ヘキュバとの学園性活2 ―ヘキュバのいる休日― 作:黒瀬夜明 リベイク
買い物を終えた瑠斗とぬいは、稲葉山モールを出た近くにある公園のベンチに腰を下ろしていた。瑠斗が座っているベンチの周りには、ぬいが買った日用雑貨や服が袋がたんまり置かれている。瑠斗は疲れ果てたように、ベンチの背もたれに身体を預けていた。ぬいはその隣で笑いかけながら、瑠斗に感謝を述べた。
「ありがとう瑠斗。お陰でいつもよりも充実した買い物ができた」
「そりゃ、良かったな…はぁ…」
瑠斗が大きく息をついた。自分でもわかる、普段これほど大量な荷物を持ち運ぶことは無い。高校生の中でも、体力が並程度しかない瑠斗にはかなり疲れるのが関の山だ。だが、不思議と嫌な感じはしなかった。
「でもま、姫崎さんの知らない一面が見れたし。今日は楽しかったよ」
「ま、またそんな事を!?照れるから止めてくれ!」
ぬいが慌てた様子で瑠斗に詰め寄るが、その顔は若干赤い。私は照れています、と顔に書いてありますよ。と言わんばかりだ。そんなぬいの顔を見て、瑠斗は小さく笑う。目の前で照れている少女が、とても愛おしく見えるのだ。たとえ彼女の正体が、ヘキュバだったとしても。
「あはは、ごめんごめん」
「まったくぅ…♡」
フンッ、とそっぽを向くぬい。だが、赤くなった顔には、まんざらでもない。と書いてあるようなニヤケ面が現れていた。
(やっぱ滅茶苦茶可愛くないか、俺の彼女?)
それを見て瑠斗は内心で、底知れぬ満足感を覚えたのだった。そして丁度その時、瑠斗はあることを思い出した。
「あ、そう言えばうちの親。今日もまた帰ってこないんだよな~」
瑠斗は依然のように、ワザとらしく告げる。背もたれにもたれ掛かった瑠斗は、悪戯を企んでいる子供のような笑みを浮かべ、ぬいに視線を向けた。
「ほぉ?それは、良い話を聞けたなぁ」
ぬいもまた、瑠斗に倣うように笑った。
瑠斗の両親は、国内での出張が非常に多い大手の会社に勤めている。故に、家を空けることが殆んどなのだ。年内に、一週間帰って来ることが両手で数えられる程度に家を空けている為、瑠斗は実家暮らしという名の一人暮らしをしていると言っても過言ではない。だが瑠斗はすっかり、この状況に慣れてしまい、ぬいと付き合い始めてからは、寧ろ歓迎ムードなのである。理由は言わずもがな、だ。
「今日も姫崎さんの巣に泊まりに行きたいんだけどぉ…?」
「クスクス、別に構わないぞ瑠斗―――と言いたいが…」
「え?」
ぬいの言葉に思わず困惑顔になる瑠斗。今までぬいの巣に行くことを止められたことが無かったから、驚きを隠せなかったのだ。そんな瑠斗の顔を見上げながら、ぬいはクスクスと笑いながら言った。膝の上に両肘をついて手を組んでいるその姿は、何かを企んでいるように見えた。
今回は少し、趣向を変えてみないか?
「…趣向を変える?」
ぬいは、そうだ。と首を縦に振った。突拍子もない事を告げられた瑠斗は、困惑しながらも驚いていた。趣向を変える。今までぬいが、そのようなことを提案してくることは無かったから、より驚いた。ぬいは考えていたことを話し始めた。
「私の巣で愉しむのも良いが、たまには少し面白い事をしてみないか?」
「……例えば?」
「夜の学校に忍び込んで「する」とか♡」
瑠斗は思わず、え!?と声をあげた。瞬間、ぬいの右手が瑠斗の口に飛んできた。
「バカ、声が大きいぞ!」
「ご、ごめん……でも、どうやって忍び込むんだよ?」
「そこについては安心しろ。校舎内の扉の一つは、
ぬいはドヤ顔を瑠斗に向けてきた。瑠斗は、何のためにそんなもんを?と突っ込みを入れたくなったが、あえて言わないことにした。瑠斗は続けて、別の質問を投げかけた。
「けどさ、校舎内は当直の警備員が見回りをしているだろ?それはどうするんだ?」
「眠りの結界を、警備員室に張る。そうすれば無問題だ」
「そ、そうなんだ……(姫崎さんの能力ってすげぇ…)」
「あとは、私たちの教室なり、皆が使う体育館なり、好きな所で愉しめばいい♡それに明日は日曜日だ、思う存分ヤッても余裕で帰れる♡」
さっき以上のドヤ顔で瑠斗を見上げてくるぬい。そのドヤ顔に若干引き気味になるが、瑠斗もやがて、口元をニヤリとさせた。
「なんか面白くなってきたなっ。いいぜ、その話乗った!」
「フフッ、それでこそ私の彼氏だ♡」
2人揃ってニヤケ面を晒す瑠斗とぬいは、夜の21時に稲葉山高校の裏門に集合。と約束をして分かれた。