【バカとテストと召喚獣】
・姫路瑞希
夏が過ぎ去り、季節はすっかり秋。身にまとう衣も暑さを軽減させるための半袖から肌寒さを軽減させるための長袖に移行した世の中で、陽月は城下町で涼風に当たりながら季節の変化を感じていた。
「もうすっかり秋だなぁ」
陽月はさっきまでクバイが経営しているバイクショップに行っていた。先ほどネロを動かそうとした際にエンジンがかからなくなったので、クバイに見てもらうためだ。クバイ曰く、その原因は電装系統の故障にあったようで、気づいたら早急に対処しないといけない案件なんだとか。早めに気づけて本当に良かった。明日クエストでハジメ村に行くので、故障したままだったら飛んで帰らないといけなくなるからだ。空を飛ぶには魔力がいる。陽月は魔力量には多少の自信はあるが、無限にあるわけではない。魔力は使えば使うほど上がるとアズサは言っていたが、かといって闇雲に使っていいわけではないことは彼ももちろん承知している。なので、魔力は自分が必要と判断したときにしか使わない。陽月は自分の中でその方針を立て、かつ残りの魔力量と相談したうえで普段魔力を使っているのだ。
「芋掘り、この季節にはピッタリだな」
食欲の秋というものがあるが、秋を代表する食べ物と言われて一番にあがるのがさつまいもだろう。依頼人の村人はさつまいもが豊作なまではよかったのだが、あまりに量が多く1人では収穫に時間がかかるということで、ギルドに依頼を出したのだ。たださつまいもを収穫するだけなので、ランクは最低のE。それもあって報酬金も5000Croと高くないが、そんなの陽月にはどうでもよかった。そもそもランク自体が低いのだから、報酬金が低いのも当然だからだ。彼がこの依頼に目をつけたのは報酬金ではなく、依頼人が用意したもう1つの報酬―――さつまいもだ。今年は稀にみる豊作中の豊作ということで、さつまいも掘りを手伝ってくれた人はさつまいもをいくつか持ち帰っていいと依頼書に書いていた。流石にもらえるものは見た目がそれほどよくない―――いわゆる商品にならないものに限られるが、あくまでよくないというのは見た目に限定された話。品質と味自体は出荷されるものと変わらないので、陽月からしたらなにも問題はない。
「今のうちにどう料理するか考えておかないとね」
ハジメ村で生まれた名産物として“ハジメイモ”と名付けられたこのさつまいもだが、売られているのはクロスディアのみ。そのおかげでそれを食べるためにわざわざ他国からクロスディアを訪れる者もいるんだとか。実際、陽月もこのさつまいもの美味しさを知っているからこそ、今回の依頼を受けることにしたのだから。
「こんにちは。陽月くん」
城下町の出入口の前に行くと、待ち合わせ相手である姫路がいつものおしとやかな笑顔であいさつしてきた。今回の依頼は内容が内容のため、依頼人も2人以上での依頼を推奨していた。なので、今回の依頼は芋掘りに興味があった姫路といっしょにやることにしたのだ。
「こんにちは瑞希。ジャージと軍手は忘れずに持ってきたかな?」
「はい。全部ここに入れてあります!」
肩にかけているバッグを見せながら、姫路が答える。今日の依頼内容は芋掘りの手伝い。故に動きやすい服で臨むべきだと判断したためだ。
「荷物預かるよ。バイク乗るとき邪魔だろうからね」
「そうですか?では、お願いします」
アイテムボックスのことを知っている故か、姫路はすんなり荷物を陽月に手渡す。それは地面に置かれた後、彼によって展開された魔法陣の中に吸い込まれていった。
「何度見ても便利ですね……」
「これにはいつもお世話になってるよ。じゃあ、行こうか」
メンテナンスを終えたばかりのネロに乗り、ハジメ村にむかう。そんな彼らを迎えたのは村長。前回陽月が完遂したブラックドラゴン討伐を依頼した者だ。
「おひさしぶりです村長。あれから村のほうはどうですか?」
「日向さんがブラックドラゴンを討伐してからは活気が蘇りまして。ひきこもっていた村人もこれまでの遅れを取り戻すように働いてくれてますよ」
