翌朝。 昨夜の、肌と肌がぶつかり合った獣じみた熱情など、まるで存在しなかったかのように、西住家の朝は静謐な秩序に満ちていた。 清々しい朝日が差し込む広間で、私、しほ、そして常夫は、完璧に整えられた和朝食を囲んでいた。
「いやあ、懐かしい。君が君のお父様の『お付き』でいた頃、連盟のパーティで大立ち回りを演じた方がいたね。タンカスロンがどうだか言っていた」 常夫が、湯豆腐を小鉢に取り分けながら、楽しそうに目を細める。
「ああ、覚えてるよ。あの時の常夫はまだ学生で、隅の方でしほの手を握ろうとしては、彼女のお祖母様に睨みつけられていたな」 私がそう言ってからかうと、しほは「昔の話ですよ」と、完璧な淑女の笑みで応じた。 その横顔は、昨夜、私の下で快楽に歪み、声を殺して喘いでいた女と同一人物とは到底思えない。涼やかな目元。僅かに紅を引いた唇。寸分の隙もなく着こなされた淡い色の訪問着。
(…化け物だな、お互いに) 私は内心で自嘲した。 昨夜あれほど貪り尽くしたというのに、彼女は常夫の妻、西住流の次期当主として、完璧にそこに在る。その首筋に、昨夜自分がつけたであろう鬱血の痕跡など、巧妙な化粧か襟合わせによって微塵も感じさせない。
「あの頃は、まだ流派同士も、今よりずっと殺気立っていましたから」しほが、静かに味噌汁をすする。その所作一つとっても、洗練の極みだ。
「違いない。……まあ、おかげで私も、見る目を養わせてもらったがな」私はそう言うと、箸を置いた。 「ご馳走になった。……さて、そろそろ行かねば」
立ち上がる私に合わせ、しほも常夫も席を立つ。 玄関まで、三人で並んで歩く。その空気は、長年の付き合いがある、気心の知れた友人同士のそれだ。
「次は、いつ頃来るんだい?」 常夫が尋ねる。
「さてな。でも、そう遠くないうちに来る。……大会もあることだし、何かと西住流には用ができるかもしれない」
私は、玄関先に用意されていた高級な革靴に足を入れた。「黒森峰への公式訪問は最後だな。あの子が、
「……よろしくお伝えください。指導はしっかりと受けるようにとも」 しほが、深々と頭を下げる。その言葉が、「戦車道の指導」だけを意味していないことを、その場にいる三人は痛いほど理解していた。
「ああ」 私は短く応えると、待ち構えていた黒塗りの車に乗り込んだ。 常夫としほが、門の外まで出て、車が見えなくなるまで見送り続けている。
車が角を曲がり、屋敷の姿が完全に見えなくなった。西住家へ向かった後はいつも憂鬱になる。
(……結局、そうだ) 私は、シートに深く身を沈めながら、自問する。(私がしほを抱けるのは、「スポンサー」だからだ)
西住流の存続と勝利。その対価として、あのひとは俺に身体を差し出す。流派としての「接待」。昨夜のあの情交も、彼女の絶頂も、すべてはその「取引」の枠組みの中にある。私は、私の持つ金と権力によって、身体を得ているに過ぎない。
(……だというのに)
脳裏に、今朝、玄関先でしほの隣に立っていた、常夫の姿が浮かんだ。 あの穏やかな、人の良さそうな、しかし全てを「理解」している男。
(……羨ましい、か)
その感情が自分の内側から湧き上がってきたことに、私は内心、激しく驚いていた。
この私が? 権力と金は腐るほどある私と、西住流次期当主の夫とはいえ、覆せぬ差のある彼を。
だが、事実はそうだった。常夫は、金も権力も、私の足元にも及ばない。しかし、あの男は「夫」だ。
しほの、西住流でもなく、接待する女でもない、素顔の日常を知っている。朝起きた時の寝ぼけた顔も、体調を崩した時の弱った姿も、全てを。 私が金と権力で買う、あの刺激的で背徳的な「夜」ではなく、平凡で退屈かもしれない「日常」を、彼は独占している。
