「くっそ・・あの時聞いていれば・・」
とある公園でアタシ。水戸郁魅は後悔していた。
ミートマスターという名を誇りに思い。えりな様のために尽くしていたが。先日食戟に置いてまさに肉で負けたのだ。
その後。あまりにも認めたくないあまり。逃げ出してしまった・・
「はぁ、なっさけない・・」
「水戸さん!」
「ん?」
その時。自分の名前を呼ぶ声に向く。と白髮の少年が心配そうにアタシを見る。
「・・ダメだったみたいですね」
「・・あぁ」
アタシの顔を見て、何も言わないでくれる少年。
名前は草菜ラント。どうやら純日本人の母と、欧州系の父とのハーフ。
まずコイツは遠月近くのc学生。つまり遠月生じゃない。
最初にあったのは入学シーズン。最初の休みの春にしては妙に蒸し暑い日。
この場所で数人の男子がよってたかって女の子をイジメているのを見かけた。無視しても良かったが。女相手に卑怯だと思い。それを止めた。
退散した後。近づいたら、男だった。
イジメられて悔しかったのか、威嚇した猫みたいな状態だったから妙に気になり。そこからコイツとの交流が続いた。
話しを聞くと。コイツらが通ってるc学校は、料理に力をいれているらしく。将来遠月に進学する者もいる。
当然ラントも遠月に入りたいらしく。遠月について話すよう頼まれた。まぁ個人的に色々溜まったストレスを発散するのに良い機会だった。
そして今回の食戟についても話していた。その際披露予定の肉料理の感想をコイツに聞こうと自分の部屋に招いた。
最初は美味しいと言ってくれ。嬉しかったが、その後考え込み。
『負けるかもしれないです』
その言葉に一瞬で激怒した。一応理由も聞いた。理由は単純に『もしおじさん位の年齢の人は完食しきれないですよ』
まさに予言だった。けど高級肉のみこそ必勝しか頭に無かったアタシは聞く耳持たずラントを追い出した。
そして今に至る。
「・・完全にお前の言う通りだったよ・・すまない」
立ち上がって、しっかり謝意を示す。
「だ、大丈夫です。・・あ、そういえば食戟って負けたら何か失うんですよね?もしかして・・退学とか?」
「いや。潰す予定だった部の強制加入と・・バツとして今まで使ってた専用キッチンの没収だよ。まぁこれも今までの因果応報だと受け入れる」
「そうなんですね・・あの!今日ボクの手料理食べませんか?」
突然決心した顔で聞いてくる。
「・・え?」
「ボクの・・手料理・・で・・癒せると・・いいますか・・」
「フフ」
しかし。それ以上考えてなかったのか、言葉が失速するラントに、少しかわいいと思える。
「わかったよ。お前の実力。負けたばっかだけど現役遠月生のアタシがみてやる」
「あ、ありがとうございます!こっちです!」
ぱあっと明るい笑顔になり。公園を飛び出す。
「(まったく・・)わかったわかった」
そうして電車で駅を3つ行き。着いたのは少し高級なマンション。
「ここの4階です」
「へぇ・・お前の親、結構金持ちなんだな」
「あ、言ってませんでしたね・・ボク。両親が居なくて・・母方の親戚に引き取られたんです」
「あ・・すまない」
「大丈夫ですよ」
ラントの落ち込んだ顔に、申し訳なくなった後。後をついていき。部屋にはいる。
「ここで、待っててください。今作ります」
「あぁ。待ってるよ小さな料理人さん♪」
リビングはキッチンと同部屋であり。料理風景がよく見える構造だった。
「(へぇ。背で少しあれだけど良い腕してんな)」
調理風景を観察する。
歳の割に小柄で器具やコンロの操作がしにくかったが、それでも普通のプロ並の手つきで動かしていた。
「どうぞ」
そして1人分の皿には沢山の野菜と少しの肉を炒めたものを置く。
「じゃあいただきます」
しっかり手をあわせ。置かれた箸で野菜を口に運ぶ。
「!!(なんだコレ・・うっま)」
野菜を舌に置いたと同時に、全身の温度が少しだけ上がる。
「葉物メインの野菜ってリラックスの効果があるんです」
解説を聞きながら。食べるスピードを上げる。
「(なんだこれ・・幸平のアレは痺れるような・・感じだったけど、コイツの場合・・完全に優しさで・・私を・・包んでる・・気持ちいい♡)」
食べながら、まるで高級マッサージを受けた気分。もっと食べたかったがもう残ってなかった。
「・・ごちそうさま。美味かったぞ。これなら・・遠月に入れる力はある」
ご飯の茶碗を含め。完食し。皿を見せつける。
