【ブルーアーカイブ】
・砂狼シロコ
・十六夜ノノミ
城下町での生活にも慣れてきたころ、陽月はギルドに来ていた。生活費を稼ぐべく、クエストを受注しに来たのだ。
「うーん……」
依頼書が貼られている掲示板とにらめっこしながらうなり声をあげる。依頼書にはクエスト依頼の内容が記載されており、それぞれランク付けがされている。ランクはS、A~Eランクの6段階あり、Sが最高難易度、Eが最低難易度という位置づけだ。
ギルド登録をした者もとい冒険者にもギルドランクというものがあり、クエストをクリアすることでポイントが付与され、一定のポイントに達するとランクを上げられるというシステムになっている。
ギルドランクによって受けられるクエストのランクも変化し、たとえばCランクの冒険者はCランクのクエストは受注できるが、Aランクのクエストは受注できないといった感じだ。これは初心者が高ランクのクエストを受けて命を落とすという最悪の事態をなくすために設定されたルールだ。
「Sランクまであと5ポイントなんだよな」
ギルドカードを取り出してつぶやく。左側にはクロスディアの国紋であるグランドクロスが刻印され、左側には現在のランクとポイントが記載されているそれはランクによって色が異なり、Sはプラチナ、Aはゴールド、Bはシルバー、Cはブロンズ、Dは青、Eは白という風になっている。そして陽月はギルド登録してから昨日までこつこつとクエストをこなしていたこともあり、今のギルドランクはA。しかもあと1歩でSランクに届くところまできているのだ。
「5ポイントのクエストは……」
獲得ポイントはクエストのランクによって決まるのだが、5ポイントは2番目に高い獲得ポイントとなっている。つまり、次受けるクエストでSランクに到達したいなら必然的に受けるクエストはAランクに固定されることになる。
「高いランクはやっぱり未解決なのが多いな」
高ランクのクエスト内容は魔物討伐が占めているのだが、高いだけあって討伐対象の魔物も強力なのがそろっている。故に対応できる人が少なく、未解決のままになっているのが多いのだ。
「そういえば、この魔物による被害報告が最近出てたっけ」
陽月の目に留まった依頼書に描かれている魔物の名はブラックドラゴン。漆黒の鱗に身を包み、背中に大きな翼を生やしたそれが先週村を壊滅させたという報告が出ていた受付嬢のカリンが言っていた。その近くに住んでいるという村人たちも次狙われるのは自分の村ではないかと思うと、震えて夜も眠れなくなるんだとか。
「カリンさんも早くなんとかしないとって言ってたしな……よし」
依頼書を掲示板から剥がし、受付に持っていく。受付嬢のカリンは陽月に気づくと、“こんにちは、陽月さん”と愛想のいい顔であいさつをする。
「こんにちは、カリンさん。クエストの受注をお願いします」
そう言って、依頼書をカリンに見せる。
「これは……受けてくださるのですか?」
「先週この魔物による被害があったことを考えると、そろそろなんとかしないといけないと思ったので」
「ありがとうございます。ではマップアプリを起動させた状態でスマートフォンをご提示ください。マップアプリにハジメ村の場所をマーキングしますので」
言われるまま、その状態のスマホをカリンに手渡す。カリンはスマホを受け取ると、慣れた手つきでスマホを操作した後、陽月に返す。
「依頼主の村長さんにはこちらから連絡しておきますので、まずはその人から話を聞いてみてください。ブラックドラゴンの住処は彼が知っていますので」
「いつもありがとうございます。では、いってきます」
「はい。健闘をお祈りしております」