そう。ブラックドラゴン討伐前のハジメ村は怯えるあまり、外に出られずにいた。ブラックドラゴンが近隣の村を壊滅させたからだ。当時の陽月はギルドランクをSランクにするためというのもあるが、一番の理由はそういう報告をあがっていることをカリンから聞いたからである。それが今ではどうだ。そんなこと言っても信じられないほどに村人はせっせと働いているではないか。働きすぎて過労で倒れないかと新派になる陽月だが、村長曰く休めるときは休んでいるそうなので、その心配はないらしい。
「なんというか……もう、すごいというコメント以外浮かびませんね……スケールが大きすぎて……」
「今のハジメ村があるのは彼のおかげと言っても過言ではありません。我々にとっては英雄なんですよ。日向さんは」
「大げさですって……僕は依頼を完遂させただけですし……」
目をそらしながら頬を人差し指でなでる。悪い気はしないが、ここまで持ち上げられるこそばゆい。陽月は大げさと言ったが、ハジメ村の人々からすればそんなことは決してない。なぜなら陽月が依頼を受けなければこの村はブラックドラゴンに怯えたまま、やがて近隣の村と同じ運命をたどることになっていたからだ。
「それより、今日の依頼は芋掘りの手伝いですよね?依頼人のもとに案内してください」
話題をそらすべく、本題に入ろうと試みる。この持ち上げられる空気は嫌いではないが、あまり長く続くとはずかしさのあまり(精神的な意味で)死んでしまう。だからそうならないためにも、空気を変える必要があったのだ。
「そうですね。こちらです。ついてきてください」
村長の先導のもと、依頼人のいる畑にむかう。緑が生い茂ったそこにはさつまいもがびっしりと実っており、豊作であることが一目でわかった。見たところ依頼人もかなりご高齢なので、わざわざギルドに依頼を出したのも頷けるというものだ。
「今日はよろしく頼むよ。この歳になると芋を掘るのにも時間かかってねぇ……」
「豊作なのはいいことですよ。それだけたくさんの人たちにこの芋が届くわけですから」
「そう言ってもらえるとありがたいよ。でも、珍しいね。若い子たちはこういうのはやりたがらないと思ってたが」
「毎年美味しくいただせてもらっているので、その恩返しをしたいんです」
芋が欲しいというのも本音だが、これもまた本音だ。
「うれしいよ。キミみたいな若者がまだいたなんて」
涙ぐみながら言う依頼人。そんな彼に苦笑しながらも着替えを済ませ、それぞれで掘る場所を決めた後、作業に取り掛かる。
「ふんっ!」
両手で土に埋まったさつまいもを引っこ抜く。太く、縦長な基本形。こういう形のいいものは売りに出され、村の収入源となる。しかし……。
「うわ、すごい形……」
ブーメランのようにくの字になったもの。ごぼうのように細長いもの。そして芋から芋が生えているという珍妙なもの。こういう形の悪いものは出荷されず、村で処分される。ただ処分と言っても廃棄するわけではなく、村人が美味しくいただくのだが。あくまで悪いのは形だけで食べられないわけではない。しかもそれだって丹精込めて育てたものだ。故にそういうものは村でありがたくいただこう。と、村長が方針を立てた故、この村においてフードロスは滅多に起きないと本人が話していたのを陽月は思い出した。
「フードロス問題をここでも聞くことになるなんてな」
形のいいものと悪いものを仕分けながらつぶやく。食品がこの世にある以上、この問題はどの世界でもまとわりつくだろう。
「う――――――――――――んっ!」
チラリと姫路を見ると、苦戦している様子が見られた。芋掘りは力のいる作業なので、病弱な姫路には少々ハードだろう。なら止めるべきだろうという人もいるかもしれないが、それでも彼女の願いを叶えたかった。しかし体のことを無視するわけにはいかないので、本当にキツくなったら言うという条件付きで今回の依頼に参加させたのだ。
「瑞希、大丈夫?」
「この芋、深く埋まってるみたいで……うぅ~んっ!」
一所懸命腕に力をこめて抜こうとするが、芋は一向に抜ける気配がない。姫路が非力なのか、芋が強情なのか。どちらなのかは定かではないが、どちらにしてもこのままではラチがあかない。そう判断した陽月は姫路の後ろから芋のツルを手に取った。だが、そうなると必然的に密着することになるわけで……。
