たった一つの望みを果たすこともできず、夢の世界に置き去りにされた彼は、全てを失ったと思っていた。
そんな彼が再起できるようにとマチュは、シュウジに寄り添う道を選ぶ。
いつか、彼が再び歩き出せるその時まで‥‥
そんな二人に"世界"が敵に回り…
暗黒の宇宙を切り裂くように白い巨人が翔んでゆく。
「待って!シュウジ、止まって!!」
腕の中の少女を奪おうとする敵を滅ぼすべく、閃光のように…。
「お願い、シュウジ!やめて!!」
それを阻止しようと…アマテ・ユズリハ…マチュは、目の前の少年…シュウジ・イトウに必死に縋り付いていた。
腸が煮えくり返るほどの怒りが湧き上がる。
マチュを戦争の道具に仕立て上げようとする連中にも、そんな奴らを庇おうとするマチュ自身にも。
『ごめん、シュウジ。ここまで巻き込んじゃって…もっと早く、離れたら、ここまでシュウジに、迷惑かけずにすんだのに…!」
別離の言葉を告げようと、涙を流すマチュの顔が頭から離れない。
なんで諦めたんだ。
薔薇を巡る戦いでは、何一つ諦めようとしなかったくせに…僕のことを、どこまでも追いかけてきたくせに…!
なんで離れようとしたんだ。
僕のことが好きだと、一緒にいたいって言ったじゃないか。
僕の「いいよ」の一言で、輝かんばかりの顔で喜んでいたじゃないか。
なのに、なんで。
なんで。
なんで!
「なんで!止めるんだよ!!一緒にいたいんだろう!離れたくないんだろう!!だったら止めるなよ!僕がなんとかするから!マチュが傍にいられるように!何もかも消してやるから!!」
待って!止まって!としか言わないマチュに、とうとう怒りが爆発する。
君の望みを叶えようとしてるじゃないか、なんで止めるんだ。
なんで……喜んでくれないんだよ……。
初めてだった。
声を荒げるシュウジを、私に向かって怒鳴るシュウジを見るのが。
一緒にいたいよ。
離れたくないよ。
いつまでも傍にいたいに決まってるじゃん!
そう言い返すのは簡単で、だけどソレを言えば沢山の命が消えてしまうことが目に見えている。
シュウジの手が汚れてしまう。他ならぬ私のせいで…!
好きだから一緒にいたい。それは紛れもない本心だ。
けど本当の目的は、からっぼだと、どうしようもないと自分を卑下するシュウジが、新しい生きがいを見つけるのを手助けしたかったからだ。
シュウジが私のことを、恋愛的な意味で好きじゃないのはわかっていた。
これからも…好きにならないことも、わかっている。
当然だ。理由はどうあれ、彼の"たった一つの望み"を私が潰してしまったのだから。
だから、私は償わなければならないんだ。
シュウジが新しい望みを見つけれらるように…見つけた時が、私がシュウジから離れていく時だ。
彼が望むのは私ではない。
私を選ぶなんてありえない。
そう…思ってたから。
世界を終わらせることを諦めてから、マチュの心を読むのはやめた。
読むまでもないと思ったんだ。
利用するだけ利用して、世界ごと終わらせようとした男なんて…嫌いになって当たり前だろう。
好きだから一緒にいたいも、僕という危険因子を野放しにしないための方便だろうと。
それがどうだ。
一緒に街に繰り出したい、所謂デートというやつも。
二人でグラフィティを描いたのも。
ジークアクスで宇宙をきままに飛び回ったのも。
僕を元気づけるためだと…新たな望みを見つけるための手助けだと。
いつか…僕から離れていくことを決めていたと。
ふざけるな。
ふざけるなよ。
ここまで僕の心をメチャクチャにしておいて、簡単に離れられるのかよ!
認めない。そんなの認めない。
離れるっていうなら、離れられないようにしてやる!!
