろ~、と舌を肉竿に這わしていく。

 

 

 

 そのまま陰茎の急勾配を赤いナメクジが登りきると、凹みに付いた滓を削ぎ取るように傘の部分を一周し、頂点のクレバスに到達したと思った瞬間、真上から涎まみれの歯や頬ごと覆い被さってきた。

 

 

 

「んぐぅ……! ……ちゅぼ、んぐ……ん、ちゅぅ……んぼっ……ふうまふんのひんほ、おーぃひぃ……んふ」

 

 

 

 俺のモノが「大きい」のか「美味しい」のか判断はつかないが、どちらにせよ男心を擽る台詞だ。

 

 さくら先生はそのまま根元まで吸いつき、完全に陰茎を口内に収めると、勢いよく首を上下に振り始めた。

 

 

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

「──ねえふうま君。お姉ちゃんのこと、どう思う?」

 

 

 

 唐突にそんな質問をさくら先生から受けたのは、確か3回目のベッドインを済ませた後だったと思う。

 

 都内郊外の路地裏にあるラブホテルの室内で同衾している時、さらに言えば彼女が俺の腕を枕代わりにしてピロートークを楽しんでいる最中のことだった。

 

 

 

「……え、どう……って。いつも尊敬してますけど」

 

「尊敬ねぇ……エッチしたいとは思わないの?」

 

 

 

 それまでゲームの新作やら学園の課題やら、他愛もない話題に花を咲かせていたところにこれである。

 

 

 

 いやいきなり何を言い出すんですか、反射的にそう突っ込もうとした。

 

 しかしそのふざけた質問内容に相応しからぬ、先生のいつになく真剣な眼差しに気圧されて、喉まで出かかった言葉はそのまま口から漏れる前に消失してしまった。

 

 

 

 そして、思わずアサギ先生のこと―学園での姿や任務時のぴっちりした対魔忍スーツ姿、見たこともない派手な水着姿まで瞬間的にイメージしてしまい、想像上の艶やかさに生唾まで飲み込んでしまった。

 

 そんな様を見せては、最早答えないわけにはいかない。

 

 

 

「……いや、そりゃ美人だなとは思いますよ。まあその、本音を言えばお近づきになりたい、ですけど……。普通に考えてきっかけがないでしょう。僕や先生なんかとは比べられないくらいお忙しいですし」

 

「…………ふぅーん。きっかけさえあれば堕とす自信はあるんだ」

 

 

 

 じとーっ、とした目で俺を見つめるさくら先生。

 

 それが嫉妬や不満によるものだとしたら、自分から話題を振ったのに何たる理不尽だろうか。

 

「何とも思ってないですよ、俺が抱きたいのは貴女だけです」とでも言ってほしかったというのか。

 

 

 

「いや、そうは言ってないでしょう。アサギ先生は校長としても総隊長としても素晴らしい方で、恋人とかそういうの作ることに気が向けないってことです。…………あ。ちなみに、今付き合ってる方って」

 

「いないよ。だからこんな話をしたの」

 

 

 

 迂闊な発言の裏を取ろうと質問したら、最後まで言う前に答えが返ってきた。

 

 その時の口調は心なしか呆れや諦観という感情を含む、どこか草臥れた雰囲気を醸し出していた。

 

 

 

「単刀直入に言うとね。私はふうま君に、アサギお姉ちゃんも抱いてほしいの」

 

 

 

 上半身を起こし、こちらに顔を見せないようにして彼女はそう言った。

 

 明日一緒にピクニックしよう、みたいな気軽さで話すには重すぎる内容だった。

 

 

 

「…………理由を、お聞きしても?」

 

 

 

 俺がそう聞いたのは、至極真っ当な対応だろう。

 

 

 

 俺自身が、あわよくば自分のハーレムを築きたいと考えるほどの女好きであったとしても、抱いた女の方から他の相手を提案されるなんて想定はしていない。

 