ギルドを出て城下町の出入口前に行くと、上着の内ポケットからカプセルモード状態のネロを取り出す。そこについているにスイッチを押して放り投げると、カプセル状態からバイクモード状態に変形させ、跨る。
【マスター、どちらへ?】
「ちょっと竜退治にね。その前にハジメ村ってところに寄る必要があるけど」
言いながら、マップアプリを開いたスマホにネロをセットする。スマホをセットすることでネロはスマホ内に蓄積されている情報を読み取ることができるのだ。
「ここから村までどれくらいかかるかな?」
【1時間あれば着くかと】
「ドライブにはちょっと短いな。よし、出発しよう」
【イエス、マスター】
アクセルを回してエンジンをふかし、陽月を乗せたネロは緑が広がる平原を駆け抜ける。それから1時間でハジメ村に着くと、カリンが事前に連絡していたこともあってか、村人の何人かが出入り口の前で待機していた。
「お待たせしました。ギルドから魔物討伐のクエストの依頼を受けた者ですが、村長様はどなたでしょうか?」
「私です。このたびは依頼を受けてくださり、ありがとうございます」
名乗り出た村長が深々と頭を下げて礼を言う。いかにも気弱な感じだが、今の状況を考えればしかたないと思いつつ、陽月は早速本題に入ることにした。
「一応確認しますが、今回の討伐対象はブラックドラゴンでおまちがいないでしょうか?」
「そうです!先週近くの村を襲って、次はウチに来るんじゃないかって村の者たちも怖がってしまい、中にはどうせ滅びるならと働くのを放棄する人が出る始末なのです……」
眉を8の字にして近況を語る村長。どうやら思った以上に状況は深刻のようだ。これは早く討伐せねばブラックドラゴンに襲われる前に村は廃れてしまうだろう。
「わかりました。では今から討伐してきますのでブラックドラゴンの住処を教えてください」
「ブラックドラゴンはあそこの山の頂上を住処にしています。いつもあそこから来ていますので」
そう言って、村長が遠目から見える山を指差す。
「わかりました。では、いってきますね」
ネロを出して跨ると、村長に呼び止められる。
「どうかしましたか?」
「こちらから依頼してこんなこと言うのもナンなのですが……1人で行かれるのですか?相手は村を壊滅させるほどのヤツなんですよ?」
たしかにそんなヤツに1人で挑むなど、普通に考えたら無謀と言うほかないだろう。だが、それはあくまで他のものだった場合だ。陽月は村長の不安を拭うように笑顔を作る。
「大丈夫ですよ。僕には2匹の竜がついてますので」
「は?」
「では、吉報を期待しててください」
首をかしげる村長をスルーして、陽月はブラックドラゴンが住む山へ。その山中はゴブリンやオークの住処にもなっており、陽月が山に入るなり襲いかかってきた。
「ごめんね。キミたちに構ってる時間はないんだ」
炎魔法で手のひらの炎を生み出す。その状態で右腕を突き出し、狙いを定める。陽月はその最中で魔物たちが1ヵ所に集まると炎に風魔法を混ぜ合わせ、炎の竜巻を手のひらから放った。蛇行しながら進んでいく紅蓮の炎。そいつは軌道上にいる魔物を飲み込み、体内で燃やし尽くした。
「あれ?」
襲い来る魔物を蹴散らしながら頂上にたどりつく。だが、そこにブラックドラゴンの姿はなかった。
「変だな……ここにいるはずなんだけど……」
目撃情報が出ている以上、ここを住処にしているのはたしかだ。なら、今は狩りに出て留守にしているかもしれない。
「待つしかないか―――ん?」
そう思った矢先、どこからともなく音が聞こえた。翼を羽ばたかせるような、そんな音だ。
「まさか―――!?」
