※この作品はR-18です。

運命の流転   作:れんしゅうくん1号

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セイバー/アルトリア・ペンドラゴン(Fate/Stay Night)
騎士王の落墜


 アルトリア・ペンドラゴンは衛宮士郎に召喚されたサーヴァントだ。聖杯戦争という魔術儀式でセイバーの枠を当てはめられ召喚された彼女は仲間内からはセイバーと呼ばれ、マスターである衛宮士郎の自宅に居候する形で現世で仮初の生を謳歌している。

 そんな彼女だが、召喚の不具合あるいは自身の都合で現世のリソースを消費して現世にとどまっている。無論、それには相応の糧が必要だ。糧が必要ということはそれを入手する手段が必要で、その手段は有体に言えば金が一番手っ取り早い。それをマスターであり(正式な契約は彼の恋人である遠坂凜としているが)、愛する人でもある衛宮士郎に相談すれば、自分のバイトで都合はつくから、とやんわりと断られてしまった。

 

「士郎は私を甘やかしすぎます」

 

 初夏の縁側でぽつりとつぶやきながら、おやつに食べていいと言われていた士郎特製のアイスにかじりつく。彼の教諭である藤村大河が持ってきたどこかの農場の牛乳と知り合いの魔術師(キャスター)が余ったからと持ってきたバニラエッセンスを使って作ったアイスは絶品だ。

 

「……それにしても、暑いですね」

 

 差し込む日差しの強さは飛ぶ鳥を落とす勢いだ。イカロスという英雄を語る伝承があるのは知っているが、彼が感じた日差しはこれよりもなお強いものだったのだろうか。人が作った翼が溶け出すぐらいだったのだから。

 ふと、この日差しで子供たちは大丈夫だろうか。そんな考えが頭をよぎる。時折暇を持て余して外を散歩していると遊ぼうと誘ってくる子供たちが居るが、この暑さにやられて倒れていないかと心配になってしまう。

 

「確かクーラーボックスと保冷剤はあったはず……冷えた飲み物でも持っていきましょうか」

 

 大河が持ってきた(そして放置している)クーラーボックスと凍らせた保冷剤、水とスポーツドリンクあたりを差し入れに持っていけば多少なりともマシになるだろうか。

 そう思い立って小さめクーラーボックスと保冷剤、飲み物を詰め込み、肩にかけて外出の準備を整えると家を出る。外へ出ると縁側で感じていた日差しがより一層きついように思える。空を仰げばじりじりと焼けつくような日光を落とす太陽の姿。コンクリートが日差しの熱を吸収して熱くなるというが身をもってそれを体感してしまった。

 公園への道すがら周囲を観察してみるが、人通りは少ない。この日差しだ、それを避けるために建物の中の涼しい部屋にとどまっているのだろう。そこまで考えてふと子供たちもこんな日は部屋の中で遊ぶことを選ぶのではないだろうか、と考えて、まあ覗いてみて居なかったらそれでいいか、と内心ごちて公園への道を歩き続ける。

 しばらく歩いて公園に到着していつも子供たちが居るスペースをのぞき込めば、そこには誰も居ない。ああ、やっぱりこういう日は家の中で大人しくするものですね、と自分の心配が無用のものだったと笑う。

 

「すこし休んでから家に戻りますか」

 

 公園のベンチに座って景色を眺める。

 吹き込む風の音、蝉の鳴き声、木々のざわめく音。どれも土地は違えど故郷でも覚えがあるものだった。

 

(いや、さすがにここまでの湿気はありませんでしたね)

 

 これだけは日本特有の暑さの諸因の一つだろう。蒸すような暑さは疲労感を掻き立てる。こればかりはどうにも苦手だった。

 

「さて、帰りますか」

 

 ベンチから立ち上がり、元来た道を帰ろうとしたところでふと視界に一人の男性が目に入る。自分と同じように公園のベンチで座り込んでいる男が一人居た。じっと地面を見つめてぴくりとも動かない。

 

「……あの、大丈夫ですか?」

 

 気にかかって声をかける。男はのろのろと顔を上げると、ああ、とぼうっとした様子で反応する。そうもまっとうな状態ではないように思える。熱中症などになっているのではないだろうかと思って言葉を続ける。

 

