様子のおかしい下弦の肆を襲わされる話 作:偽りの名 ニーサン
後日談となります。無限列車編直前くらいの話。
(話を聞いて来たけれど、本当にこの屋敷にその鬼がいるのだろうか)
鬼殺隊の隊士・竈門炭治郎は、機能回復訓練の合間に鬼殺隊が管理するとある小さな屋敷を訪ねていた。
彼が蝶屋敷で訓練に勤しんでいた間に、一体の鬼が柱によって捕らえられたのだが……これが、何故か人を食わないようになっているらしい。禰豆子を人間に戻す手掛かりが得られるかも知れないと考え、彼はその鬼とそれを見張る隊士がいるというこの屋敷に来たのであった。
(話を聞いた時、しのぶさんから怒っているというか、苛々しているような匂いがしたけれど……その鬼と何かあったんだろうか)
「ごめんください!蝶屋敷からの紹介で来ました、竈門炭治郎です!どなたかいらっしゃいますかー!?」
門の前で声を上げ、住人を呼ぶ炭治郎。少しして脇戸が開き、そこに隊服を着た年上の青年が立っていた。
「ここに一般隊士の客が来るとはな。一応先に鎹烏で連絡は貰っている。さ、入ってくれ」
「はい、お邪魔します!」
彼に招かれ、炭治郎は屋敷へと足を踏み入れる。敷地内に入ると、どこかこれまで嗅いだことのある鬼の臭いとは異なる臭いを感じ取った。
「どうした、竈門隊士」
「あ、いえ!何か変な臭いがしたので」
「変な臭い?……もう少し身体を清めておくべきだったか」
「いえ、あなたの臭いというわけではないので!気にしないでください」
「そ、そうか。では上がってくれ」
* * *
表座敷まで通された炭治郎に、彼が茶を用意し出してくれた。緑茶の香りが心を落ち着かせてくれる。
「こんな所までようこそ。俺は穂村良源、階級は乙だ」
「竈門炭治郎です、階級は癸です。穂村さん、こちらには人を食わない鬼がいてそれを見張っているとの事ですが、本当ですか?」
「ああ、まあ……確かにこの屋敷にいるが、何故態々尋ねに?」
「俺の妹は、鬼舞辻無惨に鬼にされました。ですが、2年間人を食わずに生きているんです」
「ああ……水柱殿と蟲柱殿が何か言っていた覚えがあったな、鬼になった妹を連れた隊士がいると」
先日の柱合裁判における顛末について、彼は知っているようであった。今の所、炭治郎に対する敵意の臭いは感じられない。
「お館様が罰しないと決めた以上、俺から文句を言う筋合いは無い。それで、その妹の事とどう関係するんだ?」
「はい!ここにいる鬼が人を襲わないのであれば、禰豆子が人間に戻る手掛かりになるんじゃないかと……ど、どうしたんですか?」
炭治郎の言葉を聞いた穂村は、何とも言えない渋い顔をする。
「何か気に障るような事を言いましたか!?」
「いや、そうではなくてな……正直に言わせて貰うが、ここにいる鬼はまっっっったく参考にならん。無駄足を踏ませてしまって悪いと思うのだが……」
「ええ!?どうしてですか!?」
「何もかも特殊過ぎる例だからとしか言いようが……」
鼻根部に手を当て顔を顰める彼は、何を言うべきか困っているように見えた。そうしていると、ふと妙な臭いが奥の部屋から近付いて来るのを感じた。
「良源~!あんなのじゃ我慢できないわよあんたの太魔羅じゃないと」
「真昼間から盛るなァァ!客も来てるんだよこの戯け!!」
襖を開け顔を出した女性を、穂村が即座に引っ叩いた。叩かれた側から喜ぶような臭いが感じられて、炭治郎は盛大に困惑したのであった。
* * *
「──────というわけで、こいつが件の鬼…………元『下弦の肆』零余子だ……」
「か、下弦の鬼だったんですか!?」
炭治郎は驚愕した。目の前で縛られ布を猿轡代わりに噛まされている鬼は元十二鬼月であるというのだが、人を大勢食べた異能の鬼にしては、特有の臭いがしない……というより、鬼とはまた異なる臭いが感じられるのだ。
「何で縛られながら喜びの臭いを出しているんだろう」
「臭い?よく分からんが……こいつはなんというか……変態なんだ」
「変態……ですか?」
「性的倒錯者とも言う。痛めつけられたり酷い目に遭うのが好きなんだそうだ」
「すみません、言ってる事がよく分かりません」
「一生理解できなくて大丈夫だから気にするな。ただこいつは度が過ぎていてな……」
穂村はどこか遠くを見るような目で天を仰ぎながら、彼女の事を語り始めた。
「まず、こいつは人の血肉を食わないというか、受け付けない身体に変化しているんだが……代わりに俺の精を吸うようになっていてな」
「……は?精、ですか?」
「そう、精だ。子種と言い換えてもいい」
「こだっ、子種って……あれですよね!?」
「ああ、アレだ……竈門隊士は稀血については知っているか」
「はい、稀血持ちで鬼に狙われていた子にも会ったことがあります」