 いくら俺が下半身でモノを考える男だとしても、流石にそんな都合の良過ぎる展開を考えて行動するほど精液漬けの脳みそは持ち合わせていない(期待すら全くしていなかった……といえば噓になるだろうが)。

 

 

 

 冗談にしては突飛が過ぎる話の内容にしてもそうだが、さくら先生の口調が硬いのにも違和感があった。

 

 こうした話題を彼女が振る時の態度としては、あまりにいつもと違う態度だったからだ。

 

 

 

 何せさくら先生は、五車でも有名な下ネタ女なのだ。

 

 自分が敵に捕まった時にどんな調教を受けたか、またどんな奴らの相手をさせられたか。

 

 本来なら一生モノのトラウマになって思い出すことすら憚られるような話題を、あろうことか授業中の笑い話としてサラっと暴露し、その場にいた生徒を男女問わずドン引きさせたという逸話すらある。

 

 

 

 と言っても、彼女が敵に捕まったのは10年以上前のまだ未熟な頃。

 

 先に捕らえられていたアサギ先生を救出しようと無茶な潜入を試み、その行動を完全に読んでいた敵の罠にかかった時、その1回きりだと聞いている。

 

 ノマドの大幹部である朧とアサギ先生は、この時から因縁があるらしい。

 

 

 

 詳細は知らない。当事者たちが皆語りたがらないからだ。

 

 だが噂等を通して断片的な情報を聞くだけでも、どういった類の“因縁”なのかは嫌でも察しがつく。

 

 

 

 何せこの任務でアサギ先生は、当時婚約までした男性を喪っているのだから。

 

 

 

「…………うーん。秘密♪」

 

 

 

 そう答えて振り向いたさくら先生の表情は、いつも通りの明るさを取り戻していた。

 

 だからこそ余計に、先程姉を俺に抱かせる提案をした時の違和感が気になった。

 

 俺を試すつもりで冗談を言ったとは、とても思えなかった。

 

 

 

「でもま、ぶっちゃけ言うと脈はあるよ。思わぬお手柄だったとはいえ、お姉ちゃんが独断で部隊長を任命するなんて滅多にないもん。普通は同僚とか先生とかの推薦を受けてから、本人との面談をして決めるもんだからね」

 

「……いや、それはあの状況が特例だらけだったというだけでしょう。二車が反乱を起こした以上、その責任は宗家の当主である俺が取るべき、っていう名目が立ったっていうのもありますし」

 

 

 

 

 

 

 

 俺が独立遊撃隊を率いるきっかけとなった、対魔忍の反乱と五車からの集団離反。

 

 4月が終わろうかという時に起きたこの事件の首謀者は、魔族の犯罪結社ノマドの幹部フュルストと手を組んだ、ある一人の若い対魔忍だった。

 

 

 

 それこそが俺の幼馴染であり、対魔忍の名門ふうま一門を統括する頭目衆“ふうま八将”の一角である二車家の当主にして、現在は五車から離反し独自勢力“二車忍軍”を率いる男、二車骸佐。

 

 

 

 道理を問うならば、あいつが五車で蹶起し今日までの仲間を死傷させたあの日の時点で、俺のふうま家当主としての道、そして対魔忍としての道は閉ざされたも同然だった。

 

 責任を取って引退するか、規則に照らし合わせた処罰を受けるか。

 

 いずれかの末路を覚悟してアサギ先生の前に立った俺に、彼女は第3の道を示してくれた。

 

 

 

 今からでも当主としての責任を果たし、彼を五車に連れ戻せ、と。

 

 

 

 それが、彼女の如何なる考えによって発せられた言葉なのかは、その時の俺には分からなかった。

 

 だが、このまま希望も刺激もない退屈を抱えたまま人生の幕を閉じるのは、俺としても願い下げだった。

 

 

 

 そう、隊長を引き受けた最大の理由は、ふうま家当主としての責任感や骸佐への友情ではない。

 