「あ、ありがとう・・ございます・・」
てっきりハイテンションで喜ぶかと思ったが、全く見られない。
「ん?なんだ・・?嬉しくないのか?」
「・・う・・うぅ・・」
すると突然泣き出す。
「お、おい!?どうした!?」
「もう・・ボク・・遠月に入れないかもしれないんです・・」
泣き止んだ後。話を聞いた。どうやらあの時コイツをイジメていた奴の親がそのことを聞き。クーデターを起こし。社長退任と左遷まであと半月らしい。
「そこまでなってたんだな・・」
「・・はい。それにその親の根回しせいで・・叔母も反撃が出来なくて・・最後の1社が出来なかったらもう・・」
「(子どもの揉め事にかなり卑怯なことしてんな・・しかし・・このままだともうコイツの料理が食べれない・・くぅ)」
同情と同時に、さっき完食し手料理の味を思い出し。少し体が勝手に法悦し唾液の量だ少し増す。
「なぁ!その最後の1社ってどこなんだ!?」
「・・その・・貴女もしってるっていうか・・」
「そうなのか!?どこなんだ!?言ってみろ!」
ラントの両肩を掴み。会社の名前を聞き出す。
「・・貴女の会社・・です」
「・・へ?もしかして・・」
「・・はい。水戸食肉流通グループです。なんか・・そこのお肉を使った商品が数点あるみたいで・・」
申し訳無さそうに、答えた。
「なんだぁ。良いぜ早速・・」
「あぁ!だめです!」
早速親に電話しようとすると慌てて止めるラント。
「なんで!?お前遠月行きたいんだろ?」
「だって・・卑怯・・だから・・」
「そんな卑怯か?人脈もパワー!戦略の1つだよ」
「いいんです・・か?」
「あぁ。と言ってもただ親に話しを通して絶対機会をつくる。だからおばさんに伝えてくれ。全力のプレゼンを」
「・・はい!」
それから数週間後。両者の親に申し込み。ラントの会社のプレゼンが始まった。
結果は・・
「良かったなぁ!」
「はぁい!」
商談成功。その事を聞き互いに握手した。
「(しかし・・ある意味負けた結果かな)」
後でお父様に聞いた事だが、あの食戟後。少しだが庶民の定食屋の息子に負けた。という話が出回ったせいで契約が切れたらしい。その穴埋めに十分過ぎた。と言われた。
そしてまた数日後。今ラントの叔母の会社にいる。
【株式会社ギガベジ】中規模の食品メーカーで、名の通りメインは野菜の生産が売りで、確か遠月にも卸している。
なお姉妹会社で、レストランや食器や調理器具の生産を請け負ってる会社もある。
「本日はお招きありがとうございます」
「い・・いえ」
そんな会社の社長室にて、こんなアタシにも敬語で話す凛とした女性。草菜弐美。ラントの叔母兼義母。
今日は彼女に呼ばれたからだ。
「まず最初に、弊社との取引の仲介をしていただきありがとうございます」
「い・・いえ!ウチも色々あったんで・・」
「色々聞いてます。確か食戟というものでしたね。まぁそれはどうでもいいです。まず長時間の話になりますので、そちらの椅子にお掛けください」
「あ、はい」
真ん中の、応接用の椅子に座る。
「まずお聞きたいことなのですが・・貴女。ラントの手料理で虜になりませんでした?」
「・・ふぇ!?」
一瞬。何言ってるのか頭がフリーズしたが、再起動と同時に驚く。
「そ、それ・・は・・」
「正直に答えて」
「・・はい♡」
誤魔化そうとしたかったが、真剣な親としての顔をされ。しぼむ風船になりながらハイと答えた。
「(実際。あの状態を言葉に表すなら、1番適切な言葉だからな・・もうアイツを離したくない♡)」
「・・じつは、今日貴女に来ていただいた理由はソレについてなんですが・・。今から見せるのは英語圏のネットニュースなんですけど大丈夫です?」
「えぇ。そういう教育はされているので。軽い日常会話程度なら」
用意していたタブレットを操作して。アタシに聞いた後。タブレットを見せる。
見ると【一家惨殺事件。料理評論家の~を逮捕誘拐マフィアとグルか】と書かれている。
「コレって・・?」
「この一家はラントの両親・・妻の方は私の姉です」
「そ・・それとラント本人の料理になんの関係が?」
「・・まさにきっかけがそれなんです」
そこからの話。まだラントが2桁の年齢に届く前。まだ父親の故郷・・日本国外に居た。
物心ついた時からかなり探究心が強く。そして親のために、沢山様々な事を学んだ。相応に学力も凄まじく。飛び級で高校までいき。加え特例として当時通っていた学校の給食の管理も任されていた。
