少女X家庭教師X依存 作:霧里
これで良かったのかは分からない。
似顔絵越しに彩花の顔を盗み見る。思い浮かぶのは後悔ばかりだ。
「いまさら何?」そう言われてしまえば何も言い返せやしない。もっと早く、再会したときに声を掛けるべきだった。
夏休みが始まる前のあの日。結局、休みの間は一度だって彼女の顔を見ることはなかった。学校が始まってもそれだけで、一緒に遊ぶ時間も作れない。
あれだけ一緒にいたのに、一度すれ違ってしまえばあっけない。年が明けて、卒業して、もう会うこともないんだろうと薄々思い始める。
友達なんだから。
もし、あの時もっと違う言葉を口にできていたら。
もっと素直に好きだと言えていれば、まだ関係は続けられたのかもしれない。
けれど、ただの友人を選んだ自分には、彼女を見送ることしか出来なかった。
「それじゃあ……」と、交わした最後の言葉が空虚に響く。
一人、校門の向こうに消えていく彩花の背中。強引にでも手を取って、せめて最後くらい一緒に帰ろうと、どうして言えなかったのか。
「ごめん」と言われるのがイヤだったんだ。
遊びに誘っても断られる。事情だって分かっているのに、それが面白くない。
そんなんじゃない、付き合ってたわけでもない、いつしか自分に言い聞かせるようになった。友人たちに「別れたのか?」とからかわれると、更に意固地になってしまう自分を止められない。
進学した先で、彩花を見つけたときは嬉しかった。
多少の疑問よりも先に、また一緒に遊べるんじゃないかと勝手な期待だってする。
けれど、結局今日まで声を掛けられないまま。短くなった髪、暗くなった表情は、まるで別人みたいだ。受験に失敗した彼女を取り巻く陰口の数々に、二の足を踏んでしまう。友達だと言っておきながら、その役目すらも果たせない。その時にはもう、赤の他人と違いはなかった。
「一緒にやろう」ようやく口にできた。
今日こそは、明日こそは。言い訳を続けていた俺に、そう決心させたのは……。
放課後の帰り道。少しの遠回り。何となく彼女の家に足が向いてしまった。
期待してたわけじゃない。家の前でバッタリ会ってしまったら、何を言って良いのかも分からないくらいだ。
今日は……閉まってるんだな。
路地を曲がり、空を見上げる。2階にある彼女の部屋が懐かしい。
そこから手を振って、見送ってくれたことだってあった。一目だけ。横顔だけでも見れたら良い、本当にそれだけだった。その窓の向こうに、彼女の涙を見つけるまでは。
****
「すぅ……すぅ……」
小さな寝息の隙間を歩くように、玲司が部屋に入る。
明かりを落とし、カーテンを閉めると、夕暮れ前の室内は夜の隙間に落ち込んだ。
「彩花ちゃん?」
机に突っ伏して眠る、彩花の隣で玲司は囁く。
頬をつつき、肩を揺すって、それでも彼女は目覚めない。
ふふっ……
一つ、零れた笑みは何だったのだろう?
無垢な寝顔に愛情が湧いたわけじゃない。
密かにほくそ笑む玲司の横顔は、おとぎ話に出てくる悪党のようだった。
膝の下に手を回し、小さな肩を抱き寄せる。
その体を抱え上げた玲司は、そっと彩花をベッドへ移した。
それでも、起きない。
起きるわけがない。
単に居眠りをしているわけじゃない。作られたゆりかごの中、深い睡眠から抜け出すには、もう少し時間がかかるだろう。
僕がこんな事をするなんて、思いもしないだろうな。
いや、夢には見ていたのか。男女の行為が、愛情の先に生まれるものだと期待して。たとえ、母親との関係に疑問はあっても、彼女は僕から離れられない。
かごの中の小鳥は、一人で飛べない、エサも食べられない。
そういう風に仕向けてきた。
毎回のケーキ代だって、バカにはならなかったなまったく。
トータルで見れば、商売女を買った方が断然安い。街角やアプリで引っ掛ければ元手はゼロだ。女を抱くだけで、こんなにも手間を掛けたのはなかった。
一時の遊興。お金の関係じゃない。それなりには世話を焼いてきた。
好意という名の首輪で縛る。
人はそれを恋だと言うのだろうか? そんな訳はない。例え好きあっていたとしても、寝込みを襲うなんて不義理に過ぎた。
「はぁ……っ」
重苦しい玲司のため息は、ベッドに横たわる彩花の寝息とは対照的だった。
規則正しく上下を繰り返す胸。無防備に投げ出されたままの四肢。自分に降りかかる不幸になんて気づきもしない。
もし今、彼女が目を覚ましたらなんというだろうか?
