詠子は、近侍の岩融を連れて本丸を見て回っている。
「岩融」
不意に詠子が立ち止まり、名を呼ぶ。
「どうした? 我が主」
審神者より随分と大きな体躯が、彼女の上に影を作った。
「少々、疲れましたわ。部屋まで運んでくださる?」
「うむ。主、体に触れるぞ」
「はい」
岩融は、詠子を両腕で抱き上げ、私室まで慎重に運ぶ。壊れ物を持つように。
「主、一度下ろすぞ」
「ええ」
壁を背に、審神者を座らせる岩融。
「よっと」
布団を出し、丁寧に広げた。
「岩融」
「ん?」
「着物を脱がせてくださいまし」
「……ああ」
帯を解き、袖から腕を抜き、足袋を脱がせる。着物は、きちんと畳んだ。
肌襦袢のみになった詠子は、「布団に寝かせてください」と言う。
岩融は、言われた通りにした。
「主、水は必要か?」
「お願い致しますわ」
早足で厨へ向かい詠子の湯のみに水を入れて、持ち運ぶ。
「持って来たぞ」
「ありがとうございます」
岩融の腕に支えられ、女は水を飲んだ。
それから。
「少し眠りますわ。貴方は、わたくしの側で控えていらして」
「承知」
詠子は、すぐに瞳を閉じて眠り始めた。
日暮れには、審神者は目を覚まし、いつものように食事をし、岩融は安心する。
夜半。
「昼間は、ありがとうございますね」と、詠子は岩融を押し倒してから言った。
「主……」
「貴方は、優しいですわねぇ」
するりと女の手が、岩融の頬を撫でる。
「たっぷりとご褒美を差し上げますからね」
岩融の着物をはだけさせ、詠子は指先に潤滑油を塗った。
「はっ♡」
「ふふ」
後孔を愛撫され、息を荒くする岩融。
「んっ♡」
「駄目ですわよ。また声を出すのを我慢してますね?」
「俺、は♡」
「可愛く鳴いてくださいまし」
「おれは、かわいく、ないだろう……?」
詠子は、「いいえ」と首を横に振った。
「わたくしのものは、皆、可愛いくてよ。お分かりかしら?」
「は、は♡ あっ♡」
「うふふ。もっと激しいのがお好み?」
「ひっ♡ あ、あるじ♡」
詠子は、挿入する指を増やし、岩融を翻弄する。
「わたくしのこと、愛しておりますか?」
「す、すき、だ♡ あいしている♡」
「ありがとうございますね」
「ああっ♡」
びくりと体が動いて射精し、それから弛緩した。
「は、あ……はっ♡」
快楽を教え込まれた体は、いつまでも熱を持ち、思考回路ごと犯される。
「あるじ♡ もっと攻めてくれ♡」
「ええ。よろしくてよ」
「……んっ♡」
その後、詠子に散々乱され、岩融は気絶した。
「あらあら」
詠子は、彼の体を拭いてやり、着物を直してから、隣で眠りにつく。
翌朝。
「おはようございますわ」
「……主」
「はい」
「昨晩、何を口走ったか覚えておらんのだが……」
「とても可愛かったですわよ」と、詠子は笑顔で答えた。