そんなある日。栄養学を学ぶ。という授業で、少しだけ有名な栄養士の資格を持っている料理評論家を呼び。料理の実技を受けるという内容。
当然ラントは、トップ成績を修めた。
「・・この事件になんの関係が?」
「話しはこれから・・警察の話しを聞いたのも含めるが、ラントの手料理を食べて以来。彼女は何かに取り憑かれたように、ラントに執着しはじめたんだ・・そして彼女には黒い噂があった・・誘拐専門のマフィアの友達が居た」
「・・もしかして!?」
「あぁ。ラントを・・誘拐させたんだ・・彼の全てがほしい。それだけの理由でな」
「全て・・ほしい・・?」
「そう。つまり・・身も心も・・だ。古来から1人の男を強行的に手に入れる女だけができる方法。まだお酒が飲めない歳の君にもわかるだろう?」
その時なんとなくイメージが湧く。
「もしかして・・性的・・な?」
アタシの答えに・・”正解”と重く答えた。
「見つかるまでほぼ毎日。料理と・・汗だくになるまでまぐわいをされたらしい。まぁ警察の捜査のお陰で見つかったんだが・・以来彼は・・少しおかしくなった・・」
「おかしくなった・・?別に・・異常な所はなかったですけど・・?」
「・・彼と話してなにか・・こうフッ~って猫の威嚇みたいな事なかった?」
「あ、あぁ~最初にあったときがそうでしたね・・」
「その時。汗かいてたでしょ?」
「ま・・まぁ、春にしては蒸し暑い温度でしたから・・。もしかしてあれって!?」
そうして合点がいった顔をしたら。アタシの顔をさす。
「そう。以来・・彼は年上女性の汗に発情してしまうようになってしまったんだ・・。まぁ血縁者である私や一部効かない者もいるみたいだが。さて長い前置きはここで終わるとして。それを踏まえてある頼みがある」
すると今度は書類を置く。最初に大きなはんこで【関係者以外閲覧厳禁】という印字された物と遠月の校章スタンプが押されている。
「ちょ!部外者にみせて」
「いいんだよ。君も遠月の関係者だし。書いて欲しいんだ」
見てはいけないと思い。後ろを向いて両手で眼を塞ぐが、弐美さんに言われた通り向き直し。書類を手にする。
そこには【特別編入試験について】と書かれていて要はc学生でも遠月に入れるという内容。
無論。卒業するとしっかり学歴に残せ。従来の遠月卒業生と同じ扱いになる。
「・・義務教育とかどうするんですか?」
「そこは卒業と同時にクリア扱いできるよう国と調整するらしい。後普通の試験と比べ流石に筆記とか多いくらいかな?まぁ外国で高校卒業できたラントならクリアできるが」
「もしかして彼をここに?」
「あぁ。君も嬉しいだろ?手料理もたべれるだろうし」
「ま・・まぁ・・」
「さて。ここから親の私からの頼みだ。まず私はあくまでも経営のプロであって。料理・・食べるプロじゃない。それを踏まえたうえでのもしもの頼みだ」
「はい」
「もしラントが入学できたとして。彼の料理を沢山の人だ食べるだろう。そこでまぁ・・女性も含まれる。おそらくだが・・プロの料理人ほど不味い物は食べず。うまい物しか舌に覚えさせないだろう。そしてラントの・・特殊な・・才能・・と言っていいのかわからないが、まぁ彼の手料理を食べた女性が変に狙われないよう護ってほしい。これは・・母としてのお願いだ」
すると立ち上がってアタシの前に立ち。しっかりとして土下座をする。
「そ・・そんな土下座までしなくても・・守りますよ!!」
「そうか。それはありがたい・・まぁそれは邪な者に関しての話で・・もし君も混ざりたいならなってもいいし。認めた女性なら許してもいい」
「ってそんなセカンドパートナーじゃないんですから・・」
「んぅ~?ファーストに立候補したいのかい?」
「そ!?そんなわけ・・」
「まぁいい。一応ラントにはこの事は伝えている。だから・・あとは頼んでいいかな?」
「・・はい!」
「よし!ならコレに書いて欲しい」
そう言ってさっきの書類を後ろから開いて机に置く。
【推薦者記入】と書いてある。
「あぁ。だから学生証をもってこいって仰ったんですね」
「そうだ。下に番号と一筆。そして拇印を頼む」
「承知しました」
そうして、しっかり記入した後。アタシはギガベジを後にした。
「・・今後のために・・アタシも頑張らないとな・・」
もうラントが合格前提で、アタシはまた学園に戻った。
少なくとも、現行が終わるまでの間。この作品の続きは載せません。