少女X家庭教師X依存 作:霧里
勉強なんて、私にはもう必要なかった。
それでも学校に足を運んでいたのは悠真のため。彼女としての役割がそうさせる。
職員室でプリントを受け取って、教室には戻らない。
担任に会うたび色々言われるのが煩わしいとは思う。その正論の一つでも、救ってくれたことなんてないのに。私を知りもしない人のために、心を割く余裕なんてなかった。
飾り気のない白い部屋。清潔であることだけが許される場所。
病室は好きになれない。区切られた世界は、自分の部屋を思い出させる。
こんな所に悠真を閉じ込めてしまった。ベッドの上で一人きり。本当なら学校にいって、友達と遊んでる時間なのに。私に出来るのは、つまらないプリントを届けるだけ。
「分からない所があったらいつでも聞いてね?」
「うへ、なんか多くないか?」
「だめだよ? 勉強はちゃんとしないと。退院した後、浦島太郎になっちゃうんだから……」
勉強ばかりして、ダメになった人間の言うことじゃないな。
それ以上に大切なことなんていくらもある。けど、それに気づくためにも やっぱり勉強は必要で……。結局、私のやっていたことって何だったんだろう?
手持ち無沙汰になってしまった。
本当ならもう一組、私にも渡されたプリントはある。
悠真の手元を覗き込む。そこに書いている言葉の意味が分からない。
目が滑るんだ。理解しようとする前に、考えるのを止めてしまう。「なぁ、彩花?」彼に問われてようやくだ。込み上げるものを飲み込んで問題文を咀嚼した。
初めてのズル。教えるふりをしながらも、彼が解いた答えを自分の分に書き写す。
嫌だな。
やることが無いと余計なことばかり考えてしまう。
気まぐれに手にしたリンゴですら持て余していた。当然刃物なんて渡してもらえない。普段はどうしているんだろう? 丸かじりでもしてるんだろうか? でもそれは、一般的な男の子のイメージでしかなかった。
何も知らないんだな。
悠真との関係が途切れてからか、それ以前のことだって朧気だ。
好きだったんだと思う。彼になら何をされても構わない。せっかく助けにきてくれたのに、こんな大怪我をさせてしまって。そんなだから釘を刺されてしまうんだ。
「悠真が退院した後、アンタはどうするつもりなんだ?」
病院の待合室で、彼のお母さんに問いかけられる。
学校に行けと、咎められはしなかった。私の隣に座った彼女は、それ以上には問い詰めてこない。テレビの音が遠くに聞こえる。元々見てはいなかった。
周りにだって人がいるのに孤独の影は拭えない。それはそう。病院なんかにいる人は、誰もが自分のことで手一杯だ。
答えられなかった。
あるいは、見透かされていたのかも。
私にそんな価値はない。何処までいったって、悠真を刺したのは私なんだ。
彼が元気になった後? そんなのない。望むなら一度くらいエッチさせてあげて、それっきりだ。私にしてあげられることは、もう何も……。
花嫁修業か……。
余りの似合わなさに泣けてくる。錆びた血の匂い。白いドレスを汚す私の手形。
どれだけ着飾っても、表情は暗いまま。いっそ、そのまま引きずってくれればよかった。望まれれば、お嫁さんだって、家政婦にだってなったのに。
「なぁ、彩花? 彩花ってば」
「……ん? ぇ、ぁ……ごめん、なに?」
私と私の目が合った。手にしたリンゴに意識が戻る。
気づけば、悠真が心配そうに私を見ていた。
「疲れてるのか? それなら今日はもう……」
「そんなこと言って、勉強サボりたいだけでしょ? ほら終わったなら見せて?」
リンゴをカゴに戻した私は、ベッドに体を移す。
手元を覗き込みながら距離を縮めると、悠真は露骨に身を引いてしまった。
場所を開けてくれたんじゃない。まただ。また無意識に肌を預けていた。彼の胸板に私の胸が押し返される。少し前かがみに。ボタンの一つ外れた胸元が、隙間を大きく見せた。
視界の端で、寝間着のズボンが柔らかく持ち上がっていく。
そっか。そうだよね……。
落胆じゃなかった。悠真にだって当然欲求はある。入院してからしばらく、自分でするのも難しかったはずだ。人目だってそう。怪我の具合はとくに。