「体調がよくないように見えるのですが」

「ああ、すいません。ちょっと買い物に出たら立ち眩みを起こして、収まるまでじっとしてたんですよ」

「救急車、呼んでもらいますか?」

「ああ、いやいや、そこまでではないですよ。ほら……おっとっと」

「ふらついていますよ。やはり病院に行くべきでは?」

 

 立ち上がってふらつく男を支えながら、何とか説得してみようと言葉を続けるが男は首を横に振る。

 

「その、恥ずかしながら病院にかかるお金すら無くてですね。救急車もあとで結構なお金がかかるらしいですし、勘弁したいところなんです」

「それで命を落としてはばかばかしい話でしょう」

「おっしゃる通りですが、家も近いので今から帰りますよ。クーラーでもかけて水分補給してれば体調も元に戻るでしょう」

 

 そういって若い男はふらふらと家へ向かうであろう道を歩き始める。その危ない足取りに眉根をしかめて、セイバーはああもう、と彼の横に寄り添うと彼を支える。

 

「おっと……?」

「このまま捨て置くのも気分が悪いので、家までお送りします」

「ああ、助かります。正直きつかったので」

 

 だから救急車に乗るべきだったのでは、と思いつつも彼を支えて彼の家へと向かう。

 

「……?」

「どうかしましたか?」

「いえ、何か不思議なにおいが」

「汗臭くてすいません……」

 

 申し訳なさそうに謝る彼に首を振って否定する。確かに汗のにおいなのだが不思議と嫌な感じはしない。むしろ好ましい匂いだと感じてしまう。一体なぜだろうと内心首をひねりつつも彼を支えることはやめず進み続ける。

 彼の家は集合住宅の一室で、彼の言う通り公園からさほど離れていない場所にあった。彼を自室の玄関前まで運んだところで離れる。

 

「ここまでで大丈夫ですね。では私はこれで」

「ああ、ちょっと待ってください。せめて少しぐらいはおもてなしさせてください。助けてもらったお礼です」

 

 そう言いつのってくる彼に、セイバーは少し考えたあと頷く。まあサーヴァントの身でもあるし、普通の男性の家に入ったところでどうにかなるわけでもないだろう、と。

 パタン、と後ろでに扉を閉める。

 

 

 

 

 青年はリビングで落ち着くと、ふうとため息をついた。どうやら人心地ついたようだ。

 

「本当に助かりました。正直あの日差しの中で休もうって考えたの、今考えると馬鹿ですね」

「全くです。私が通りかからなければどうしたんですか」

「まあ何とか体が動く間に近くの店によって休ませてもらう、ですかね」

 

 どちらにせよお恥ずかしい話ですね、と言いながら彼は冷蔵庫から何かを取り出すとコップに注いでそれを水で割って差し出してくる。

 

「どうぞ、うちで先祖代々レシピを継いでるスタミナドリンクです。甘くておいしいんですよ」

「……いただきます」

 

 出されたものに口をつけないのも無礼だろう。コップを手に取り、口にすると口当たりのいい甘さが口の中に広がる。独特な風味もあるがそれがいいアクセントになっている。

 

「これは、確かにおいしいですね」

「でしょう。あまり取り柄のない家柄ですが、これは結構自慢なんですよ」

 

 ニコニコと笑う男性に、ほほえましく思いつつさらに一口。

 この飲み物を気に入ったセイバーはこくこくと飲み干していく。対面に居た男は空いたコップにもう一杯と注ぎ、茶菓子も勧めてくれる。

 

「セイバーさんも暑い中歩いてらしたので、疲れてらっしゃったんですね」

「ええ、まあ。公園の子供たちがこの暑さの中外で遊んでたら熱中症になるんじゃないかと思ってきてみたのですが、杞憂でした」

「ははは、さすがにこの暑さではね」

「……あれ、名前を――――――」

「さっき教えてくれたじゃないですか」

「――――――そう、でしたね」

 

 何か違和感のようなものを覚えた。しかし、それは意識の表面を伝って落ちて消える。自意識に跡すら残さず消えたそれを、セイバーは掴むことが出来ず終わった。

 

「ええ、居候させてくれている衛宮くん、だったかな。彼が生活費を稼がせてくれない、とも」

「そうなんです。居候させてもらっている身、わがままを言うつもりはありませんが、バイトの一つでもして家計に貢献させてくれてもいいでしょうに」

 

