※この作品はR-18です。

ここは八幡の藪知らず   作:スナエ

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山姥切長義

 八幡森詠子は、聖性と魔性を併せ持つ女だった。

 彼女は、自然体で自由に振る舞い、刀剣男士たちをその糸で絡め取っている。

 八幡城は、家庭的で穏やかな場所であり、裏では詠子を巡る愛の遊戯盤であった。

 ある者は恋をし、従順に。ある者は反発している。刀剣たちの多種多様な詠子への想いは、彼女を悦ばせた。

 完成された“美”である刀剣たちを、自らの手で堕とすのが、主の愛玩の仕方である。

 そう、あくまで愛玩対象なのだ。詠子は、愛情に愛情を返さない。

 愛情は、自分に捧げられるべきものであり、詠子が応えることはなかった。

 八幡城の朝。審神者は、近侍に挨拶をする。

 

「おはようございます、山姥切長義」

「…………」

「本日は、よろしくお願いいたしますね」

「……ああ、よろしく」

「わたくしは、厨へ行きますので、貴方は待機してくださいましね」

「分かった」

 

 詠子は、着物の上に割烹着を着て、燭台切光忠と共に朝餉の支度をした。

 彼女は、家事全般が得意である。

 朝は、緩やかに過ぎていき、審神者は刀剣たちに命を下した。

 

「長義。執務室へ行きますよ」

「ああ」

 

 ふたりきりの部屋。詠子が書類を片付ける音だけが響く。

 

「……主」

「はい」

「俺を、君の一番にしてくれないか?」

「あらあら。それは出来ませんわ。わたくしは、貴方たちの審神者ですもの。誰か一振りを選ぶなんて、とても出来ません」

「主が、俺のことをこんな風にしたんじゃないか…………」

 

 長義は、かつて詠子に矜持をズタズタにされ、現在は彼女を慕っていた。

 

「まあ。いじらくて可愛いですわね」

 

 詠子は、うっとりとした表情で言う。絶対の支配者の笑みだ。

 

「主…………」

 

 長義が、詠子を畳に押し倒す。

 

「うふふ。可愛いですね。わたくしを、そんな目で見て」

 

 彼女には、愛玩動物のように見えている。

 

「俺を選んで…………」

 

「……わたくし、怒りますわよ?」と、わざと冷たく告げた。

 

「ご、ごめん。悪かった。嫌わないで…………」

 

 長義は、詠子の手首の拘束をやめた。

 

「貴方を赦します。今夜は、ちゃんと可愛がって差し上げます」

「うん。分かった」

 

 頭を撫でられ、長義はほっとする。

 その晩。詠子の寝所では、一糸纏わぬ長義の後孔を愛撫する主の姿があった。詠子は、着物を一切崩していない。

 

「あ、あっ♡」

「気持ちいいですか?」

「ひっ♡ こんな、こんなの♡ 俺じゃ、な♡」

 

 かき集めた理性が、そう答えさせる。

 

「いいえ。貴方ですよ、山姥切長義。わたくしに攻め立てられて、蕩けているのは」

「あっ♡ あるじっ♡」

「もう一度、訊きます。気持ちいいですか?」

「き、もちいいっ♡」

「よろしい。それでいいのです。偉いですね、長義。わたくしを愛し、わたくしに従い、尽くすのですよ?」

 

 強過ぎる快楽に、山姥切長義は、赤い頬に涙を流し、こくこくと頷くことしか出来なかった。

 詠子の調教の成果は、確実に実っている。その甘い果実を、女は美味しそうに食べた。

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