三日月宗近は、主である詠子を恋慕っている。
「拐ってしまいたくなるな」
布団の上で隣に並んでいる審神者に囁く。
「まあ、怖い」
女は、余裕の笑みのまま返した。
「どうして、わたくしを拐いたいのかしら?」
「主が望むなら、何度でも言うぞ。俺が、愛しているからだ」
「うふふ。ありがとうございますね」
詠子は、三日月の頬に手を添える。
三日月は、目を閉じて主の手に手を重ね、頬をすり寄せた。
「今夜は、添い寝だけでよろしいの?」
「はは。我が主は、意地が悪いな」
「あら。わたくし、貴方が望むことを叶えてあげてもよくてよ?」
「……主」
「はい」
「抱いてくれ」
詠子は、くすりと笑む。
「可愛がって差し上げますわ」
「ああ……」
寝転んで向き合ったまま、詠子は着物にするりと手を差し込み、後孔を愛撫し始めた。
「あっ♡ 主♡」
濡れた瞳が、詠子を映している。
「ひっ♡ あるじ♡」
「三日月、もっと鳴いてくださいまし」
「あ、あ♡ はっ♡」
三日月は、審神者の頭を抱えるようにすがり付き、喘いだ。
「ふふ。もっと深くしたら、どうなってしまうのかしら?」
「あ、あるじ♡ もっとほしい♡」
「可愛い、わたくしの三日月」
詠子は、三日月の腕から抜け出し、彼に被さるような体勢をとる。
そして、後孔を深く突いた。
「ひあっ♡ あっ♡ あるじ♡ すきだ♡」
「わたくしも、貴方が好きですわ」
「ああ♡ ふっ♡ はは♡」
乱れた呼吸をしながら、三日月は嬉しそうに笑う。
「んっ♡」
びくりと三日月の足が反り、性器から精を吐き出した。白濁とした液が、腹の上を汚す。
「愛しい、我が主…………」
三日月は、そっと詠子に手を伸ばした。
女は、それを空いている方の手で掴み、指を絡める。
それから、また何度も絶頂に至るまで後ろを愛撫され、三日月は潤んだ目で詠子を見つめた。
その後。艶事の後始末をしてから、ふたりは抱き合って眠りにつく。
早朝。三日月宗近が目を覚ますと、詠子が腕の中で小さく寝息を立てていた。
三日月は、女の髪を一房、指先で捕まえて、それに口付ける。
桜のような香りが鼻腔をくすぐった。
「俺の主…………」
しばらくして、詠子が目覚める。
「う、ん。おはようございます」
「おはよう」
詠子の腕が、獲物を捕らえるように三日月の首に回された。
「主?」
「貴方、寂しそうな目をしていてよ」
「……そうか」
「わたくし、そんな貴方を放っておけませんの」
三日月は、黙って詠子を抱き締め返す。
「もう少しだけ、近侍でいさせて差し上げますわ」
「ああ」
八幡森詠子は、ただただ、女郎蜘蛛のように在った。