 くぴりと飲み物をを飲み、口を尖らせる。普段溜まっていた不満な部分がするりと口をついて出ている。初対面の相手に言うことでもないだろうに、不思議とセイバーは愚痴をこぼしてしまっていた。

 男はそれに何かを言うこともなく、にこにこと聞いて受け入れている。

 

「なら助けてもらったお礼と言ってはなんですが、私の手伝いをしていただけませんか。そのお礼という形でバイト代を支払いますので」

「む、それは……いいのですか? お金が無いと言っていたような」

「私用に使うお金がないだけで、自営業をこなすための資金は貯めてあるのですよ。バイトぐらいなら問題ありません。引き受けてくれますか?」

「――――――はい」

 

 世話になっている士郎に報いれるなら何(・)も(・)問(・)題(・)は(・)な(・)い(・)。仕(・)事(・)の(・)内(・)容(・)も(・)受(・)け(・)入(・)れ(・)ら(・)れ(・)る(・)も(・)の(・)だ(・)。

 

「今日からこのまま始めてもらうことは出来ますか?」

「士郎も凜も所用で数日家を空けるそうなので、問題ありません」

「ええ、ではセックスおよび妊娠・出産までの実演バイトをお願いします。相手は自分が務めますので」

「分かりました。場所はここでいいのですか?」

「はい。ベッドは事前に準備してありますので」

 

 ふとまた違和感を覚える。何かを間違えてしまっているような、致命的な違和感を見逃してしまっているような、そんな違和感だ。

 

「大丈夫、何も問題はありませんよ」

 

 ふ、と違和感が消える。ああ、何を疑問に思っていたんだっけ。そうだ、出産までを行うバイトなら子供はどうなるのだろうか。

 

「大丈夫、子供はきちんと私たちの子として育てますよ」

「そうですか、安心しました。望まれぬ子というのは、悲しいものですから」

 

 ふと自分の子として後継を望んだ不義の子のことを思い出す。しかし彼女のことは今はいいだろう。そう思い脇に置く。

 こちらです、と寝室に案内される。ベッドは丁寧に整えられており冷房も効いている、セックスするならこの上ない環境そうだ。満足そうにうなずいて振り向こうとしたその時、背後から抱きすくめられる。驚き、振りほどこうと力を入れるが彼から匂うえも言えぬ臭いに背筋がぞくぞくと震え上がる。

 

「っ……!」

「では、始めましょうか。まずはじっくり前戯から」

 

 耳元でささやかれた声に膝が抜けそうになる。彼のすべてを受け入れてしまう(・・・・・・・・・・・・・・)。そんな不思議な確信が自分の中にあった。

 

「……ん……」

 

 さわさわと服の上から胸を撫でられていく。微細な刺激がくすぐったさを交えた快感を脳髄に送り込んでくる。ただ一度乳首の場所を確かめた後はそこを避けるように撫で、揉みあげてくる。

 もどかしさを覚えつつも、体をゆだねて受け入れ続ける。揉みしだかれて形を変える胸を熱の入った視線で見下ろしていると不意に乳首をぎゅっとつねり上げられる。

 

「んんっ!?」

「痛かったですか?」

「い、いえ、すこしばかり驚いただけで」

「そうですか、では今度は直に触っていきますね」

 

 着ていたTシャツがたくし上げられ、素肌が露出する。ひんやりとした部屋の空気に愛撫で火照った体をぶるりと震わせながら、素肌にはい回る手に二重に震えてしまう。

 ぞくぞくと体をはい回る快感に体をもじもじとさせながら彼の手を感じる。はい回る手のうち右手は徐々に下に降りていく。自身の大切な場所に徐々に迫ってくるそれに体を侵略されているという実感を得て興奮して息が激しくなっていく。

 

「感じてるみたいですね、セイバーさん」

「っ、そんなこと……」

「いいんですよ、気持ちよくなって。そういう行為をしてるんですから」

 

 そちらを見てください、と寝室の片隅に置かれた鏡を見るように促される。そこには、顔を赤く染め、快楽に喘ぎ始めている少女の姿があった。

 

「スカートを上げて、中を見てみましょう。どんなになってるでしょうね」

「それはっ、……分かりました」

 

 鏡の中の自分を見ながら、ゆっくりと両手でスカートをまくり上げていく。今日は白い下着を着ていたが、まくり上げられたそれは垂れだした愛液で湿っている。降りてきた彼の手がそこにあてがわれ、こすり上げる。