(……今更、か)
学生時代、遠くから眺めるだけだったあの淡い恋心。 常夫がいたから諦めたはずの、あの小さな感情の残滓が、これほどの年月と、これほどの権力を手にした今になっても、まだ自分の中に燻っていた。 その事実には我ながら呆れるしかない。
西住の屋敷があった熊本の、湿り気を帯びた温暖な空気とは対照的に、サンダース大学付属高校の学園艦が停泊する太平洋上のドックは、突き抜けるような青空に恵まれていた。私を乗せた車が、巨大な航空母艦を改装した学園艦の甲板に上がると、鼓膜を破らんばかりのマーチングバンドの演奏が鳴り響いた。西住流の、あの穏やかな静寂とは、あまりにも対照的な「歓迎」だった。
タラップを降りた私を待ち受けていたのは、その音楽に負けないほど眩しい笑顔だった。「ウェルカーム! スポンサー様!」 金髪の長髪を快活に揺らし、パンツァージャケットの胸元を、他のどの生徒よりも大きく開けた少女、サンダース大学付属高校戦車道チーム、その隊長のケイが、両手を広げてを迎えてくれる。その腕は、健康的な肌を惜しげもなく晒していた。
「相変わらず派手な出迎えだな、ケイ君」私は、昨夜の西住家の濃厚すぎる情事の気怠さを内心に隠しながら、サングラスを外した。しほの、あの責任と覚悟に濡れた瞳とは真逆の、ケイの底抜けに明るく、しかし全てを計算し尽くした営業用の瞳が、真正面から見据えている。
「ベスト・スポンサーには、ベスト・ウェルカムを! それがアタシたちのやり方ですから!」 ケイはそう言うと、周囲の目など一切気にせず、ごく自然な動作で私の腕に自らの腕を絡めてきた。ジャケット越しに伝わる、柔らかく、そして弾力に満ちた豊満な乳房の感触。西住流の「接待」が「血」と「覚悟」を差し出す重苦しい儀式だとするならば、サンダースのそれは、圧倒的な「物量」と「健康的な肉体」を惜しげもなくアピールする。
遠慮のないボディタッチは、計算されたものではなく、彼女の天性の人懐っこさからくるものだろう。だが、その無防備さが、逆に私の征服欲を静かに刺激した。
「さあ、スポンサー様! まずはアタシたちの『城』をご案内します。先日のご尽力で導入できた最新器具の数々、見ていってくださいね!」ケイは、私の腕をぐいぐいと引っ張るようにして歩き出す。その背後からは、副隊長のナオミが長身痩躯のモデルのような歩き方で静かについてくる。もう一人の副隊長であるアリサは、どこか落ち着きなく周囲を見回しながら、タブレット端末を抱えていた。
「こちらが、我が校が誇る戦略情報室です」通された薄暗い部屋では、アリサが水を得た魚のように、説明を始めた。「スポンサー様からご提供いただいた予算で、通信傍受システムは他校の追随を許しません。ご覧ください、このモニターを。近隣の学園艦の、微弱な通信まで…」
「アリサ」ケイが、その説明を遮った。「権力者様は、そんな『セコい』話を聞きに来たんじゃありません。アタシたちの『強さ』の秘密を、その目で確かめに来たのよ!」
「は、はいっ!」アリサは、慌ててタブレットの表示を切り替えた。
(…相変わらず、役割分担が徹底している)私は職業柄、ケイの腕の感触を楽しみながら、冷ややかに観察していた。情報戦(アリサ)で裏を取り、火力(ナオミ)ですきを窺い、そして隊長(ケイ)がその健康的な肉体とカリスマ性でスポンサーを魅了する。全てが合理的で、無駄がない。西住流のような「血」や「道」といった、非合理的な湿っぽさとは無縁だ。