 謂わば棚ぼた的に降って湧いたチャンスを、折角だからモノにしたいという思いから。

 

 その日まで考えあぐねていた輝かしい将来への道が、何の前触れも無く開けた喜びからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 だが、それはあくまで俺個人の欲望に過ぎない。

 

 

 

 隊長を引き受けた以上任務はしっかりとこなすし、その結果学園の先生や今まで俺を無能扱いしていた同級生たち、五車以外の魔に関する勢力の人々から評価を得ていく日々にはそれなりの充足感がある。

 

 その評価をもって、アサギ先生の期待に応えているという自負もあった。

 

 

 

 だが、だとしても俺への期待=俺への好意、という方程式にはどう考えても同意できない。

 

 それとも妹であるさくら先生しか知らない、アサギ先生の素顔はまた違うというのだろうか。

 

 

 

「まあ、あの時はそうするのがベストだったってだけで、それ以上でも以下でもなかったかもね。……でも、今はちょっと事情が違うんだよね、これが」

 

 

 

 そう言うと、さくら先生はベッドを降りて冷蔵庫に向かい、ビールとコーラの缶を取り出した。

 

 そのままガウンすら羽織ることなく戻ってきて、全裸のまま「はいコレ」とコーラを差し出してきた。

 

 

 

「……事情が違うっていうのは?」

 

 

 

 俺は缶を受け取り、ベッドに座ったままプルを開けて飲み始める。

 

 さくら先生はベッドの横にあるパイプ椅子に腰掛け、ビールに口をつけず隣のテーブルに置いた。

 

 

 

「その前に聞きたいことがあるんで、正直に答えてねふうま君。私やアサギお姉ちゃんってさ、五車の中でモテてると思う?」

 

「……また突然ですね。……正直に言いますと、人気はあってもモテてはいないと思います」

 

「ほ、ホントに正直だなあ…………」

 

 

 

 率直な回答にショックを受けたのか、さくら先生は暗がりでも分かるほどがっくりと肩を落とす。だがこうなっては、俺も忖度をする気はさらさらなかった。

 

 

 

「お2人とも美人ですからね。チャンスがあったらモノにしたいだの、一晩でいいからあんな女とエッチしたいとか、そういう目で見る輩は多いでしょう。強くて頼りがいがありますから、女子人気も高いと思います。でもいざ付きあうとか、結婚なんて話を真面目に考えると、皆引け目を感じてしまって尻込みするでしょうね」

 

 

 

 さくら先生単体ではそう見えないことも多いが、井河姉妹は名実ともに五車の2トップであり、全ての対魔忍に頼られる存在なのだ。

 

 言わば五車における皆のヒロイン(守るべきものという意味ではない、念のため)とも言える。

 

 

 

 そんな2人に、果たして正面切って告白できるような剛の者がいるだろうか。

 

 仮に本人からOKをもらったとしても周りに知られればどんな目に晒されるか、子供でも想像がつく。

 

 

 

 特にアサギ先生に愛を囁くなど、考えれば考えるだけリスクがデカすぎる。

 

 

 

『悪いことは言わん。自殺ならもっと苦しまず、恥もかかなくて済む方法があるからそっちにしておけ』

 

 

 

 もし俺がそんなことをしようとしている奴を見つけたら、迷わず肩をつかんでこう忠告する。

 

 不死の肉体から振り降ろされる戦斧によって挽肉にされる最期など、想像するだけで身が縮こまる。

 

 

 

「もっと言えばアサギ先生は……ほら」

 

「ああ~……。確かにむっちゃんを何とかしてってのは誰でもキビシーかなぁ、あはは……。でも、ふうま君は今でもお姉ちゃんのこと狙ってるんだよね。しかも割とマジで」

 

「……その質問に、よりによって貴女の前で答えさせるって、これ一種の拷問じゃないですか?」

 

