とある青年呪具屋の性遊戯記録《ドスケベレコード》 作:サマーオイル悟
『『お待たせ!』』
「来たか」
遂に適応を終え影から飛び出した2人の外見は、成程確かに双子のように瓜二つだった。
まず上から順に外見的特徴を羅列するとしよう。
アホ毛──無しのまま
髪型───ポニーテール(
頭の翼──2対(4枚)のまま
前髪───両目を覆っている(マコラ)
眉毛───生意気さは感じない(マコラ)
目付き──ほんのりツリ目気味(マコ)
目の色──紅(マコ)
八重歯──ある(マコ)
表情───生意気さは感じない(マコラ)
「見た目は完璧に揃えられたのか。まぁ、魔虚羅の適応能力ならこれくらいはできるよな」
『『そうだよ! マコラは魔虚羅だからね!』』
次に、外見以外の特徴を羅列してみる。
自称───「マコラ」
声────両者の中間的なロリボイス
口調───マコラ寄り
抑揚───マコラ寄り
見た・話しただけの感覚では、全く違いが無く、どちらかと言えばマコラの要素が強い印象だった。しかし、本番はこれからだ。
「じゃ、見た目はもう散々味わったし。そろそろ、お触り解禁でいいか?」
『お触りアリ?』
『アリでいいんじゃないかな?』
「そもそも、見た目以外の違いでお前らを区別する試練だろ? なら、お触りアリが前提じゃないか? 話したり触ったりすれば、ってさっき言ったろ」
『『それもそっか!』』
「じゃあ、まず……」
2人のマコラは春夏の正面に2人、横並びで起立している。どちらにしようか迷った春夏は、まず、自分から見て利き手側の、右側に立つマコラの手を掴む。
「こっちのマコラ。キスしようか」
『うんっ♪』
右のマコラの手を恋人繋ぎで優しく握り、背中に手を添え、ちゅっ……ちゅぅっ……と唇を重ねる。
まず唇だけの軽いキス。舌を絡める大人のキスに比べて、なんと子供っぽいことか。
右のマコラは、彼からのキスを優しく受け止め、お返しと言わんばかりに自分からもツンッと優しく唇を突き返す。
更に、彼から自分を抱き寄せるかのように背中に手を添えているからだろうか、右のマコラも同じく彼の背に手を回し、抱き合う体勢になる。
密着度は自然と上がり、キスの密度も上がった。
ほんのり開かれた彼女の唇の隙間に、春夏は舌をちゅるりと捩じ込む。すると彼女の口内で、甘くて柔らかくて温かい、小さな舌に触れた。
『んっ……♡』
キス魔と言えるほどにキスが好きな春夏は、既にこの時点で、目の前のマコラがどちらなのか区別を付けられた。
しかし答えを出すのは早計だからと、唇を離して頭を撫でてやり、今度は左のマコラに向き直る。
「同じく、キスしようか」
『うんっ♪』
同じ声、同じ抑揚、同じ返答。確かに「同じ」と言わざるを得ない。しかし左のマコラは、唇だけのキスの時点で、既に右のマコラとの違いがあった。
チュウウッ……と、軽く押し付けるようなキス。
春夏は同じように左のマコラの背中に手を回す、しかしこちらは抱き締め返すことはなく、唇だけのキスに集中しているかのように直立不動だ。
更に──唇にも少々、力が入っている。
右のマコラの場合、キスの為に尖らせてはいたが唇に力は入っていない。あくまでも自然体のキス。
左のマコラの場合、唇のキスに意識を向かわせて集中しているかのように唇に力が入っていて、少々自然体とは言い難いキスだった。
数度、そうやって唇でのキスを交わしていると、露骨に唇は開かれ、舌先をチロチロと出し入れして彼の唇に触れ、自らの唾液でマーキングする。
そんな挑発を受けて、春夏は彼女の頭を押さえて逃げ場を無くした上で、配慮の欠片も無い強引さで舌を捩じ込み、狭くて熱い口内を蹂躙していく。
ぢゅるっ、ジュルルッ、くぷっ、じゅるッ……。
激しめの音を立てながら舌を絡め、互いの唾液を交換し、ゴクッゴクッと喉を鳴らして潤いを補給。当然、息も荒くなるが両者共に離れる気配は無い。
そればかりか、遅れて彼女から春夏に抱きつき、彼を逃がすまいと、しばらく押さえ付けていた。
