しかし「シュウジが結ばれるべきなのは、薔薇のララァ」と思い、失恋したと思い込んでいたマチュは彼の思いに応えることができずにいた…。
そんな二人のまえに"コチラの世界のシュウジ・イトウ"が現れる。
彼は、「マチュのために世界を書き換える」と彼女を連れ去り…
すれ違いを乗り越えて結ばれるシュウジとマチュ
そしてGQ世界のシュウジと"向こう側"のアマテ・ユズリハのお話
沢山の参考書に混ざる、お気に入りの恋愛漫画。
勉強がスムーズに進むように整理整頓された机。
伸びない身長と一緒で、幼少期から変わることのないベッド。
どれもこれも見慣れた、見飽きた私の空間。
その中に一つ、見慣れぬ…目を惹きつける青色がベッドに横たわっていた。
シュウジ・イトウ…自室に寝かせた少年について知っているのは、彼の名前だけ…。
赤の他人と言ってもいい男性を、嫁入り前の娘が家に連れ込んだなんて知ったら、母はなんと言うだろうか。
そんな他愛もない思考に沈む私と静かに寝息を立てるシュウジ‥‥静寂に包まれた部屋に変化を与えたのは控えめなノックの音だった。
「アマテ、お風呂空いたよ。」
「うん、ありがとう。…ごめんね、ニャアン。色々と手伝わせちゃって。」
「気にしなくていいよ。まあ…驚いたけどね。まさかコイツをアマテの家に連れていく!って言われた時は。」
ジト目で眠るシュウジを睨むニャアン。
心なしか警戒しているように見える彼女だが…まあここまでに至る過程を考えれば無理もないだろうか。
「じゃあ、私もお風呂入ってくるから…何かあったら知らせてくれる?」
「大丈夫だよ、アマテ。絶対に覗きなんて許さないから安心して!」
ニッコリ笑うニャアンに、内心(そう意味じゃないんだけどな…)なんて言えない私は大人しくバスルームへと向かった。
「……今、知らない男の人が家にいるんだな…。」
湿り気を帯びた衣服を脱いでいく最中、ふと思い浮かんだ言葉がそのまま口から出て行ってしまった。
顔に熱を集まっていくのを感じる。
自分の声が自分の耳に入ってようやく、他人しかも男性を家に連れてきて、自分は服を脱いでいる‥‥そのことを実感したのだ。
─チャプン─
暖かいお湯がしみ込んでくる感覚に、フゥーと息を吐き出す。
思っていたよりも冷えていた身体に、何故そうなったかという原因を私は思い出していった…。
『マチュ…。』
自己紹介を終えた後、再び彼…シュウジは幼少期の頃の私の愛称を口にした。
甘い声色に身体が蕩けるような錯覚に陥りながらも、「どこかで会ったことある?」と問いかけようとした瞬間
─ギュウッ─
『‥‥‥‥‥‥へっ?』
身体を包む圧迫感に間抜けな声が出てしまい…
─バタンッ─
『んぎゃっ!』
背中に走る痛みに、女の子が出したとは思えないような声が出た。
『…えっ?え、え、えええぇぇぇぇぇぇ~~~~っ!!?』
背中には冷たいコンクリート、前はこれまた冷たさを感じる人肌、そして身体に巻きつく腕。
押し倒された、そのことに数秒かけて気づいた私にできたのは困惑の叫び声をあげることだけだった。
(待って!?ちょっと待って!!?ここ、外だよ!しかもまだ昼間!!いつ、だれに、見つかるかもしれないのに!!!?)