「それはYESってことでいいんだよね? じゃあさ、私がお膳立てしてあげてもいいよん?」

 

 

 

 その時笑顔でこちらを見つめていたさくら先生は、悪戯好きな少女という風にしか見えなかった。

 

 最高のサプライズかドッキリを思いつき、その内容を他人を説明し協力を仰ぐ時のそれは、およそ20代の女性とは思えない程、純粋で童心に満ちた表情だった。

 

 

 

「……あの、一応聞きますけど本気なんですよね? 今先生とこうしている俺に、アサギ先生とエッチさせる段取りを組もうとしている。その解釈で間違ってないですか?」

 

「いやいやふうま君。そんな難しく考えなくていーよ。私は単に、好きな男と女が結ばれる手伝いをしようってだけ。今のお姉ちゃんが自分から行くわけないからさ。妹としては、骨を折りたくもなるじゃん?」

 

 

 

 やろうとしていることは下世話だが、動機は驚くほど真っ当だった。

 

 姉と結びつけようとしているその相手が、自分が今までセックスしていた相手でなければ、だが。

 

 

 

「……何で、俺なんです?」

 

「お姉ちゃんが好きになったから。そう言わなかったっけ?」

 

 

 

 まるで物覚えの悪い生徒に繰り返し公式を説明する教師のような口調だった。

 

 

 

 念を押されなくともさくら先生の言っていることは分かるつもりだ。話している“内容”は。

 

 

 

 だがその“意図”は全く持って理解できない。お互いの認識している前提が噛み合っていない以上、どんなに魅力的な提案でも素直に頷くことはできない。

 

 

 

 大体何故、よりによって事後特有の気怠さが体に染み渡っているこんな時に、そんなハチャメチャな提案をしてくるのか。

 

 

 

「えーと……まず、どうして分かるんです? アサギ先生が俺のことを好きだって」

 

 

 

 最初にして最大の疑問点について尋ねると、さくら先生は膝をついて大げさにため息を吐いた。

 

『あーそこ分かんないかー』とでも言いたげな視線までおまけについてきた。

 

 

 

 

 

「……まあ、お姉ちゃんはむっちゃんみたいに分かりやすくないからしょうがないか。それに関してはまじで誓ってもいいよ。お姉ちゃんが、ふうま君のこと男として意識してるってことはね」

 

 

 

 具体的な根拠は一切語ってくれなかった。

 

『いやそこが一番知りたいんですけど!?』と突っ込みたがったが、どうせはぐらかされるだろうなと思い止めることにした。

 

 

 

「……そう、ですか。それは、素直に嬉しいですね。……いやでも、俺がさくら先生とこうなってるってこと、アサギ先生は知らないですよね?」

 

「知ってたら私たち、もうこの世にいないよ。……いや、それは言い過ぎかな? にゃはは。まあでも、間違いなくお説教は食らうね。私も謹慎くらいはさせられるかも」

 

「じゃあ、仮に俺がアサギ先生にアタックして成功したらどうするんです? さくら先生は、大人しく身を引くってことですか?」

 

 

 

 降って湧いた感情に任せて、随分と踏み込んだことをストレートに聞いてしまった。

 

 だがさくら先生は、またしても予想外の反応を見せた。

 

 

 

「えー? ふうま君、もう私の体に飽きちゃった? さっきまで夢中になってたこのおっぱい、もういらない?」

 

 

 

 そう言い、むぎゅっ、と自分の胸を寄せて上げるさくら先生。

 

 ただでさえハリと柔らかさを奇跡的に両立した美巨乳が、更に前に突き出されてしまう。

 

 

 

「……い、いや。だってそうなるでしょう? 俺がアサギ先生と付き合うってことは」

 

「あー! いけないなあ、ふうま君。この期に及んで自分の気持ちに嘘をつくのは」

 

 

 

 嘘? ウソって何だ? 

