山梨から帰ってきた丸は次の日、佐里の住んでいる青いマンションへやってきた。
昨日は山梨県に行っている最中に他チームのガンツミッションに巻き込まれるというトラブルがあったが、生き残って帰ることができたので結果オーライだ。それに収穫物も、自分の部屋に隠して置いてある。アレが心配だが、今は佐里との約束の方が優先である。
スマホをポケットから出して、佐里からの最後のメールを見る。
【丸くん、日曜日マンションに来てね♡ ぜったいだよ! 来なかったら怒るからっ( `ー´)ノ】
その一通を見て、丸の顔がにやける。これは脈ありだ。絶対にセックスをするのだ。ついに丸も童貞卒業する時がきた。自分も大人の階段を登るんだなと何やら感慨深げな表情をしながら、青いマンションの階段を登っていく。エレベーターを使わないのは、丸があまりエレベーターを信頼していないから。あの上階に移動するときのひゅんとする感覚があまり好きではない。だから、階段を使う方が疲れるがいい。
階段を登り、四階の廊下を歩いて、目的地の408番という部屋の前で立ち止まる。深呼吸したのちに、扉横にあるチャイムを押す。
チャイムを押して直ぐに、扉が開いて佐里が顔を出した。今日も顔が可愛いし、体つきがエッチだ。顔に少し化粧を施しているのが分かった。
「おはよ。丸くん、来てくれたんだ……ありがとう」
「来ない理由がない。上がってもいいか?」
「ん、いいよ。上がって、汚いかもしれないけど」
「気にしないよ、そんなの。俺の部屋はもっと汚いし」
「へぇ、いつか行ってみたいな、丸くんの部屋」
「今度な」
家に入りながら、二人はそんな会話をする。
家に年上の女の子を連れて行くと家族が(妹)大げさに反応するかもしれないから、少し嫌なのだが、自分が相手の家に行っておいて、自分の家だけは来るなというのは卑怯な気がした。
一人暮らしも考えた方がいいか? しかし、家事が苦手な丸に一人暮らしができるか若干不安だ。そういう時に、同棲してくれる彼女がいれば一番いいんだけどな。佐里ちゃんとか、早利ちゃんとか。エッチもしてくれれば更にいい。彼女候補の中で一瞬東森華凛の顔がちらっと過ったが、アイツと丸が付き合っているのが想像できなくて顔をぶんぶんと振るう。
「どうしたの? もしかして緊張してるとか? 丸くん」
「いや、確かに緊張しているのは緊張しているんだけど、平気だ。気にするな」
「そっか、あたしもちょっと緊張してきたかも……なんて、ね」
佐里のさらけ出されている白いうなじに、少し汗が伝っているのが見えた。エロい、もしかしてホントにエッチしてくれるのか!? と丸も興奮してくる。
それにしても、格好がなんというか、薄着で体のラインがそのまま丸わかりだ。佐里の大きい胸が、歩くたびに揺れて誘惑する。
リビングルームに着いて、ソファに座ってと佐里から促され、素直に丸は座る。その横に佐里が座って、身体をかなり寄せてきた。――流石に、露骨じゃないか!? 佐里ちゃん!? 胸が丸の腕に当たっている。柔らかい。
こんなことで動揺している丸は、明らかに童貞だ。
「えっと、あれから元気だったか? 佐里ちゃん」
「うん、なんとか。ミッションは大変だったけど……」
「そうだな、前回はヤバかった。俺一回死んだしな。佐里ちゃんが俺のこと生き返らせてほしいって、華凛の奴に言ってくれたんだよな確か。ありがとなマジで、おかげで今も息を吸えてる」
「あれは、東森さんが決めたことだよ。感謝するなら東森さんに言わないと。あたしは……丸くんが死ぬなんて考えられなかったから、そんなの許せなかったから、だから今も丸くんが生きてて良かった。ホントに……良かった」
そう言って、佐里は丸の肩に頭を寄せて体重を預けてくる。
彼女がここまで丸を心配し、生存していることにこだわっているのは何なのか。好きだからか、それとも丸が彼女を助けたからか。分からない。が、エロいのでどうでもいいと丸は思った。しかし、そこで佐里の声のトーンが変わった。少し低くなった?
「でも、何で東森さんには呼び捨てにして、あたしにはしてくれないの? マルクン」
「え?」
「ねえ、丸くん、どうしてあたしのことは佐里って言ってくれないの? それなのに、東森さんのことは呼び捨てなのかな? 理由、聞いてもいい?」
「それはアイツがそう呼んでいいって――」
そこで丸は急に押し倒され、仰向きの体勢になり、その腹の上に佐里が乗る形に。佐里の目に光が消えているような……?
