午後の柔らかい日差しがリビングに差し込み、カーテンを揺らしている。敬一の家には、両親は外出中で、俺と実の二人きりだった。
「敬一、こんにちは!」
元気に声をかける実。その笑顔に、自然と頬が緩む。
「おお、実。今日はゆっくりしていっていいぞ」
俺はソファに座り、手招きする。
実は小さく頷き、ゆっくり腰を下ろした。その姿を見ているだけで、俺の胸は高鳴る。
手に渡したグラスには、度数の高い焼酎。実は水だと思い込み、何度も口をつける。
「……あれ、なんか、ふわふわする……」
喉を通る感覚に驚き、顔が赤く染まる。俺は内心で少し笑いながらも、心配で目を離せない。
距離を自然に詰める実。
「敬一……こっちに来て、一緒に座らない?」
普段の無邪気な声より低く、甘く響くその声に、俺は心臓を掴まれたような気分になる。
「え、あ、あの……」
理性が叫ぶ。こういうのは付き合ってからだろ……!
「だって……一緒にいたいんだもん」
小さな手がそっと俺の腕に触れ、柔らかい感触が伝わる。さらに、自然に体を寄せると、豊満な胸が俺の腕に押し当てられた。
「実、いや……これは……」
理性が必死に抗う。しかし、目の前の無防備な誘惑に胸はざわめき、手を出さずにはいられない衝動が押し寄せる。
「……敬一、もっと近くに……」
微かに首を傾け、顔を赤く染め、見上げる瞳は甘く光る。無意識のはずなのに、言葉も仕草も明らかに俺を誘っている。
俺は戸惑い、手を差し伸べたい衝動に駆られるが、理性が必死に制御する。
――ここで触れるべきではない、付き合ってからだ。
しかし胸の奥は早鐘を打ち、目の前の誘惑に心が揺れる。
実はソファに体を預け、豊満な胸が腕に密着したまま、自然に横になる。
髪が頬にかかり、呼吸がわずかに荒くなる。顔は赤く、唇も少し震えているように見えた。
俺は息を呑み、隣に座ったまま見守るしかなかった。
触れたい衝動を押し殺しつつ、彼女の寝顔や柔らかな体のラインを目に焼き付ける。
心臓はますます早鐘を打ち、理性と本能が交錯する。
守るべき対象が、無防備に自分の腕に身を預けている。
危険であり、幸福であり、焦れったくもある、この瞬間をどう受け止めるべきか――。
――ああ、実。どうしてこんなに無防備で、無意識に俺を惑わせるんだ。
小さく目を閉じた実の寝顔は、どこか安らぎを与える。
その微かな寝息や、腕に押し当てられた胸の柔らかさに、俺は理性を振り絞る。
頭の中では想像が止まらない。
もし触れたらどうなるのか、もし抱き寄せたらどうなるのか。
しかし現実は、ただ隣に座って見守るだけ。
実は寝返りを打つたびに、柔らかい胸の感触が腕に伝わる。
自然な寝返りなのに、俺の心臓はドキドキと鳴りやまない。
「……実……」
俺は静かに呼びかけるが、返事はない。夢の中にいるのだろう。
時間がゆっくりと流れ、外の光は夕暮れに近づく。
屋敷の中は静かで、風がカーテンを揺らすだけ。
二人だけの空間に、柔らかな沈黙が広がる。
――守るべき対象が目の前にいて、無防備に心をさらけ出す。
それだけで、胸の奥が熱くなり、理性と本能がせめぎ合う。
何もせず、ただ見守るしかないのに、心は翻弄される。
実はやがて深く眠り、腕に押し当てた胸の柔らかさを忘れたかのように静かになる。
俺は呼吸を整え、時間を刻むように目の前で座ったまま、彼女の無防備さを心に刻む。
日差しは夕方の柔らかい光に変わり、影がゆっくりと伸びていく。
風がカーテンを揺らし、二人だけの時間は、ゆっくりと、しかし確実に心に残っていった。