 

 その意味を俺が理解するより早く、さくら先生は瞬時に俺との距離を詰め、裸のまま俺の肩に腕を回して顔を近づけてきた。

 

 呼吸音すら聞こえる至近距離で、さくら先生はにゃはは、と笑う。

 

 

 

「さ、さくら先生……!?」

 

「確か、前にこうやってシた後に話したことあるよね。ふうま君の絶倫ぷりじゃ、絶対女一人じゃ満足できないって。血筋がどうとかじゃなく、キミ自身がそういう性格なんだって」

 

「! ……で、でもだからって……」

 

 

 

 それは、まぎれもなく俺の本心をついた言葉だった。

 

 その話が出た時は曖昧に流したつもりだったし、さくら先生にそれを打ち明けたことなど勿論ない。

 

 

 

 だが前述したように、俺の性癖はあくまで自分勝手な欲望に基づくものだ。

 

 それを実現したいと思ってはいても、他者にひけらかせる様なモノではないことぐらいは弁えている。

 

 

 

 まして自分からアプローチをかけた女性にそんなことを話すなど、その場で関係解消されるどころか、怒りに任せて物理的制裁を加えられても文句は言えない。

 

 

 

 “ドン・ジョヴァンニ”の例を持ち出すまでもなく、多情なことを隠すどころか誇りに思うような男の末路など、古今東西や虚実を問わず、破滅一択と相場は決まっている。

 

 もしこの国に一夫一妻制という法的障壁がなかったとしても、人間が社会的動物である以上本音と建て前は使い分けなければいけない。

 

 

 

「いいんだよー、ふうま君。正直になっても」

 

 

 

 そんな俺の内なる抑制を解すかのように、女の細い指が俺の胸板をゆっくりと撫でる。

 

 殊更快感を呼び起こす愛撫でもないのに、それだけで俺の心臓は早鐘のように脈打ち始めた。

 

 

 

「私はさあ、ふうま君にもお姉ちゃんにも幸せになってほしいだけだよ。だって外ならぬ私が言ってるんだよ、私とセックスして、お姉ちゃんともセックスしても、誰も裏切るこ

 

とにはならないって」

 

 

 

 止めろ。

 

 思わずそんな乱暴な言葉が口をつきそうなほど、その言葉は俺の思考と良心を揺さぶった。

 

 

 

「……絶対に怒るでしょう。さくら先生はともかく、アサギ先生は」

 

「うん、今のままだと100パーね。……その、さ。もう思い切って告白しちゃうとさぁ」

 

 

 

 さくら先生が伸ばした俺の足を跨ぎ、座布団代わりにして俺と顔を突き合わせる。

 

 お互いの吐息がかかる程の距離で、彼女は気まずそうに笑いながら続きを話す。

 

 

 

「いー加減、お姉ちゃんを胡麻化すのがきつくなってきてさぁ。こんなとこまで買い物に来るのはまあいいとしても、朝帰りが週一ペースなのは流石にまずかったなぁ……って」

 

「……え?」

 

 

 

 告白、などというロマンチシズムに満ちた言葉に続いて紡がれたのは愛欲に満ちた甘言などではなく、末期癌の告知よりもなお残酷な真実の発表だった。

 

 金髪酒乱女はこの期に及んではぐらかした言い方をしていたが、これはつまり、

 

 

 

「疑われて、るんですか? 俺とさくら先生の……こと」

 

「まだ確証はない筈だけどね。もし万が一誰かに尾行を頼んでたらもうアウト、今ここに乗り込んできたっておかしくない。……まあ、一発やるのを見過ごすわけないしそりゃないか、あはははは……!」

 

 

 

 あはは……じゃない。全く持って何もかも笑いごとに出来はしない。

 

 

 

 

 

 瞬間、俺の脳裏へと鮮やかに広がる絶望の未来。

 

 敵に向ける冷ややかな目で俺を見ながら、無慈悲に一閃を振るう井河アサギの姿。

 

