※この作品はR-18です。

運命の流転   作:れんしゅうくん1号

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桜吹雪(1)

 間桐桜はここ最近、少しばかりすっきりとした気分を味わっていた。

 何が原因かは分からないがそうなる前は体が疼くというか、物足りなさを感じてストレスを感じていた。しかもその物足りなさが何から来るかも分からずもやもやとした気分を抱かせストレスを加速させていたのだ。それがある日何(・)か(・)の(・)夢(・)を見た時から改善の兆しを見せた。その後数日はまた元の状態に傾いていったが、また夢を見たという感覚があった時は再び不満足感が解消されたのだ。

 

(私は何の夢を見ているんだろう。普段の行動で満足出来ないことを満足させる夢……)

 

 いくつか思い当たる可能性はある。だがその中で一番嫌な可能性を考えると、そうでなければいいなという思いがある。好(・)き(・)な(・)人(・)と(・)そ(・)う(・)い(・)う(・)事(・)を(・)し(・)て(・)い(・)た(・)夢(・)な(・)ら(・)い(・)い(・)け(・)ど(・)、自(・)分(・)を(・)満(・)足(・)さ(・)せ(・)る(・)た(・)め(・)だ(・)け(・)の(・)享(・)楽(・)の(・)夢(・)な(・)ら(・)最(・)低(・)だ(・)。夢は深層心理の顕れともいうけれど、自分の性根がそこまで墜ちていないと思いたいから。

 

 

 

 

 夕食用の食材を買い込もうと近所の商店街を訪れる。

 スーパーでの買い物もいいが、商店街だとたまに珍しい食材に巡り合えることもあるので桜はこちらに好んで来ていた。以前は鮮魚屋に何故かキャビアが並んでいたこともあったりした。陳列棚に並べられていたのを見かけたときは思わず綺麗に二度見してしまって先輩(衛宮士郎)に笑われたものだ。

 

 今日も何かいい品は無いかなと思いつつ、元々予定していたホワイトシチュー用にニンジン、ジャガイモ、玉ねぎ、鶏むね肉などを買い込んでいく。そうしているとふと誰かに見られているような気がして、周囲を見回す。すこし探せばこちらをじっと見ている子供がいることに気が付く。

 誰だったかな、とちょっと考え込んでそういえばセイバーさんがよく遊んでいる子の内の一人だったなと思い至る。そういえば買い物帰りに公園で遊んでいたのを見た覚えがある。

 彼に笑いかけながら小さく手を振ると、びっくりしたような顔をして慌ててどこかへと走り去っていく。それを見送った桜はきょとんとした顔で振っていた手を下ろした。なんだか逃げ出していったような気がするのだがそんなに怖がられるような印象を覚えられることを彼にしただろうか。

 

「心当たりは無いんだけどな」

 

 わざわざ追いかけていく必要もないが何となく腑に落ちない。

 まあいいかと気を取り直して、必要な物は買ったので買物を切り上げて家に帰る。ポストに入れられた諸々の散らしを回収してあとで確認するために机の上に置いておく。

 調理を開始して一通り仕込みを済ませた後タイマーをセットしてホワイトシチューを煮詰める。その間にちらしの確認でもしてしまおうかと机に置いておいたちらしを手に取る。スーパーの特売、地域の催事のお知らせ、紋様が書かれた紙、ごみ捨ての仕分けの仕方の変更などい(・)つ(・)も(・)見(・)る(・)よ(・)う(・)な(・)ち(・)ら(・)し(・)ば(・)か(・)り(・)だ(・)。

 

「うーん……」

 

 何(・)と(・)な(・)く(・)買(・)い(・)忘(・)れ(・)が(・)あ(・)る(・)気(・)が(・)し(・)て(・)外(・)出(・)し(・)よ(・)う(・)か(・)迷(・)う(・)。何(・)を(・)買(・)い(・)忘(・)れ(・)た(・)か(・)も(・)分(・)か(・)ら(・)な(・)い(・)が(・)、(・)と(・)に(・)か(・)く(・)外(・)出(・)し(・)た(・)い(・)気(・)分(・)だ(・)。

 十分ほどすれば煮込むのも終わる。そのタイミングで出掛けよう。そう決めてメモ書きに義兄と義祖父へ食事を済ませておくように書き置きして上着を身にまとってそっと家を抜け出した。