 

「んあぁっ!?」

「気持ちいいみたいですね」

 

 こすり上げられたことで感じた快感に上がった声。思わず恥ずかしくなりかあっと頭に血が上る。しかしそれを声に出す前に指が巧みにショーツの内側に入り込み、つぷり、と性器の中に沈み込む。

 

「んっ、んっ!あ……あ…っあ゛!」

 

 ぐりぐりと指でこすり上げられて女としての声が漏れ続ける。

 あふれる愛液の音が室内に響いている。内股を垂れ堕ちていく愛液が自らの痴態を表しているようで恥ずかしさが内心を占めている。

 

「これ以上は、服が汚れてしまいますから脱ぎましょうか」

「あ゛!ぁ……」

 

 男が身を指を抜いて離れていく。指を抜かれる瞬間、寂しげな喘ぎ声を上げてしまう。

 目の前で服を脱ぎ去っていく彼の肉体を見て、徐々に目を見開いていく。服にさえぎられていた臭いが鼻孔をくすぐり、愛液がぼたぼたとさらに溢れだす。シャツを脱ぎ去り、ズボンを取り払い、そしてパンツを脱ぎ去って現れたその逸物に目をそらすことが出来ない。全身の細胞が彼のそれを求め騒ぎ出しているように思える。

 

「ああ、大きいですよね、コレ。ほかの人と比べたことなんて無いんですけど、たまに見るエロ画像とか見てると自分のよりちっちゃいなって思っちゃうんですよ」

「あ、ああ、そうですね。確かに大きいです。……士郎よりも大きい」

「ふふふ、ありがとうございます。では、セイバーさんも脱いでみてくださいよ」

「は、はい。分かりました。その、貧相な体を見せるようで申し訳ないと思うのですが」

「いいえ、服の上からでも美しい体をしていると思いますよ」

 

 そういわれて照れてしまい、彼から目をそらしてしまう。

 さあ、と促されてそっとシャツに手をかけてゆっくりと脱いでいく。彼の視線が体を嘗め回すように這いまわるが、それに嫌悪感を抱くことはなく受(・)け(・)入(・)れ(・)る(・)。スカートのホックを外してジッパーを下ろして離すとぱさりと音を立てて床に落ちる。白い上下の下着を残して晒す裸身に男はごくりと唾を飲んで見入っている。それに幸福感を覚えながら下着もブラジャー、ショーツと順々に取り払っていく。最後に残った裸身を、恥ずかし気にさらす自分に注がれる男の視線に男の性欲のぎらつきを感じながら胸を隠していた腕をゆっくり下ろす。

 

「これで、い――――――んんっ!?」

 

 頭をわしづかみにされ、キスをされる。

 

「んちゅ、んぐ……んんっ、はあっ」

 

 濃密に舌を絡められ、嬲られる。キスをしている間は呼吸も許されず、頭がぼうっとしてくる。ねじ込まれた舌で口を蹂躙される喜びに打ち震えながら受け入れ続ける。

 

「んじゅ、じゅる、んはぁ、はぁ、はぁ、んん……ま、まって、ん!」

「あなたの全身を味わいたいんだ。待ちませんよ」

 

 情熱的に求められ、膝が崩れそうになりながらも抱きすくめられ男に体を支えられる。覆いかぶされながらキスを何度も落とされながら追い込まれていく。

 そして足に何か当たったと思ったらバランスを崩してベッドに倒れこんでしまう。ぱっと腕を離されベッドに倒れこんだ自分を見下ろす男とその股から生えている大きなものを見上げて思わず息をのんでしまう。今からこの男に、この逸物に蹂躙されてしまうのだと思うと心臓が早鐘を打ってしまう。そう思っていると足をつかまれ持ち上げられる。

 

「ひゃっ!?」

 

 足を持ち上げ、腰を掴んだ男はセイバーの股に顔を寄せると性器を舌で嬲り始める。抱え込まれて逃げなくなった状態で与えられる刺激にどうにか逃げ出そうと腰をひねるが力強く抱え込まれた男は自分を逃がすことなく舐っている。

 

「ああ、あなたの体は本当に素晴らしい。呼び込んだ甲斐がある」

「よびこーーー? はうぅぅ!?」

 

 一瞬何かの疑問が頭を過ったが刺激で黙らされる。

 なぶられて、何かが迫ってくる。

 