空から降ってきた牛の死骸を横に回避して受け身を取った後、上空を見る。そこには討伐対象のブラックドラゴンが翼を羽ばたかせながらこちらをにらみつけていた。陽月の思ったとおり狩りに出ていたようだが、ちょうど帰ってきたようだ。
「おかえりのところ悪いけど、キミには討伐依頼が出てるんだ。これ以上被害を出さないためにも、ここでキミを狩らせてもらうよ」
陽月の言葉を理解したのかは定かではないが、ブラックドラゴンは咆哮をあげる。そのときの振動で周囲を揺らした後、火の弾を連続で飛ばす。陽月は見た目が赤い刀身に黒の柄、黒のグリップとなっている片刃剣“レッドサン”を召喚魔法で呼び出す。陽月は空から降ってくる炎の雨をステップでかわし、かわしきれないものはレッドサンで斬っていく。
ブラックドラゴンはこれではラチがあかないと思ったのか、空を切りながらこちらのほうに突っ込んできた。陽月はそれをジャンプしてかわすと同時にブラックドラゴンの背に乗り、レッドサンを振り下ろす。だが竜の鱗は硬く、刃はキィンッ!と高音をたてて弾かれてしまった。加えてブラックドラゴンは体を回転させることで陽月を背から離し、地上へと落ちていく彼に火の弾の雨で追撃した。
対する陽月は白銀の銃身に青い三日月が描かれたマグナムリボルバー“ブルームーン”を召喚魔法で呼び出す。そしてその銃口から魔力を固形化した銃弾を放ち、迫りくる炎弾を貫いた。外部から貫かれたことで原形を留められなくなった弾の群れが轟音を立てながら爆発するのを見届けながら、陽月は地上に着陸する。
「流石ドラゴンなだけあって一筋縄じゃいかないな……」
不老不死なので死ぬことはないが、このままでは体力と魔力を消耗する一方だ。それではあまりにも効率が悪いと思ったとき、頭に響くように声が聞こえてきた。だが、それは陽月をこの世界に転生させた神ではない。陽月の中にいる竜の声だ。
【随分苦戦してるみてぇだな。陽月】
【ヤツは人里を襲うような竜族の面汚し。僕が選んだ宿主である以上、そんなヤツに後れを取るなど許さん】
「わかってるよ。村長にも吉報を期待しててって言っちゃったしね」
【ドラゴンの鱗にハンパな攻撃は通用しねぇ。特に物理攻撃には高い耐性があるからな。そんとき、どうすればいいかわかるか?】
【決まっている。物理が通用しないなら魔法d―――】
【そう!耐性つきでも耐えきれない一撃をたたきこむことだ!!】
『……』
あまりにも。あまりにも脳筋すぎる解決法。普通なら頭が悪すぎると一蹴するところだが、陽月は知っている。彼ならそれが可能である、と。
「わかった。それでいこう。ソーマもいいね?」
【最終に判断するのはキミだ。カムイに譲るのはシャクだが、ここは譲るとしよう】
「よし。いくよカムイ!」
【よっしゃあ!全開でいくぜ!!】
右手の甲に赤い竜の紋章が浮かび上がり、光を放つ。それが周囲を照らしながら陽月の体を包み込む。やがて光が収まると、陽月は見た目は頭部が前向きに曲がっている金色の角が2本ついた竜の頭部を模した赤いマスクが顔全体を覆い、全身をまとっている赤い鎧にはいたるところに金色の宝玉が埋め込まれ、尻部分には尻尾状のパーツが着いている姿に変貌した。これが陽天竜の力を解放した形態―――“
少女のような外見から180度変わった陽月。ブラックドラゴンは同種族故にそれが竜によって具現化されたもので、かつその竜が格上であることを雰囲気で感じ取ったようだ。その証拠にさっきから空中に居座ったままこちらの様子を窺っている。だがドラゴンとしてのプライドなのか、後退する気はないようで、炎の弾を連続で放ってきた。しかし、陽月は避けようとしない。いや、この場合は避ける必要がないと言ったほうが正しいだろう。実際、炎の弾に直撃しても周囲が炎に包まれただけで、陽月自身は無傷だった。
