床の大部分が畳になっている和室の大部屋には、複数人の女性がいた。六、七人の黒服――ガンツスーツを着ている女性と、三人ほどの男が丸と同じように和室を見渡している。
冷静になって状況を確認している丸だったが、自分がガンツスーツを半分脱いで勃起中の息子を右手で握りしめていることを思い出し、目の前で興味津々と
ボディラインが浮き上がるガンツスーツは、丸からしたら正義の味方だ。やはり、エロは正義。おっぱいは正義。お尻が正義。むしろ全裸よりもエロいとも言える。
しかしながら、オナニーをしている形の丸を見て悲鳴の1つを上げないのは、一人の女性としてどうなんだろう。ま、エロいからいいか。エロいし。エロいし。エロい。
そんなことを考えていると、手の中の息子が余計に起って、大きくなってしまう。それどころか、右手でこすり始めているではないか。
オナニーのオカズが目の前にあるのに、しないというのは、男としての名折れだ。だから、丸はオナニーをする――。
「何してる? おまん」
「…………」
「だから何してる、おまん! 普通女が目の前にいりゃ、やめるじゃん」
「…………」
「絵理沙、こいつオナニーしてるじゃん! カカ」
カカ、という癖がある笑い方の甲州弁を使う二十代後半ぐらいの女性が座椅子にいる女性を絵理沙と呼んだ。その肩まで伸びたウルフカットの髪が揺れ、悠然とこちらの方に向き直った。
その鋭い切れ長の目が、丸の顔を捉える。唇を舌でぺろりと舐め、微笑む。
「面白いじゃない、変わってる子、嫌いじゃないわ。それに、結構可愛い顔してるしね」
「絵理沙、まさか気に入ったじゃんけ? この男」
「青いのもたまには食べないとねぇ、直子は別のにしなさいよ」
「……分かってるじゃん、絵理沙には従う」
渋々と言った口調で、別の男に顔を向けた直子は猛獣のような笑みを浮かべて、一人の中年男性の腕を強引につかみ、別の部屋に引っ張っていく。
「な、何をするんだお前は! は、離せ!」
「いいから黙って来るじゃん」
「ひ、ひぃいい!」
中年男性の抵抗を何なりと力で勝ち、隣の部屋に連れ出していく直子。それはガンツスーツの力のおかげだろう。
二人減った大部屋の中、依然オナニーをしている丸の下に、絵理沙が尻を揺らすようにして、歩いてくる。
――エロいお姉さんがどこかに行ったけど、なんかもっとエロい人来た! 最高!
しかし、絵理沙という女性の前に、浴衣のような和服を着ている髪の長い女性が立ちはだかった。
――ケツでかお姉さんきたー! おっぱいもめっちゃでかいし、ここまじで楽園か!
「絵理沙……まだ年若い坊やよ、使い潰すのはやめなさい」
「――艶子、退いて。別にすぐに消費する気なんてないわよ、じっくり楽しむだけ。若い子は貴重だから」
「……そう、私の分も残しておいてね。坊や、後でね♡」
和服の女性は丸に振り返り、片目でウィンクを送る。結構積極的な女性が多いんだなと丸は驚きながらも、内心歓喜してウィンクを返そうとしたが両目を閉じて失敗した。
そして丸の前に立った絵理沙が、丸のことを優しく抱きしめ、畳の床に押し倒す。
押し倒された丸は、今度は強引に唇を絵理沙に奪われる。
「――――」
舌を口の中に入れられながら、丸の勃起した一物をその手で触り、五指を使って擦ってくる。
「どう、気持ちいいかしら? ねぇ、貴方オナニーしてたけれど、変態なの?」
冷たい手が丸の熱くなった肉棒を握りしめ、巧みな指使いで翻弄をされる。他人の手コキに慣れていない丸は、気持ちよさで頭が真っ白になる。
気持ちいい。もっと早くしてほしい。そうすれば、射精が出来そうだ。
「ダメよ、そんなことしたらすぐに終わっちゃうじゃない、こういうのはゆっくりと楽しまないと勿体ないじゃない? ねえ♡」
「……っ、早くして」
「もう、せっかちなんだから♡ 少しだけよ♡」
肉棒の先から溢れている我慢汁が、ローション代わりとなってネチャネチャという卑猥な音が鳴る。
しこしこ。しこしこと、指で輸送されるたびに、快感が上がって射精感が昇ってきて、きつくなってきた。
「もうでそうなの? まだ本気じゃないのに、早漏チンポなのね♡ まだダメ、出しちゃダメ」
「もう、出そう……」
「ダメ♡ 出しちゃダメよ♡ 名前なんて言うの? 貴方」
「つき、かわ、まる」
名前を聞かれ、たどたどしく答えながら丸は射精するのを堪え続けていた。しかし、もう限界だ。出したい。イキたい。
「月川、丸? 可愛らしい名前ねえ、丸……♡ 出したいの? 精液……どうしても出したいっていうなら、お願いしなさい、私に♡ 出したいって♡ 早漏ダメちんぽ出したいです、ほら……」
「……出したい……です、イキたい」
「ダメ、ちゃんとお願いしないと、早くしないわよ♡」
手コキの速度が遅くされ、快感が緩やかになる。それが切なくて、腰がびくびくと震え、上下に動く。