そこに意識が向くくらい、体がよくなってると思えば安心する。
押し倒してくれていい。
いくらでも奉仕してあげる。私には義務があった。それを果たしている内は、彼の欲望が私に向いている間だけは__。
「悠真、動かないで?」
「え、あっ……」
耳元で囁く。同時に、寝間着の上から股間を撫ぜた。
元気だな。ここだけ見れば、もう全然平気そう。考えるよりも前に体が動いた。
触れた指を押し上げられて目の前が曇りだす。
「自分でしなかったの?」
「出来るわけ……。ちょっ、彩花……ダメだってっ」
「今更? 無理矢理キスはしたくせに」
「それはっ……」
仕返し。無駄口は塞いでしまえ。私が欲しい言葉は言い訳じゃない。
聞きたくなかった。ここで「ごめん」なんて言われたら、どうしていいか分からなくなる。あのキスを間違いにされたら、もうここにはいられない。
そのままでいい。そのままでいて。いくらでも受け止めてあげるから。飽きるまで私を使って欲しい。そうすれば、未練なんてなくなるはず。花嫁修業……そんな事を言われたら。私には無理。せいぜいオナホみたいに使い捨てられるので十分だ。
「んっ……ちゅっ、ぁむっ、はっ、ぁぁ、んっ。ん、れろ……ん、ちゅぅ……」
唇を割り開いて舌を差し込む。
邪魔なプリントは取り上げて、ベッドの端に投げ捨てた。
急かしはしない。
頬の裏、前歯の後ろ。歯茎の列を舐めながら、ゆっくりと彼の興奮を引き出していく。驚いて舌が引ける。彼の不慣れな反応が可愛らしかった。私の失くしてしまったものが そこにある。
羨望だ。
なんで、どうして……。
喉から手が出るほどにそれが欲しい。
欲望が鎌首を持ち上げ、暗い感情が とぐろを巻いた。
蛇が這うような水音が耳に障る。絡め取り、巻き付いて、逃げようとする彼を離さない。
見てる。
見られてる。
唾液を飲み干す喉を。押し付けられた胸元を。谷間の向こうに視線が潜り込んできた。バカになっちゃえ。私と一緒。優しいふりなんてしなくていい。
期待なんてしない。私を押し倒そうとした悠真は、間違いなく獣だった。先生や、私を犯して回した人たちと同じ。
責めないよ。
だって、男と女ってそういうものでしょう?
肩を鷲掴みにされた。少し痛い。だけど、それでいい。
固い嘴で啄むみたいに、何度も前歯がぶつかってくる。下手だけど、愛おしい。
彼が最初に覚えた女の味は私なんだ。優越感も手伝った。骨の髄まで貪ってくれればもう満足。
息、苦しいなぁ。
いつの間にか指先は濡れていた。鼻が潰れそうなくらい顔が近くにある。
彼の吐いた鼻息を私が吸い込んで、私の鼻息を彼が吸い込むの。口の中では唾液が行き交い、今にも射精してしまいそう。
でも、ダメ……。
「……あや、か?」
切なそうだな。私にもこんな顔をしていた時があったんだろうか?
小さく首を振った私は、彼の唇に指を置く。内緒話でもするように、耳元で囁いた。
「もっと、気持ちよくしてあげるね?」
ふと、息を吹きをかける。それでも、真っ赤になった耳の先は冷めやらない。
怒張を増した彼は、今にもズボンの隙間から顔を出しそうだ。
「……はむ」
食べちゃった。耳を口に含んで、寝間着のズボンに指をかけた。
頬の裏に溜めた唾液をかき混ぜ、耳の穴に舌先をねじ込んで掘り返す。首を振って逃げようとする彼を私は離さない。
もう退院できる日も近そうだ。
トランクスのゴムなんかじゃ、まるで抑えになってなかった。まだ半分と脱がしてはいなかったのに、自分から服を脱ぎ捨てる子供みたいだ。
最後まで、してあげたいな。
あんなに元気なのが、私の中に挿ってくるんだ。
考えただけで、太ももの隙間を引き寄せてしまっていた。触れたい。触れて欲しい。もう何も考えずに犯されたい。
でも……。
病室の扉が歪んで見えた。
バレることを気にしたわけじゃない。
見られながらするのでも構わなかった。ただ、途中で邪魔をされるのだけは絶対に嫌。でも、悠真が退院するまで我慢するのも無理。何もされない自分に耐えられない。
ブラウスのボタンを弾き、ブラのホックを緩める。
彼の足の間に潜り込んだ私は、上目遣いに顔を覗き込んだ。
良いよね?
