※この作品はR-18です。

シュウマチュ短編集   作:ニドラン

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物心ついた時から"館"に囚われた少女
傷つき、外の世界に連れ出されてなお"自由"になれない少女のために
少年は海を目指す

マチュが最初から"カバスの館"のような娼館にいたら…というifの世界線です。


館の少女マチュと、少女を身請けした少年シュウジ
冷たい体温に祈りを捧げて ☆


「じゃあ…じゃあ、私を"買った"のも!ガンダムに言われたから!?」

 

大声を出す気なんて無かった。

高熱を出しているシュウジの負担になるようなこと…するつもりなんて無かった。

それなのに口が勝手に開き、肺から空気が吹き出していった。

 

「…マ、チュ…。」

 

呆然とした様子のシュウジから、自分の名前が聞こえる。

終わりだ…なにもかも、終わりだ。

こんなつもりじゃなかった、こんなはずじゃなかった。

飛び出てしまった言葉を無かったことにはできず、後悔だけが頭の中をグルグル回り、心臓が凍りついたかのように動きを弱める。

 

シュウジの事を、純粋に心配していたのかと問われれば、答えはNOだ。

シュウジの役に立ちたかった。私のことを"買って"良かったと、思ってほしかったのだ。

そこにあるのは好意だけでなく『これからもこの生活が続く保証』という汚らしい打算だ。

でも、それもこの瞬間終わりを迎えた。

シュウジにとって命ともいうべきガンダムを、非難するような言葉を浴びせたのだ。

間違いなく…愛想をつかされただろう。

 

いやだなぁ…はなれたくないなぁ…まだ、なにもかえせてないよぉ‥‥

 

心の中で、まだ小さな子供の私が駄々をこねる。

確かに、離れなければならないとしても、私の"代金"を少しでも返すべきだろうと、大人になってしまった私が呟く。

今の私にあるのはこの"身体"だけだ‥‥今からにでも路地裏に、そう考えた時だった。

 

「ダメだよ。」

 

一言、言い終わる前に抱きしめられる。

決して痛みを感じない程度に、しかし決して身動きを許さないほどに、抱きしめられている。

まるで私が"シュウジのモノ"であるかのように……それを許されているかのように…。

 

「シュ、ウジ…あの、わたし…。」

「マチュのからだ…つめたくて、きもちいい‥‥。」

 

ほわほわとした声が耳元で囁かれる。

気づかぬうちに血の気が引いた身体は、高熱にうなされる彼にとっては心地よい体温だったようだ。

 

いいの?まだ、ここに…シュウジのそばにいていいの?

 

湧き上がる疑問に答えが欲しくて、おそるおそる両手をシュウジの背中に回す。

いいんだよ、そんな声が聞こえたかと錯覚してしまうほど、私を抱きしめる腕の力が強くなった。

 

(ああ、だめだ…。とまって、おねがいとまってよ…!)

 

泣きそうな思いで、息を吹き返し脈打つ鼓動に訴える。

これ以上体温を上げないで、せめて今夜だけは冷たい身体を保たせて。

だって

だって…

だって!!

 

シュウジがようやく…私の"身体"を求めてくれたんだ!!!

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