 防ぐことも逃げることも適わず、踏みつぶされた蛆虫のように地面を倒れ伏す俺。

 

 

 

 それを見物し、あらん限りの嘲笑と罵声を飛ばす、骸佐たち二車の連中。

 

 俺に失望しきった侮蔑の表情を見せる、鹿之助や蛇子、ゆきかぜ、そして……────時子。

 

 

 

 

 

 

 

「……うっ!」

 

 

 

 思わず、我が身の安全を確認するように首筋を撫でさする。

 

 だがこの状況においても尚、我が愛棒は未だ屹立状態を解除していなかった。

 

 

 

 こんな想像をしておいて、よく勃起を維持できるものだと我ながら呆れかえってしまう。だが逆に言えば、今なお我が肉棒を支えるこの血の昂ぶりこそが、俺の精神安定上の最終防衛ラインかもしれない。

 

 これが萎える時が、即ち俺の心も折れて萎びる時だと言っても過言ではない。

 

 

 

「あーこらふうま君! そんなに顔青くしないの。大丈夫だって! 確かにこのままだと2人仲良く揃ってデッドエンドだけど、逆転の切り札を持ってるのは君なんだから!」

 

「切り札……まさか、俺のコレがそうだっていうんですか?」

 

 

 

 俺が下に指を向けると、そのとーり! と言ってさくら先生は俺にVサインを突き出してきた。

 

 

 

「ふうま君のそのハイパー兵器が勝利の鍵だ! これさえあればお姉ちゃんは、絶対にアヘアへのメロメロになる! 妹であるこのさくら先生が保証しよう! キミのおちんちんとテクが合わされば、あの最強の対魔忍すらも必ず堕ちる! ……はず!」

 

 

 

 やっぱりだ。いくら何でもノリがおかしすぎる。

 

 

 

 キャラに合わない硬めの口調とか、目まぐるしいテンションの変化とか、何の具体的根拠もない自信に満ちた発言とか、まさか先に絶望を味わって開き直った結果とかいうんじゃないだろうな。

 

 寒々しい仮定に考えが至り、今日一番の冷汗が流れるのを感じた。

 

 

 

「……で、何か策はあるんですか」

 

 

 

 様々な未来図を予想し、俺一人ではこのルートの解決策は見いだせないと結論が出た時。

 

 俺もまた都合の悪い事実から目をそらし、一切信頼できない彼女の案に乗ることで一先ずの安心を得ようとしたことを、一体何処の誰が責められるというのか。

 

 

 

 …………身から出た錆? 知るかそんなもの! ワームにでも食わせとけ! 

 

 

 

「んっふっふ~。分かってくれたようで嬉しいよ~ふうま君。実はね……──!」

 

 

 

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 かくして、俺は“最強の対魔忍”からの粛清を逃れるために、チンポと悪知恵だけを武器としてその最強に直接対決を挑むことになってしまった。

 

 ……うん、自分で言うのもホントアレだが頭悪すぎるなこの展開! 

 

 

 

 しかもさくら先生の立てた作戦というのが案の定……いや、想定を遥かに下回るお粗末さだった。

 

 最早これを作戦と呼ぶこと自体が「作戦」という言葉への侮辱に当たるレベルである。

 

 

 

 だが、幸いにして俺にはふうま一門が長きにわたって培ってきた女殺しの秘儀もあった。

 

 自爆覚悟でそれら禁じ手も駆使し、土壇場でさくら先生の“予想”もまさかの的中を見せたことで奇跡的な逆転劇を成し遂げた俺は、何とか今日に命を繋げられている。

 

 

 

 まあ、さくら先生が安心しきって口を滑らせた挙句、俺たちの逢瀬やら共謀やら何もかもがアサギ先生に知られてしまった結果、いっそ殺してくれと思う程の生き地獄を味わうというオチが待っていたのだが……。

 

 

 

 まあ、どんな嵐も過ぎれば事もなし。生きているだけで丸儲けだから文句はない。

 