「ひ、陽月くん……」
「せーので引っこ抜くよ。いい?」
「は、はい……」
顔を赤くさせながらも姫路が答えた後、陽月が“せーの!”と掛け声を発する。彼の力が加わったことによって強情だった芋は土から勢いよく飛び出し、その反動で2人は尻もちをついた。
「ひゃんっ!?」
その際、姫路から短い嬌声があがった。加えて陽月の両手にはやわらかい感触。彼はこれまでの経験でその正体がなんなのかすぐにわかったので、そこからすぐに手を離した。そう。陽月は姫路のおっぱいをつかんでいたのだ。もちろん、それは意図的に行われたものではない。事故。そう。これはさつまいもが勢いよく引っこ抜かれたことで起こったアクシデントなのだ。
「あ、ありがとうございます陽月くん……おかげで抜けました……」
「いや、これくらいなんてことないよ……。それにしても、随分大きいのが出てきたね……」
共同作業によって引っこ抜かれたさつまいもは少なく見積もっても2倍の大きさはあるように見えた。形も悪くないので、これも出荷されるだろうが、陽月としてはなぜこんなにも成長してしまったのか気になるところではあるが……。
「じゃあ、この調子で残りも抜いていこう」
「は、はい!」
ということで、芋掘り作業再開。3人でやったこともあって、作業は日没前に終わらせることができた。あとはトラックで各町や村に出荷するだけだ。
「こんなにも終わるとは。助かったよ。はい、これが報酬金ね」
そう言って、手渡されたCroの数を確認する。だがそれを終えたとき、陽月は首を傾げた。今回の依頼の報酬金は5000cro。しかし、今受け取ったのは7500cro。そう。報酬金が本来の額より多いのだ。
「あの、額まちがえてません?報酬金が多いのですが……」
「キミたちのおかげで予定より早く作業を終わらせることができた。だからその分、報酬金を上乗せしておいたんだよ」
「いいんですか?」
「貢献した者には相応の報酬を与える。経営者の常識だよ。あ、それとこれもね」
言って、依頼人から譲渡されたのはビニール袋。空気の入った風船のように膨んでいるのと連動して重量のあるそれに入っているのは大量のさつまいもだった。今回掘ったものの中には形が悪く売りに出せないものが多くあったので、その一部だろう。これもまた依頼書に書いていた報酬品だ。
「今日は本当に助かった。縁があったらまたよろしく頼むよ」
「はい。来年も豊作だといいですね」
こうして、依頼を完遂した陽月と姫路は報酬とともにハジメ村を後にするのだった。
―――――
依頼を終えた陽月は姫路とともに自宅にもどってきた。
「じゃあ今から作るから、待ってて」
「はい。陽月くんのお芋料理、楽しみです」
姫路がここを訪れた理由。それは陽月に料理を振舞ってもらうため。もうじき夕飯時であるし、先ほどの依頼でもらった芋が大量にあるので、芋パーティーと洒落込もうと考えたのだ。
(芋掘りで体力を使わせて正解だったな)
姫路はあまり顔に出していないものの、初めての芋掘りで疲弊していることは確実。実際、今はリビングでテレビを見ながらぐでーっとしているし、料理を手伝うと言わなかったのがそれを裏付けている。そうでなければ自分も手伝うと言い出すことは容易に想像できた。
(普通はありがたいことなんだけどな……)
姫路に料理スキルがあれば陽月も喜んで彼女とともにキッチンに立っていた。だが、本人には申し訳ないが、姫路は料理スキルが壊滅的に低い。それはもう食べただけで意識が闇に引きずり込まれてしまうほどに。しかも本人はそのことを自覚していない。そのうえさらに100%の善意と厚意で料理を振舞おうとしてくるため、彼女が作る流れに持ち込まれたが最後、軌道修正がほぼ不可能になってしまうのだ。
「さあ、できたよ」
出来上がった料理をテーブルに並べていく。本日のメニューはさつまいもの炊き込みご飯。さつまいもの天ぷら。さつまいもの味噌汁。さつまいものサラダ。テーブルいっぱいに並ぶそれらを形容するのであれば、
「わぁ……どれも美味しそうです……」
「冷めないうちに召し上がれ」
「はい。それでは、いただきます」