だが、と思う。これはこれで、悪くない。「血」や「道」といった面倒な前置き抜きに、ただ純粋に、若く健康な肉体を「取引」の対象として差し出してくる。この合理性、この割り切り。それこそが、このサンダースという学園の「強さ」の源泉なのだろう。
「さあ、次です! スポンサー様には、アタシたちがその物量を維持するために、どれだけハードなトレーニングを積んでいるか、ぜひご覧いただきたくて!」 ケイはそう言うと、私をさらに奥の施設へと導いた。
通されたのは、巨大な格納庫だった。そこには、主力であるM4シャーマン戦車が、派生型も含めてずらりと並んでいる。その物量は、他のどの学校をも圧倒していた。
「見ての通り、ウチの自慢はこの物量よ。どんな相手だろうと、数の力で押しつぶす! シンプルで、分かりやすいでしょう?」
「ああ、実に合理的だ。だが、物量だけでは勝てない試合もある。君も、それはよく分かっているはずだ」
私の指摘に、ケイは一瞬だけ表情を引き締めたが、すぐにニッと笑った。
「もちろんよ。だから、兵士の質も落とさないように、トレーニングはしっかりやってるわ。さ、次はトレーニングルームへどうぞ!」
案内されたトレーニングルームは、最新鋭の設備が整っていた。戦車の操縦をリアルに体験できるシミュレーター、射撃の精度を高めるための動体視力トレーニング機器、そして隊員たちの基礎体力を向上させるためのフィットネスジム。そのどれもが、潤沢な資金力を背景にした、最高級のものばかりだった。
ジムでは、多くの隊員たちが汗を流していた。私に気づくと、彼女たちは一斉に動きを止め、敬礼する。
「ヘイ、ガールズ! 気にしないで続けて! スポンサー様は、みんなの頑張りを見に来てくれたんだから!」
ケイがパンと手を叩くと、隊員たちは再びトレーニングに戻っていった。その光景は、まるで軍隊というよりは、大学のスポーツチームのような、明るく風通しの良い雰囲気に満ちている。
一通りの施設を見学し終えた後、私たちはホテルへと向かっていた。
「どうだったかしら、スポンサー様? 私たちの学園、気に入ってくれた?」
「ああ、素晴らしい施設だ。これだけの環境があれば、良い結果が出るのも当然だな」
私は満足げに頷き、そして付け加えた。
「だが、私が本当に見たいのは、こういう『表』の部分だけじゃない。君たちの『本気』は、これから見せてもらえるんだろう?」
私の言葉に含まれた二重の意味。それに気づいたのか、ケイは一瞬足を止め、そして私の顔をじっと見つめた。やがて、彼女はいつもの快活な笑顔に戻ると、自信に満ちた声でこう言った。
「もちろんよ。サンダースの『おもてなし』は、これからが本番なんだから!」
その瞳の奥に、一瞬だけ揺らめいた熱っぽい光を、私は見逃さなかった。
「さあ、スポンサー様」 ケイが、私の顔を覗き込むように、上目遣いになった。その瞳は、先程までの快活なそれとは違う、夜の顔を予感させる、湿った色を帯びている。
「トレーニングをご覧になった後は、ゆっくりお休みいただかないと。……今夜の『パーティ』のために、アタシが特別にスイートをご用意させましたから」
束の間をホテルで休み、その日の夜、私はケイに案内され、学園艦の広大な校庭へと足を踏み入れた。そこには、巨大な天幕が張られ、まるで野外フェスティバル会場のような賑わいを見せていた。カントリーミュージックが陽気に流れ、バーベキューの香ばしい匂いが食欲をそそる。大勢の生徒たちが思い思いのラフな服装で談笑し、その手にはドリンクカップが握られていた。
「どう? これが私たちのやり方よ! 堅苦しいのはナシ! 今夜は思いっきり楽しんでいってちょうだい、スポンサー様!」