「俺もその稀血持ちでな。しかもその中でも変わった体質らしく、その……精に稀血の成分が混ざっているらしく、こいつと交戦し囚われた時に散々貪られてな」
ふざけているようにしか聞こえないが、嘘の臭いは感じ取れなかった。なるほど、後輩隊士である炭治郎に対して話すのを渋るような表情だったのも頷けた。
「痛めつけられる事を気持ち良く感じるこいつは、自分で身体の一部を日光に当てて灼かれては暗い場所に引っ込んで再生するという事を繰り返していたらしいんだが」
「そんな自殺行為を!?」
「それを繰り返していたら徐々に耐性が付いていたらしく、俺の精を啜り続けて身体が変質した事で今は太陽の下でも死ななくなったらしい」
「そんな事あるんですか……?」
「あくまで再生力が太陽の光で受ける傷を上回っているという程度の耐性らしい。なので今でも太陽の下に出れば灼かれて苦しいらしいが……死ななくなったから安心してその痛みで気持ち良くなっているそうだ」
あまりにも理解しがたい性癖に、炭治郎の表情は引きつっている。無理もあるまい。
「おまけに、体質変化によってこいつは日輪刀で頸を斬っても死ななくなった。そして、藤の花の毒も多少効きはするが死なない。どうすれば殺せるのか分からん以上鬼殺隊はこいつをどのように扱うか決めかねているというわけだ」
「それ、大丈夫なんですか?野放しにするのはまずいでしょう」
「だからこそ、こいつの唯一の餌になった俺がここにいなければならんという訳だ……餓死はもしかしたらするかもしれんが、殺す手段が無い以上飢えて万一暴れ始めたら止め方が分からんしな」
「その……お疲れ様です」
「幸い、一度頸を斬った時に鬼舞辻無惨の支配からは外れているらしい。といっても、情報は聞き出せるだけ聞き出したが、無惨の本拠地の場所や出入りの手段、上弦の鬼の能力などについては何も知らないも同然だったが」
「それだけ用心深いという事ですね」
茶を啜り終えると穂村は立ち上がり、戸棚から茶菓子が入っているであろう包みを取り出して来た。
「態々来てくれたというのに、力になれずすまないな。せめて土産にこの菓子でも持って帰ってくれ」
「そんな、お構いなく!」
「なに大したものじゃない、遠慮なく持って行ってくれ。後輩にこうしてやるのも先輩の務めという物だ」
「そ、それじゃあありがたくいただきます」
「それと、そうだな。もし炎柱・煉獄杏寿郎殿に会う事があればよろしく伝えておいてくれ。俺はあの人の元弟子でな」
「分かりました!」
そうして、土産物を手に炭治郎は屋敷を後にした。禰豆子を戻すための手掛かりにはならなかったが、何らかの切っ掛けで鬼はその体質が変化する事もあるという情報は役に立つかもしれない。
それに……頸を斬っても死なない、特異な鬼も居るという事も。
* * *
「ん゛んっ♥ん゛ん゛んぅぅうううぅう♥♥」
「このっ、客が来ている時は大人しくしていろと言っているのに…………っ!」
…………炭治郎が帰った後、穂村は零余子に『仕置』をしていた。猿轡を噛ませ後ろ手に縛ったままの状態で、寝床に這いつくばらせ顔面を枕に押し付けながら秘所へ逸物をねじ込んでいる。
悦ぶだけなのは分かっているが、何もしないという仕置は後で大変な目に遭うためこうして形だけでも折檻する方がまだ大人しくなると言えた。
「少しは反省しろ、この…………っ!」
「ん゛ふぅううぅううぅうぅうんっ♥♥」
肉付き良く変化した彼女の尻に平手を叩き付けると、雌の穴が強く締まり穂村の逸物へと媚びて来る。最初に犯した時よりも、零余子の身体は穂村を昂らせ、より気持ち良くするために変化をしていた。
──────正直に言えば、散々まぐわい精を注いだ相手である零余子に対し、穂村は全く情が湧いていないとは言えなかった。
相容れないはずの、鬼であった相手にこのような感情を抱くことはあってはならない。そう思っていたはずだというのに。
生物の雄と雌故の本能なのか、あるいは…………鬼ならざる者へと彼女が変貌しつつある事を、感じ取っているためなのか。
「この…………っ、お望み通りたらふく呑ませてやる…………っ!」
「ん゛ぅぉおおぉおおぉおおぉお♥♥」
穂村が精を零余子の中に吐き出し、その熱を感じ取った零余子が絶頂する。身動きを取れない状態で犯され、尻を叩かれ、種を付けられる快感に溺れた零余子は頭が真っ白になり──────。
「…………ぁ、っ」
「ん、なっ!おまっ!」
じょろじょろと音を立て、寝床に小水を垂れ流し始めた。解放感に頬を染め、呆けた表情の零余子と対照的に穂村は表情を険しくした。
「おま、おまえぇっ!?寝床を汚すんじゃないっ!」
「お゛おぉおっ♥♥」
そのまま尻を叩きながら再度犯し続け…………結局、『仕置』は半刻ほどの間続いたのであった。