※この作品はR-18です。

ここは八幡の藪知らず   作:スナエ

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へし切長谷部

 愛してほしかった。一番になりたかった。

 忠誠心は、いつからか恋慕へと変わり、へし切長谷部の心を蝕む毒になる。

 

「主」

「なんでしょう?」

 

 詠子が振り向く前に、背後から彼女を抱き締めた。

 

「お慕いしております……」

「まあ。嬉しいですわ」

 

 詠子は、そっと長谷部の腕に手を添える。

 

「……俺を、主の恋刀にしてくれませんか?」

「長谷部、わたくしの部屋へ来てくださいまし」

「……はい」

 

 審神者の私室にて、ふたりきりになった。

 

「貴方は、わたくしの何だったかしら?」

 

 詠子は、鋭くも慈愛に満ちた目と声色で尋ねる。

 

「貴方の臣です」

「そうですね。ですが、わたくしの唯一の存在になりたいと?」

「申し訳ありません……」

「まるで駄犬ですわね。わたくし、そのようなものに授ける寵愛は持ち合わせてなくてよ?」

「出過ぎた真似をしました。お赦しください…………」

 

 長谷部は、詠子の前に跪き、頭を垂れた。

 

「よろしい。赦します」

「ありがたき幸せ」

「うふふ。可愛いですねぇ」

 

 女は、長谷部の頭を撫でてから、立つように命じる。

 

「貴方は、良い刀ですから、特別なご褒美をあげましょう」

「褒美……?」

「はい」

 

 詠子は、自分の着物の袖に口付け、それを長谷部の唇に当てた。

 

「あ、主…………」

 

 長谷部は、真っ赤になり、言葉を失う。

 

「あらあら。こういうものが欲しかったのでしょう? わたくしの長谷部」

 

 審神者は、妖艶に微笑んだ。

 それから。長谷部は、一日を上の空で過ごした。

 

「長谷部くん、どうしたの?」

 

 燭台切光忠が心配そうに訊く。

 

「な、なんでもない……!」

 

 その晩。長谷部は、半ば物置きになっている部屋で、こっそりと自慰をした。

 自分で後ろを弄り、荒く息をする。

 

「あっ♡ あるじ♡」

 

 詠子に抱かれた時を思い出しながら。彼女の指先を思い出しながら。主の香りを思い出しながら。

 

「あ、あ♡ すき♡ すきです♡」

 

 やがて絶頂を迎えて、下着に射精した。

 

「はあ……は、あ…………♡」

 

 息を整えようとする長谷部。

 しかし、詠子のことを思うと、下腹部が疼いた。

 気付けば、長谷部の手は再び後孔に伸びている。

 

「あ♡ あるじっ♡」

 

 指で拡げ、ナカを刺激し、長谷部の体は先程より熱を持つ。

 

「主に全て捧げます♡」

 

 情欲に身も心も焼かれながら、譫言のように呟いた。

 一方その頃。詠子は、いつものように近侍を快楽調教していた。

 近侍になると、主に抱かれるというのが、八幡城での暗黙の了解である。

 近侍の順番が回ってくるのを待てなかった長谷部は、四回後ろで自らを慰めた。

 こんなことを主に知られたら、また駄犬と言われてしまうかもしれない。

 頭の片隅にそんな考えが過ったが、指を動かすのを止められなかった。

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