──そんなキスを終え、春夏はどちらがマコラでマコなのか、既に100%の確信を得ていた。が、そんな確信はおくびにも出さず、何食わぬ顔で次の段階に進むことにした。
「2人共、おっぱい見せて」
『『はい♡』』
肩紐を下ろし、ほんのりとした膨らみを持つ胸を露出させる。サイズも乳首の色も、乳輪の大きさも何もかも同じ。見た目だけならば、胸からは違いを得られそうにない。
『んっ♡ あ……♡ あん♡ はぁ、んっ……♡』
『くっ……ん♡ んん……♡』
乳首をこねくり回した時の反応は、
「……。おまんこ見せて」
『『はいっ……♡』』
『あっ♡ あぁっ、あんっ、ひぁああっ♡♡』
『んぅっ♡♡ んくっ……ん……♡』
やはり同じ。膣内の感触は全く同じだ。どちらもふわとろ、優しく指を包み込むような熱さとヒダ、絡み付く粘性の高い愛液の存在を感じる。
しかしやはり違う。両者の反応が、まるで違う。
全てが予想通りに進む。だから「やはり」という言葉しか春夏の脳内には渦巻いていない。
予想外な事象など、今のところは何も無い。
「じゃあ、くぱぁシて……おしっこ、飲ませて?」
『えっ……』
『はぁ〜いっ♡♡』
春夏は2人の前にしゃがみ、口を開ける。すると右のマコラは尻込み、左のマコラは嬉々として股に指を当て、陰唇を可愛らしく「くぱぁ♡」と開き、しゅいいいッ……と黄金の放物線を発生させる。
その黄金放物線は、彼女の尿道口から彼の口への架け橋となり、ほんの僅かな水滴だけピチャピチャ飛ばし、黄金水の殆どを彼の胃に捧げてしまった。
「ッ……ふーッ。ご馳走様」
『あん♡』
けぷ、と小さなゲップだけ漏らし、春夏は満面の笑みで「ご馳走様」を告げる。そして左のマコラの陰部に舌を這わせ尿を舐め取り、キスで締め括る。
それを見届けた右のマコラは、おずおずと遅れて陰部を指で開くと、彼が口を開くのを待つ。
春夏はそれを見て僅かに何かを思考し──彼女の陰部に直接口を付け、チュウチュウと吸い始めた。
『ひぁっ!? ふあぁっ、あんっ、待っ、あっ♡♡ おまんこ、吸っちゃ──ああぁ〜〜〜っっ♡♡♡』
自発的に放尿するのではなく、強引に吸引されることによって、強制的に排尿させられてしまった。
えも言われぬ感覚に、漏らしてしまった罪悪感。更には排尿の快感に加え、陰部を刺激される快感。主人の顔面に向けた放尿という有り得ない罪悪感。
その全てがごちゃ混ぜになり、涙を浮かべながら膀胱が空になるまで右のマコラは排尿してしまう。
『あう……うぅ……んぅぅ……』
「ご馳走様。美味しいおまんこから出るおしっこは実に美味しいね」
『『味は同じだと思うけど……』』
そりゃそうだろ、と春夏は軽く苦笑しつつ頷く。黄金水の名残りを軽く舐め取り、彼は立ち上がる。彼の肉棒も、ズボンの中ではち切れんばかりに鋭く立ち上がっていた。
とうとうハメ比べか──と、マコラ達はゴクリと揃って喉を鳴らすが。
「さて、そろそろ答え合わせしようか」
『!?』
「右のマコラが────」
『待って!』
「……ん?」
『これで間違えたりしたら、元に戻れないんだよ? なのにそんなアッサリ答えを出していいの……?』
「大丈夫、もう分かってる。確信を持ってるから」
『で、でもっ!!』
「安心しろ左のマコラ。いや、マコ」
『……ッ!!』
瞬間、左のマコラ────マコの法陣が1回転。視界が潰されんばかりの眩しい光が発せられたかと思うと、光が収まった時、彼の前にはマコが居た。
『ウソ……
「右のマコラ。お前がマコラだ」
マコラの法陣も回転する。光と共に姿が変わり、マコの隣には、元の姿に戻れたマコラが居た。
『せーかいっ♪』
マコラは、飛び付くように春夏に抱きつく。この甘えん坊なところが、マコラがマコラたる所以だと彼はしみじみ感じていた。
『どうして、分かったの……?』
「分かるから分かったんだよ、としか言えないな、こればっかりは。説明するのも難しいしなぁ……」