【おめぇのどの度胸は褒めてやる。だがな!陽天竜にこの炎はぬるすぎるぜ!】
背中に赤色のエナジーウィングを展開し、空に舞い上がる。徐々に近づいてくる彼にブラックドラゴンは火炎を放って迎え撃つ。それをカムイで両断していきながら、陽月は全身を赤く輝くオーラで包んだ。
「
漆黒の鱗を貫かれ、巨躯を斬り裂かれ、ブラックドラゴンは苦しそうな咆哮をあげながら地上へと落ちていく。巨大なドラゴンを受け止めた地上からは轟音が鳴り、土煙が柱のように舞い上がる。陽月が様子を見るべく山のふもとに降りると、そこには真っ二つになったブラックドラゴンが横たわっていた。これはまちがいなく即死だろう。
「ふぅ……」
息を吐くと同時に形態を解除する。陽天竜力は強力な反面、弱点が存在する。それは発動している間は常に体力を奪われること。陽天の竜装を維持できる時間は宿主の残り体力によって決まる。つまりそれは体力が尽きればそれが強制解除されるうえ、一歩も動けない状況にもなりえるということ。故に陽月は月魔竜を含めた二神竜の力は基本ここぞというときの切り札として使っているのだ。
【やっぱおめぇの体力は並みじゃねぇな。俺の能力を使ってバテねぇなんてよ】
「小さいころから鍛えてるから。なににしてもこれで村のほうは安心かな。次は……」
レッドサンとブルームーンをもどし、入れ替わりにナイフを呼び出す。
「素材の回収だね」
汚れないように水魔法で全身をコーティング(息ができるように口部分だけは開けている)してから素材の剥ぎ取り作業に入る。ギルドのルールでは依頼をこなす過程で得た素材は持ち帰ることが可能となっているので、生活費の足しにするために価値のある素材を魔物から剥ぎ取るのはよくある光景だ。特にドラゴンは強力な魔物故、そこから取れる素材は高価なものと知られている。角や牙は武器や彫像品の素材。鱗は防具や入れ物の素材。そして肉は食材としてかなりの値打ちものだ。
「肉は氷魔法で冷凍保存して食料にできるし、素材は贔屓にしている商店が引き取ってくれるしね」
本来高級素材は引き取れない店がほとんどなのだが、陽月が贔屓にしている商店の店主であるショウ・アキナは超のつく金持ちで知られている。しかもちょろまかさずにその素材に見合った値段で引き取ってくれるので、陽月も信頼できる店として利用させてもらっているのだ。高級素材の売却にも不便しないとは、流石最大規模の国というほかない。
「剥ぎ取りはこんなものかな。あとは……」
手のひらを地面に当て、陽月は魔法陣を展開。この魔法陣は異空間につながっており、この上に保管したいものを置くと異空間に転移される。これは収納魔法と呼ばれるものだが、名前がしっくりこなかったので、陽月はアイテムボックスと呼んでいる。
「ほんと便利だよね。普通ならかさばるところをこれでいくらでも保管できるんだから。魔法さまさまだよ」
言いながら、剥ぎ取ったものを異空間に入れていく。ブラックドラゴンの死骸は放っておくと腐って周囲に影響を及ぼすので、それは炎魔法で焼却して。
「さて、村にもどるか」
ネロに乗ってハジメ村にもどる。そこでブラックドラゴンを討伐したことを報告すると、歓喜の驚きの声であふれかえった。
「まさか本当に討伐されるとは……感謝いたします。これは約束の報酬です」
そう言うと、村長はふくれあがった袋を手渡す。確認すると中には依頼書にも記載されていた報酬である5万
「報酬、たしかに受け取りました。村の繁栄をお祈りしております」
「あなたには本当に感謝しております。あなたは我々にとって英雄です」
「それは大げさな気がしますが……助けになれたのならなによりです」