力任せに少女の服が引っ張られる。
絹を裂くような悲鳴をあげて生地が破れ、ボタンが宙を舞った。
「シュ、シュウジ!?やめっキャッ!」
簡単に破れた服にイライラが募る。
マチュが今着ているのはパイロットスーツではなく普段着だ。
それはつまり、彼女が略奪者に抵抗することを諦めたという意味で。
チッとコクピットに響くほどの舌打ちと共にブラをはぎ取り、乳房に吸い付く。
「んっ…くうぅ…!」
口に手をやり声を抑えるマチュ。
そのくぐもった声ですら、初めて聴くモノで。
もっと聞きたい。
欲に任せて、もう片方の乳房を下から持ち上げるように揉みしだく。
体格に似合わぬ膨らみは、口にすれば甘さという錯覚を舌に伝え、掌を押し付ければ向こうのほうから吸い付いてくる。
「んぅ…あ、あぁん!」
ちょっと愛撫するだけで、抑えられていた声は解放された。
なんて淫らな身体なんだろう。
もしもこの身体が、奴らの手に渡っていたら。
湧き上がる怒りを、彼女の最も神聖な場所を守る布地にぶつける。
強引に引っ張られたそれは膝のあたりまでずり落ち、結果的に着用者の自由を奪う結果となった。
ちょうどいい。
胸にまけじと柔らかな肉付きの臀部を持ち上げて、秘所を目前に持ってくる。
「っ!!待って、シュウジ。やめんあぁっ!」
無我夢中でむしゃぶりつく。
すで蜜を垂らしていたソコは、他人の唇と下による蹂躙を受けて、洪水もかくやという有様だ。
…本来なら、女性にとって一番守らなければならない場所を好き放題されているのだ。
嫌悪感を抱かないはずがない。
なのに。
なんで。
「なんで…まだ好きなんだよ…。嫌いになれよ…僕なんて…!」
彼女から伝わってくるのは、彼女を貪っている僕のほうが焦がされるほどの情熱で。
嫌われたほうが楽だった。
離れられて当然の男だと、納得できたのに。
ここまでしてもマチュの心から、僕は消えなかった。
「そんなの…無理だよ。好きだよ…だいすきだよぉ…!」
身体に未知の感覚を刻み込んでくる手。
薄皮一枚下の神経を直接舐るかのような唇と舌。
今まさに、17年間守って来た純潔が奪われようとしている…シュウジによって。
どうしようもなく嬉しかった。
自分でも理解できないほど幸せだった。
端から見れば強姦同然だったとしても…シュウジに求められている時点で、私にとっては幸運の星が舞い降りたようなものだ。
もう、自分から離れるなんて無理だ。
もう、縋り付いてしまう。汚らしく、惨めに、捨てないでとしがみついてしまう。
シュウジに償おうとしていた私は、遙か遠くに流れて行ってしまった。
「やだよぉ…はなれたくないよぉ!すきぃ…だいすき…いっしょじゃなきゃ、やだぁ…!」
もう顔が涙と鼻水でグシャグシャだ。
ムードもへったくれもない。
かつて、彼への恋を諦めていなかった頃に夢想したロマンスからは余りにもかけ離れている。
引かれてないかな。気持ち悪がれてないかな。
恐る恐る彼に目を向ければ。
耳まで真っ赤な、シュウジがいた。
可愛い。
もうその一言だ。さっきまで臓腑を焼いていた怒りはどこかに行ってしまった。
完敗だ。世界を終わらせるなんてできるはずなかった。
惚れた弱みという言葉が浮かんでくる。
きっと僕は…もうずっと前からマチュに負かされていたのだ。
「マチュ…その…キスして、いいかな…?」
散々無体を働いておいて、虫のいい言葉を吐く。
そんな僕にマチュは、これまた可愛らしくコクリとうなずいた。
その顔は、かつて彼女が持ってきてくれたリンゴのように真っ赤で。
美味しそう。
そう思った時には、唇と唇を合わせていた。
急に態度が変わったシュウジがキスしてくれた。
一回目は触れるだけ。
二回目は押し付けるように。
三回、四回と数を重ねていくうちに舌が口内に入り込んでくる。
ノックをするように歯茎を這いまわるソレを迎い入れれば、こちらの舌に絡みついてくる。
じゅるじゅると音を立てて私の唾液を吸い込むシュウジ。
かと思えばアチラの唾液が、私の喉に流し込まれてくる。
気づけば私たちは無我夢中でキスしつづけた。
酸素が尽きれば唇を離し、すぅっと大きく補給してまた唇を合わせ舌を絡ませ合う。
「マチュ…その、いいかな。」
数え切れないくらいキスしたあと、シュウジがまた許可を求めてくる。
なにがいいのと問いかける寸前、もうひとつのシュウジが目に入った。
う わぁ‥‥
声が出ないとはまさにこのことだ。
血管が浮き出るほどに血流を注がれたシュウジの分身は、ビキビキという音が聴こえてきそうなほどに固く、雄々しくそそり立っている。
他人の、しかも異性の性器など初めて見た私だが、その‥‥中々立派なのではないだろうか。
というか…入るの?これが?