泣いて叫ばれるのも良い。裏切られた恐怖に怯え、震える彩花を無理矢理に組み敷くのは、想像するだけで心が踊る。もう一度名前を呼んで、頬を撫でた。
けれど、一向に目を覚ます気配はない。
可愛そうに。
思いながらも、独りでに玲司の口角は持ち上がっていく。頬を撫でていた指先は、首筋をなぞり胸元へ沈みこんだ。シュルリ……衣擦れの音が囁いた。
解けた赤いスカーフは、ベッドの脇へと落ちていく。
開けさせたブラウスの向こうには、少女の肌色が広がっていた。
外で遊んだこともないのだろう。白い肌に日焼けの跡は一つもない。若々しく、瑞々しいまま。年季の隠せなくなってきた母親の肌とは大違いだ。
ゴクリ……
玲司は堪らず息を飲み込んだ。柄でもないか。だが、これを前に反応しないのは、男として何かが欠けている。滑らかな肌の感触を楽しみながら、そっと背中に手を差し込んだ。金属質な引っ掛かりを探り当てると、指先で弾き、留め具を外す。
ブラに抑えられていた胸の膨らみがフワリと揺れた。
可憐な頂きに、玲司は目を奪われる。まるで、スポットライトに照らされている様だ。カーテンから差し込む光が、深い谷間と、淡く色づく桜色を映し出す。
まだ、誰に触れさせたこともない。おそらく、自分で触れたことすらも何回と無いはずだ。処女性の放つ誘惑に喉が渇いた。股間が苦しい。今からこれを自分の好きに出来ると思えば、俄然と熱り立つ。
「……んっ」
まばゆい光に目を背けるように、彩花は吐息を漏らした。
起きたのか? 優しい家庭教師の仮面を被り直そうと、玲司は息を潜めた。
けれど、眉根の寄る表情はすぐに解けていく。一瞬、浮かび上がった彼女の意識は、まだ深い眠りから抜け出せない。
正直、彼女がいつ目を覚ますのか玲司にも分からなかった
差し入れのケーキに混ぜ込んだ薬は、その程度の量でしかない。
回りくどいか?
だとは思う。今の彩花なら、僕が強く求めれば断らないだろう。躊躇いながら、恥じらいながら、頷いた彼女が自分から体を開く光景は、容易に想像が出来た。そこにはきっと、母親への当てつけもある。今まで自分を抑圧してきた母から、大切なものを奪い去る。僕との関係をだしにすれば、支配の関係も変わるかもしれない。
けど、それじゃあつまらない。
せっかく手をかけたんだ、いつもと同じに済ますのは勿体ない。
単純にスリルが欲しかった。いつ起きるとも分からない少女を犯す。バレないならそれでも良い。全てが終わった後、気付いた彼女は一体どんな顔をするのだろう?
「ほら、早く起きないと、台無しになってしまうよ?」
幼馴染の男の子と、真っ当な恋愛をする未来もあっただろうに。
その芽を摘み取るように、玲司は彩花の胸に指を伸ばす。指先が沈む、その感触だけで心が踊った。やっと、やっとだ。悪戯にくすぐるのとも違う。ブラウス越しに掴むのでもない。
人肌に吸い込まれていく。
しっとりと、張り付くように。
けれど、決して身持ちは崩さない。沈めた指先を押し返すだけのハリがある。
柔らかな果実は、手のひらで覆ってもなお余った。その大きさに感動さえ覚える。
母親の胸も悪いものではなかったが、しかしこれは格別だ。誰かしらに揉みしだかれて、ダレてしまった胸ではない。初々しい。感覚としてそれが分かる。
つまみ上げた乳首の向こうには、まだ硬さだって残っていた。
「んっ……ふぅ、はぁ……っ」
玲司が胸の感触を堪能していると、彩花の頬が染まりだす。
吐息は乱れて、指の動きに合わせて震える肌。胸への愛撫に、その刺激に、体は素直さを隠さない。
そろそろ起きるだろうか?