英雄という単語にこそばゆさを感じながらも、陽月は村を後にした。たくさんの感謝の言葉を背に受けながら。
―――――
依頼を完遂して、陽月はクロスディア城下町にもどってきた。
「これで晴れてSランクだな」
ギルドカードを見てみると、ゴールドだったものがプラチナに変化していた。ギルドカードは一定のポイント数になると自動でランクが更新され、色も変化するよう魔法でプログラミングされているのだ。
「さて、帰る前に今日取った素材を売りに行かないとな」
ということで、贔屓にしている商人の店もといアキナ商店へ。ドアを開き、ついているベルを鳴らすと店主のショウ・アキナがお得意の営業スマイルで出迎えた。
「これはこれは陽月の旦那!いらっしゃいませ!今日はどういったご用件で?」
「いい素材が手に入ったので、引き取りをお願いしたいんですけど」
「引き取りですね!かしこまりました!では、商品を見せていただけますか?」
「これです」
アイテムボックスに保管していたブラックドラゴンの素材を取り出す。
「ブラックドラゴンですか。なるほど……他の店ではまず引き取ってもらえない素材ですな」
「引き取ってもらえたとしても、値段をちょろまかす人もいますからね。でも、あなたなら真っ当な値段で引き取ってくれるでしょ?」
「もちろんです!このショウ・アキナは誠実さをモットーにしていますので!これらだと……そうですね……」
素材たちを表から裏までじっくり眺めた後、ショウ・アキナはどこからともなく電卓を取り出す。それを慣れた手つきで操作すると、画面を陽月に見せた。
「お会計はこんなものでいかがでしょう?」
角が5万Cro。牙が3万Cro。鱗が2万Cro。占めて10万Croの会計となっていた。この内訳を見て、陽月は納得したようにうなずく。人によっては高いと思われる値段だが、高級素材なのでこれは妥当な値段だ。
「OKです。その値段で売りましょう」
「ありがとうございます!では、これが10万Croとなります。今後ともウチの店をご贔屓に〜」
「言われなくともそうさせてもらいますよ」
お金を受け取って店を出る。これで用事はすべて済んだ。
「じゃあ、そろそろ―――」
帰ろうかと思ったとき、スマホが鳴った。ノノミからのメールだ。“たすてけ”と書かれているが、これはきっと助けてという意味だろう。
「たすてけ……?助けてってことかな?でもいったいなにが……いや、今はそんなこと考えてる場合じゃない」
ネロに跨り、スマホをセットする。スマホにシロコとノノミの写真があるので、彼女たちの情報を読み込ませたのだ。
「ネロ、シロコとノノミがどこにいるか調べてくれる?」
【……検索完了。2人の所在はマップアプリにマーキングしておきました】
スマホの画面を見ると、マップアプリは陽月の知る場所を示していた。
「ここは……とにかく急ごう」
ネロを走らせ、マップアプリが示す場所―――シロコが住むマンションにむかう。本来ならエントランスで中の人を呼んで入るのが普通だが、今は緊急事態。なので、魔法で浮かんで窓からシロコの部屋に入った。
「シロコ!ノノミ!無事!?……なの…………」
勢いのあった陽月の声が弱まる。なぜか。それはシロコの部屋に広がっている光景が彼の予想していたものと異なっていたからだ。床は丸まったティッシュで散らかっており、部屋はイカ臭いにおいで充満していた。
「はぁ、はぁ……♡あ……陽月くぅん……♡やぁっと来てくれたんですねぇ♡」
こちらに気づいて笑顔をむけてきたノノミは床に座り込んだ状態で頬を赤く染め、息は乱れまくっていた。シロコもベッドに寝転んだ状態で似た状態になっている。陽月は2人の状態を見て理解した。2人は今発情しているのだと。