 暗い夜道をふらふらと当てもなくさ迷い歩く。どこに行こうとしてたんだっけとか、何をしようとしてたんだっけとか、そんな考えが過ぎるが手に持った紋様のチラシを見るたびにそんな考えはするりと抜け落ちた。やがて足は人の気配の無い河川敷に向いた。

 

「あれ、私なんでここに」

 

 気が付けば、河川敷の土手を下りて草むらにぽつんと立っていた。ぼんやりとした意識のまま、夜風に吹かれたチラシがどこかへ持っていかれる。その行方をぼんやりと目で追いかけているとパチンと空気がはじける音がした。何だろうと振り向こうとしたところで、体を貫く衝撃が走る。全身の筋肉が収縮したような感覚を感じたその時にはすでに桜の意識は、消えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこかで水が滴る音がする。

 浮かび上がってきた意識に、ゆっくりと目を開けると薄暗いコンクリート張りの広い空間に居ることが分かる。寝起きのぼんやりとした頭で周囲を見ると沢山の机が並べられ、机一つ一つにビーカーやフラスコなど実験器具が並べられている。何かの実験をしているのか、机毎に薬品が置かれている。

 

「ああ、起きたかい」

「誰、ですか?」

「私はマキリ・ゾォルケン。海外の魔術師さ」

「ゾォルケン……?」

 

 何となく、祖父と似たような響きの名前だ。マキリも自分の苗字を別の読み方にすれば同じような苗字になる。

 困惑する桜の表情を読み取ったのか、マキリは穏やかな笑みを浮かべて満足げに頷く。その所作はどことなく学校の先生を思わせる。

 

「聡い子だ。魔術において名は重要な要素の一つ、似通った名前ならそこに何かの繋がりがあると考えるのは妥当だ。お察しの通り、君の祖父、間桐臓現は数百年前の私の祖先と兄妹の間柄にあったんだ。当時彼は天才と呼べる才覚を発揮していてね、私はそれにあやかってその名をいただいたんだ」

「じゃあ、分家みたいなものってことですか」

「そう。当時の臓現殿はこの地に移り住み、根源へ至る大偉業を為そうとした。しかし失敗して万が一があっては困る……ゆえに兄妹である我が先祖にマキリの業の一部を残して分家として残した」

 

 歴史の授業の様に語るマキリ。しかしそこで表情を残念そうなものに変える。

 

「そこから数百年。いまだ大偉業たる聖杯は完成を見ない、それどころか破綻の様相を呈し、臓現殿そのものも腐り果てようとしている」

「おじいさまが、腐り果てようとしている?」

「君にも覚えは無いかい? ありていに言えば、ボケてきているとか」

「そう言えば、朝食の後に朝食はいらないとか言われたことが」

「む、本格化しはじめているか。魔術刻印の回収も考えたが……やめた方が良さそうだね。繰り返した延命のための自己改造で刻印そのものも変質しているだろうし、刻印を奪われないための罠をおびただしいほど用意してそうだ」

 

 仕方ないと言いつつもったいなさそうと内心思っていそうなマキリ。

 彼は机の横のビーカーを手に取ると、ひょいと呷って飲み下す。異常な色の煙が出ていたので人が飲むようなものではないと思っていたので、いきなり目の前で飲まれた桜はぎょっと目を見開く。

 

「ん? ああ大丈夫さ、体調を整える薬みたいなものだからね。死ぬほど不味いけど」

「明らかに人が口にしていい色をしてませんでしたよ……?」

「マキリの魔術はある程度の限界に達していてね。継承する魔術刻印も体にかかる負荷が強い。ああ、ここでいう刻印はうちの方にある予備の方の話だがね。で、その負荷を軽減するのに使ってるのがこの薬」

 

 ビーカーの底にわずかに残った薬液を再び口にして、机にビーカーを戻す。

 

「使い魔を操ることがメインだったマキリの魔術を限界とみて方針転換、使い魔へかける魔術を自己強化に変えて延命を図ったのさ。結果薬が手放せないことになってしまったがね。そんな折に見つけたのが君さ」