「待ってください、何か来る、キちゃうんです!!」

「待ちません、イッてください」

「いく、いく、ああああああああッ!」

 

 ぶるぶると体を震わせ、全身に雷撃が落とされたような衝撃を一身に受け全身を緊張させ、そして脱力する。

 

「さて、いよいよ挿入ですが……準備はいいですか?」

「ま、まって……すこし休ませて……」

「待ちません」

 

 脱力した肢体がベッドに投げ出される。はあ、はあ、はあ、と息を整えていると男は自らのペニスを見せつけるようにセイバーへと向ける。

 ぺチンと巨大な逸物が下腹をたたく。熱せられた鉄棒を押し付けられたかのようなその熱量に意識を集中して、それがこれから自分の中に押し入ってくるのだとつい期待のまなざしで見入ってしまう。

 

「ああ、そうだ。セイバーさん、宣言してください」

「宣言……?」

「ええ、あなたの意志で私を求め、あなたの意志で私を受け入れ、あなたの意志で私のものになることを」

 

 下腹をぺちぺちと叩きながら言う男の言葉に、胸が高鳴る。

 それはすなわち隷従の宣言。王であった我が身の価値を人のものになる、人よりも価値が低いものと自ら宣言しろと言われているようなもので。そして彼の所有物になるという自らの尊厳を自ら手折れと命じられたことにセイバーは、興(・)奮(・)し(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。快楽に耐えるために引き絞っていた口元がぴくぴくと震え、そして弧を描いていく。彼のものになるという歓喜、矜持を捨て堕ちていく快楽、そんな自らが穢されていくという被虐の快楽が自分の中にある何かを満たしていく。

 

「――――――」

 

 はい、と答えようとしたところで何かがつっかかる。心の中の何かが自分を引き留めようとしている。この一線を越えてしまったら戻ってこれない、そんなふうに自分を引き留めているように思えるのだ。思い返すのは自分が愛している赤毛の少年(エミヤシロウ)の姿。彼の姿がちらついてあと一歩が踏み出せない。

 口を開いて閉じて、幾度かそんな逡巡を繰り返し、何となく、もうやめようと思う。なぜかは分からないがこんなことをしては――――――。

 

「ひぃんっ!?」

「待ちません、といったでしょう。さあ、宣言を、セイバーさん」

 

 耳元でささやかれ、その臭いと耳朶を打つ声の心地よさに脳がガンガンと揺らされる。どろどろと逡巡していたことが溶け堕ちていく。再び口元が弧を描き、今度こそためらいなく口を開く。

 

「は……い。私、セイバー。真名アルトリア・ペンドラゴンは我が身、我が心すべてをささげ、あなたのものになることを誓います。どうか淫らな私に貴方のモノをお恵みください、そしてあなたのすべてを受け入れます」

 

 そう宣言した瞬間、全身の何かが書き換えられていくような感覚を覚える。胃に溜まった何かが全身を浸食し、隅々まで広がってそれを行っていると。

 

「ええ、ではあなたのすべてをもらいます」

 

 くちゅり、と亀頭が膣の割れ目を音を立てて侵入していく。体を裂くような痛みも彼から与えられる痛みとして快感に変わっていく。

 

「ああっ、来る。入ってくる……」

「――――――」

 

 バチン。

 ゆっくりと入れられていた男性器が、一気に奥まで突き込まれる。膣肉をかき分けて押し入ってきた肉棒は中を蹂躙して圧迫感をアルトリアに与えた。

 

「え――――――ああああああああっ!?」

 

 一気に貫かれて、全身を衝撃が貫く。熱せられた鉄のような熱さが腹に収まり、存在を主張している。

 

「ふう、受け入れた感想はどうですか、アルトリアさん?」

「あぐっ、大きい、です。みちみちと私の中を押し広げて、あなたの形にどんどん変えていって、います。これが、私の一番だって……」

 

 とろけた、女の顔で語るアルトリアに男は満足げに頷く。その目を見てアルトリアはふと違和感を覚える。

 

「どうして、私は……」

「動きますよ」

 

 男は一言告げると、乱暴に腰を動かし始めた。アルトリアの膣内を埋めた巨大な肉棒が容赦なく引き抜かれ、そして再び突き入れられる。

 

「んぐっ!あっ……やめ……そんな……」

 