「ノノミ、これは―――?」
陽月の声をさえぎるようにシロコが彼の腕を引っ張り、ベッドにひきずりこむ。2人の美少女に押し倒される。なぜこのようなことになっているか聞きたいところだが、今の2人にそれを要求するのは不可能だろう。
それを察した陽月は右手でノノミ、左手でシロコのおっぱいをもみはじめた。まともに会話できない状態なので、今は2人の性欲を発散させようと考えたのだ。
「んっ……♡」
シロコが甘い吐息を漏らす。掌の中のやわらかな膨らみが熱を持って脈打っている。普段はクールな彼女だが、今はそれも消え失せ、潤んだ瞳で陽月を見上げていた。
「陽月くん……♡もっとぉ……♡」
懇願しながら腰を擦り寄せてくるノノミ。薄ピンクのパンツの布越しでも湿り気が伝わる。それに応えるように彼女のブラを指でくぐらせ、敏感な先端を探り当てた。
「ひゃんっ!♡」
可愛らしい悲鳴とともにノノミの身体が跳ねる。対するシロコは陽月の首筋に舌を這わせ始めた。
「シロコ、くすぐったいかな」
「陽月の性欲を煽ってる。いっしょに……気持ちよくなろ♡」
「じゃあ、遠慮なく」
左手をシロコのスカートへ潜り込ませると、そこは既に洪水状態だった。最早下着の役割を果たしていない布地を剥ぎ取り、中指を沈める。
「んんっ♡!」
艶かしい嬌声が重なる。陽月の指が動くたびに2人は痙攣し、ベッドを軋ませる。
「陽月くん……♡私のも触ってくださぁい♡」
望まれるまま、右指をノノミの中心へ滑り込ませる。熱い粘液に包まれた内部は既に準備万端だった。
「陽月くんのが、欲しいのんです……♡」
ノノミが上目遣いで訴える。シロコも同じ瞳で見上げていた。2人の欲情に感染するように、陽月自身の鼓動も速くなる。
「いいよ。いっしょに気持ち良くなろう」
「うれしい……♡」
「待ってた……♡」
2人が陽月の下半身に手を伸ばす。そのまま器用な手つきでズボンを脱がすことで露になった欲望の証を目にし、2人の瞳が妖しく輝く。
「わぁ……♡」
「硬くなってる……♡」
ノノミが恐る恐る、シロコが躊躇なくそれを握る。体温が交わり合い、陽月の身体にも鳥肌が立つ。
「最初は……私がもらうね」
宣言するように言うと、腰を落とし始めるシロコ。狭い入口に先端が触れるとともに、快楽の波が脳髄を貫く。
「んんっ♡!陽月の……大きいっ♡」
根元まで呑み込み、シロコは深く吐息を零す。初めてではないからか、痛みを感じている様子はない。いやむしろ快楽に身をゆだねている様子で腰を揺らしていく。
「私も……負けません……♡」
ノノミが立ち位置を変え、陽月の顔面を跨ぐ。薄い毛並みから溢れる蜜が頬を濡らす。
「舐めて……ください♡」
言われるままに舌を這わせる。濃厚な香りと味が脳を酔わせる。
「あぁっ!♡いいっ!♡」
上から降ってくるノノミの喘ぎ声。下ではシロコが貪欲に腰を振っており、2つの異なる快感が陽月を翻弄する。どちらの刺激にも応えるように自然と腰が動き出し、シロコの膣内でさらなる快楽を陽月に享受した。
「んんっ♡!そこっ♡もっと奥っ♡突いてぇっ♡」
シロコの要望に応じて角度を変え、さらに深く貫く。瞬間、ノノミの腰も大きく震え上がった。
「私も……イきますっ♡!」
喉奥まで滴り落ちてくる液体とともにノノミが絶頂に達する。その拍子にシロコも収縮し、陽月自身も堪えきれなくなった。
「シロコ……出すよっ」
「ん……いっぱい、出してっ♡」
最奥で迸りが放たれる。同時にシロコも声にならない叫びをあげて果てる。
「はぁ……はぁ……♡」
結合部から白濁液が溢れ出す。それを見届けてからシロコはゆっくりと離れていき、次は私の番ですよと言わんばかりにノノミが位置を変える。
