審神者である彼女は、神に生涯純潔であることを誓った巫女であった。
名を、
刀剣男士たちには、詠子とだけ名乗っている。
年齢不詳だが、年若い乙女のように見えた。
「ようこそ、我が本丸、八幡城へ」
新たに顕現した刀剣男士に、詠子は穏やかな笑みで告げる。
「この本丸の決まり事は、たったひとつですわ」
微笑みはそのまま、声色が狂気じみたものを帯びた。
「わたくしを愛しなさい。それが掟です」
詠子は、聖女のように輝いている。
◆◆◆
「本日の近侍は貴方ですね、加州清光」
「うん。可愛くして待ってたよ」
詠子の近侍は、日替わりである。近頃は、随分と順番待ちが長くなった。
「まあ。貴方は、本当に可愛いですわね」
「主は、まだ俺のこと好き?」
「ええ、もちろん」
加州清光は、詠子の初期刀である。
「俺は、主のことを愛してるよ。ずっと」
「ありがとうございますね」
詠子は、清光の頭を撫でた。
清光は、ほんのりと頬を染めて、嬉しそうに笑う。
「ねぇ、俺が近侍ってことは、今夜は————」
「清光」
人差し指を唇に当てる審神者。
「あ、ごめん……」
「今は駄目ですよ、そのことは」
「……うん」
その夜。清光は、主の寝所である私室に呼ばれた。
「主……」
「よくいらっしゃいましたね、清光」
「うん」
「では、着物を脱いで布団の上に寝てくださいましね」
清光は、言われた通りにする。
「うふふ。可愛いですねぇ。わたくしの清光」
着物を一切脱がず、詠子は清光に覆い被さるような姿勢になった。
「主、もっと可愛がって……」
「いいですよ。貴方は良い刀ですからね」
そう甘く囁くと、詠子は指に白い粘性のある液体を塗り、清光の後孔に挿し入れる。
「ひっ♡ あ、あるじ♡」
「すっかり溶けた顔をするようになりましたね。可愛いらしいこと」
「あっ♡ 俺、可愛い?」
「はい」
詠子は、指を動かし、清光の情欲を掻き立て続けた。
「あるじ♡ だいすき♡」
「わたくしも貴方が大好きですよ」
「うん♡ うん、嬉しい♡」
「もっと気持ちよくしてあげますからね」
「ああっ♡ や、あ♡」
清光の呼吸も、思考も乱れ、快楽が全身を犯す。
「あるじ♡ きす、して♡」
「それはいけません。わたくしは、清らかでなくてはなりませんのよ」
「うん、分かった……」
「口付けなどなくても、貴方をきちんと昂らせて差し上げますからね」
「うん♡」
愛する主と繋がることは叶わないが、加州清光は幸せだった。
詠子の指による愛撫は、清光が絶頂するまで続く。
「いつまでもわたくしのものですよ、清光」
八幡森詠子は、支配者であり、愛を求めるが決して返さない人間だった。