「腰ぴくぴくして可愛い♡ そんなに精液出したいの? ぱんぱんに膨れ上がったダメちんぽ切ないの? 早く♡ お願いしなきゃ♡」
「そ、早漏……ダメちんぽ、出したいです、おねがいします……ッ」
「偉いわ、丸♡ いいわよ、早くしてあげる、ほら、精液出せ♡ いっぱい貯めた精液出せ♡」
ばちゅんばちゅんという音が速く鳴り、手コキが今までで最速になる。
射精感がそれと共に上がってきて、快感の電撃がびりびりと迸った。
「イけ♡ 出せ♡ 精液出せ♡」
「……出すッ」
びゅるると丸の一物の先から白濁汁が飛び出して、絵理沙の化粧が施されている顔に、ガンツスーツにかかる。
「はぁ……はぁ……気持ちよすぎ」
「顔までかかるなんて、若いってやっぱりいいわぁ……♡ 女の子みたいで可愛いし、これは良い物を手に入れてしまったわね……」
「なんでこんなことしてくれるんだ……? ありがとう……名前はなんていうんだ、お姉さん」
「私は、
絵理沙はそう言って、丸に手を差し伸べた。自分の精液まみれで、咄嗟に避けようとしたが、それは失礼かと思い、その手を取る。 後で洗おう。
「ガンツ……あれ……、ていうか、華凛達いないのか? 教室じゃない? 旅館? 別のところなのか? どうなってるんだ? こういうのもあるのか、他のところにも行くっていうか……分からねえ」
「何を言っているのか分からないけど、もしかして他の県の所から来たの? 珍しいわね、どこからきたの丸」
「俺は……、埼玉県から来た」
「埼玉チームねぇ、あそこは強いのが死んだって噂で聞いたけど……まだ続いてたのねえ」
「強いの? 飯田さんのことか? 確かに飯田さんは強かったけど……ていうか、他の県にもガンツはあるんだな」
「あるわよ、全国にいっぱい。世界中にも」
「へぇ、詳しいな」
「それはもう、ずっとここにいるから、私。山梨チームのリーダーをずっとやってるの」
「山梨県の……、そういうことか」
もしかしたら山梨県内の電車に乗っていたから、山梨県のガンツに呼ばれてしまったのかもしれない。東森学園のガンツとここのガンツが同じなのかは分からないが、大方ガンツと同じだと考える。
ミッションの敵を全部倒し、生還すること。それがガンツのルール。
ふと隣の部屋から、パンパンという音が聞こえてきて、丸はそちらに行こうとして、
「きっしょ」
「まじ、もも生理的に無理なんだけド-」
丸が来てからこの部屋にいる赤髪の少女と、桃色髪の少女が丸のことを罵倒してきて、足を止める。二人ともガンツスーツを着ていた。
赤髪、苺色といったほうが近い色の少女はAカップぐらいの胸のサイズで、桃色のほうはかなり大きい。
JKだろうか? 見た目から予想して。中学生にしては発達がある。
「何だ、お前ら」
「さっきオナニーしてたよね? キモイ」
「梶原さんに手コキされてすぐに出して早漏なのかナー? お兄さんなさけなーい」
「うるさい! 気持ちよかったんだからしょうがないだろ! 高校生かお前ら?」
「いきなり歳確認してくるなんてキモイ」
「JKだったらどうするノ? 襲っちゃうのかな? ももたちを」
「そうしたら殺す。桃、こんな奴と会話なんてやめよう」
「いいじゃん、同じくらいの男の子なんて初めてなんだシ、いちご」
「苺……桃……名前の通りだな……髪色……染めてるのか?」
「だったら? キモイから詮索してくんな」
「そうだヨーいいでしょう、可愛いでしょうキュートでしょう!」
「うん、可愛い」
「きっしょ」
「へぇ、結構素直なんダ」
苺の方は丸のことを睨んで不快そうにしているが、ももの方がニヤニヤと微笑んでいる。仲いいのかな? 二人と丸は思う。
更にその後ろで窓の近くで座っているのは、伏し目がちで影がある女性だ。大人の雰囲気があるので、30代はいっているかもしれない。なんというかみ人妻、未亡人というオーラを醸し出している。個人的に丸の好みだ。ママ、と呼ぶことにしよう。
その傍に立っているのが、背中に黒い大型の弓を背負った背の高い少女。こちらは大学生くらいか? あんな武器もあるんだな。
そして一番奥の壁際にいるのが、ガンツスーツを着た上にフードコートを羽織った背の低い少女。何やら触れにくい雰囲気を纏っている。ボッチというか、こっちに来たら攻撃するぞというオーラがある。
他には、20代を過ぎた青年とスーツを着たサラリーマンがいるが、この状況に混乱している様子だ。この二人はガンツ初心者か。後は先ほど隣の部屋に連れていかれた男性だが、パンパンとまだ音が聞こえ続けている。卑猥な音だ。エッチでもしているのだろうか。ずるい。
案の定、隣の部屋をのぞいてみれば、中年男性の上に、最初に丸の目の前にいた甲州弁の女性が腰の上に乗って、セックスをしていた。
そっと襖を閉じ、丸は改めて黒い球のある大部屋を確認する。
『新しい朝が来た♪ 希望の朝~が♪』
黒い球からかなり煩い音楽が流れ、ラジオ体操の曲が始まる。
「ガンツ、今回はスーツを持ってきたからな」