丁寧に手を合わせた後、姫路は手始めにさつまいもの天ぷらに箸を伸ばす。カラッと揚がったことで仕上がったサクッとした食感。それを口いっぱいに味わいながら、姫路は天ぷらを胃の中に取り込む。
「……どう?」
「すごく美味しいです。陽月くん、相変わらず料理上手ですね」
「昔からやってるからね」
そう言って、姫路に倣うようにさつまいもの炊き込みご飯を胃に含む。さつまいもの甘味が口いっぱいに広がる。我ながらいい出来だと褒めてやりたいところだ。
「お味噌汁も温かくて、なんだとかほっとします。将来いいお嫁さんになれますよ。陽月くんは」
「なるならお婿さんがいいなぁ……」
苦笑した後、さつまいものサラダを口に運ぶ。さつまいもの甘味。マヨネーズの酸味。それらがいい感じに合わさって、また違った味わいを提供してくれている。これもまたいい出来だ。
「瑞希、まだ食べれるかな?デザートも用意してるんだけど」
「もちろんですよ。いただきます」
「じゃあ、今から持ってくるから待ってて」
席から立ち上がり、冷蔵庫からデザートを取り出してテーブルへと運ぶ。スイートポテト。さつまいもを元にして作ったスイーツだ。
「とっても、スイートですね……」
口いっぱいに広がる甘さにほっぺが落ちる。スイーツは女子の好物。それは姫路も例外ではなかったのである。それから数時間が過ぎ、夜もすっかり更けたころ。陽月はベッドの中で眠りについていた。今の彼はさつまいもパーティーで満腹状態。それが眠気を誘い、陽月を夢の世界に誘った。そのときだ。部屋に1人の訪問者が入ってきたのは。訪問者の名は姫路瑞希。彼女は今日泊まることになっているので、ここにいること自体におかしいことはない。おかしいのは今の姫路の状態だ。前屈姿勢のまま頬は紅潮し、目にはハートが宿り、息は小刻みに吸い込んでいる。その様子はまさに発情していると見るほかなかった。
「……」
ゆっくりとした足取りでベッド近づくと、姫路はその上に跨る。だが、夢の世界に旅立った陽月は目覚めない。姫路はそれにニヤリと口持ちを吊り上げると、布団の中に潜り込み、豊かなおっぱいで肉棒を包み込む。肉棒は持ち主が眠っていても反応はするようで、おっぱいが動くたびに硬度を増していった。
「……ぅ……ん……」
「寝ていても感じるんですね。かわいいです♡」
なぜ姫路がこのようなことになっているのか。一番に考えられるのは今日の夕飯に食べたさつまいもだが、今回もらったのはただのさつまいも。形が少々悪いこと以外はただのさつまいものだったはずなのだ。実際、もらったのはただのさつまいもだった。……1つのさつまいもを除いては。実はもらったものの中に小さなさつまいもがあったのだが、それには遅効性の媚薬効果があったのだ。幸い陽月は食べずに済んだのだが、姫路は運悪くも食べてしまい、発情状態になってしまったのである。一度こうなってしまっては戻す方法はただ1つ。セックスをすることで性欲を発散させることだ。いつも発散させてくれる陽月が寝ているのでこのようなことになっているが、今できる最善の方法はこれだろう。
「……んぅ……♡」
乳圧に耐えかねた肉棒が爆ぜるように精を放ち、姫路の顔とおっぱいを汚していく。姫路はそれをティッシュで拭うが、匂いを嗅ぐと自身の性器が熱くなるのを感じた。射精したのは1回だけだが、彼女の中の雌はそれだけでは物足りないと訴えかけてくる。故に彼女はさらなる快楽を求めて陽月の唇に自らのそれを重ねた。
「んっ……んん……んんんっ……♡」
舌を絡めながら濃厚なキスを交わす。だが、姫路はそれだけでは物足りなくなったのだろう。股に手を伸ばし、膣中に指を入れ始める。口と股から粘着質な音を響かせながら自慰にふける彼女の姿は、もはや雌そのものだった。
「んぅ……あぁっ♡」
やがて絶頂に達したのか、姫路の身体が大きく跳ねる。秘所からは愛液が噴き出しており、彼女の身体全体を濡らしていた。それでもまだ足りないというように震える姫路の身体。だが、まだ足りない。媚薬の影響とはいえ、自分はこんなに淫らな女だったのか。その事実にはずかしさを覚えつつも、姫路は寝間着を脱ぎ捨て、ふたたび陽月に跨る。いわゆるスパイダー騎乗位の体勢で腰を落とし、肉棒をナカへと収めていった。