「今度は私が気持ちよくしてあげますね♡」
濡れそぼった花園を開いて待ち構えるノノミ。陽月もふたたび勃起したそれをあてがうと、一気に貫いた。
「あああんっ!♡」
根元まで挿し込むと同時にノノミの喉から歓喜の悲鳴があがる。シロコとは違う感触。柔らかく包み込んでくるようなその圧迫感に思わず陽月に呻き声をあげた。
「ふぁっ♡!あぁっ♡!陽月くんの……凄いですぅっ♡!」
ガクガク震えるノノミの体を支えるように抱き寄せると、より深く繋がりあう形になる。結合部から淫靡な水音が響き渡る度に、互いの興奮は加速していく。
「陽月くん……もっと奥まで来てぇっ♡!」
自ら腰を振りながら甘く媚びてくるノノミ。それに応えるように陽月は下から激しく突き上げる。
「んあぁっ♡!♡深いぃっ♡!陽月くん、深いですぅっ♡!」
淫乱な腰つきを見せながら、ノノミがふしだらな声をあげる。その様子を羨ましそうに見つめていたシロコが不意に起き上がった。
「私も……混ざる」
彼女は陽月の後ろに回り込むと、背後から首筋に舌を這わせ始める。
「もう、シロコちゃんったら……私が愉しんでたのに♡」
とか言いながらも、ノノミは嫌がる素振りは見せていない。むしろシロコを受け入れるように微笑んでいる。
「ノノミだけ愉しむのはズルい」
拗ねたような口調で言うと、さらに強く吸いつくように舌先を使い始める。その刺激も加わって、陽月の中で限界を迎えつつある射精感が再燃していく。
「ノノミ……また出そうだ」
「いいですよ♡いっぱい出してください♡」
締め付ける肉壁に導かれるように欲望の塊を解放する。ノノミもまた大きな絶叫とともに達し、互いの体液が混ざり合う音色を奏でた。
「はあ、はあ……」
荒々しい呼吸音だけが部屋中に響く中で、息を整える3人。性欲が発散されたことで発情していたシロコもノノミもようやく冷静さを取り戻したようなので、陽月はこうなった経緯を聞くことにした。
「で、なんで発情してたの?」
「……実は今日、シロコちゃんがハッスルできるというドリンクを買ったみたいなんですけど……」
「それを飲んだ瞬間、体が熱くなって……気づいたら発情してた」
「……シロコ、そのドリンクのボトル見せてくれる?」
「ん……」
手渡されたボトルに記載されている成分表を見る。いろいろ原料が書かれている中、陽月は1つの原料に目が留まった。
「ハッスル……ダケ?」
名前からしてキノコだとは思うが、そんな名前のキノコは見たこともないし聞いたこともない。陽月はそのキノコを調べるべく、スマホでそのキノコを検索した。一瞬読み込みが入った後、一番上の検索結果にキノコ専門のサイトがあったので、タップしてそこに遷移する。
「ハッスルダケ……催淫効果と媚薬効果を合わせるキノコで、食べるとたちまちに
それはそうだ。人が死ぬような毒キノコを原料に使えるわけない。しかし、こんなセックスをするためにあるようなドリンクをどこが作ったのか。気になってラベルを見てみると、見覚えのある名前が目に映った。
「ハルカラ工場………………あの人か……」
ハルカラ工場という名の通り、これはハルカラが経営している工場だ。ここで作るドリンクはどれもよく効くので好評という話を陽月も本人から聞いていたが、このようなものも思ってもみなかった。
「……このドリンク、また買おう」
「……理由は?」
「発情すれば陽月とセックスできるから。発情する以外に悪影響はないみたいだし、問題ない」
「そうですね~♡私も買おうと思います♡1ケース分♡」
「そんなに買わなくていいから!!」
こうして、ハルカラ印のドリンクにリピーターが増えたのだった。