夜半。詠子の寝所にて、長曽祢虎徹の膝上に審神者が座っている。
詠子は、着物をはだけさせ、指先を長曽祢の胸から下腹部まで滑らせた。
「主……」
「どうかしましたか? わたくしの可愛い長曽祢」
「おれみたいなのを可愛いなんて言って……あんたは変わり者だな…………」
言葉とは裏腹に、長曽祢は詠子を愛しそうに見つめている。
「だって、事実ですもの。わたくしのものは、皆、可愛いくてよ」
「……そうか」
「ふふ」
詠子は、長曽祢の下腹部を押した。
「主っ…………」
長曽祢は、頬を赤らめる。
「うふふ。ぞくぞくしますか?」
「やめっ…………♡」
「可愛い顔。もっと見せてくださいまし」
女は、美しく微笑んだ。
「滅茶苦茶にしてしまいたいですわ」
長曽祢を押し倒し、潤滑液を塗った指を後孔に挿入する。
「あ、あるじ♡」
開発されきったそこは、容易く女の指を受け入れ、きゅうきゅうと締め付けた。
「可愛いですわねぇ。わたくし、そういう貴方のことが好きでしてよ」
「すき……?」
「ええ。ですから、ずっとわたくしを愛しなさい」
「わ、分かった♡」
詠子と長曽祢の想いは、同じではない。審神者は、好意的にはなるが、愛することはしない。
主による愛撫は続き、やがて、長曽祢は、びくりと体を震わせて絶頂した。
「は、あ♡」
情欲に濡れた瞳で、詠子を見つめる長曽祢。
女は、指を抜き、息を荒くして寝そべる長曽祢の頭の横に座る。
「可愛い、可愛いわたくしの刀」
詠子は、利き手ではない方で長曽祢の頭を撫でた。
「主、おれは…………」
「その話は、もう聞き飽きました。贋作であることなんて、わたくしには関係ありませんのよ。貴方が貴方である限り、わたくしを愛する限り、貴方はそのままが良いのです」
「…………」
長曽祢は、目を閉じて詠子の台詞を反芻しながら、彼女の手で撫でられるのを甘受する。
その後。身を清めさせてから、詠子と長曽祢は同じ布団で寝た。
愛を貪り終えた女は、長曽祢の頭を、母が子供にするように、胸に抱き締めて眠りにつく。
主は、自分より小さな身体をしているのというのに、とても大きな存在だ。と、長曽祢は思う。
長曽祢は、そっと彼女の腰に腕を回した。
翌朝。
「おはようございます」
「おはよう、主」
詠子たちは、上半身を起こし、挨拶を交わす。
「よく眠れましたか?」
「ああ」
「それは、重畳ですわね。ふふ」
朝の光に照らされて、審神者は微笑んだ。
そして詠子は、長曽祢を正面から抱き締める。
長曽祢も、詠子を抱き締め返した。
「今日も、わたくしを愛していますね? 長曽祢虎徹」
「愛してる」
「ありがとうございますわ」
詠子は、満足そうに笑い、長曽祢の後頭部を撫でる。
長曽祢は、主の唯一になれるとは思っていないが、それでも今だけは、彼女を独り占めしたいと思った。