ビッチに、ヤンデレ……? 丸は、うさぎを狩ろうとしたのに、実は虎の巣穴に入り込んでいたのだ。狩られるのは、丸の方。
「丸くんが、前回のミッションが終わった後、東森さんのこと見る目が変わったこと知ってるんだから。何があったのか知らないけど、丸くん……東森さんのこと好きになった?」
「俺が華凛の奴を? 好きに……? そんなの、ありえねーよ……」
「ホント? ゼッタイの絶対、神に誓ってホントにそう心から言える?」
「――――」
月川丸が東森華凛を好き。
死の間際、高熱の最中、ミッション中にそんなことを錯覚した瞬間はあったが、あんなのは気の迷いだ。華凛の女体は好きでセックスはしてほしいが、あくまでもそれは性欲として好きなのであって、心から好きという意味ではない。彼女の高潔な精神は尊敬する。が、そこまで。同じミッションメンバーとしての関係性。名前を呼び捨てにするのも、彼女自身がそう呼べと言ったからだ。それ以外に深い理由はない。ない、はずだ。
「じゃあ、何で丸くんは今、迷ってるの?」
「……分からねえ。アイツの事、まだ知らないしな……。ただ、アイツのしたい事助けてやりたいって、そう思うだけだ」
「そっか……ゴメンね、あたし……変なこと聞いて。
ねえ、あたしはね、丸くん――あなたのことが好きだよ。あたしを助けてくれて、あたしを守ってくれて。そう約束してくれて。何回を助けてくれて守ってくれてありがと、丸くん」
「そりゃあ、守るって俺が言ったしな。当たり前だろ」
「丸くんは当たり前だって思うかもだけど、あんな状況で、自分が死ぬかもって中で、実行するのは難しいことなんだよ。あたしは、出来ないと思うから。だから、丸くんはカッコよくて、強くて、凄くて、あたし好きだなって心から言える」
「佐里ちゃん……」
宮崎佐里は月川丸が好きだ。理由を言えて本心から好きだと言われて、丸は、返答に困っていた。こういう時、なんと返せばいいのだろうか。
全く、自分の童貞さに嫌になる。だからモテないのだ。彼女が出来そうになったことも今まであったが、返答に困って台無しにした経験がある。誰でもそんな経験一つや二つあるだろう。それでもいつかは卒業するのだ。それが大人の階段を登ること。
分かっている。嘘でも、こういう時は相手を好きだと言えばいい。それで丸の望んでいるセックスもできる。分かっているんだけどな。
嘘は言いたくなかった。なぜか今はそう思った。
「俺も佐里ちゃんのこと、好きだぜ。おっぱい大きいし、エロいし。けど、まだそういう目でしか佐里ちゃんのこと見れねえ。そういう下心ばっかの……俺、結構最低な奴なんだ」
「正直なんだね、丸くん……結構傷ついたかも、あたし。うそうそ。まだ知り合ってあんまり経ってないし、当たり前か。大丈夫、これから好きにさせるから、まずは身体だけでも好きになってもらわないとね」
佐里が上半身の服を脱いで、下着姿になり、丸を得物を見るような目で見下ろした。そのまま丸に顔を近づけ、キスをする。
丸はそれを受け入れ、佐里の頭の裏に手を回す。
「ん、むんん……♡ 丸……くん、好き♡」
互いが求め合い、舌を絡める。そのたびに透明な糸が伸びた。
丸は自身に乗っている形の佐里を退かして、代わりに自分が佐里を押し倒す。キスをしながら、手をブラジャーの中に挟み込み、胸に触る。胸を獣のように弄り、呼吸が荒くなっていく。
「いいよ……丸くん、来て♡ エッチ、しよ」
「……いいのか?」
「うん、許可します。今、脱ぐね……丸くんも脱いで」
「緊張するな」
「あたしも、緊張してるから、だいじょうぶ」
「佐里ちゃんもするんだな」
「ドキドキしてる……すごい、高鳴ってる、丸くんとエッチするって考えたら」
「俺もだ」
互いに脱いで、生まれたままの裸となる。
佐里の胸が露になり、桃色の綺麗な乳首がぴんと立って存在を主張していた。
全身の毛は脱毛しているようで、つるつるだ。あまりにも魅力的な体つきだ。こんなエロい大学生を今から丸が犯すのだ。
実に背徳的でエロい。童貞卒業の相手としては、不満が一つもない。
丸の男性器も完全に勃起していて、真っ直ぐに反り立っている。それをまじまじと佐里が見つめていて、更に興奮してしまう。