口にはしなくても伝わった。
あけすけに開いた胸元を覗き込んだ悠真が、小さく頷いたのが分かる。
涎を垂らすまでもない。射精寸前まで固まった彼は、脈動するたび先走りを零している。作った谷間に添えるだけ。抵抗なんて無い。肌が引っ張られる感覚すら僅かだ。
「うぐっ!! あっ……あやかっ、それっ、はっ!!」
一つになったみたい。挟み込んだ彼が身動ぎするたび、つられて鼓動が早くなる。
抑えたくても抑えられない。私の中に彼がいる。大量の先走りで泥濘んだ谷間は、もはや性器と変わりがなかった。
「悠真、声……。誰か来ちゃうよ?」
「でも……さっ!!」
腰が跳ねた。ズリ抜けた亀頭が谷間から顔を出す。
飛び出した先走りは、射精するような勢いだ。胸で抑えてなければ、きっと終わってた。目の前が真っ白になるの。何のためらいもなくぶちまけられて。想像した光景に喉が鳴る。
「もう、終わりにする?」
意地悪だ。谷間に溜まった先走りを舐め取った。
舌が亀頭に触れそうになって、でも触れてあげない。私の頭を抑えた悠真は、それ以上に固まってしまう。
苦々しい顔だ。
食い込んだ爪から伝わってくる痛みと苛立ち。そう、それが欲しいの。終わりになんて出来ない。強引に頭を抑えられ、彼が唇に近づいてくる。
……好き。
コレがいい。
ヤれって、舐めろ、咥えろって、命令されたかった。
私にはそれだけの価値があるんだ。唇を濡らす蜜の味に息が溶ける。奥に煮凝った精液を一身で受け止めたい。
咥え込んだ亀頭を舐め回す。
飴玉を転がすみたいに舌を這わせた。
吸い付くたびに悠真は自身を跳ね上げた。胸の谷間から押し出された先走りがドロドロと蜜度を増して、精の匂いが近づいてくる。
でも、まだダメ……。
悠真にもっと苦しんで欲しい。出したいって、いっぱい思って欲しい。私のこと意外考えられなくなって? 滅茶苦茶に使っていいから。私に何も考えさせないで……。
「彩花っ!? おれ__もうっ!!」
突き上げてくる亀頭を唇で抑え込む。鈴口を舌先で塞いで、駆け上がってくる精液を押し戻す。精の味に舌が震えた。先走りを押しのけて、白濁とした精液が今にも溢れ出しそうだ。
そのまま吸い上げたい。
思えば、早かった。
胸が緩んで、亀頭が前に進み出た。舌の上を熱い塊が突き抜ける。前歯が掠れても止まらない。喉奥を突き上げられた、その瞬間__。
むせ返るほどの精の匂いが鼻孔を逆撫でた。エヅイてる暇もない。次から次へと流れ込んでくる。苦しくて顔を離そうにも、悠真は全然離してくれなかった。頭を抑えられ、咥えさせられたまま……。
ゴクリ__大きく喉鳴らして、頭が真っ白になった。
今までの事も忘れて、これからのことも考えない。今、彼を満足させられてる事実に陶酔する。もっと、もっとと せがまれて胸がすいた。
一際強く背筋が震えて、もう自分の体を支えていられない。
「けほっ……!」咳き込むと同時に、飲みきれなかった精液がシーツに撒き散らされる。
まだ……出るんだ。
白い雫が私を汚す。ゆるく震えた先から精液が滴り落ちた。
顔にも、頬にも、谷間にも。降り掛かった白濁液は汚泥のようだ。乾いた端から独特の臭気を醸しだす。
勿体ないな……。
ぼんやりとしたまま舌を伸ばした。
美味しくはない。匂いだってそんなにだ。自分が汚されたことを強く意識させられるだけ。使ってもらえた。コレはその確認作業みたいなものだった。
顔を持ち上げ、口を開いて見せつける。ちゃんと飲んだよ? だから褒めて?
「彩花……なに、やって」
ああ、そっか。困惑する悠真の声にハッとさせられた。
精液に塗れた女の顔なんて、普通は見たくもないか。だとしても、褒めもらえなかったことが寂しい。吹き込んだ隙間風に頭が冷えていく。
「ぁ……えと。ごめんね、変なの見せちゃって。口洗ってくるから……また、明日」
逃げ出そうとして、手が掴まれた。
理由なんて聞くまでもない。彼がまた怒張を取り戻しかけている。
「変じゃない。凄く……エロかった。だからその、飲んでくれたの嬉しかっていうか」
一度出した後なのに、耳の先は赤いまま。
俯いた彼の素直な告白に、私の方までくすぐったくなってくる。
「変態……」
「うっ。それはっ……でも、彩花がっ!」
蔑む言葉に、掴んだ手が解けていく。
言い訳なんて必要ない。悠真がそういうなら私はそれで十分だ。
「気持ちよかった?」そう問いかけるだけ。追いすがる彼は、一瞬言葉に迷うと小さく頷き返してくれた。
「凄く、よかった……」
「そっか、よかったんだ」
少しぶっきらぼうだったかも
頬を染めた彼の熱に当てられてしまった。
まだ、時間はあるだろうか?
いつもなら、そろそろ看護師さんが面会時間の終了を告げに来る頃だ。
でも、このまま帰るのも忍びない。
汚れ散らかした精液の跡を、いそいそと拭き取る彼を想像したくはなかった。
吐いた溜息の理由は分からない。喜んでもらえて、単に嬉しかったのはそうだけど。ベッドの上に戻った私は、汚れてしまった彼に舌を伸ばす。帰る前にもう少し、綺麗にしてあげたくなった。