ケイは、星条旗を模したビキニの上に、デニムのショートパンツとウェスタンブーツという、実に彼女らしい格好で私の隣で笑う。その無防備な姿は、伝統に縛られた西住家の着物とは対極にある、野性的で健康的な色気に満ちていた。
私が案内されたのは、ステージがよく見える場所に設えられた、玉座のような豪華なソファだった。テーブルには、巨大なステーキやロブスター、そしてよく冷えたビールが並べられている。
「さあさあ、まずは腹ごしらえから! ウチの自慢の料理よ!」
ケイ自らがナイフとフォークを手に取り、分厚いステーキを切り分けて私の皿に取り分けてくれる。その手つきは驚くほど手慣れていた。周囲では、他の生徒たちが物珍しそうに、しかし親しみを込めた視線を私に送ってくる。彼女たちにとって、私は恐れるべき権力者というよりは、パーティーを盛り上げてくれるVIPゲストといったところなのだろう。
食事が一段落した頃、ステージの照明が明るくなり、ケイがマイクを握って立ち上がった。
「ヘーイ、ガールズ! そして、私たちのスペシャルゲスト、スポンサー様! お待たせしました! 今夜のメインイベントを始めるわよ!」
ケイの掛け声に、生徒たちから割れんばかりの歓声と指笛が上がる。すると、ステージ上には、ケイと同じように露出度の高い、チアガールやカウガールの衣装に身を包んだ選抜メンバーたちが現れた。その中には、アリサやナオミの姿もある。
アリサは恥ずかしそうに俯いているが、ナオミは表情を変えずにライフル型の小道具を構えている。
音楽が始まると、彼女たちのワイルドでセクシーなダンスショーが始まった。ラインダンスを踊り、高く足を蹴り上げ、私に向かって悩ましげな視線を送ってくる。それは、洗練された芸術というよりは、もっと本能的で、直接的なアピールだった。彼女たちは、自分たちの若さと肉体の魅力を武器に、私を「楽しませる」という任務を、心から楽しんでいるように見えた。
(……
だが、ここは違う。少女たちが、自らの若さと肉体を「商品」として陳列し、買い手にその価値を値踏みさせている、あからさまな「品評会」だ。彼女たちの瞳に、屈辱の色はない。あるのは、自分のチームのシャーマンに新しいエンジンを積んでほしい、自分のパーソナルマークを大きくペイントしたい、卒業後に良い就職先を斡旋してほしい、という、ギラギラとした「野心」だけだった。
ダンスショーがおわると待ってましたとばかりに、四方八方から少女たちが群がってくる。
「スポンサー様! アタシ、M4クルーのジェニファー! この前の試合、見てくれました!?」 チア姿の少女が、そう叫びながら右膝の上に、何の躊躇もなく腰を下ろした。
「スポンサー様! アタシはファイアフライ担当のメアリー! アタシの撃ち、ヤバくないですか!? もっといっぱい砲弾が欲しいなー!」 バニー姿の別の少女が、左膝に跨ってくる。
「こら!ガールズ!スポンサー様が窮屈でしょ!」 ケイが、女王のように笑いながら一喝するが、その声に本気で咎める色はない。「まあ、いいか。スポンサー様、今夜は『バイキング』です。好きな『リソース』を、好きなだけ、お好きなように、味わってください!」
その言葉を合図に、少女たちの「歓待」は、さらにエスカレートした。一人が、汗ばんだ肌のまま、首に後ろから抱きついてきて、肩を揉み始める。「スポンサー様、お疲れでしょう?わたしのマッサージ、隊長のお墨付きなんですよ?」
一人が、皿に盛られた高級なローストビーフを、フォークで突き刺して口元に運んでくる。「あーん。これ、スポンサー様のために、私が切り分けてきました!」