『はぐらかさないで! 分かるなら答えてよッ!』
「マコラ達が適応できる事象は、あくまで、自分が体験した事象。相手が過去に体験した事象にまでは適応できない」
『『!』』
存在適応の詳細は、春夏でも想像しかできない。しかし、その大枠は普段の適応と大差無いようだ。
それはそうだ。もし、存在適応によって「相手が過去に体験した事象」にまで適応できるとしたら、それはもう、チートどころの騒ぎではなくなる。
だから、逆説的にそれだけは絶対に有り得ないと春夏は元から確信を得ていた。
「ま、平たい話──マンコにローターをブッ挿せば秒で分かるんだよ。マコにしかローターやバイブを使ったことはないからな。マコラとは、常に自分のチンコだけを使ってエッチしてきたし」
『『……』』
「でも、そんな方法で見抜いても納得しないだろ。だから、敢えて無駄に時間を掛けて吟味してみた。やっぱ無駄だって。見た目や口調とかの上っ面だけ揃えても、俺には通用しないんだ。だってお前ら、そもそも性格が違うんだもの……」
『いや、片方だけが適応した・してない部分で結局見抜いたじゃん! 性格が違うとか何とか言って、判別には性格の部分、全く使ってないじゃんッ!』
「いや……バリバリ使ったぞ……?」
『はァ!? 何言って──』
「俺がさっき言ったのはあくまでも『分かりやすい答え合わせのやり方』だ。判別の根拠じゃないよ」
『じゃっ……じゃあ、どこで判別したっての!?』
「一番最初、マコラにキスした時点で分かったさ。ああ、マコラだ。じゃあ隣のはマコだな──って」
『『……ッ!?』』
そんなまさか──というような表情をする2人。もう互いへの適応は解消されたハズだが、今再び、双子のように息の合った良い反応を見せてくれた。
「俺がキスした時、お前ら、どうしたっけ?」
『どうしたって……そりゃ、いつも通り……』
『お返しのキスをした……だけだよね?』
「片方は俺を抱き締め返したな。もう片方は直立。片方はツンッと指でつっつくような優しいキスで、もう片方はチュウ〜ッて強めに押し付けるみたいな強気なキスだった。……ほら、もう性格が出てる」
『『? ……? ……??』』
「行為の時、仮に3P中だろうとそこまでお互いの挙動を見る事はない。だから、存在適応でも動きを平均化させる事まではできなかったんだ。マコラは甘えたがりで、よく俺と手を繋ぐから、指を絡める恋人繋ぎもすんなりできたし、俺が抱き寄せたら、マコラからもすぐに抱き締め返してくれたよな」
『あ……』
「その点、マコはエッチが盛り上がってテンション上がった時しか抱き締めてくれない。キスも、舌を絡めるキスは上手いけど、逆にマコラのような幼いキスはあまりシてないから、唇を押し付けるような強めのキスになったんだろう。抱き締め返すのも、キスがそこそこ盛り上がってからだったよな」
『くっ……!』
「次に、指を挿れた時。マコラは俺の興奮を高める方向に適応済みなのか感じやすい身体になってる。喘ぎ声が激しめだったね。俺のチンコに刺さるよ」
『えへへ……。ご主人の全部が好きだから……♡』
「で、マコはどちらかと言えば声を押し殺しがち。感じてる姿を見せるのは恥ずかしいとかそんな事を思ってるのかは知らないが、そういう傾向がある」
『何それ知らん……怖……』
「ラスト、俺への放尿。多分、これで見抜かれたと思っただろ。だから敢えてコレで区切りにしたよ」
『だ、だって、ご主人に躊躇いなくおしっこなんて掛けられるの、マコだけだもん……』
『マコラ姉がおしっこ出し渋った瞬間、バレたって思ったよね』
マコラは、放尿を「見せる」くらいなら躊躇なく可能だっただろう。しかし「飲ませる」となると、話は変わってくる。
強気で攻めっ気のあるマコは、性欲と気分が酷く高まっている時に彼に求められると、いつも通りの生意気な笑みと共に、彼の要求通り、
その経験が活きたが故に、今回、彼に求められてすぐに彼の口に向かって堂々と放尿できたのだ。