「丸くん……エッチすぎない? もう起ってるの? やっぱり、丸くん良い体してるよね、あれだけ動けるのに納得しちゃう。顔も可愛いし、童貞じゃなさそう」
「童貞だぜ……正真正銘の。でも、今から卒業させてくれるんだろ?」
「そうだよ、あたしが丸くんの初めてになるの♡ それって、興奮する♡ フー……」
佐里の目がやる気になっている。もはや草食獣を狩る肉食獣の目つきだ。
そういえば、ビッチなのだったと思い出す。
ビッチだし、経験は多いのだろう。女大学生なんてそういうものだ。
セックスに積極的な女の子は好きだ。たまらなく。そういう意味では、さっきの答えは好きだと言えたのかもしれない。
おっぱいを揉みしごきながら、股間を触ると、既に濡れていた。
「エロ……なあ挿れていいか、俺……もう」
「……ん、いいよ、来て♡ 挿れて♡」
「分かった……」
既に傍にゴムが用意されていて、それを丸は付けた後。正常位の形で見つめ合い、丸はゆっくりと佐里の性器にペニスを挿入させた。前に調べて玩具で練習していたおかげか、すんなりと入った。
狭い膣の中に丸のモノが絞られて、一回奥に進めるだけで射精しそうになる。膣内がキツくて気持ちよすぎる。
男根の全体が膣に入り切り、根本まで快感が押し寄せてくるが我慢。
ピストンをゆっくりと開始する。
ぺちゃぴちゃという粘液音がして、次第にパンパンと高い音が鳴ってくる。
「きもち、いい♡ 丸くん、気持ちいい♡」
「これが、セックスかよ、何で俺今までしてこなかったんだっ」
「癖になっちゃうでしょ♡ これから何回でもしていいんだからねっ♡ アん♡ あたしのこと呼び捨てにしてっ……♡」
パンパンパンパン!
丸は一心不乱に腰を振った。
視界が熱で歪み、鼻腔には佐里の甘い香りと、混ざり合う体液の匂いが充満する。初めて知る本物の女の柔らかさと、自分を締め付ける膣内の圧。そのすべてが丸の脳を真っ白に焼き切ろうとしていた。
「ああ……っ、佐里……! すごい、これ……っ!」
「丸くんの、おっきい……っ、あ、奥まで……当たってるぅ、あぁんっ!」
佐里の白い脚が丸の腰に絡みつき、逃がさないと言わんばかりに引き寄せられる。彼女の胸は激しい動きに合わせて波打ち、尖った乳首が丸の胸板に擦れては、新たな快感を生む。
経験豊富なはずの佐里も、丸の若く力強いピストンに翻弄されているのか、その瞳は潤み、完全に蕩けている。
「もっと、激しくして……っ! 丸くん、めちゃくちゃにしてっ♡」
「っ、ああ……!」
丸は本能のままに速度を上げた。
パンパンパンパン! と、肉と肉がぶつかる音が部屋に鳴り響く。
これまでの地獄のようなガンツミッション、死への恐怖、すべてがこの瞬間の快楽に塗り潰されていく。生きている、自分は今、確かに女を抱いて生きているのだという強烈な実感が、丸の絶頂を加速させた。
「佐里、もう……出る、出すぞっ!」
「いいよ、丸くん……全部、あたしに頂戴……っ! ああぁぁっ!」
丸は佐里の体を強く抱きしめ、最後の一突きを深く、子宮の入り口を叩くほどに叩き込んだ。
熱い衝撃が駆け抜け、ゴムの中に確かな重みが解き放たれる。
丸の視界が白く爆ぜ、二人は折り重なるようにしてベッドへと沈み込んだ。
これがセックス。童貞を捨てた感覚。大人の階段は、こんなに素晴らしいモノだったのか。
静寂が戻った室内で、二人の荒い呼吸だけが重なり合う。
丸は佐里の肩に顔を埋めたまま、ドクドクと脈打つ自分の心臓の音を聞いていた。
佐里の温もりが心地よくて、丸はしばらく動けなかった。
「……すごかったね、丸くん。初めてなのに、あんなに激しいなんて」
佐里が愛おしそうに丸の髪を撫でる。その声は、先ほどのヤンデレじみた冷たさは消え、慈愛に満ちていた。
しかし、丸はその優しさに包まれながらも、心のどこかで一瞬、あの高潔で不器用な東森華凛の冷徹な瞳を思い出してしまった。
――何で今、俺、アイツのこと思い出したんだ? まあ、いっか。
「丸くん、あたしのこと守ってね……」
「あぁ、そうだな」
そして、佐里の身体を再び丸は求める。