 さくら先生だって、たかが禁酒と減俸だけで済んだのだからむしろ異例といっていいだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで今年の6月は、五車を代表する対魔忍であり井河姉妹を纏めて俺の女にするという、結果だけ見れば全対魔忍から袋叩きにされかねない程幸せなイベントから幕を開けた。

 

 

 

 だが、そんなハッピーなことばかり続かないのが人生というものだ。

 

 アサギ先生との初体験を楽しんでから2週間も経たないうちに、今度は初めての「死」という正反対の体験をしてしまった。しかも幼馴染の手にかかって、である。

 

 

 

 

 

 原因は、二車の「裏切り者たち」が起こしたテロ行為だ。

 

 

 

 この1ヶ月ほど前に蹶起し五車を脱出した骸佐たちは、俺の予想より早く次の行動を起こした。

 

 米連から盗み出された新型兵器「CD(クリーピング・デス)ウィルス」を使って、東京キングダム内にある中華連邦系組織の「龍門」が支配する地域を強襲、現地にいた幹部を殺戮してシマを奪い取ったのである。

 

 

 

 ウィルス兵器なんてヤバイブツを街中で使えば、無関係の住民にも多くの被害が出るのは明白だ。

 

 それを分かっていながらこのような非道を成すあいつの所業を見過ごせるわけがなく、情報を入手した俺たちもすぐに追跡を開始した。

 

 

 

 しかし、結果的に任務は失敗に終わった。ウィルスをみすみす使用されたばかりか骸佐本人も取り逃がし、俺はといえば奴に心臓を貫かれ、本来ならそのまま黄泉の国へ旅立つはずだった。

 

 

 

 だが、何の因果か俺は生き返った。最初はウィルスの影響を疑われたが自我ははっきりとしており、その次は俺自身の忍法がようやく覚醒したのか……と淡い期待を抱いたが、残念ながらそれでもなかった。

 

 

 

 はっきりとした原因は分かっていない。どうやら魔族の使う闇の魔法に近い力が働いたらしいが、俺や仲間たちの調査は前例が見当たらないこともあり、芳しい成果は上げられていない。

 

 

 

 

 

 

 

 話が前後する形になったが、実はこの戦いが起きるつい1週間ほど前、なんと俺は異世界に転移してしまっていた。

 

 

 

「ブレインフレーヤー」という、各次元を渡り歩いてはその原生生物を収集し実験という名の悪趣味なゲームを楽しむ、性悪にも程があるイカ型の異種族に目をつけられたために、俺たちの世界の過去によく似た別次元の世界に飛ばされてしまい、しかも危うく帰れなくなるところだった。

 

 

 

 一緒に飛ばされた“慙愧の対魔忍”秋山凛子先輩や、向こうの世界に住んでいた学生時代の井河さくらの手助けがなければ、あの「アルサール」とかいうクソイカに逆襲することは不可能だっただろう。

 

 

 

 だが、これも万事順調に進んで帰ってこれたわけではない

 

 その帰還に巻き込む形で、とんでもない「お客さん」までこちらに連れてきてしまったのだ……。




ちなみに原作の時系列をごっちゃにしているので説明しておきますと、

 ・この話(7月の初旬)までにきらら、自斎とふうまは面識があります。
 ・沙耶NEOはさくら先生預かりになっています。でも気まぐれなのでよく他の面白そうな人の家へ泊まりに行きます(蛍と凛花の家が頻度高め)。
 ・まだ例の双子は五車に来ていません。つまりアミダハラにも行ってません。
 ・ジューンブライド関連は「何やかんやで」ファイナルのイベントまで全て発生済みです(原作とは順番や内容に違いはあります』。
 ・ふうまは4月の時点で童貞ではなく、6月に入ってからさくらやゆきかぜを含む、複数の女性と関係済みです。
 ・まだヨミハラへ潜入してないので、紅とは再会してません。
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