甘い汗の匂い、アルコールの匂い、そして、無邪気さを装った肉体の匂い。私は、その全てを鷹揚に受け止めていた。昨夜、しほを抱いた時の、あの血が沸騰するような禁忌の興奮はない。その肌を思い出すような、倒錯的な情念もない。
(……安っぽい) それが、偽らざる感想だった。 誰にでも、金さえ出せば、同じように尻尾を振るであろう、この安直な「歓待」。
(……だが) わたしは、膝の上で競い合うように身体をすり寄せてくる二人の少女の腰を、それぞれ片手で掴んだ。(この、圧倒的な『物量』。この、恥を知らない『合理性』……これはこれで、悪くない)
疲れ切った頭で、複雑な「血」の駆け引きをする必要がない。 ただ、目の前に差し出された、若く、弾けるような健康的な肉体を、思うがままに消費すればいい。 西住流が「高級割烹」だとするならば、ここは「ビュッフェ」だ。
「スポンサー様、お飲み物、何にします?」 ふと、静かな声がした。 見ると、いつの間にか、副隊長のナオミが、その長身を屈めて顔を覗き込んでいた。彼女だけは、チアでもバニーでもなく、身体のラインがくっきりと出る、タイトな黒のロングドレスを着ている。「…強いのを」短く答えると、ナオミは静かに頷き、サイドテーブルにあったバーボンを、ロックグラスに惜しげもなく注いだ。そして、そのグラスを手渡す瞬間、彼女の冷たい指先が、私に指に、わざと、ゆっくりと絡められた。
「……っ」その瞬間、膝の上で騒いでいた二人の少女の動きが、ピタリと止まった。ケイも、その光景を横目で見て、口の端を吊り上げる。
(……なるほど) 私は、ナオミの意図を理解した。「量」で圧倒した後、最後に、この学園で最も「質」の高い女を差し出す。それが、サンダースの「接待」のフルコースらしい。
「……ガールズ、ちょっと席を外して」ケイが、それまでの陽気な声を消し、低い声で膝の上の少女たちに命じた。少女たちは、一瞬不満そうな顔をしたが、隊長の命令には逆らえず、名残惜しそうに膝から降りていった。
天幕の中は、まだ狂騒が続いている。 だが、私の周りだけ、ぽっかりと静かな空間が生まれた。 そこには私と、サンダースの「トップ3」――ケイ、ナオミ、アリサだけが残されていた。
「さあ、スポンサー様」 ケイが、自ら私の隣に深く座り直し、その豊満な胸を、今度は隠そうともせず、腕に押し付けてきた。「お楽しみいただけましたか?」「…ああ。なかなか、教育が行き届いている」「光栄です」
ケイは、私の耳元に、その唇を寄せた。
「――今夜は、アタシたち『幹部』が、フルパッケージで、スポンサー様の『投資』にお応えします」
その声は、どこまでも明るく、カラリとして、そして、完璧な「ビジネス」の響きを持っていた。
期待を胸に酒をあおると、バーボンの強い酒精が喉を焼いた。
天幕の狂騒を後にし、ホテルへと戻る。
私はケイ、ナオミ、アリサの「幹部」三人に連れられ、スイートルーム備え付けのジャグジーへと移動した。
「まずは汗を流さないと。アタシたちのメインディッシュは、ここからです」 ケイはそう言うと、自らの身にまとっていたビキニを、何の躊躇もなく脱ぎ捨てた。その豊満な肉体は、トレーニングで鍛え上げられたしなやかさと、女性特有の柔らかさを完璧なバランスで両立させている。ナオミもまた、黒いドレスを静かに脱ぐ。彼女の身体は、長身でスレンダーだが、必要な箇所にはしっかりと肉がついており、まるで精巧な工芸品のようだった。 一番遅れて、アリサが、顔を真っ赤にしながら、もじもじと服を脱いだ。「ほら、アリサ! 権力者様をお待たせしないで!」 ケイに背中を叩かれ、アリサは悲鳴のような声を上げながら、他の二人と共にジャグジーの湯の中へと飛び込んだ。