「あっ……♡あぁっ……♡」
肉棒を膣中で扱くたびに姫路の口から喘ぎ声が漏れる。今は媚薬の効果で発情しているが、そんなの関係なく彼女にとって目の前の雄は魅力的だった。元々陽月が好きな彼女であるが、媚薬の影響で今はそれが何倍にも膨れ上がっている。その結果、こうして乱れているというわけだ。まあ、そんなの知る由もない陽月は相変わらず夢の世界にジャーニーしているわけだが……。
「ぁあああぁあああああっ♡」
何度も腰を振った末、姫路はふたたび射精を果たす。同時に陽月も絶頂に達し、子宮が精液で満たされていく。姫路がそれに幸福感を感じていると、陽月の閉じていた瞼が持ち上がる。夢の世界で短い旅を終えた彼は寝ぼけ眼をこすりながら目の前の光景を認識すると、彼はすぐに自身がどのような状況に置かれているのか理解した。この状況を作ったのが誰なのかも。その原因がなんであるのかも。そしてなにより、姫路が今なにを必要としているのかも。
「あ、起きましたか?」
朦朧とした意識の中、陽月が最初に認識したのは騎乗位の体勢で腰を振り続ける姫路の姿だった。薄明かりに照らされた彼女の肌は汗に濡れ、荒い息遣いが静寂を破る。彼女の中に入ったままの肉棒は既に二度目の精を放ったはずなのに、媚薬の作用でなおも硬く張り詰めていた。
「んふぅ……♡ 陽月くんの……まだ元気ですね……♡」
姫路の目は欲望に潤み、口角が妖艶に吊り上がった。普段は控えめな彼女がこんな表情を見せるのは珍しいが、これも媚薬の効果だろう。
「瑞希……なんでこんな……」
「だってぇ……身体が熱くて止まらないんだもの……♡ 陽月くんが悪いんだよ? あんな美味しいもの作るから……♡」
さつまいも料理のせいにしながらも、姫路は腰を激しく上下させる。結合部から溢れる蜜がシーツを濡らし、淫猥な水音を響かせた。
「こんなことするなんて……変態じゃないか」
「ごめんなさい♡ でも、 陽月くんのこと考えてたら……すぐ濡れちゃうんです……♡これもあのさつまいものせいですね♡」
羞恥心を忘れ去ったように告白する姫路。彼女の下腹部が痙攣するように震え、また絶頂を迎えたようだが、それでも腰の動きは止まらない。その光景が陽月には飢えた獣のように見えた。
「ほら……もっと激しくしてあげる♡」
「ちょっ……待っ―――!」
制止しようとする陽月を無視し、姫路はさらに激しく腰を動かす。完全に主導権を握られてしまった。悔しさと情けなさが入り混じる感情に襲われるが、それ以上に興奮の方が勝る。しかもこの状況だというのに下半身の反応は止まらなかった。いや、この状況だからかもしれない。
「ふふっ……気持ちいいんでしょ? 羨ましいでしょ? 今どんな気分ですか?主導権を握られているのは♡」
普段のおしとやかな物腰からは想像もつかない挑発的な言葉。媚薬が彼女の理性を吹き飛ばし、抑圧されていた欲望を解放しているようだ。
「そんなこと言われても……僕だって――」
「あら?抵抗しないんですか?」
余裕を見せる姫路に対して屈辱感が募っていく。いくら媚薬のせいとはいえ、好き勝手されるのは男として許せなかった。このまま黙っているわけにはいかない。
「調子に乗らないでくれるかな?」
「きゃっ!」
突然動きを止められて驚く姫路。その瞬間に形勢逆転のチャンスが来たと思った陽月は一気に腰を浮かせると――
「んあぁっ!?」
結合したままの体勢で二人とも仰向けになり、今度は陽月が上になった。そのまま正常位の体勢に移行すると、陽月はおっぱいを力強く鷲掴む。指が柔肉に沈み込む感触とともに姫路に甘美な痛みが走る。
「ひぐぅっ!! あっ……陽月くん、痛っ……♡」
「とか言って、本当は気持ち良くて堪らないんでしょ?」
怒りのあまり乱暴になってしまう自分の行動に戸惑いつつも、止まらない。今まで一方的に支配されていた鬱憤を晴らすべく強く抱き寄せるようにしながら、奥深くまで突き刺す。
「あうぅ……♡ ダメですよぉ……こんなの……ひぃぃっ♡!!」
容赦なくピストン運動を繰り返す。姫路のおっぱいを握り潰さんばかりに締め付けていくと、彼女の喘ぎ声が次第に激しくなっていく。痛みと快感が混ざり合って生まれる独特な悦楽に溺れているようだった。