 アルトリアは必死に声を抑えようと唇を噛んだが、喉から漏れる甘い呻きは隠せなかった。男の動きは獣じみた荒々しさで、結合部からは粘膜が擦れる卑猥な音が響き渡る。カメラのレンズが二人のつながった部分をクローズアップで映し出し、銀色の陰毛が濡れて光る様子まで鮮明に捉えていた。

 

「すごい締まりだ……セイバーさんの中は最高だ」

 

男は嘲笑混じりに言い放ち、アルトリアの両腕をベッドに押さえつけた。その動きで彼女の慎ましやかな乳房が激しく上下に揺れる。男の行為に逃げ出すことも出来ず、刺激的な快楽を享受する。

 

「んっ……やめて……そんな激しく……」

 

セイバーは拒絶の言葉を口にするものの、男の猛烈な抽送に体が反応してしまう。結合部からは粘着質な音が絶え間なく響き、彼女の性器はすでにぐっしょりと濡れていた。男は彼女の腕を掴む手に力を込め、さらに深く突き刺すように腰を打ち付ける。

 

「ほらっ……もっと感じてごらん……俺のものが君の中で膨らんでいくのを……」

 

男が呟くと同時に、セイバーは突然体を弓のようにしならせた。

 

「ああっ……そんな……奥まで……」

 

子宮の入口をノックされる強烈な刺激に、セイバーは涙を流しながら身悶える。男は彼女の反応を楽しむかのように、同じ場所を執拗に攻め続ける。ベッドの上で揺れる金髪が汗で額に貼り付き、その姿は官能的な美しさを放っていた。

 

「セイバーさん……そろそろ出すよ……君の中に出すよ……」

 

 男は余裕のない声で宣言すると、腰の動きを速めていく。

 男の動きが最高潮に達した瞬間、セイバーは突然体を再び弓のように反らせて絶頂を迎えた 

 

「ああっ……ダメ……こんなの……!」

 

 彼女の声には驚きと混乱が混じり、全身が小刻みに震える。男の熱いものが体内で放たれるのを感じたとき、彼女は信じられない思いで目を見開いた。王である自分が、見知らぬ男の精を受け入れている事実に戸惑いと、物のように扱われているという被虐の快楽。その両方にどうしようもなく快楽を覚えてしまうのだ。

 男がゆっくりと引き抜くと、セイバーは全身から力が抜けるようにベッドに崩れ落ちた。汗で額に張り付いた金色の髪を指で払いながら、男は満足げに微笑む。

 

「素晴らしかったよ、セイバーさん」

 

男の言葉にセイバーは顔を背けた。まだ息が荒く、喉元から漏れる声には拒絶と同意の両方が入り混じっている。

 

「……ありがとう、ございます」

 

 素っ気ない返答、しかし彼女の言葉とは裏腹に、体は正直だった。初めての絶頂の余韻がまだ全身を駆け巡り、胎内には熱い液体の存在を感じる。まるで自分が道具になったかのような屈辱感と同時に、抗えない快楽への渇望が彼女の心を揺さぶっていた。

 

「でも感じただろう?」

 

 彼女の頬を撫でると、セイバーの肩が小さく跳ねた。その指が首筋を伝い、鎖骨へと降りていく。彼女は思わず身を引いたが、背中に当たる男の腕がそれを許さなかった。

 

「もう……終わりにしてください」

 

 どうしようもない快楽で怖くなって、セイバーは震える声で言った。しかし男の笑みは消えない。彼は彼女の腰に手を回し、引き寄せる。

 

「まだだよ」

 

 男の手が下腹部を優しく撫でる。中に出された精液が体内で温かい塊となり、彼女の意思に反して子宮が疼いた。屈辱と恐怖が背筋を走るのに、同時に体が再び熱を帯び始める矛盾に、セイバーは唇を噛み締めた。

 

「私の言うことを聞くんだ、セイバーさん」

 

 男の声は低く、命令的な響きを持っていた。それは不思議なことに、彼女の抵抗する力を思考から奪っていく。

 

「……わかりました」

 

 セイバーの目に涙が浮かんだ。それは敗北の涙であり、同時に従属することへの歓喜の涙でもあった。

 そうしてまた、淫蕩の褥へとセイバーは墜ちていく。

 何度も性向を繰り返し、体力も尽き、朝を迎えたころ、セイバーは身支度を整え、帰宅の準備を整えていた。今日のバイト代だとお金を渡され、それを荷物と一緒にまとめる。

 

