ヘキュバとの学園性活2 ―ヘキュバのいる休日― 作:黒瀬夜明 リベイク
その後、何とか店員やほかの客にバレることなく試着室を出ることに成功した瑠斗は、先程と同じように、試着室の前に立ち、ぬいが出てくるのを待った。やがてしばらくすると、試着室のカーテンが開き、ぬいが姿を見せた。今度は白地のオフショルダーワンピースで、肩は勿論だが、胸元までしか生地が無く、更には裾の丈もかなり短く、太腿の真ん中より上辺りまでしかない。ぬいの豊満な胸元に加え、下手をすれば絶対領域も丸見えだ。
「エッ!」
瑠斗が思わず叫びかけて、慌てて口を噤んだ。突然の瑠斗の声にぬいは一瞬だけ驚きの表情を示したが、やがていつも通りの笑みを浮かべた。
「どうだ瑠斗、似合っているか?」
「………」
思わず黙り込んでしまった瑠斗に、どうした?と悪戯っぽく笑いかけるぬい。瑠斗はしばらく口を噤んだままだったが、やがて口を開いた。
「そ、その服…凄く似合ってる…それ買ってくれたら、嬉しい、かな…」
「ほぉ?そうかそうか、ならこれを購入するとしよう!」
そう言ってぬいはカーテンを閉めた。ぬぅ、と小さく唸り声をあげる瑠斗。だがその時、不意にカーテンからぬいが顔だけを出してきた。ぬいは瑠斗に、クスクスと笑いながら言った。
瑠斗のエッチ♡
そう言ってまた、ぬいはカーテンの向こう側へと姿を隠した。
「……はぁぁ~」
瑠斗はクソデカい溜め息を吐いて項垂れるしかなかった。
洋服店を出たぬいと瑠斗は、そのまま雑貨店へ向かった。だが瑠斗は、雑貨店の外にあるベンチに腰掛けて、先程自動販売機で買った缶コーヒーをちびちびと飲んでいた。実家から高校に通っている瑠斗は、勿論の事雑貨にも疎い。ぬいから学ぶべきなのかもしれないが、彼女はヘキュバだ。人間とは違う価値観があるのかもしれないと思い、今回は遠慮をしたのだ。それから10分くらいが過ぎた頃、雑貨店から1人の少女が出てきた。その少女は、瑠斗の姿を見とめると、瑠斗の元へ歩いてきた。
「ねぇ、明智瑠斗くんだよね?」
突然声を掛けられた瑠斗は、口に缶コーヒーを銜えたまま顔を上げた。そこには、胸元にリボンのついた青緑色のシャツに、ベルトのついた白の膝丈スカートを身に着け、黒いショートブーツを履いた、右で七三分けにし、左側の前髪が外に向かって跳ねている腰元まである焦げ茶色の長い髪が特徴の青い瞳の少女が立っていた。何故だか、頬が赤いような気がした。
「あれ、
少女の名前は「
「そ、それは、明智くんも同じだと思うんだけど…」
「う、痛いところ付いてくるな、お前…」
「明智くんは、何でこんな所にいるの?」
「あ~、それはだなぁ…」
瑠斗はどう答えて良いのか悩んだ。自分とぬいが付き合っている事は、まだ誰にも言ってないし、ましてや学校内でも噂すら立っていない話だ。果たしてそれを今、ここで遥奈に話してもいいものだろうか?悩んでいる瑠斗だったが、そこへぬいが買い物を終えて店を出てきた。瑠斗の元へとやって来たぬいは、直前で遥奈の存在に気づくと、「高校生の姫崎ぬい」を演じながら瑠斗に声を掛けてきた。
「明智君、待たせてごめんなさいね」
「え!?ひ、姫崎さん!?」
突然のぬいの登場に、遥奈は驚きの声をあげた。そんな遥奈に笑いかけながら、挨拶をするぬい。
「あら、夏河さんこんにちは!夏河さんもお買い物?」
「は、はい!…姫崎さんも?」
「ええ。服と日用雑貨をね…そしたら駅前で、明智君をたまたま見つけたから、荷物持ちをお願いしたのよ」
「そ、そうだったんですね…」
瑠斗は2人の会話を聞いて、ふぅ…と息をついた。ぬいが話をしてくれたおかげで、何とか事実を話さずに済みそうだ。と胸を撫で下ろす。ぬいは更に続けた。
「ああ、夏河さん。私たち、まだ店内を見て回るつもりなんだけど、貴女も一緒にどう?」
「い、いえ!は、遥奈は遠慮しておきます!遥奈はこれから、お家で宿題を済ませないといけないので!」
「そう?なら、頑張ってね夏河さん!」
「は、はい!失礼します!」
そう言って遥奈は足早に駆けていった。後には瑠斗とぬいの2人が取り残された。瑠斗が、駆けていった遥奈を目で追っていると、ぬいが呆れた様子で話しかけてきた。
「まったく、適当な理由くらい思いついておけ?」
「あ、ああ。助かったよ姫崎さん」
情けなく感謝を述べた瑠斗に、ぬいはまたクスクスと笑った。
「瑠斗、まさか夏河の事を気にしているのか?」
「そ、そんな訳ないだろ!?俺は姫崎さんのことを―――」
「はいはい。それ以上は言わなくても、私には分かっている♡」
むぅ、と瑠斗は再び唸った。するとぬいが、両手をパチン!と打ち鳴らした。
「さて、そろそろ次の店に行くぞ?瑠斗、引き続き荷物持ちを頼むぞ!」
「はいはい。わかりましたよ」
そして2人は遥奈が駆けていったのと反対方向へと、歩き出していった。