私もまた、その湯に身を沈める。 そこからが、サンダース流「フルパッケージ」の真骨頂だった。
「まずはアタシから」 ケイが、湯の中で隣に密着し、その豊満な胸を腕に押し付けてきた。 「アタシたちのやり方は、まず『隊長』が味見されることなんです」 彼女はそう言うと、首に腕を回し、人懐っこい笑顔を浮かべたまま、その唇を奪ってきた。
「ん…、ちゅ…、れろ…♥んむ、ちゅぷ…♥……んっ、はぁ…♥」
それは、西住しほとの、あの感情が交錯するキスとは全く違う。 あくまで「サービス」としての、完璧に計算された技巧的なキスだった。 舌が、巧みに私のそれを誘い、絡めとる。
「……ふふ。お上手ね」 唇が離れると同時に、今度はナオミが、背後に回り込んでいた。「隊長だけでは、アンフェアです」その冷たい声と共に、ナオミの、モデルのように長くしなやかな指が、私の首筋から肩、そして背中へと滑り落ちていく。その指は、まるで獲物の急所を探るように、私の快感を的確に探り当て、撫でていく。「私の
「……ここ、ですね……?」
ゆったりとした手つきで私へのを愛撫が始まる。
「ふふ、ピクピクしてますよ……?意外と、せっかちなんですね……♥」
「ひゃっ!」 悲鳴を上げたのは、アリサだった。ケイとナオミによって、彼女は半ば強引に、私の正面へと押しやられていた。「アリサ。これもあなたの仕事でしょう?」「で、でも……!アタシ、心の準備が……!」「いいから!」ケイは、アリサの小さな身体を、私の膝の上へと乗せた。「スポンサー様。こいつ、見た目はこうですけど、アタシたちの中で一番『感度』がいいんです。スポンサー様の『熱』を、一番ダイレクトに受け取れるはずですから」
その言葉通り、アリサの肌は、私の肌が触れただけで、真っ赤に染まり、小刻みに震えている。(……なるほど。ここでも役割分担、か) 戦車道の戦術を、そのまま夜の「接待」に持ち込んでいる。そのあまりの合理性、割り切りに、もはや感心を通り越して、ある種の清々しささえ覚えていた。
ジャグジーでの「前戯」が終わると、三人は、まるで流れ作業のように私をスイートルームのベッドへと導いた。 そこからは、まさに「物量」による飽和攻撃だ。
「スポンサー様、まずはアタシから、
「あぁっ♥!んあッ♥♥!はぁっ、すごい、奥までぇ……届いてっ♥♥♥!!あんっ♥!スポンサー様、最高よ♥♥♥!アタシたちのM4、全部新型にしてくださいねっ♥!あんっ、イく、イっちゃうぅぅッ♥♥♥!!」
彼女は、絶頂の瞬間でさえ、次の「契約」のことを口にした。私が関心する間もなくケイが力尽きたかのように横に倒れると、待ってましたとばかりにナオミが私へしなだれかかる。
「……静かな方が、お好みでは?」
その冷たい瞳で私を見つめながら、まるで精密機械のように、ゆっくりと、しかし的確に、私の快感の核だけを突き始めた。
「……っ♥、……っ♥♥!……ふ、ぅ……。……んっ♥♥♥……」
声は立てない。だが、その肌の紅潮と、息遣いの荒さだけが、彼女が感じていることを示している。 それは、ケイとは全く違う、技術に裏打ちされた「奉仕」だった。 そして、最後。 私が、その二人によって完全に骨抜きにされかけた頃、アリサが、ケイに顎でしゃくられ、おずおずと私の足元へと近づいてきた。
「……あ、あの……わ、私……口しか、できませんけど……」
アリサは、この「フルパッケージ」において、自分に割り当てられた「役割」を、涙目になりながらも果たそうとした。
彼女は震える指で〇〇の剛直を掴むと、意を決したようにその小さな口を開き、先端からゆっくりと咥えこんだ。
「んむ…っ♥ちゅ♥…、れろ…っ♥♥、じゅる…っ♥♥♥あ♥、んぐ♥、ふぁ♥…っ♥♥!」