お風呂で洗う時に見える…自分のアソコを思いだしてみる。
‥‥‥‥‥‥入るの!?これが!!?
「…マチュ?」
心なしかしょげたような様子のシュウジが再び問いかけてくる。
…ええい!ままよ!!
「い、い…よ。」
心の中で気合いを入れるも、実際に出た言葉は羽虫にも掻き消されそうなほど弱弱しく。
それでも私の決意を読み取ってくれたシュウジが、私の腰に手をやりグイッと引っ張り込む。
シュウジのオスが、私の秘所に押し当てられて…迫りくる痛みを覚悟して目をギュッとつむった。
「いっっっ!ぎ、いぃっ‥‥!!」
激痛を噛み締めたマチュの痛々しさに腰が止まりかけるも、それでは彼女の苦痛が長引くだけだ。
せめて苦痛を紛らわせたいと、マチュの背中に手を回し強く抱きしめ‥‥一気に僕自身を突き入れた。
「ぐぅっ!‥‥は、うぅ・・・はぁ。」
ブチリ、と彼女の純潔が失われた音が繋げられた部分を通して、僕の脳内へと伝わり、次いで破瓜の血が僕の身体にまで流れてくる。
彼女の初めてを…マチュの唯一無二の"男"になれたのだと、一方的に感動してる心を窘めてながら、今も激痛と戦っている彼女の頭を撫でる。
「マチュ‥‥。」
なんと声をかければいいんだろう。
大丈夫? そんなわけない。目の前の彼女を様子をみて、何が大丈夫だというのだ。
よく頑張ったね? 強姦紛いのことから始めておいて何様のつもりだ。
「‥‥ありがとう。マチュ、ありがとう…!」
数秒、グルグルと頭の中をかき回して出てきたのは感謝の言葉だった。
そう、感謝しかない。
こんな身勝手な僕を、何から何まで彼女を傷つけることしかできなかった僕を。
大好きだと、一緒にいてほしいと言い受け入れてくれたのだ。
ありがとう、という以外にどんな言葉があるというのだろうか。
「わ、たしも…。」
マチュが頭を上げる。
「ありがとう、シュウジ。私…しあわせだよぉ‥‥。」
苦痛に歪む顔を、必死に笑顔に作り変えて…マチュが応える。
頬を流れる涙が、痛みだけのものではないと、彼女の心が伝えてくれる。
その健気さが、どうしようもなく愛おしくて…僕は再び唇を合わせた。
「…シュウジ、動いて…いいよ?」
抱きしめられて、キスされて、ようやく私は次の段階に進む覚悟ができた。
正直まだ痛いなんてレベルではないが、ココから先に…シュウジと一緒に進みたいと思ったのだ。
「んぅっ…ぐっう…!」
一瞬躊躇した後、シュウジがゆっくりと腰をゆする。
身体の内側に起こる摩擦に呻くけど、我慢できないレベルじゃない。
痛いことは痛い。けどそれ以上に…シュウジが欲しい。
「マチュ…マチュ…!」
うわごとのように私を呼んでくれるシュウジ。
求められているんだ…私が!シュウジに!!