「ま、そういう事だ。俺は外見だけじゃなく性格で判断できる。性格は、発言だけじゃなくて行動にも出てくるものだ。だから、見た目を取り繕った所で会話やちょっとした行動の違いで見抜けるよ」
『うん。ご主人なら分かるって、知ってたよっ♪』
「マコ」
『っ……うん……ありがと、ご主人……ごめんなさいッ……! 』
「ん? 何に対しての『ごめんなさい』だ?」
目線を合わせようとしゃがみ込むと、マコは遂に我慢できなくなったのかボロボロと涙を溢れさせ、見た目通りの子供のように声を震わせ泣き出した。
『ご主人のこと、100%、信じ、らんなくてっ! 他人の言葉なんかに、流されて! ご主人のこと、疑っちゃってた……こと……ですっ……!』
「マコは俺のダメな部分が反映されてる魔虚羅だ。だから、マコがそうである理由も、疑う理由も──俺は、よく知ってるよ。俺がそうだから」
『……うんッ……!』
「だから謝らなくていい。拒否とか、呆れたとか、そういう意味での『謝らなくていい』じゃないよ。もしマコの立場だったら、俺も同じように思った。そういう意味の『謝らなくていい』だよ」
『でもっ、マコラ姉はご主人のこと信じてたッ!! 最初からずっと信じてたのにッ! マコだけなの! ご主人のこと疑ってたのは! だからそんな自分が嫌なのっ……! 嫌なんだよぉっ……!!』
ドン、ドンッ、と泣きながら春夏を殴りつける。泣いたフリなどではなく本当に泣いているらしく、逆に面食らってしまう。
しかし、意外に思うそんな気持ちを押し殺して、泣きじゃくるマコを抱き締め、頭を優しく撫でる。
「泣くな。クサいセリフになっちゃうけど、マコにそういう涙は似合わない。マコは、ムカつくくらい生意気で、クソガキで、メスガキじゃなきゃな」
『そんな気分に、なれない……もう……無理……』
「無理? 違う。お前はそんな弱音は吐かないよ。適応するんだよ。俺という人間への適応を進めろ。お前はもっとお前らしくなれる。成長できるんだ」
『ん……やって、みる……』
ぎゅっ、と彼の肩に顔を埋めるように抱きつく。しばらくそうやって黙って抱き合っていると、遂にマコの法陣がガコンッ、ガコンッ、と何度か回転。
まだ本調子ではなさそうだが、泣き腫らした目でにへらと笑って見せてくれた。
「……大丈夫か?」
『ん……まぁ……少しは落ち着いたよ。ありがと』
「さっきもそうだったけど、お前がお礼を言うとか珍しいな。明日は富士山でも噴火するかな……?」
『そこは「槍が降る」程度にしとけよっ!』
「イテッ」
ゴンッ──マコの額が彼の額に打ち付けられる。いつも通りの、暴力的なツッコミだ。
「よしよし。元気になったようで何よりだよ」
『うっさいっ。生意気じゃなきゃ、とか、ホンットご主人はキモイんだからっ……』
「へぇ? その『キモさ』のお陰でマコラとマコの区別が付くのかもしれないのに?」
『…………ちょっとは、キモくていい……かもね』
「ははっ」
『笑うなっ! ちょっとだからね! ちょっと!! 小さじ1杯よりもほんのちょっとなんだからっ!! 今よりキモくなったら、ホントに殺すからね!?』
「それは困るなあ。だが、もしそうなったらマコも困ることになると思うぞ」
『はぁ!? どーしてマコが困ることになるの!? 意味わかんないっ!!』
「見抜けた場合、イチャラブエッチする。そういう縛りを結んだろ。俺を殺したら、縛りが無視されたという判定になり、マコが罰を受けることになる」
『〜〜〜〜ッ、そういうとこだよ、キモイの……』
「ならばどうする? ここで殺すか?」
『夜神月かよ。…………わかった。エッチ、シよ』
「そう来なくちゃ」
『ふふっ♪ 解決してよかったぁ! マコラは影に戻ってるからね! あとは、ごゆっくり〜♡』
そんなセリフとウインクと共に、マコラは影へと潜っていった。
その場に残された2人は──熱の混じった視線を交わしながら、黙ってベッドに向かった……。