慣れない舌使いで、必死に亀頭を舐め回し、竿を扱き上げる。唾液が溢れ、口の端からボタボタと垂れ落ちるのも構わず、彼女は必死に頭を振った。時折、深くまで咥え込もうとして喉を突かれ、涙目でむせ返る。
「おぇ…っ、ご、ごふっ…!ご、ごめんなさっ……んっ、じゅぼっ♥♥、じゅるるっ♥♥♥……」
彼女は、このフルパッケージにおいて、自分に割り当てられた「役割」を、涙目になりながらも果たそうとした。その、小動物のような必死さが、また別の種類の興奮を私に与えた。その健気な動きに、私の欲望が再び限界を迎える。
ビクビクと震える肉棒の、その警告に、彼女はギュッと目を瞑り、喉の奥を開いて待ち構えた。
「んんーっ♥♥♥!? んぐ、んぐぐっ♥♥♥!!(熱い…っ、すごい勢いで…っ、いっぱい、出てるぅ…っ!)ごぷっ♥♥♥、んくっ♥♥♥、ごくっ♥♥♥……!!」
ドクドクと脈打ちながら放たれる白濁した熱量を、彼女は喉を鳴らして飲み込み、入りきらなかった分が口角から溢れ出し、顎を汚していく。
その夜、サンダースが誇る「幹部」三人を、文字通り味わい尽くした。 ケイの豊満な肉体を。ナオミの技巧的な身体を。そして、アリサの未熟だが必死な奉仕を。その全てが、サンダースという学園の「接待」だった。
翌朝、私が目を覚ましたのは、昨夜の狂騒が嘘のように静まり返ったスイートルームの豪華なベッドの上だった。昨夜の狂騒が嘘のように、部屋は静まり返っている。身体には心地よい疲労感が残っていたが、気分は最高だった。
身支度を整え、リビングスペースへ向かうと、そこにはすでに制服に着替えたケイが、爽やかな笑顔でコーヒーを淹れていた。
「グッドモーニング、スポンサー様! 昨夜はよく眠れたかしら?」
その口調は、まるで大学の友人とのパーティーの翌朝のようで、昨夜の出来事を微塵も感じさせない。その切り替えの見事さに、私は改めて感心した。
「ああ、君たちのおかげでな。最高の『パーティー』だったよ」
私がそう言うと、ケイは満足そうに笑った。テーブルの上には、一通の書類が置かれている。サンダース大学付属高校への、次年度の特別支援金の拠出を約束する契約書だった。
コーヒーを一口飲み、目の前の書類に目を落とした。『シャーマンM4A1(76)W HVSSの追加供与(50両)』『練習に使用予定である弾薬の無制限供給枠の確保』『ペイント業者への定期契約の更新』内容はサンダースのその「物量」を、さらに圧倒的なレベルへと引き上げるためのものだ。
彼女たちは自らの肉体を「武器」であり「商品」であると完璧に理解し、それを最大の「対価」で売りさばこうとしている。その割り切り、その商魂。
(……実に、サンダースらしい)
私は迷うことなくペンを取り、書類の末尾にサインをした。
「これで、君たちの物量作戦もさらに盤石になるだろう。弾薬も、新型シャーマンの導入も、好きにするといい」
「サンキュー、スポンサー様! あなたは最高に太っ腹だわ!」
ケイは喜びの声を上げると、私の頬に感謝のキスをした。その唇は、昨夜の熱とは違う、親愛の情に満ちた温かさを持っていた。
出発の時間が来て、私はケイに見送られながらタラップを降りる。大勢の生徒たちが、甲板から私に向かって手を振っていた。その光景は、まるで凱旋する将軍を見送るかのようだった。
車に乗り込み、遠ざかるサンダースの学園艦を見ながら、私は満足のため息をつく。西住家の情念、そしてサンダースの自由。それぞれが、私を十分に満足させてくれた。
だが、私の旅はまだ終わらない。次に向かうべき場所は、もう決まっている。
お読みいただきありがとうございました。次回は聖グロ編です。