「ありがとう、助かりました」

「この程度の些事であればいくらでも……気持ちよかったですし」

「ああ、そ(・)れ(・)な(・)ら(・)も(・)う(・)大(・)丈(・)夫(・)か(・)な(・)」

 

 ぽん、と肩を叩かれた時に頭のどこかで何かが外される音がした。セイバーは一体何の音だろうと考えて、そして一気に顔が青ざめる。私は半日以上ここで何をしていた。愛する者がありながら何をしていた。目の前の男は誰だ。何故見ず知らずの男に――――――。

 

「落ち着いてくださいよ、セイバーさん」

 

 男の声に、混乱が一気に収束していくのを感じる。おかしい、何かがおかしい。

 

「貴様、一体私に何を――――!?」

「何も、とは言えませんね。私がしたのは歓待、あるいは接待です。それを貴女は受け入れた」

 

 魔術であれば、自分には効かないはず。なのになんで暗示のような物を受け入れてしまったのだ。そう悔やんでも時はすでに過ぎ去っている。

 男はセイバーの肩に手を置くと残念そうに口を開く。

 

「貴女が嫌だと言うなら今後一切あなたには関わりません。昨日から今日にかけてのことは誰にも言いませんし、お互い胸の内におさめて無かったことにしましょうか」

 

 男をこの場で切って捨ててしまいたかった。

 しかしそれは平穏な日常を自分で捨ててしまうことになる。それは愛する士郎にも迷惑がかかってしまう。何より自分の裏切りが彼に知れてしまうことが嫌だった。

 

「っ、帰ります。これまでの事は言う通り、無かったことにしてください」

「ええ。セイバーさんさえよければまたいらしてください」

 

 笑顔で見送る男の姿に怒りの炎が燃え上がりながらも、部屋の外へ飛び出し急いで家に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「……おかえりなさい、士郎」

 

 その日の夕方、用事を終えた士郎が帰ってきた。玄関で彼を出迎え、彼の荷物を家の中に運び込む。

 

「……? セイバー、何かあったのか?」

「っ、何か、とは?」

「なんだか、浮ついてる感じがして」

 

 浮ついている、と言われて頭に昨日からの情事が頭を過ぎる。それを振り払うようにかぶりを振り、取り繕った笑みを浮かべて答える。

 

「士郎の料理をいただけるのが嬉しくて浮ついてしまったのかもしれません。ところで凛は?」

「一旦自宅に戻るってさ、たまには一人でのんびり休みたいからって。しっかし、そんなに楽しみにしてくれてたならちょっと気合いれて料理するかな」

「ああ、いえ。そんなつもりで言ったのではなく……」

「気にしなくていいさ、セイバー。俺がやりたくなっただけだから」

 

 にこにこと人のいい笑顔を浮かべる士郎の姿に思わず胸が痛む。経緯は分からないままだが、自分が彼を裏切り見知らぬ男に股を開いてしまったことに変わりはない。いっそ全てを告白して悔い改めてみようか。

 

(け(・)ど(・)彼(・)は(・)黙(・)っ(・)て(・)く(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)。こ(・)こ(・)で(・)全(・)て(・)を(・)話(・)し(・)て(・)し(・)ま(・)っ(・)た(・)ら(・)彼(・)を(・)裏(・)切(・)っ(・)た(・)こ(・)と(・)に(・)な(・)っ(・)て(・)し(・)ま(・)う(・)の(・)で(・)は(・)?)

 

 そう考えて、開きかけた口を閉じる。

 そうこうしていると、士郎は荷物を一旦自室においてキッチンへと向かってしまった。置いていかれたセイバーはふと士郎の使用済の着替えに気が付く。震える手でそれに手を伸ばしてそっと取り上げる。そのまま鼻にそれを持って行き、臭いを嗅ぐ。

 

(汗の、臭い。な(・)ん(・)て(・)こ(・)と(・)は(・)な(・)い(・)、普(・)通(・)の(・)男(・)の(・)人(・)の(・)臭(・)い(・)……)

「あ(・)の(・)臭(・)い(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)、っ、私は、何を言ってるんだ」

 