目が合った時、どんな顔をしてやろう?
ムズムズと胸をくすぐる感覚があった。高まる性欲とはまた別の、ちょっとした悪戯心。動きを止めた玲司は、彩花の顔を覗き込む。先程よりは寝苦しそうだ。
けれど、起きるような気配は見られない。本能的な反応か。無意識に男を受け入れるつもりなのか。汚されることへの忌避感だったのかは知れないけれど。
それ自体、どっちだって良いことだ。眠る少女に手を掛ける。そのものの愉しみは変わらない。
そっと、太ももの内側に手を差し込んだ。
筋肉の硬さを感じない。まるで、温もりを含んだ羽毛のようだ。
吸い込まれる様な柔らかさの中、程よい肉感に挟まれる。膝から太ももの付け根へと、手のひらを滑らせた。汗ばんだ肌と、その気配。奥へ進むほどに、湿り気は増していた。無抵抗だった太ももの内側が、僅かに力む。乱れた吐息にも、心なしか熱が灯ったようだ。
けれど、それだけ。
夢はまだ覚めないまま。
体は反応を確かにしつつも、彩花の意識は戻らない。
差し込んだ手のひらが、スカートを捲り上げると、そこに籠もっていた熱気が広がった。甘酸っぱい。とでも言えば良いのか。甘く香る少女の匂いに混ざる僅かな青臭さ。それは香水でも、高いシャンプーやコンディショナーの匂いじゃ表せないものだ。
若さだけじゃない。幼いんだ。体はもう出来上がっているのに、心はそれに追いついてない。そのギャップこそが、どうにも耐え難い気配の源だった。
触れた肌の柔らかさ、感じる体温、乱れた制服の隙間から覗く肌。そのどれもが、あどけない寝姿とは正反対の艶を見せる。
「ふぅ……ふぅ……ん、ぁ……」
ぽろり、ぽろり……。薄く開いた唇から、鈴なりに声が転がり出す。
重ねた肌が熱を増していた。白い下着は黒く滲んで、隠された少女の形を浮かび上がらせる。
ガチャリ……ベルトの金属音が、彩花の寝息を遮った。焦れたようにジッパーが落ちると、急いたような衣擦れの音がガサゴソと繰り返される。
とうとう玲司は、自身の欲望をさらけ出した。薄い綿花を摘むように、彩花の足から下着を引き抜いていく。
閉じた割れ目に開かれた形跡はない。
筋のような隙間から、ただ愛液が滲みだしてくる。ぷっくりと膨らんだ滴が、割れ目の形をなぞって流れ落ちた。その淫靡な光景を前に、熱り立った肉棒の先から、先走りが滴り落ちる。
ポタリ、ポタリ……。
彩花の肌が、男の体液で汚れていった。太ももの内側を点々と、滴を作ってダラダラと。鼠径部に流れ込み、愛液と混ざって、お尻の丸みに消えていく。
すぅ……はぁ……
玲司は深く息を吐き出した。
そうでもしなければ、乱暴をしそうな自分を抑え込めない。
何も、優しくしたいんじゃない。ただ、オナホのように使い捨てるには勿体なかった。情でも湧いたのか? ふと、浮かんだ言葉に苦笑する。
「彩花ちゃん……」
優しく名前を呼んで、肩を揺する。それがせめての情け。
「んっ……」と、吐息が波打ち、僅かな身動ぎが返ってくる。
止めるなら今か。
服を元に戻し、何も知らない振りをすれば、彼女はきっと気づかない。
下着が濡れているのだって、勝手な自己解釈で盛り上がってくれるだろう。
初めては大切なものだ。
それが良いものであれ、悪いものであれ、何も知らない内に失ってしまうのは憐れに思った。けれど、その憐憫が玲司を余計に興奮させる。
可哀想で、だからこそ可愛らしい。気づいたときには後の祭り。目覚めた瞬間、その動揺がどれほどの混乱を生むだろう。いつのまにか処女を失っていた。惑う彩花の顔を思っただけで、股間が熱くなる。
嗜虐心が荒ぶった。
支配欲と、征服欲が、火に油を注いでいく。
足を広げる手に力が籠もる。がっしりと抑え込んだ腰が、ベッドの底へとぶつかった。