「こんな扱いされて喜ぶんだね。キミは」
耳元で囁くように罵倒すると、姫路は背筋を弓なりに反らせて反応した。
「ああっ!そ……そんな……こと……言わないでぇ……!」
「実際、好きなんでしょ?この変態。マゾ女」
「あぅ……そんなぁ……♡」
涙目になる姫路だが、その瞳には喜びが混じっていた。普段はこうじゃないのだが、これも媚薬の影響だろうか。
「ほら、どうなんだい?答えなよ」
さらに強引におっぱいを揉みしだきながら問い詰めると、“好き……です……♡ わたくし……本当は……こうされたいんです……♡” と姫路は本音を漏らす。
「んぁっ!深いっ!もっと……奥までぇ……♡」
「このマゾめ……言われるままに感じてさ。どこまで堕ちるつもりなの?」
普段なら決して聞けないような淫らな言葉の数々。媚薬によって隠された欲望が全て曝け出されているかのようだ。陽月もまたそれに刺激されてしまっていた。お互いに高まり合う性衝動は留まるところを知らない。限界を迎えた2人は同時に達してしまった。
「ひっく……ひぅぅ……♡」
「くっ……!」
熱い液体が注ぎ込まれる感覚に姫路は満足そうな表情を見せる。一方、陽月は自分の欲望を解放することによって少し冷静さを取り戻しつつあった。しかしそれでもまだ物足りなさを感じてしまう自分がいた。もっと彼女を求めたいという欲求が湧き上がってくるのだ。そう思った矢先だった。姫路が“まだ足りないです……♡”とふたたび求めてきたのは。こう言われれば陽月に拒否する択は消える。いや、むしろ嬉しく思っていたのかもしれない。その理由はきっと自分が求められていることを幸せだと感じたからだろう。それを自覚しつつ、陽月は止めていた腰をふたたび振り始めた。
「ぁああああっ♡そんな、いきなりっ♡」
「言ったからには手加減しないけど、いいよね?」
口元を吊り上げながら言う陽月に姫路はとうれしそうな顔で頷くのだった。
―――――
朝日が差し込む部屋の中で目を覚ました。昨晩の記憶が蘇ってくる中で罪悪感に苛まれることになった。
(やりすぎた……)
自分は何ということをしてしまったんだろうという後悔の念に駆られながら、隣を見る。すやすやと寝息を立てている姫路は幸せそうな寝顔を見る限り、昨夜の出来事について特に不満は抱いていないらしいことに安堵した。
「……シャワー浴びてこよう」
そう思い、浴室に向かおうとベッドから離れようとするが、できなかった。姫路に呼び止められたからだ。
「おはようございます……昨日はすごかったです……」
「ごめんね。あんなことになっちゃって……媚薬のほうは収まった?」
「はい……おかげさまで……でも」
「でも?」
「昨日の続き……今日もしたい、です……♡」
朝からなんてことを言う女なのか。どうやら姫路の卑猥さはデフォルトで備わっていたものらしい。だが、そういう彼女は嫌いではない。いや、むしろ好きだ。だから陽月はそれを拒まずに受け入れた。
「じゃあ……一緒にシャワー浴びる?」
「はい……♡」
予定を変更し、2人でいっしょに浴室へ。そこから繰り広げられるのは最早言うまでもないだろう。
「ふふ……陽月くんと一緒のお風呂……嬉しいです……♡」
湯気が立ち込めるバスルーム。姫路はうっとりした表情で陽月に寄り添い、その豊満なおっぱいを腕に押しつけられる、媚薬の効果は既に抜けたはずなのに、彼女の艶めかしさは未だ健在だ。
「瑞希、その……昨晩はごめん。乱暴だったよね」
罪悪感から謝ると、姫路は小さく首を横に振った。
「いいえ……あれは私が煽ったせいなので……。それに私、陽月くんに強く求められるの……好きなんです……♡ でも……」
言いながら顔を真っ赤に染める。羞恥と興奮が綯交ぜになった表情は昨夜を彷彿とさせた。
「今日は……優しくしてくださいね……♡」
そう言いながらも彼女の瞳は期待に輝いているように見える。陽月は苦笑いしながらうなずくと、姫路の細い肩を抱き寄せた。朝の光の中で繰り広げられる行為は昨夜とは違う種類の興奮を与えてくれる。結局この日一日中2人は互いを求め合い続けたのだった。