「私?」

「ああ、臓現殿が用意した他家の名器をマキリに合わせて調整。血が馴染みやすい胎盤となった君は我が家にとっての天啓と言わざるを得ない。君が孕んだ我が子は自家中毒を起こした我が血統の希望の階となるはずだ」

 

 きらきら、そんな擬音が聞こえてくるくらい目を輝かせるマキリ。対してその言葉の内容は自分にとっては忌まわしい過去を思い起こさせるものだった。魔術師として優れた後継を残さなければならないことはわかる。だが自分がその栄光の踏み台として踏みにじられること。そのために自らの肉体を弄ばれること。桜にとっては最悪だった。

 そんな桜の様子を見て取ったのか、マキリは数並ぶ机の一つからビーカーを一つ取り上げると桜に近づいてくる。距離を取ろうとベッドから離れようとしたところで、自分の足がベッドに鎖でつながれていることに今更ながら気が付いた。マキリは桜の顔をわしづかみにすると無理矢理口を開かせて薬を流し込む。

 

「んぐっ!? や、むぐぅっ!!」

 

 薬を拒もうとしても万力のような力で抑え込まれ、飲み下すまで体の自由を奪われる。マキリは流し込み終えたビーカーをベッド脇に投げ捨てると桜の唇へと口づけを落とす。力づくで口を開かれて舌をねじ込まれる。流し込まれる男の体液が薬と交わって体内に流れ込んでいく。

 どくん、と体の奥が脈動し、血流が早まり、心臓が早鐘を鳴らす。体に起こった異変に、しかしマキリは止まることなく舌で口内を舐ってくる。歯茎を舌先でなぞり形を確かめ、歯を一本一本舐めていく。舌を絡ませて唾液を吸い取ったかと思えば、口内全体を探り敏感な反応を示すところを突き止めようと探ってくる。

 逃げようと体を離そうとするが、抱きしめられて逃げられない。ベッドに押し倒されてひたすらディープキスを延々と続けてくる。

 

「――――――っ!!!!」

 

 息が出来ない。脳が酸欠で苦しみを訴えかけてくるが自分が出来る抵抗が無い。頭痛と白く明滅する意識、押し倒されたまま自分に馬乗りになって舐ってくる男の臭いが頭の中に刻み込まれていく。

 そういう状態がどれくらい続いただろうか。唐突に呼吸が出来るようになった。新鮮な空気を求めて呼吸する自分の体は、ぐったりとベッドに倒れ伏していた。はあ、はあ、と息を整える自分に男はまた机から一つビーカーを取りあげると桜の口の中に流し込んだ。こく、こく、と抗う事も出来ずまた薬を飲んでしまう。そしてまた、口づけを落とされる。

 

「やめ……んっ!!?」

 

 何とかやめてください、と声を出そうとしてまた口は塞がれてしまう。こうしているとかつて受けた凌辱の記憶がよみがえってくる。蟲蔵に押し込められて、体を蹂躙されつくしたあの時のことを。

 だが今回はそれに比べればまだ優しい方だ。ただただキスをされているだけ。何かを飲まされているが、多分興奮剤のようなものだろうと思う。そう思って。

 

「桜、何をやっているんだ?」

 

 ありえない声が聞こえた。

 あの人はここには居ないはずだ。家に居て、あの優しい家で穏やかな時を過ごしていて。けれど間違いなく声は聞こえている。視線をほんの少しずらすとベッド脇にあの優しい先輩がいる。何度失敗しても高飛びを繰り返していたあの先輩が。途端に、自分の状況が恥ずかしくなって、マキリを突き飛ばそうとするがびくともしない。校内を舐られたまま服を乱雑に引きちぎられ、下着を露出させられる。

 白く細長い指先が、フロントホックの金具を外す。たわわに実った乳房は自重に従って形を変えながら揺れて、その姿を露わにした。マキリは包み込むようにその乳房を握り込むと人差し指と親指で乳首を擦りながら揉みしだく。じっくり、じっくりと念入りに揉み込まれる乳房に男の手の感触がダイレクトに頭に叩き込まれる。それが魔術師の母体としてだけではなく女としても求められているという事が如実に理解できてしまう。かつて蟲に這いずり回られた肉体を、今度は愛欲の手が這う。両者の違いなど明確だ。

 

「っ、っ!!」

 

 ピン、と指先で乳首を弾かれると白く明滅する意識にさらに衝撃が走る。

 じっくりとなぶられ続ける胸に段々と性感が高まっていくのが分かる。股がじっとりと愛液を垂らし、求めているのを意識的に無視しようとする。だが、呼吸を奪われて刺激され続けることからは逃れられない。

 秒単位で体の感覚が敏感になっていく。もう少し、もう少しだけと体が快感を許し始めている。どれだけダメだと自戒しても進行を抑えられない。

 

(もう……ダメ……!)