いきなり訪れた貞操の危機に、完全にパニック状態になってしまった。
いつか巡り会えるロマンスを夢見たことはあれど、こんなアブノーマルな展開はカケラも予想していなかった。
「ね、ねぇ!流石にちょっと、コレはマズいんじゃないかな!?」
なんとかコノ状況を脱しようと声をかけるも、シュウジはなんの反応も返さない。
そう…返さなかった。
『………ウソっ!?』
そう、シュウジは完全に意識を失っていたのだ。
改めて意識を集中させれば、肌に感じる彼の体温は異様なほどに冷たかった。
いつからココにいたのか見当もつかないが、シュウジの身体は既に限界を迎えようとしていたのだ。
『どうしよう…どうしよう…!』
このままシュウジは死んでしまう。
だが固く抱きしめてくる腕の力は全く緩まない。
このまま私は何の手も打てずに、シュウジの命の灯が消えるのを待つだけなのか…絶望しかけた私を救ってくれたのは…。
『アマテっ!?』
私の叫び声を聞いて駆けつけてくれた一番の親友だった。
その後、ニャアンの手を借りて何とかシュウジの腕の中から脱出できた私は、タクシーを呼んでシュウジを家まで運んで
またまたニャアンに力を貸してもらって、シュウジを私の部屋のベッドに寝かせることに成功したのだ。
『ほんとにコレでいいの?病院に連れて行ったほうが…。』
『もし難民だったら、保険とか効かない可能性あるし…入院費が高額になったら、この先の生活苦しくなっちゃうよ。』
これは紛れもない本心だったが、それだけではない。
離れたくなかったのだ。私の世界に急に現れたシュウジが、急に消えてしまうんじゃないかと…怖かったのだ。
「お母さんが今日泊まりで助かったぁ…。」
もし帰って来た時に、娘が見ず知らずの男を自室に連れ込んだと知ったらなんと言われたことか。
降り注ぐであろうお説教に身震いして、私はお風呂からあがった。
「ただいま…どう?ニャアン。シュウジの様子は?」
「おかえり、アマテ。てか、コイツの名前…シュウジって言うんだ。今知ったよ。」
「ははは‥‥ゴメン。」
「いいよ、別に。…なんか懐かしいね。会ったばっかりの時の…アマテとタマキさんに助けられた時のこと思い出しちゃった。」
「あれは…全部お母さんがやったことだよ。私なんて何も…。」
「私を見つけて、手を差し伸べてくれたのはアマテだよ。だから…私もアマテを助けるよ。何度だって。」
お風呂から上がった後、眠るシュウジの横で思い出話に花を咲かせる私たち。
一年戦争が終わってから数ヶ月後、ジオンに故郷を奪われたうえに家族と離れ離れになったニャアンは、連邦によって難民を受け入れていたイズマに連れてこられた。
母曰く、ジオンは悪であり連邦にこそ正当性があるという政治的アピールのために難民保護に着手したとのことらしい。
だが連邦が手を貸したのはそこまでで、ニャアンは右も左もわからぬままイズマに放り出された。
正確には役所で難民支援プログラムを受けるように言われてはいたみたいだが、まだ小さい子供だったニャアンにはどうすればいいのか具体的にはわからなかったのだ。
そんな彼女を見つけたのが当時の私だった。
今にも泣きだしそうなニャアンを放っておけず、母の所まで連れて行って、事情を知った母はニャアンをユズリハ家の一員にすることを決めたのだった。
「今日は泊っていきなよ。いつ戻ってきてもいいように、ニャアンの部屋は掃除してあるよ。」
「もう、そんなに気にしなくていいのに。」
照れた様子で笑うニャアンに、私もつい口角があがってしまう。
高校進学を機に、ニャアンは一人暮らしを始めた。いつまでも甘えてはいられないから、と。
そんなニャアンが大人に見えて…実際、私なんかよりもずっと大人で。
私も一人暮らししようかな、なんて口にしたら「「それはダメ!!」」と断固反対されてしまった。
二人が言うには「「アマテは優しすぎて、絶対悪い男につけこまれる。」」とのことだった。
その時は「おおげさだなぁ…」と心配性な母と親友に半ば呆れてしまった。
「…そういえば、アマテは今夜どうするの?」