「シュウジ…!!」
たまらなくなってシュウジの背中に両手を回し、ぐっと力を入れて掴む。
突き立てられる爪が彼に与える痛みなんて考えられないほどに浮かれてしまっていた。
見てもらえないと思っていた。
届かないと思っていた。
そのシュウジが今…私を抱いてくれているんだ!!
「んぁあ…あぁ、あん!」
ゆっくりと動かしていたはずの腰は、滑り気のある音を響かせながら激しく躍動していた。
苦痛に呻いていたはずの声が艶やかさを帯び始めたからだ。
読み取った心から、彼女が確かに快感を覚えているのだと、己の中の男が調子づく。
だがそれは同時に、僕自身が感じていた快楽をも自覚させてきて…要するに限界がきていたのだ。
(どうする…?このままじゃ、中に…!)
今更ながら自分の行為の意味に気づく。
このままいけば、マチュに僕の遺伝子に注ぎ込むことになる。
彼女に…僕の子を孕ませることとなる。
「ぐぅ…!」
マチュが本当の意味で僕のモノにしてしまえる。
願望が成就寸前まできたことに、一段と興奮してくるが、果たして僕にその資格があるのか?
ここにきて怯んでしまった僕の背中を押してくれたのは…マチュだった。
「シュウジィ‥‥きてぇ…。」
背中に突き立つ爪が食い込んでくる。
その痛みが、彼女の中の雌が僕を求めていることを証明しているのだとわかった瞬間。
「マチュ…!」
ズン、と一際力を込めて挿入して…マチュの最奥で弾けた。
ドクンドクンと、僕のなにもかもがマチュの胎内へと注がれていく。
やがて全て出し切った僕にできたのは、女としての大仕事を果たしてくれたマチュを撫でさすることくらいだった。
サイド3に向けていた"ガンダム"を地球へとUターンさせる。
身を隠すなら一つ一つが狭いうえに出入りが制限されるコロニーよりも、遙かに巨大で地続きの地球のほうがいいと考えたのだ。
(地球に着いたら…まずは風呂だな…。)
腕のなかですぅすぅと寝息を立てる最愛を見ながら、とりあえずの方針を立て始めた。
もうマチュはボロボロだ。
それをやったのは他ならぬ僕自身だ。
しばらくは彼女の言うことには絶対服従すべきだろう。
(住む場所…仕事は、機械整備なら人手がいるだろうから雇ってもらえる確率が高いか?)
宇宙に浮かぶ青い球体に近づくにつれて、これからの生活のシミュレーションが止まらなくなる。
なにせ背負うものが増えるのだ。
もう僕というの人間は、僕個人のものではなくなった。
それは…マチュも同じだ。
僕たちには責任が生まれた…お互いがお互いを求めた結果、生まれてくるであろう命に対する責任が。
「マチュ…。」
世界で最も愛しいヒトの寝顔を見つめる。
たった一つの望み、それさえあれば他になにもいらない。
もうそんな言葉は二度と吐けない。
僕にとっての世界で一番は、最低でももう一人増えるのだ。
そもそもマチュ一人にさえ、もっともっとと欲しがっている自分がいる。
「もう空っぽじゃないよ、マチュ。君が満たしてくれたから…。」
そんな僕を受け入れてくれるマチュを守りたい。彼女を傷つける全てから。
たとえ世界全てを敵に回しても…その世界を終わらせてはならないと己に枷を嵌めたとしても。
これから先…ずっとマチュの傍に寄り添い続けてみせる。
彼女が目覚めるのが待ち遠しい。
気づいたのだ。自分が肝心なことを言葉にしていないことに。
「ねえ、マチュ。僕はね…君のことを‥‥