 

 そこで、マキリは桜を解放した。急に解放されて、いじくられていた胸も放り出され、呼吸を再開することも出来る。ばくばくと高鳴る心臓と酸素を求める肺と取り込んだ酸素を急いで全身に行きわたらせる血流。

 マキリはベッドから離れてまた自分の薬を水代わりに飲んでいる。快感は引き潮の様に引いていく。呆然と彼の背中を見つめていると事務用の机に座り、コーヒーを味わっている。一人だけ満足したかのような姿にかぁっと怒りが湧き上がってくる。私(・)は(・)満(・)足(・)し(・)て(・)い(・)な(・)い(・)の(・)に(・)、と。

 

(違う、私はそんな)

 

 はっと我に返り首を横に振って慌てて身なりを整える。出来るだけ見られないようにマキリから背を向けて。

 拘束されて逃げられない状況で、それでも服こそが自分を守る鎧だと儚い願望にすがりながら桜は何とか身を守ろうと必死だった。また唇を奪われて、先輩に幻滅されないように。

 

(あれ、そうだ……先輩の声が聞こえた気がしたのに、なんで)

 

 そもそも先輩は居ないほうが当たり前だ。もしかすれば、薬か酸欠か、どちらかで幻覚や幻聴を聞いてしまったのかもしれない。そうだ、そうに違いない。頭の中でそう結論付ける。

 そうしてしばらく後、桜は再び唇と胸を凌辱される。酸欠に追い込まれ、快楽を与えられ、しかし絶頂だけはさせてもらえない。そんな状況を繰り返し与え続けられる。

 もやもや、もやもや、と体の中に不満が溜まり続ける。こちらの意は組まず凌辱する癖に決して一線は超えてこないことに、桜はもどかしい感覚に襲われる。だがその一線を越えることは桜自身も許せないことだ。好きな人は姉とその従者に取られてしまったが、今でも好きなことに変わりはないのだ。自分の世界に彩りを与えてくれた人を裏切りたくはないのだと。

 桜は耐えた。耐えて、耐えて、耐えて――――――――。

 

 そして自室で目を覚ました。薄手の肌着を着て、ベッドに横たわっていた。

 あれは夢だったのだろうか、そう思いながら肌寒さを感じて何か着ようとクローゼットを開く。温かい服を着ようと見繕っていると、ふと扉に備え付けられた全身を見れる鏡が目に入る。いや正確に言えば、薄手の肌着から透けて見える、自分の下腹部に刻まれた紋様に。

 桜は手に持っていた服を取り落とし、手を下腹部に沿える。思い出される、夢の中の、夢の中と思い込みたかった出来事。

 ずくり、と、女の胎が求める衝動を訴えた。




補足事項
・マキリ・ゾォルケン(新)
マキリの分家筋の末裔。魔術の方針転換で苦しみつつもギリギリ魔術家系の断絶から免れるも捻じ曲げてしまった代償で体に常に大きな負荷がかかっているため自作の魔女の薬を手放すことが出来ない。
間桐臓現の現状を見て、彼のようにはなりたくないと決心。魔術回路も臓現専用に長い間定着しすぎもはや継承も不可能だろうと見切りをつけ、彼の資産のみを簒奪しようと画策中。
おっぱい大好き。


練習のために色々とリクエスト募集中
つきましては以下にお題箱を載せますので
(1)書いてほしいキャラクター
(2)書いてほしいシチュエーション・プレイ等
(3)参考資料になりそうな作品(商業・同人問わず)
を教えていただけると幸いです。
URL:https://odaibako.net/u/Rensyuukunnitigou
なお全部をお答えいただく必要はありません。
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