「え?そりゃあ床に布団敷いて「そういうところだよっ!!」ヒェッ。」
いつシュウジが目を覚ましてもいいように、傍で寝てようと思っていた私の肩をガシッと掴んでニャアンが叫ぶ。
シュウジが起きたりしないだろうか…そう彼のほうに目を向けようとするも、今度は顔を掴まれて正面を向かされる。
「知らない男と同じ部屋で一緒に寝るなんて…何考えてるの!?さっき押し倒されたの、もう忘れたの!!?」
「いやあれは、押し倒されたというか倒れこむのに巻き込まれたというか…。」
「抱き着かれたのは事実でしょ!タマキさんにも言われてるでしょ!もっと危機感持たなきゃダメだよ!」
ヤッパリヒトリグラシナンテダメダ…サイテイデモワタシトルームシェアジャナキャ…なにかブツブツと言っていたニャアンだったが、私の腕を掴んで廊下に出ようとする。
「ちょ、ちょっと。ニャアン?」
「今日は一緒に寝るよ。アマテはベッドで寝て。私が床に布団敷くから。」
「そんな…ニャアンの部屋なのに。」
「元々は空き部屋だったでしょ。何かあった時のために、アマテは部屋の奥側にいること!」
一人暮らし始めてから心配性が酷くなったのではないだろうか、そんなことを考えながら私は今日の寝床に連行されたのだった…。
凍えた身体を温めてくれていた温もりが消えてしまった。
また暗く冷たい、独りぼっちの世界に取り残されてしまった。
行かないで…置いていかないで…僕には君しかいないんだ…。
君がいないと僕は…僕は…!
「マチュ‥‥。」
まるで何かに起こされたかのように、眠りから目覚めた。
窓の外に光源がないことから、まだ時間が真夜中であることがわかる。
「シュウジ…?」
てっきり意識を取り戻した彼が、私を起こしに来たのではないかと思った。
しかし照明が消えた暗い室内を見渡しても、寝息を立てるニャアン以外に物音を立てる存在はいない。
やはり気のせいだっただろうか。でも…
(‥‥よし。)
もう一度、親友が完全に眠りにおちていることを確認すると、私は音を立てないように部屋を出た。
そのタイミングでスマホを起動し、正確な時間を確認する。
夜明けまで、1~2時間といったところか…もっとも実際に昇るのは太陽ではなく、人間の体内時間に合わせて灯されるコロニーの照明だが。
時間を確認した後、メール画面を起動する。
「…Let's get the beginning…。」
変わらず存在する差出人不明のメール内容を呟く。
誰が送ったのかわからないメール…ただ一つだけ、確かなことがあるならば。
「‥‥シュウジ。」
このメールが届かなければ、改札口で立ち止まることなく私は塾に行き将来のための勉強に励んでいたことだろう。
このメールが無ければ、私はシュウジに出会うことはなかった。今この家にシュウジがいることもなかった。
もし今もシュウジが冷たく暗い橋の下に座り込んでいたままならば…シュウジは…
「……っ!」
恐ろしい想像に身震いしてしまう。
それと同時に疑念も浮かび上がってきてしまった。
シュウジは、本当に今この家にいてくれているの…?
─ガチャリ─
思ったよりも大きな音を立ててしまったドアに内心焦りながら、室内に身体を滑り込ませる。
ベッドの上には、退室するまえと変わらぬ姿勢のシュウジが眠っている。
どうやら相当深い眠りにおちているようだった。
(…いや、まさか…そんな…。)
不安に逸る心を宥めながら、足音を立てないようにベッドに近づいた。
照明が落とされた部屋のなか、彼の胸のあたりに目を凝らせば‥‥微かに上下しているのがわかった。
「ふぅぅぅぅぅ。」
知らず知らずのうちに止めていた息が一気に吐き出される。
生きている、目の前の男の子が幻でもなんでもなく今ここに生きている人間なのだと確信して、ようやく私は安心できたのだった。
「‥‥‥‥。」
疑念は拭えたが、寝床に戻る気にはなれなかった。
少し迷って、椅子を静かにベッドの傍まで運んで座る。
(ねえ…シュウジ…。)
心の中で、目の前で眠る男の子に問いかける。
(あなたの言う"マチュ"って、誰のことなの…?)