 こぼれ出た言葉を頭を振って振り払い、士郎の後を追った。

 夕食は丁寧に調理された美味しいものだった。それを味わって食べたセイバーは、食事を終えて後片付けをすませると隣で一緒に食器を洗っていた士郎の手に触れる。

 

「その、士郎。疲れているとおもうのですが、その」

 

 普段はしないような顔で、士郎に求める。その意図は彼にもすぐ伝わったようで、ぴたりと洗い物の手を止め、顔を赤く染めている。何度か返答に詰まりながらも結局は応じてくれた。

 二人しかいない家で洗い物を終え、風呂も済ませた上で士郎の寝室の布団の上に居た。お互い言葉は無く、口づけを交わし、体を絡めながらまぐわい始める。愛情を感じる手つきで愛撫され、性感を高められ、そしてやがて本番へと至る。

 

「いくぞ、セイバー」

「はい、来てください、士郎」

 

 優しく入ってくる彼のモノ。それらを受け止めたセイバーは。

 

(違(・)う(・))

 

 何かが違う。欲している物はこれじゃない。

 そんな思考に頭を支配されていた。確かに愛し合う相手として、彼は素晴らしい人物だと思う。だが違う。自分にはもっとぴったり合う相手が居るはずなのだ、と体が理解している。そしてこの感覚はセイバーにとって地獄だった。例えるなら痒みを感じて体をひっかいているのに、痒みの芯と言うべきところを掻くことが出来ず延々と痒みに蝕まれているような感覚なのだ。

 それが痛みならまだマシだったかもしれない。しかし欲しているのは快楽であり、つい今朝までそれをじっくり体に刻み込まれたのだ。決定的な違和感は、絶大なストレスとなっていた。

 

「セイバー……っ!」

「士郎……」

 

 共に絶頂することは出来た。

 しかし、結局欲しているところまで士郎は届くことは無かった。朝まで繰り返し肌を重ねたが結局満たされることは無かった。朝を迎えて疲労で眠った士郎の頭を撫でながらセイバーは、ぼんやりと外を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 一か月が過ぎた。

 8月が終わってもなお暑い日差しが降り注ぐ街中をセイバーは歩く。足取りはしっかりしており、目的地は決まっている。やがて見えてくるのは見覚えのあるマンション。記憶を頼りに目的の部屋を探して、その扉を見つけるとチャイムを押す。

 少し待てば扉が開かれる。セイバーは二言三言言葉を交わす。そして、自らその扉をくぐって、扉を閉める。その間際に見えたその表情は、顔を赤く染め、淫蕩に塗れた笑顔を浮かべる"女"の顔だった。

 

「おかえりなさい、アルトリアさん」




どうでもいい設定
・セイバーに使われたの魔術
神を歓待する儀式魔術の一種。魔術とは言うが一定の手順で相手に自らを受け入れさせることで望みを叶えさせるという魔術というよりは詐術や暗示に近い手法。セイバーに呑ませたものは口食酒の一種で、男の先祖はこの中に自身の構成要素を混ぜ込み相手に呑ませることで、酒を飲む=術者の一部を飲む=術者を受け入れるという照応を成立させることで根源に繋がっていた神に自分たちを根源へ連れて行ってもらおうと考えたが神代が終わり、頼りにしようとしていた神がさっさと退去したことで目論見は崩れ、結果として魔力を必要としない儀式魔術の形骸だけが残り、セイバーを狙った男が偶然先祖返りしていたことで効力を発揮した。
・竿の男
セイバーに一目ぼれするも士郎に先を行かれたため、家に伝わっていた儀式と口食酒を持ち出してセイバーを罠にかけた。なお熱中症自体はマジでなりかけてたためセイバーが気まぐれで公園に来なかった場合ワンチャン熱中症で倒れて死んでた可能性があった。

ボツ案
最後のシーンをセイバーと一緒に遊ぶ子供の視点で見させて、セイバーの情事の音を聞いて性癖がぶっ壊れるシーンを描こうと思いましたが冗長すぎると判断してオミット。
次回作を作るとしたらこれを導入にするかも?

練習のために色々とリクエスト募集中
つきましては以下にお題箱を載せますので
(1)書いてほしいキャラクター
(2)書いてほしいシチュエーション・プレイ等
(3)参考資料になりそうな作品(商業・同人問わず)
を教えていただけると幸いです。
URL:https://odaibako.net/u/Rensyuukunnitigou
なお全部をお答えいただく必要はありません。
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