彼が求めてやまない"マチュ"のことを…。
家に帰って、心を落ち着かせるにつれて…シュウジの言う"マチュ"が私のことではないと気づいた。
確かに彼は私の名前を聞いて、私を見て、私を"マチュ"と呼んで…抱きしめた。
けれど…私にはわかる。よく説明できないけど、何故かわかる。
彼が呼んだのは…抱きしめたかったのは…私ではない"マチュ"なんだって。
─ポタッ─
「…あ、れ?」
気づかないうちに俯いていたのだろう、滲む視界には自分の膝が映っており、何かの雫がそこに零れ落ちているようだった。
「な、んで…わたし…。」
目の前も見えないほどに視界が滲んで、ようやく私は自分が泣いていることに気づいた。
なんでこんなに悲しいんだろう。
どうしてこんなにも胸が締め付けられたように痛いんだろう。
(…そっか。私…。)
(好きになっちゃったんだ…シュウジのこと。)
初恋は実らないと聞いてはいたが、これはいくらなんでもあんまりだ。
自覚した瞬間に、失恋するなんて…。
「ふっ、ぐぅ、うぅぅ…!」
口を両手で覆って、漏れ出てくる嗚咽をなんとか押さえつける。
恋しいヒトの眠りを妨げないように。
彼女が泣いている。
心が痛いと泣いている。
なにが君を傷つけたんだ。誰が君を傷つけたんだ。
今すぐ抱きしめて慰めたいけれど、未だに身体がいうことを聞いてくれない。
ああ…どうか、どうか泣かないで……!
「マチュ…。」
眠ったままのはずのシュウジが、"マチュ"の名前を呼ぶ。
深い眠りにおちていても、彼は求めているのだ…私ではない、"マチュ"を…。
「‥‥大丈夫。」
ゴシゴシと乱暴に目元を拭って、眠るシュウジの手をそっと握る。
私は、シュウジがほしいヒトじゃない。彼が愛してるヒトじゃない。
それでも今だけは…。
「そばに…いるから…。」
どうか、この傷ついた男の子の眠りが安らかなモノであるように。
目が覚めた時、少しでも安心できるように。
今だけは、彼の"マチュ"の代わりになることを許してください。
瞼を通り抜けてくる眩しさに目が覚める。
光源に目を向ければ、窓から入り込んだ人口の朝陽が部屋を照らしていた。
「‥‥あ。」
起き上がろうとして、片手に感じた重み。
眼に入ったのは、僕の手を握ってくれている長い黒髪の彼女だった。
この世界の…"向こう側"のマチュだ。
「マチュ…。」
「‥‥う、ぅん…。」
夢の中で何度も呼んだ名前を、また口にする。
それに応じてくれるように、彼女もまた目を覚ました。
「…っ!起き、たんだ…。」
「うん…えっと、ここは…。」
「私の家、の私の部屋。」
「………えっ!?」
なんでもないかのように答える彼女に、思わず困惑の声が出る。
いくらなんでも、いくらなんでもそれはダメだよ!彼女からすれば僕は赤の他人のはずなのに、なんで当然のように自室に寝かせているんだ!?
危機感が足りないにもほどがあるよ!!
「ご、ごめん!すぐに出ていくから!」
「えっ!?ちょ、ちょっと待ってよ!!その、そうだ!行く当てあるの!?」
「それ、は…。」
思わず飛び出そうとした僕を、両手で抑え込もうとするマチュ。
肩にかかる柔らかな感触に怯んでいるうちに投げかけられた言葉に動きが止まってしまう。
僕はこの世界の住民ではない。その僕に"どこにいけばいいか"なんて見当もつかない。
「あの…間違ってたらゴメン。あんたって、難民?」
「あー、まあ…そんなとこ。」
なんとも歯切れの悪い答えを返してしまった。
まさか「違う世界から来ました。」なんて言えるわけがない。
そんなこと言ってしまったら、救急車を呼ばれてしまう。そして容易に彼女と会えなくなってしまうだろう。
それに住んでいる場所に戻れなくなってしまったという意味では、今の僕は難民と言えなくもないはずだ。
「そっか…。じゃあ、とりあえず朝ごはん食べようよ。それから役所に行って難民支援プログラム受けさせてもらってさ…。」
「マチュってヒトのこと…探すの、手伝うよ…!」
僕に微笑みかけてくれるマチュ。
その笑顔が、胸の痛みに必死にこらえて造られてたモノだというのが、心に伝わってくる。
「どうして…。」
「え?」
「どうして、そこまで…僕を、助けてくれるの?」
なにが彼女を苦しめているのかまではわからない。
それ以上にわからないのは、マチュが赤の他人である僕を助けてくれる理由だ。
僕は彼女に何もしていない。何もあげられていないのに…!
「私が、助けたいから…シュウジの力になりたいから…それじゃダメ、かな?_」
寂しそうに笑う彼女に、ようやく僕は気が付いた。
彼女は…アマテは僕の知っている"マチュ"ではないことに。
その笑顔も優しさも、"マチュ"によく似ているけれど違う人間だ。
今僕の心に伝わってくる彼女の想いは、彼女だけのモノなんだ。
今、僕の胸に湧き上がってくる愛しさも…アマテにだけ感じるモノなんだ。
─ギュウッ─
「シュ、シュウジ!?」
またシュウジに抱きしめられた。彼の腕と胸の間に閉じ込められた。
再び感じる圧迫感に、前とは違う温かい身体。
どんどん顔に血流が集まってくるのが自分でもわかる。耳の端まで熱くなって、息もできなくなっていく。
「ゴメン。今は…今だけはこうさせてほしいんだ。お願いだ…アマテ…!」
初めて…初めて、シュウジが私の名前を呼んでくれた。
"マチュ"ではなくアマテ、と‥‥!
(…いいの?わたしで、いいの?)
私はあなたの探している"マチュ"じゃないよ。
精々役所の場所まで案内して、難民支援プログラムを受ける手助け程度のことしかできない子供だよ。
そんな無力な私でも、あなたの悲しみを受け止めさせてることを許してもらえるの…?
「うん、いいよ…シュウジの、気が済むまで…いいよ…。」
シュウジの服が、私の涙で濡れていく。
それにも構わず、私のほうからもシュウジの身体を抱きしめた。
今ならわかる。
あの悪夢の日々も、赤い髪の少女からの拒絶も、住んでいた世界からの追放も…全てはこの為だったんだ。
この黒い髪のアマテと出会うための試練だったんだ。
僕の夜明けは…今ようやく訪れたんだ…!
朝陽に照らされて、固く僕らは/私たちは抱きしめ合う。
目の前のヒトが、確かに存在しているのだと…巡り会えたのだと確証を得るために…。
これが僕の/私の物語の始まり。
僕が、君に好きだと言えるようになるための/私が、彼の隣に立つ勇気を持てるようになるための物語。
おまけ
─バンッ!!─
部屋に響き渡る音にビクッと身体が跳ねる。
シュウジと共に音の発生源であるドアのほうを見ればそこには…
「アマテから…アマテから離れて!!」
ガタガタ震えながらも(どこから持って来たのか)バットを構えるニャアンが立っていた。
「ニャ、ニャアン!?何してるの!?」
「アマテ!早くこっちに来て!この変質者…性懲りもなく!!」
「え、あ、いや、その…。」
そこで、まだシュウジが私を抱きしめたままなのを思い出した。
ニャアンからすれば、昨日私を押し倒した男性が再び私を襲ったように見えたのか…!
「待って、ニャアン!これには訳が!」
「アマテは…アマテは…アマテは私が守る!!」
こうしてシュウジを追い出そうとするニャアンと、そんなニャアンを止めようとする私の追いかけっこが始まったのだった。